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#2056 団塊世代と競争:全国レベルを知る Aug. 17, 2012 [64. 教育問題]

【全国一斉学力テストと団塊世代の競争】
 さて、#2056でとりあげた根室水晶会会長であるK先生が光洋中学校教員時代のことである、一度だけ全国一斉学力テスト(1963年)があった。
 社会科が得意なebisuは問題を一題ミスしただけで、1学年10クラス550人の光洋中学校でたまたま学年1位だった。WHOとかIMFとか記号問題が6題くらい出題されており、学校では習っていなかったし教科書にも載っていなかった。小学4年から北海道新聞の社説と政治経済欄を読み続けていたから、これらの略号は学校で習わずとも全部知っていただけ。「糊しろ」、「余白」の部分が功を奏したにすぎぬ。ラッキーだった。

 わたしはこの全国一斉学力テストで二つのことを学んだ。ひとつは、受験問題集や参考書で勉強していたら550人の競争でダントツの一番はとれないこと、そういう勉強の仕方ではドングリの背比べにしかならぬ(だから、高校時代は公認会計士2次試験参考書や問題集、マルクス『資本論』やヘーゲルなどの哲学書を読み漁って勉強した)。
 もう一つは全国レベルの高さである。550人中トップでようやく全国レベルの五段階評価でギリギリ5だった。そこには普段の学力テストでは知ることのできない事実があった。550人中トップでも全国レベルで見るとようやく上位層の一角に食い込んだだけ、情けないという気持ちを同時に味わった。

(50年弱たったいまでもその状況はまったく変わらない。北海道で行われているレベルの低い学力テスト問題では全国レベルを知る由もない。根室高校普通科へ進学して6月に進研模試を受けて生徒たちははじめて全国レベルを知ることになる。百点満点で数学と英語の平均点は毎年20~30点の間にある。高校入試の偏差値で42は道内の高校を100校と仮定したら80番目くらい、ビリから数えたほうが速い位置にある。根室高校へ進学して喜んでいいのか、悲しむべきなのかは、全国レベルを知っているかいないかで評価が分かれるのだろう。そして生徒の大半はは高校卒業と同時に根室を離れ、全国レベルの競争にさらされる。この辺りの事情は昔も今も変わらぬ。)

 10クラス550人でも勉強の仕方次第でトップのとれることがわかった。「糊代」や「余白」の大きさが大事なのだ。それは大学へ進学してからも、大学院への進学のときにも役に立った。商学部会計学科から大学院経済学研究科へ進学し、理論経済学を専攻するためには、受験者で1番をとらないと合格の保証がなかったが、ぜんぜん気にならなかったのは中学校時代から同じ学年が550人もいる大規模校で競争になれていたからだろう。
 当時わたしの在学していた大学の経済学部は定員が500人くらい(団塊世代は人数が多かったので私大は定員の2倍ほど大学生を入学させていた、教室はマンモス化し、マイク授業が増えた、それが学生運動の引き金の一つになった)だった。大学院経済学研究科の合格枠は2~3人。どういうわけか合格者ゼロという年もあったくらいだから、当時は門が狭かったと言えるだろう。もちろん、たくさんとる学校もごく小数だがあった。そうした学校にはオーバードクターがたくさんいた。
 大学教員として就職できるまでたいていは5~10年くらいかかったものだ。空きがなかなかない。わたしの先輩、同級、後輩で大学に残った者が6名ほどいるが、たいしたものだ、敬意を表したい。

 大学に残ろうが、私企業で働こうが、団塊世代に競争はつき物だった。従業員数2百人の会社も二千人の会社も競争がある。そもそも会社自体が同業他社と競争しているのである。
 同級生10クラス550人の中学校で競争した経験のある団塊世代は、社会人となっても平気で競争できた。たとえ田舎の中学校の出身でも、競争には慣れているし、仕事に必要なトップレベルのスキルの習得の仕方も知っているから、どこにいても競争を楽しんで仕事ができた。ひたすら良い仕事をすればいいだけ、極めてシンプル。

 光洋中学校は1年生は2クラス、60人弱だろう。50年前の十分の一のサイズになった。北海道が実施している学力テスト問題は昔も今も全国最低レベルのやさしい問題、おまけに人数が十分の一で競争の経験がない生徒たちは高校を卒業して都会に出てから何を武器に戦えばいいのだろう?
 教えていて根室の子供たちがひ弱に感じる。根高トップクラスですら大学へ進学してから激しい競争にたじろぎ、自身喪失する生徒が増えている。
 科目を増やして塾通いをしすぎるとあぶない。
 人生は大学が終点ではなく、通過点にすぎないのである。どういう社会人になるのか、そこまでみて進路指導や日常の授業をしている先生はどれほどの割合でいるのだろう?
  ギリギリのところできちんとやってきたつもりでも、ebisuも危ういのである。

*#1823 激烈な競争から這い上がれ:団塊世代の友人からの手紙 Jan. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-31


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