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#2280 ストップ・ザ・学力低下 FM釧路の番組紹介 May 2, 2013 [64. 教育問題]

 毎月2回FM釧路で教育に関する番組が放送されている。「釧路の教育を考える会」のメンバーが交代で「出演」している。第23回目の放送の書き起こしがブログ「情熱空間」に載ったので転載する。
 ブログを書いている合格先生が書き起こしを担当している。

 大津さんは番組キャスター、月田さんは「釧路の教育を考える会」副会長で釧路市議会副議長。

http://www002.upp.so-net.ne.jp/singakukouza/stopgakuryoku23.html
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ストップ・ザ・学力低下 第23回 2月19日放送分

 

大津(前説)
 ストップ・ザ・学力低下。
 このコーナーは、サンエス電気通信株式会社、株式会社エイコー、新橋ヨコハマタイヤサービスの提供でお送りします。
 このコーナーは第1・第3火曜日のこの時間にお送りしていきます。
 みなさんは、釧路の基礎的な学力がどのような位置にあり、学校ではどのような授業が行われ、今の子供達は家庭でどのくらい勉強しているか、ご存じですか? また、基礎学力が低下するとどういう事が起きるのか、人ごとではなく地域の問題として、一緒に考えて行ければと思っています。
 釧路の教育を考える会の方をナビゲーターに、様々な角度から基礎学力不足問題を考え、分析し、具体的な対策まで考えて進めていければと思っています。
 みなさんからのご意見・ご感想・ご質問をお待ちしています。
 
 (本編)
 では、第23回目です。

 釧路の教育を考える会、副会長 月田光明さんです。
 こんにちは。
 

月田 こんにちは。
 
大津 よろしくお願いいたします。
  
月田 こちらこそ、よろしくお願いします。
 
大津 今日のテーマなんですけれども、昨年、このコーナーで月田さんに「基礎学力保障条例」のことについてお話を聞いたのですが、ちょっと時間が足りなかったということで、次回またお時間があったら、というお話をさせていただきました。それで、ラジオを聴いている方々からですね「全然、私たちの間ではそういう話題がのぼっていなくて、分からないんですよ。いったい、どういう内容ですか?」というストレートな質問が来ましたので、まずは、どんな内容なのか、お願いいたします。
 
月田 はい。
 まず、条例は9条から成っていて、その一つ一つの内容の説明は、後ほど、その概要を簡単に説明したいと思いますが、そもそも「基礎学力保障条例」と呼んでおります、この条例の狙い・目的・考え方を先に触れておいた方がいいと思いますので、お話をしたいと思います。

 これは、昨年の12月市議会で、議員連盟で提案した条例なんですけれども、その条例を提案するときの「提案理由の説明」を私が議会でお話をしました。その中でも触れておりますけれども、教育というのは次代を担うすべての子供達が学ぶ意欲を持って、それぞれの個性を充分に発揮しながら、それぞれの子供達の尊くかけがえのない人生を切り開いて行くために行われるべきではないか、とまず、冒頭で申し上げた上で、特に義務教育課程、小学校・中学校においては「確かな学力」、それから「豊かな人間性」「健康・体力」のバランスの取れた「生きる力」を養う、これが「教育基本法」に定められた教育の目的と言われているところです。
 この条例については、今申し上げた「確かな学力」と「豊かな人間性」「健康・体力」のうちの「確かな学力」について、もう少し噛み砕いて、市民の皆さんと考えていかなければならないと思っているところです。もう少し説明を加えますと、この「確かな学力」について、学校教育法の第30条2項~ちょっと難しくなりますけれども~将来に渡って学習する基盤が培われるように「基礎的な知識・技能」を習得させること。そして、その力を活用して課題を解決するのに必要な思考力・判断力・表現力、その他の能力を育んで、主体的に学習に取り組めるようにしていくこと、と、この「確かな学力」については、学校教育法で、さらに噛み砕いて説明されています。この中の「基礎的な知識・技能」を習得させることがそもそもの出発点で、これによって得られた力が、それを活用した形で思考力・判断力・表現力、また、子供達それぞれの個性の開花につながっていくんだ、という構成になっているんですね。条例については、ここで言うところの「基礎的な知識・技能」をすべての子供達に保障する教育を釧路市において進めて行かなくてはならないのではないか、その事を目的とした条例を制定しようということで議論を始めて、昨年の12月に賛成の多数を得て可決・成立をした、ということです。
 

大津 誰もが、この釧路に住む人たちが、今の小学生・中学生が大人になったときに、この釧路で活躍してもらえるようにと願っていると思うんですね。それに「基礎的な学力」をつけてもらわないと、そういう大人に成長しないんじゃないか、という心配のもとに作られたということが、今のお話で伝わってきたんですけれども、そもそも基礎学力というのは、どの程度のことを言うのか、やはり、漠然としているんですけれども。
 
月田 そうですね。そこについては、条例の中でも「基礎学力」についての明確な定義をさせていただきました。この条例の第2条のところで、基礎学力については、子供達が心身の発達に応じて学習によって身につけるべき基礎的な能力のうち、義務教育の過程を通じて習得すべき「読む能力」「書く能力」および「計算する能力」にかかる知識および技能であって、その向上・低下の傾向を客観的な数値指標によって把握できるもの、としました。まあ、条文なのでちょっと分かりづらい長い文章なんですけれども、要約して分かりやすく言いますと、ともかく「読む能力」「書く能力」「計算する能力」、これが学年が進んでいっても、高校や大学に行っても、それから社会に出ても、それぞれの能力を高めていく、スキルアップを図っていく、キャリアを積み重ねていく、その基礎となる「読む・書く・計算する」という能力を、しかも客観的な数値で把握できるものを私たちの条例では「基礎学力」と定義をつけました。分かりましたか?
 
大津 簡単に言うと、昔から言われている「読み・書き・計算」ですよね。これが、きちんと子供達に身についているかどうかをチェックをしていないから、知らないうちに、子供達が分からないまま、進んでいってしまっているということですよね。
 
月田 そうなんですよ。例えば、小学校の4年生くらいに入ってきますと、算数で言うと、このコーナーでも教育を考える会のメンバーが何回も触れて説明されていると思いますけれども、算数の足し算・引き算・かけ算・わり算から小数が入ってきたり、分数が入ってきたり、面積計算が入ってきたり、高度化されていきます。小学校のこの段階から、計算する力をきちんと身につけて行かないと、それが中学校に入ると算数から数学になって、もっと勉強は複雑化・高度化していきますので、基本的な力がついていないと、ますます学校の勉強が分からなくなる。もちろん、それが2年生・3年生、そして高校に行っても、基礎的な力がついていないと学校の勉強が全く分からなくなってくるというような事なんですね。そういう意味では、先ほども申し上げた通り、発達段階に応じてそれぞれに身につけるべきと申し上げましたが、その出発は小学校の4年生・5年生の段階から始まっていると私たちは認識しています。
 
大津 みんながそういう意識を高めるように協力して、同じ意識を持って子供達を育てていこうということですよね。
 
月田 そういうことですね。
 
大津 それでは、その条例の中にある、「学校の責務」「保護者の責務」というのは、どういうことになるんでしょうか。
 
月田 まず、教育の第1義的責任を有するのは、法律上は保護者ということになっていて、保護者が自分たちの子供の教育については、まず、一番大きな責任があるんですよ、ということになっている訳ですけれども、しかし、すべての学問を家庭で教えるということは、実質、不可能な訳ですから、そこで、日本においては学校が設置され、学校教育というものが国に基本的な方針に基づいて、法律に沿った形で行われるということになっておりますので、保護者と学校とそれぞれの役割をしっかり果たし、それから連携を取っていくということが教育活動においては、まず、ベースになるものですね。
 この条例では「学校の責務」については、大きく4つ、条文として明らかにしました。まず一つは、子供達に基礎学力の習得・保障をするために、授業の改善を図り続けてほしい、と。学校の勉強が分かるか、分かりづらいか、それはやはり学校の先生の教え方・授業力によるところが大きいわけですから、先生も「分かりやすい授業」、そのための改善に努力をして欲しい。そしてまた、授業の進度・教科書の進み具合についても保護者にその都度、説明をして欲しいということを第1番に挙げました。
 それから、次には、それぞれ、学力テストなど子供達の基礎学力の習得には点数によって把握できるもの、さきほど申し上げましたが、テストなどの結果によって得られた、現在の習得状況・課題、また、その情報などについては、保護者や学校運営協議会には、きちんと報告をしてください、と。その上で支障のない範囲で、学校ホームページなどでも市民に公表する努力をして欲しいということを述べました。
 3つめには、授業だけでは充分に身につかない、と認められた子供達については、やはり適切に補充的な学習機会、いわゆる補習ですね、これを日常的な、放課後とか夏休みとか冬休みとか、必要に応じて土曜日とか、そういう補充的な学習機会を設けて、すべての子供達が基礎学力の習得については、きちんと学校の取り組みの中で身につけさせるということを書き込みました。
 そして、4つめですが、釧路市の教育委員会では、この学力についての目標を持っています。平成26年の春に行われる全国学力調査の段階で「釧路市内のすべての小学校・中学校の平均を全道平均以上にする」と教育長が目標を立てましたので、この目標、また、教育推進計画というのが策定中ですけれども、この釧路市教育推進計画でも、いくつか具体的な目標を定めています。そういう目標をそれぞれの学校も共有して、一緒にこの目標を達成するために必要な取り組みを頑張っていこう、ということを盛り込んだところです。

 それから「保護者の責務」については、やはり家庭における学習の習慣化、勉強時間の充分な確保、そういう環境作りをしっかりして欲しい。
 そして「食」、食べることと子供達の脳の発達というのは、とても関係があると言われています。望ましい食習慣の形成、そのベースになる基本的な生活習慣を家庭でしっかり確立すること。やはり家庭の生活が乱れていたりすると、必ず、子供達の勉強にも、学習活動にも大きな影響がありますので、これについても、保護者の責任の元でしっかりして欲しいということ。
 そして、3つめには、教育委員会や学校から「こういうふうに家庭でも取り組んで欲しい」「学校から家庭にお願いしたいことです」という、いろいろ発信されてくる事柄について、最終的には保護者の自主的な判断にもよるのですが、可能な限り、こういう学校や教育委員会の呼びかけに対して、連携をすると言う前提でしっかり取り組んで欲しい、ということ、以上、3つ「保護者の責務」について、この条文の中に盛り込んだところです。
 
大津 どちらも、意志の疎通というか、コミュニケーションということですよね。
 
月田 前提がそうですね。
   
大津 では、続いてですね、リスナーさんから本当に素朴な疑問が来ています。「この基礎学力保障条例でいったい何が変わるんですか」という質問が来ていますので、よろしくお願いします。
 
月田 はい。
 この条例は努力規定を盛り込んだ、そういう性格を持っています。罰則規定があるわけでもなく、つまり強制力が働くということではありません。それぞれの組織や団体、個人が子供達の基礎学力の習得のためにしっかりその役割を果たしていきましょう、という条例ではありますので、そういう意味ではそれぞれがどう自分たちの責任・役割を自覚するかによって、この条例が生きたものになるのか、できたまま何も変わらずに終わってしまうのか、ということになろうか、と思います。
 そうは言うものの、蝦名市長はこの条例が本会議で採決・可決された後に記者会見で「地域の宝である子供達の可能性を高める取り組みにつなげたい。この条例の精神を生かして市政を運営していきたい」というふうにも語っておりましたし、また、千葉教育長も「条例の基本理念や各主体それぞれの責務など、学校や保護者への周知に努めたい」と、このようにもコメントしました。教育委員会では、釧路市教育推進計画が策定された段階で、この条例とセットで学校・保護者にその狙いとするところ、目的とするところをしっかりと周知して、みんなで、この条例に沿った取り組みを行っていこうと、その考え方を述べておりますので、これから具体的にそれぞれ保護者の皆さんのところに条例に沿った取り組みについての、お願いが始まっていくのではないか、と思っています。

 それと、もう一つだけ、北海道教育委員会の高橋教育長が過日、道議会の答弁の中で、釧路市で学力の条例についての取り組みがある、という質問を受けて、地域全体で危機感の共有が広がりつつあるのではないか。全国水準まで上げる~これは道教委の目標ですが~大きな目標の実現に向けた着実な一歩だと思う。こうした取り組みが全道に拡大することを期待している、と歓迎する感想を述べておられました。この釧路で出来た条例が、今後、北海道の教育委員会の中でも、こういった方向に沿って、具体的に道教委として新しい動きが始まってくる予感もしますし、そして、先般、釧路で条例が出来たということで、帯広市議会からも視察に来ましたけれども、これから、この条例は波紋が広がっていく、という期待も持っているところです。
 
大津 はい、ありがとうございます。条例は作って終わりではなくて、これからがスタートということですので、ラジオを聴いている皆さんから、また、その都度、質問があった場合には月田さんに登場していただきたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いしたいと思います。
 
月田 こちらこそ、よろしくお願いします。
 
大津 はい、今日は、釧路の教育を考える会、副会長、月田光明さんでした。ありがとうございました。
 
月田 ありがとうございました。
 
大津 いかがでしたか。今日のお話。子供の学力向上を取り上げると、必ず、学力ばかりではなく、もっと大切なものがあるという声が聞こえてきますが、それは当たり前の事ですよね。学力だけ上げればいい、とは誰も言ってはいないんです。今日のお話の中にある責務、本当に当たり前の事を挙げています。それぞれがそれぞれの役割を果たせば問題がないんですよね。私は1人の親として思うのですが、このコーナーの中でナビゲーターの方が必ず言う「最低限の基礎学力」。これが身についていなければ、今の世の中、子供を自立させることができないんだな、ということを強く感じています。是非、みなさんも一緒に考えてみて下さい。基礎学力って何でしょうか? 考える力がつけば人の話を聞くことができます。聞いて理解ができれば、相手の気持ちを考えることができます。すべてつながっているように思います。
 釧路の子供達が将来、生き生きと出来るように大人達は協力したいものですね。

 このコーナーでは皆さんの意見や感想をお待ちしています。
 また、我が家の場合、うちの学校の場合など、聞いて欲しいことがありましたら、このコーナーにお寄せください。
 宛先はファックス 0154ー47ー0111、Emailは761@fm946.comです。
 以上、ストップ・ザ・学力低下、このコーナーは、サンエス電気通信株式会社、株式会社エイコー、新橋ヨコハマタイヤサービスの提供でお送り致しました。

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  釧路はFM釧路が学力問題で常設の番組をもっている。低学力は釧路よりも根室のほうが筋金入りだ。道内14支庁管内で日高管内と一緒に最低レベルであるが、FMねむろ市民ラジオには教育番組がない。
 学力問題のスポンサーになっている地元企業が3社あるのも、釧路の地元企業が低学力問題に危機感をもっているからだろう。


*「「エフエムくしろ放送内容」もぜひ!」ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6487553.html


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コメント 2

つきた

ご紹介いただきまして恐縮です。
電波に乗ると意識すると(意識しないように自分に言い聞かせることで余計に意識する)緊張と焦りが交錯して、どうも思うように喋ることができません。
反省頻りです^^
by つきた (2013-05-04 07:09) 

ebisu

月田さん、コメントありがとうございます。
FMねむろも教育問題番組をやってくれるといいのですが、そういう気配もありません。とくに経営主体が変わってからまったくそうした動きがなくなりました。

ラジオでのトークはむずかしいものです。思っていることのはんぶんしゃべることがいたら立派なもの、場数を踏んで「修行」させて頂くしかありませんね。(笑)

道教育長が釧路の基礎学力保障条例を歓迎しているのはうれしいことです。根室市議会でも誰か超党派の基礎学力問題研究会を立ち上げてくれるといいのですが、なかなか教育への関心が高まりません。

流れがどこかで大きく変わることを期待しながら、じっくりと30年後のふるさとを支える不屈の人材を育てます。数人いればなんとかなるでしょうからね、わたしにもやれることがあります。

by ebisu (2013-05-04 12:12) 

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