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#2757 学力テスト階層別データ分析:偏差値や基本統計量が公表されない学力テストのバカバカしさ Aug. 3, 2014  [55. さまざまな視点から教育を考える]

  4月の学力テストデータの五科目平均値が例年に比べて異常に高い(300点満点で2校共に30~40点アップ)ので理由を知りたい、そこで3階層にデータを分けて眺めてみた。

 2014年4月学力テスト階層別データ比較
B中学校C中学校
得点階層人数比率人数比率
300-1811527.3%1327.1%
180-912545.5%2654.2%
90-01527.3%918.8%
合計55 48 
2014年2月学力テスト階層別データ
B中学校C中学校
得点階層人数比率人数比率
500-301  2452.2%
300-151  1328.3%
150-0  919.6%
合計  46 




 4月データでは成績上位層の比率は2校は同じだが、成績下位層の比率に大きな差がある。

      成績下位層の比率: (B, 27.3%) > (C, 18.8%)

 C中学校よりもB中学校の方が成績下位層が多いのだが、以前はまったく逆の分布だったから、階層別データはこの8年ほどの間に2校で大きな構造変化が進んだことを示唆している。
  B中学校は30%以下の成績下位層が2~3人しかいなかったのである。B中の下位層の肥大化が平均点逆転の原因のようだ。
 B中学校で最近数年間で何が起きてこのような成績下位層が肥大化したのか、そしてC中学校では最近数年間何が起きているのか気になるだろう。
 C中は最近数年間、校内の荒れが沈静化してきていることは事実だし、校長が文武両道を学校通信でも発信しており、現場の教員がそういう方針を理解して動き始めていることも事実である。校長は中学時代に野球部員だったときの遠征合間の勉強のやり方まで学校通信で語っている。わたしのところの塾生も生徒が倣ってやり始めている。学力の底上げがはじまったと読んでもいいのかもしれぬ。過去3年を遡ると100~135点でばらつきが大きい。

     平均点:(B, 139.7) < (C, 149.9)

 時系列でC中学校のデータを見ると、得点30%以下の成績下位層の人数は同じである。
 60%以上の得点層の割合は2月52.2%に対して、4月27.1%に半減している。3年生になって、500点満点から300点満点に変わると得点分布にこういう傾向がでてくる。500点満点で8割の400点超は300点満点ではおおよそ7割の210点超に相当する。500点満点で8割の得点層は300点満点では7割に低下する傾向がある。テスト範囲が広がるので平均点が下がるのかどうかはっきりしたことが言えない。
 C中学校の2月学力テストで400点超は3名、4月学力テストで210点超は4.5人(階層区分にずれがあるので比例配分した)。
 B中学校の4月学力テストで210点超は9人(16.4%)いる。B中学校は210点を超える高学力層が厚く、中間層が少ない、そして30%以下の得点層(27.3%)が多い。

 時系列で見たときにC中学校の6割超の得点層が52.2%から27.1%に低下し、上下30%を除いた中間層が28.3%から54.2%に2倍近くに増大している。
 平均点を比較すると、
 2月 276点(55.2%)
 4月 149.9点(50.0%)
少し下がっている。

 以上のデータから、2月学力テストの難易度に比べて4月の学力テストの難易度が上がった事実はない。4月の学力テストの難易度が低かったと仮定するなら、それは2月からすでに難易度が低下していたといいうる。
 1校だけのデータ推移を眺めるよりも、2校並べてみるとそれぞれの変化の様子がよりハッキリする。だから、一つの中学校だけのデータを分析するのではなく、文武を含めた根室市内全部の中学校のデータ数年分を並べてみたら、いろいろなことがわかるだろう。市教委は昨年度から市内の中学校で実施されている文協学力テストをモニターしているはずだから、学校別データを市教委のホームページで公開したらいい。そしてそれぞれの学校の先生たちがデータの比較分析をして、こどもたちの学力を上げるために情報交換すればいい。こんなことは全国にある市町村でひとつもやっているところはないだろうから、根室がはじめてやって世の中に公表したらいい。教育に熱心な町だと評判になる。中学生が居ても根室への転勤を嫌がらなくなる。そういう地道な活動を積み重ねることこそ「根室再興」につながるのではないか。教育問題に正面から取り組む素晴らしい町、根室、そういわれてみたいね。

<偏差値と基本統計量公表の必要性>
 北海道立高校入試問題の難易度が2年続けて極端に下がったが、文協学力テストの難易度がその影響下にあるのかないのか判断がつかない。北海道全体の平均点や得点分布がどうなっているのか、基本統計量が計算・公表されないとたしかなデータ分析ができない。統計学的に見てこんな拙劣な学力テストは廃止して、全道偏差値のでるものに変えるべきである。根室市全体の平均点も全道平均点もともに計算されていない。
 道立高校で大学進学指導に全国模試の偏差値を使っていないところは皆無だろう。民間業者の実施する全国模試が偏差値を表示していることに文句を言う生徒も保護者も教員もいないが、中学校でそれができないのはなぜだろう?
 中学校と高校はまるで別の国の学校のようだ。北教組がいくら反対しても、統計学的にみて正しいものは正しい、中学校の先生たちも客観的に生徒の学力を計測するために偏差値導入を主張すべきだとebisuは思うが、高校では当たり前のことが中学校になるとなぜそんなに無理なことになるのだろう。

 大学進学の際には先生たちも全員が偏差値のお世話になったはず。自分たちが恩恵を受けた偏差値なのに、生徒たちが同じ恩恵を受けることを拒否するのはなんだかおかしいのではないかと思っている先生たちも少なくないのだろう。
 生徒たちに嘘をついてはいけない、卑怯なことをしてはいけないとふだんから指導しているはずだし、そういうことはいけないとだと小学校の道徳の学習指導要領にも書いてある。「教育言説の再帰性」という言葉があるが、先生が生徒に発したその言説が自分自身に戻ってくるということだ。先生自身が大事な問題では、嘘をつかず卑怯なことをしないこと、「教育言説の再帰性」とはそういうことだ。

 全道偏差値そして学校ごとの偏差値、生徒個人の偏差値が計算されたら、B中学校とC中学校の生徒たちの学力がどの程度上がったのかをずっと客観的に評価できる。学校ごとの平均点しか出ないのでは、それぞれの学校の先生たちの取組や生徒の努力が客観的に評価できない。
 現場の管理職も教科担当教員も自分の生徒たちの学力を上げるためにさまざまなチャレンジをし始めているのだが、その結果すら数値で客観的に把握できない状況を続けることが現場の志気にかかわると思う教育行政官だっているだろう。
  初等統計学的要件すらもクリアしていない、児戯に等しい学力テストをいつまで続けるのだろう。
 きちんと統計処理をして偏差値データを公表できるような学力テストに変更すべきだ。そうすれば「plan⇒ Do⇒ Check⇒ Act」サイクルが正常に回ることになる。

 ebisuがブログでいくら吼えたって物事はちっともかわりゃしないから、保護者や先生たちから改善の声が上がることを期待したい。根室の町の未来のためだ、皆さんそれぞれいい汗かいてはくれないだろうか。



*#749 フィールズ賞受賞数学者小平邦彦と藤原正彦の教育論  Oct. 4, 2009 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-10-04

*#2746 どんな社会人をつくるのかという視点はあるか? July 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-23

 #2756 偏差値55以上の大学受験生対象の塾はビジネスとして成立たぬ現実(根室)  Aug. 1, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01-1

 #2757 学力テスト階層別データ分析:偏差値や基本統計量が公表されない学力テストのバカバカしさ Aug. 3, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03

 #2758 根室から現役東大合格は過去二人:その勉強スタイルに学べ Aug. 4, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-04


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