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#2391 中3学力テスト五科目合計点100点はどういうレベルか? Sep. 1, 2013 [64. 教育問題]

 昨年度の学力テスト総合Cの五科目合計点(300点満点)データを見ると、3割・90点以下の得点層がちょうど3割いるから、百点以下はおおよそ三人に一人。
 高校普通科の標準的な授業には独力でついていけるのは180点超の成績上位層のみ。百点では商業科や事務情報科でも、全商簿記1級や全商実務英検1級、全商情報処理1級には関係のない生徒層となる。1級合格可能なのは電卓検定やワープロ検定ぐらいなもので、就職にはほとんど用をなさない。

 #2143でとりあげた学力テスト総合Cのデータを再掲するので見ていただきたい。
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【Facts:データ】
<A表>
2012年11月学力テスト総合C
 上位層  中位層 下位層(底辺層)
210点超209~91点90点以下人数60点以下
人数  %人数  %人数  %合計人数  %
光洋中11.16371.62427.38889.1
柏陵中811.04257.52331.5731317.8
啓雲中35.93262.71631.451611.8
3校合計125.713764.66329.72122712.7


<B表>
 120点超130点超140点超150点超人数
人数人数%人数%人数合計
光洋中464045.53034.12730.788
柏陵中433953.43547.93243.873
啓雲中262345.12039.21631.451
3校合計11510248.18540.17535.4212
全校推計値144128 106 94 265


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 市街化地域の3校合計で150点を越える生徒は75人おり、郡部を入れても推計値で94人、普通科の定員は120名である。根高普通科の定員が多すぎないだろうか?8年前はFランク150点で定員割れしないときは不合格だった。

 問題を成績下位層に絞ってみよう。五科目合計点で百点以下は成績下位層(下位1/3層)であるが、実際にどういう学力レベルなのかその特徴をデータから明らかにしてみたい。この層の生徒達は日本語の読解力が著しく落ちる、なぜかというと、本を読まない生徒層とかぶっているからである。

 C中学校の最近の全校生徒アンケートデータによれば、家庭学習時間がゼロの生徒が37%もいることがわかっているから、この層ともかぶっている。
 つまり、成績下位三分の一は、次の二つの特徴をもっていることになる。
①家庭学習習慣がない(家庭学習習慣ゼロが37%)
②本を読む習慣がない

 本を読まないので文章語の語彙がほとんどないから、小学4年生以下の日本語語彙しかもっていない。したがって、

中学校の先生たちが授業中に使う日本語が理解できない ⇒ 学力がつかない

ということになる。

 本を読まない生徒達は知的な大人の話す日本語が理解できない。社会人になったときに仕事で上司の指示が理解できないし、本を読み必要とされる資格試験に合格できない。したがって、都会に出てもほとんどが最下層で安い賃金と不安定な雇用条件下で労働せざるをえない。都会では大学進学率が50%を超えているのである。地理的に不利な条件化にあり、全道14支庁管内最低レベルの学力である根室の大学進学率は札幌圏や首都圏の半分もない。

 どういうう社会人になるか想像してみてほしい、みもふたもないことをはっきり言う。親の事業の後を継ぐのでない限り、成績下位1/3の層のほとんどに生徒には単純労働しか仕事はない、時間給の安い非正規雇用に甘んじるしかないだろう。
 辛抱ができる者はあるいは職人になれるかもしれないが、成績下位層の生徒は切れやすい者が多い。わがままで好きなことしかやらず、必要であることが十分わかっていてもきらいなことをガマンしてやり遂げることができない。自分の好悪の感情を制御できないのである。感情のコントロールは理性の座の仕事である。前頭前野の働きだが、この座は勉強することやガマンを重ねることで鍛えられる。どちらも怠ってきたら箸にも棒にもかからなくなる。
 職人は辛抱もいるし、頭も相当よろしくないとダメである。先輩職人や親方の技を見て盗めるほど頭がよければならない。つまり、成績下位層は職人なっても半端職人にしかなれない。たとえば、大工なら棟梁にはなれない。たとえ成績が悪くても、地頭が相当よくないと、一人前の職人にすらなれないのが現実である。

 わたしの意見だけでは心もとないだろうから、ブログ「情熱空間」の解説をお読みいただきたい。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6762653.html
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2013年08月29日

数値ですら計測できない惨状がある

数値には現れない学力がある。そう言っては、だから全国学力テストを中止せよなどとのたまっている勢力があります。では、こう切り返して差し上げるとしましょう。数値ですら計測できない惨状がある、と。

無解答率。試験の点数が何点だったとか、順位がどうだったとか、そうした話以前の部分です。本道の下位2~3割の子ども達は、そもそも解答欄すら埋めることができないのです。解答欄をほとんど埋めている。具体的には、1~2割程度の空欄があっても、大体は解答欄が埋まっている。一般的にはそうした印象があるものでしょうけれど、さにあらず。そもそも、解答欄がまるで埋まっていない。要するに、空欄なんですよ。

しかも、記号問題ですらそう。「ア~エから選びなさい」この場合、答えは1つ、つまりは四択ですね。しかし、こうした記号問題すら埋められないわけなんです。例えば公立高校入試の理科・社会科の問題。記号問題がかなりの割合を占め、単純に「確率上」、要するに当てずっぽうに書いたとしても、10点強から20点程度は得点できることになります。四択のうち、一つが明らかに外れるとなれば実質は三択になり、正答の確率は3分の1に跳ね上がることになります。

ところが、下位2~3割の子ども達は、記号問題すらもスルーしてしまうのです。信じられないかも知れませんが、それが現実なのです。では、なぜそうなってしまうのか。文章を見ただけで、フリーズしてしまうのです。文章が長くなればなるほど、一瞬それを見ただけで反射的に思考停止状態に陥ってしまうのです。数値ですら計測できない惨状がある。

TOEICでの笑い話。適当にマークシートに印をつけたところ、正答確率(4分の1)を切ってしまった。一般的には笑い話として成立しますが、下位2~3割の子ども達には成立しません。その記号問題の記号すら、解答欄に記載しない(できない)わけですから。試験の採点をすると、答案を見て数値ですら計測できない惨状を痛感します。10数問~20問程度ある記号問題を、4・5問程度しか埋めていない。

100点(300点満点)を切るレベルの子の答案は、こういったものです。「記号問題しか書いていない」(記述式ははぼすべて空欄)80点を切るレベルの子の答案は、こういったものです。「記号問題すら埋めていない」設問の意味が理解できないんです。だから、思考を閉ざしてしまう。見た瞬間、反射的に「できない!」としてパスしてしまうわけです。

設問が、何を問うているのかが分からない。設問が、何を問うているのかを読もうとしない。そのいずれかです。この状態こそが、数値で計測できない惨状です。そして嘘誇張ではなく、漫画すらも読めない。そうした子も一定数存在しています。かつて漫画は、子ども達の学習習慣の形成を阻害するものとして悪者扱いされた時期がありましたが、その漫画すらも読めない。そうした子ども達を生んでいるのです。

1点・2点の差に一喜一憂。勉強嫌いの子を増やす。そんな主張を展開している馬鹿新聞(失礼)がありますが、問題の所在をまるで分かっちゃいません。乱暴な言い方をすると、解答欄を埋めることができる子は、二の次・三の次でいい。でも、その解答欄、しかも記号問題すら埋めることのできない下位2~3割の子ども達こそ、何をさて置いても早急に対策を講じなければならないはずです。なぜなら、日本人としてこの日本で普通に生きていくこと自体に、支障を生じる可能性が高いから。

文科省が、この無回答率とその原因についても調査を開始しました。ありがとう、文科省。大歓迎です。全体の1~2割程度しか埋まっていない解答用紙。しかも、筆圧も線も弱い、やっと判読可能な字で。数値で計測できない惨状があるんです。文科省のやることには、何でもかんでも反対。試験は直ちに中止せよ。そうした方々に、彼ら・彼女らの答案用紙を見せてあげたくなります。その子達の行く末を憂い、考えを改める人が出てくることでしょうから。

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 ZAPPERさんもebisuも、学力底辺の生徒達を何とかしてやりたいと思う。それには学校と家庭と地域社会ががっちりスクラムを組むことだ。小さな町の根室の小中学生は、いまは全道最低レベルの学力だが、小さな町だからこそ変えられる、やってやれないことはないのである。
 全国一斉学力テストデータがでた、これを学力向上の強力な武器として使うためには、学校別・科目別のデータ公開が必要条件である。「釧路の教育を考える会」は学力テストデータの公開を要求している。学校の先生たちも一緒に動こう。誰のためでもない、自分達が教えている生徒のためだ。低学力層は三人に一人だ、そのほとんどは社会人となったときに、低賃金と不安定な職場で実にきつい人生を送ることになる。お父さんやお母さん達の時代とは就職事情が異なる。
 労働人口は急激に縮小し、いずれ売り手市場に変るのだが、しばらくは不安定できつい時代が続く。


*#2143 データと分析(5) 学力テスト総合Cから根高普通科への合格基準点を推計してみる Nov. 29, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28

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コメント 4

ZAPPER

まだ景気が良かった頃は、学力低位層の子もそれなりに塾に通っていたものですが、最近では会う機会が減っています。親の経済状況もまた厳しい場合が多いからです。

もはや頼みの綱は小中学校のみ。だからこそ、しっかりとその機能を果たしていただきたいものです。僕らには、今、目の前にいる子しか救えませんので。

その子ども達、中3生にこういった質問をしてみます。「義務教育を終えました。そう言える学力って、300点満点で何点だと思う?」答えは、150点(半分)と100点(3分の1=3学年の3分の1)に割れますね。「でも、150点ってさ、釧路なんかだとど真ん中より上だよね?」などと言うと、結局は100点とかに落ち着きます。

でも、彼ら彼女らも分かっているんですよね。その100点でも低すぎることを!そして、学力低位層の子ども達もまた、こう思っているんです。「もっと、ちゃんとできるようになりたい!」と。その声が聞こえないのは、その声に耳を傾けようとしていないからです。
by ZAPPER (2013-09-02 11:22) 

Hirosuke

>「もっと、ちゃんとできるようになりたい!」
     ↓
そして生徒達は同時に、こう思っています。

「できるだけラクして、デキルようになりたい!」

あのね、キミたち、・・・。

勉強に入る前に、
まずは人生を語る僕なのです。

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イチローは「天才」ではない [わが里程標]
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2009-03-24-1
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by Hirosuke (2013-09-02 13:00) 

ebisu

>学力低位層の子ども達もまた、こう思っているんです。「もっと、ちゃんとできるようになりたい!」と。
>その声が聞こえないのは、その声に耳を傾けようとしていないからです。

親の経済状態の悪化から低学力層の通塾率が減少しているのは釧路も根室も同じですね。親の教育への関心も総じて低いですから。

>もはや頼みの綱は小中学校のみ。だからこそ、しっかりとその機能を果たしていただきたいものです。

学校の先生たち、どうかよろしくお願いします。普段の授業にますます力を入れていただくと同時に、放課後補習をさらに徹底してください。
手間をうんとかけてあげないと、家庭での自立的な学習(復習)すらできないのです。

by ebisu (2013-09-02 13:02) 

ZAPPER

Hirosukeさん
そうなんですよね!
で、彼ら彼女らには、その話がおもしろくって、「もっともっと」とかってせがまれたり。
それがまた、楽しいといえば楽しいわけですが。^^
by ZAPPER (2013-09-02 13:36) 

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