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#2888 H26全国学力テスト分析(4):中学校・前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014  [68.H26全国学力テスト・データ分析]


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<データ取扱上の注意-1> 11月28日早朝追記
 私が算出している偏差値は道コンのSSや進研模試の個人結果表にある個人別偏差値とは同列に扱えません。
 都道府県別・科目別の正答率データ(47×4科目=188データ)から4種類の標準偏差を計算して、14支庁管内の新聞公表正答率データを用いた偏差値です。…続きは後段へ

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 対前年度対比の14支庁管内別偏差値ランキング表です、じっくり眺めてください。一番低下したのは根室管内、残念な結果です。14支庁管内の格差は拡大傾向にあるようです。

<中学校・14支庁管内・科目別偏差値内訳表>


        表-4
2014年度
 国語A国語B数学A数学B合計平均
全道48.9 44.6 44.6 49.1 187.346.8
全国50.0 50.0 50.0 50.0 200.050.0
2014年度<道内14支庁管内別偏差値内訳とランキング>
 支庁名国語A国語B数学A数学B合計平均
1石狩54.654.150.357.0216.154.0
2上川53.949.848.853.6206.251.5
3十勝46.541.246.248.8182.645.7
4留萌49.640.341.646.4177.844.5
5胆振45.840.340.840.8167.841.9
6釧路49.635.043.538.8166.941.7
7渡島42.735.537.840.2156.239.0
8空知40.231.239.743.9155.138.8
9オホーツク43.335.035.938.4152.738.2
10檜山47.132.732.838.1150.737.7
11後志34.627.433.635.0130.632.6
12根室32.121.228.734.0115.929.0
13宗谷41.523.618.425.0108.527.1
14日高25.223.627.529.5105.826.5
単純平均値⇒39.2
2013年度<道内14支庁管内別偏差値内訳とランキング>
 支庁名国語A国語B数学A数学B合計平均
11石狩53.151.453.850.4208.752.2
32十勝50.849.349.548.4198.049.5
23上川48.048.545.948.4190.747.7
44留萌48.049.236.242.3175.643.9
85空知44.846.540.142.9174.343.6
96オホーツク43.247.237.242.3169.942.5
107檜山47.646.334.440.7169.042.3
78渡島42.846.535.441.5166.341.6
129根室41.645.338.040.8165.741.4
510胆振41.945.934.442.3164.441.1
611釧路42.845.634.439.9162.740.7
1112後志36.445.430.436.4148.637.2
1413日高33.642.621.436.4134.033.5
1314宗谷37.143.918.933.8133.733.4
単純平均値⇒42.2



*偏差値50以上を青で、40未満30以上を黄色で、30未満をピンクで表示した。
 青    1⇒1 ・・・変化なし、上川の数学Bがずいぶん上がった
 ピンク  2⇒10
 黄色  14⇒18

<教育の地域格差拡大:地方の子どもたちの学力劣化が進んだ>
 昨年の14支庁管内偏差値の単純平均値は42.2で、今年度は39.2に低下している。全国に対して全道14支庁管内偏差値が相対的に低下したのは、札幌圏が全数調査であったことを併せ考えると、石狩・上川・十勝の上位3強とそれ以外の11支庁管内の格差が拡大したことを意味する
 そういう目であらためてみると、偏差値30以下の科目であるピンクがずいぶん増えた。14支庁管内は昨年度は4科目単純平均偏差値40以下は3支庁のみ、しかし、今年は8支庁に拡大し、最底辺の3支庁が偏差値30を割り込んでしまった。中学生の学力という観点から見ると、北海道は二極分解過程にあるようだ。都道府県別・科目別正当率データをベースにした標準偏差で測定すると、偏差値40以下の地域と40以上の地域に真っ二つだ。釧路と胆振がボーダライン上にいる。各市町村教委や学校に適切な対応がとれなければ、三年後にはこの2地域も偏差値40以下へ転落する可能性がある。
 石狩・上川・十勝の3支庁管内がはっきり学力が高い。この地域は学力最底辺層の3地域とどこが違うのだろう。石狩と上川は北海道の中では大都市圏と中都市圏に当たる。渡島がそれに次ぐ。子どもの教育環境としては大都市圏が有利だ。親の学歴の高いことや大手進学塾や学校の先生のレベル、私立の中高の並存による競争条件の違いなど、全道560万人の人口のうち190万人を占める札幌圏が圧倒的に有利である。石狩や上川は道内の他地域に比べて親の学歴が高い、高学歴の親ほど子どもの教育への関心は高くなる。

<あきらめない、正答数の差はわずかだ>
 昔は学歴の低い親達が、子どもに立派な学歴をつけようとがんばった。期待に応え大学へ進学した子どもたちの大半が、地元へ戻ることがなかった。そうして地方の人材枯渇化現象がはじまった。諦めが地方の親達や子ども達、そして教育関係者に蔓延し始めているのではないか?
 でも、あきらめる必要はない。全部で4科目平均正答率59.6%を64.4%にたった4.8%上げるだけ、4科目合計92問のうち4題正解を増やせば根室管内は全国レベルに追いつける。
 要するに、どういう具体的な目標を設定して、どのような対策を実施するかだ。3年間で全国平均超えという目標を決めて、具体的な戦略策定をし、毎年検証しながらやればいいだけ。
 各中学校が取り組みやすいように、学校別・科目別の全国学力テストデータやふだんの学力テストデータを市教委がホームページで公開したらいい。
 先生と生徒と保護者が検証可能な共通目標を設定して一緒に取り組んだらいい。


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<データ取扱上の注意-2>
 ・・・続き
 本来なら、受験者全員のデータを使って計算すべきですが、文科省からデータが公表されていないのでやむをえず都道府県別・科目別集計データから基本統計量を計算しています。ですから個人別偏差値とは性格が違い、地域全体の相対的な評価を表すものです。その尺度は都道府県別・科目別の集計データを利用して作成された標準偏差や平均値をベースとして作られています。高校生なら進研模試で受験した「学校偏差値」(あれ、「校内偏差値」はあったけど「学校偏差値」はあったかな?)のようなものと考えてください。私の高校の平均偏差値は40で学力の低い高校だとか、学校の平均偏差値が60だから相対的に学力の高い高校なんだという風に。
 いま手元にある「進研模試総合学力テスト個人成績表」を確認しましたが「学校偏差値」は出力されていません。

 次いでですから脱線しちゃいましょう。学校ごとの偏差値を個人成績表のように算出できないかという疑問をもった人がいると思います。もちろんできます。そのときは学校別の正答率データの科目別平均値から標準偏差を計算します、偏差値の計算式はいつでも同じです。どこかに書いておいたのでここでは端折ります。
 学校別偏差値に使う標準偏差を計算するときの作業手順を書いておきます。全国の中学生の正答率データを受験会場になっている学校識別コードで集計して人数で除して平均値を求めます。その学校別の科目別正答率平均値を基礎データにして標準偏差を計算して偏差値を算出すればいいのです。基データは一人一人の中学生のデータで、それを集計したデータから標準偏差を求めることになるので「メタ偏差値」と言い換えてもいいでしょう。全国の生徒が受験した「学校一つ一つの真の偏差値」が計算できます。その偏差値は全国の中学校の中で、それぞれの学校の相対的な学力テスト成績の位置を表すことになります。
 同じ作業を全国の市町村識別コードでデータをソート(並び替え)をして、市町村識別コードごとに集計すれば全国の市町村の学力テスト成績格差が偏差値で表現されます。残念ながら、北海道の14支庁管内のような行政区域の分割は他の県にはありませんので全国データで14支庁管内のような単位で偏差値を算出することは今年度のデータに関しては実務上不可能です。市町村では可能ですから、文科省は市町村別の基本統計量を公開してもらいたい。そのデータで計測しても根室市の偏差値は33前後でしょうね。日高と後志は20代の偏差値が出るはずです。全国でも沖縄に次いで最底辺の学力の地域であることは間違いがなさそうです。ただデータの解釈は間違えないでいただきたい、その地域の中3生全部の学力が低いということではなく、高学力層が他に比べて極端に薄くなっていると同時に、基礎学力の問題のある成績下位層が異常に肥大化していることは間違いのないことだと考えます。
 市町村別の基本統計量は学力の低い全国の地域の子ども達にとって学力向上の大きな武器になるだけでなく、国民が共有すべき重要な財産です。

 次に問題となるのはたった47×4科目のデータ数で、全体の傾向を表しうるのかということです。充分な妥当性があると思っています。20~30だとサンプリングしたデータの「個性」に結果が左右されますが、ベースにしているのは全国の中3生のテストデータを都道府県別に集計したデータですから、妥当性は確保されていると考えていいでしょう。問題は集計データですから、分布の幅が小さくなることや正規分布から大きく外れる可能性が予想されます。前者の問題は避けられませんが、後者の問題は都道府県別の偏差値をご覧いただければおおよそ正規分布に近いであろうことがわかります。沖縄県の偏差値が18ですから、これだけが「外れ」です。「同じ母集団に属さないデータ」、つまり「異常値」と考えていいでしょう。ですが、日高・後志・根室管内は全国市町村レベルで最底辺2%に近いのかもしれません。
 14支庁管内の偏差値の幅は26.5~54.0です。一番低い日高管内の偏差値26.5は正規分布では出現率が1%です。根室管内の偏差値29は1.8%の出現率に相当します。真偽のほどは全国市町村ごとの平均正答率をベースにした標準偏差を公開しない限り不明です。この種のデータは教育行政が独占すべきものではなく国民共有の財産だというのが私の意見です。文科省はこうした国民の権利を侵害しています。私たちは自らの権利を守るためにももっと強く学力テスト・データ公開を主張すべきです。
*参考資料「#2709 偏差値と「100人(百校)中の順位」対応表 June 22, 2014 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22


 ここまで述べてきましたが、皆さんにも全国学力テストの改善点がはっきりと見えてきたのではないでしょうか?

○4科目92問では問題数が少なすぎ、狭い範囲にデータが集中してしまうので、問題数を2倍くらいに増やすべき

 問題数が増えれば、今度は「読み・書き・計算」基本技能の処理速度の差も正答率に現れます。その結果、正答数の分布が広がって有意義なデータがとれます。文部科学省の決意次第でやれることですから、ぜひ改善検討をお願いしたい。


 根室市の偏差値が33.7というのは、もちろん全員が低学力で小学校4年レベルの学力しかないということではありません。500点満点の文協学力テストで400点をを越える生徒が4~8%くらいいます。しかし、石狩管内のデータはありませんが、文協学力テストで400点超は20%前後はいるのではないかと思います。
 読み・書き・計算については中3で小4レベルの生徒は根室管内では20%程度(中1では3035%)いるようです。「読み・書き・そろばん(計算)」の基礎学力に問題を抱えている生徒は偏差値54の石狩管内に比べて比率で3倍くらではないかと考えています。
 なんども弊ブログで根室市内の市街化地域の3中学校のふだんの学力テストの得点分布をとりあげていますが、この数年間、五科目500点満点で400点を超える学力上位層が1/3以下にやせ細り、200点以下の低学力層が肥大化していることに警鐘を鳴らしていますが、今年の学力テストの結果からは、そういう得点分布の異常さが根室管内に広がっており、その実態は根室市内よりももっとひどいということを表しています。今年度の中3年生だけが特別に学力が低かったのかそれとも根室管内全体の中学生の学力がこんなに低いのかは、来年度以降のデータをモニターしなくてはわからないことです。年度ごとのデータの比較ができるように、人口の多い札幌市は学力テストに全校が参加してもらいたいと思います。そうでなくては昨年の根室市教委のように、学力の高い札幌市の2/3が参加しないことで全道平均値が低くなっているのに、「全道との差が縮まった」と(実際には道内でも学力の地域格差が拡大しているのに)データの読み違いをしてのんきなコメントを出すところがでてきます。

 加工したデータの話だけでは誤解の恐れがあるので、実際の正答数の差についても言及しておきます。
 根室管内の中3の生徒たちが4科目合計92問中正解を7問増やせば、石狩管内に並びます。偏差値では54と29ですからその差は25もありますが、実際の正答数の差はそんなに大きくはないのです。

 算出された偏差値は地域ごとの中学3年生の平均的な学力を相対的に表したものです。4科目それぞれ47データあるので母集団全体で計算した標準偏差とそんなに大きな差は出ないと考えます。
 標準偏差の値が動いても、それによって表現される各地域の相対評価は動きません。理由は簡単です、地域ごとの平均正答率データは各地域の全データから集計・計算されたものだからです。

 文科省は全データの基本統計量市町村別の基本統計量を公表してほしいと思います。そうすれば地域の正答率データを市町村教委が公開しているところは高校生でも自分の住んでいる地域の真の偏差値を計算できます。隣の市町村とどの程度の差があるのかもわかります。

 道教委が掲げている「全国平均を超える」という目標を達成するためにも、学校別・科目別のデータを公表すべきなのです。そうすれば各中学校は具体的な数値目標を立て、目標達成のための戦略を策定し、全国学力テスト結果データを見て、自分達の実践が効果があったのかどうかの判定ができます。目標を達成できなかったら、戦略を見直したらいい。どこの企業でもやっているPDCAサイクルがしっかり回ります。

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■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】

#2485 (小・中対比) 2013年度
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09


 #2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1   Nov. 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07

 #2886 H26全国学力テストデータ分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表  Nov. 27, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1

 #2887 H26全国学力テストデータ分析(3):14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2

 #2890 H26全国学力テストデータ分析(5):偏差値の仕組み解説 Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1

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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

 #2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある

 #2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2

 #2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 #2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校  Nov. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1

 #2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊  Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2

 #2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18

 #2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18-1

 #2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20

*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13





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コメント 2

合格先生

 気づいた点が1点。釧路管内の数学Bの平均が40を下回っていますが、黄色になっていないです。
by 合格先生 (2014-12-01 02:48) 

ebisu

合格先生

あ、ほんとうだ、飛び地になっていますね。
あちがとうございます、直しておきます。
by ebisu (2014-12-01 08:12) 

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