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#1593 夏休みと成績連絡票 :5が多い? July 22, 2011 [64. 教育問題]

 明日7月23日から市内の中学校が夏休みに入る。体育館に耐震工事をする学校は1ヶ月の夏休みだそうだ。他は25日間(?)。夏休みを長くして冬休みを短くする学校もあるようだ。涼しい根室だから夏休みを短くして冬休みを長く取ったほうが合理的とも考えられるのだが・・・

【4人に1人が"5"?】
 生徒が成績連絡票をもってきた。中学3年目で初めて数学と英語が5になったと喜んでいる生徒がいた。それはそれで喜ばしい。ちょっと気になったので他の生徒にも確かめてみた。5のある生徒が多い。
 そこで期末テストのヒストグラムと比べてみたら、どうやら5のボーダーラインは85点付近にあるようだ。20~25%が成績5である。絶対評価だとこうなる。期末テストは学力テストに比べて平均点がずっと高く出る。つまり、問題がやさしい。そのやさしい問題で5を連発するとどうなるか。生徒も親も勘違いを起こす。親の世代は相対評価だったはず。親は自分たちが中学生だったころを思い出し、5なら「家の子はずいぶんできる」と思ってしまう。

 団塊世代の私たちも相対評価だった。55人いるクラスに5の評価は5%までだから2~3人しかつけられない。もちろん1も2~3人つけなければならない。いまクラス55人なら14人も成績5の評価の生徒がいることになる。割合から見ると5は昔の4だ。1段階下げてみるとちょうどいい。全体的に学力が下がり、とくに低学力層が増えているから、学校・科目によっては成績"3"が昔の"1"に近いケースもある。

【基準を低くした絶対評価の弊害】
 中学校の内申点が高校側から見るとまるで信用できないものになるわけだ。テスト問題は全国一簡単な北海道の学力テストよりもさらにやさしい問題を作り、5を連発する。先生たちが簡単な問題を作り5を連発することで生徒も親も勘違いを起こす。

 もっと厳しくあるべきだ。中学校で学力を鍛えなければ高校へ行って大学入試で負けるのである。根室高校普通科の生徒には中学時代数学と英語が5の生徒が半数くらいいるのではないだろうか?その優秀なはずの生徒たちの進研模試の平均点が30点に届かない。全国レベルから見るといかに程度の低い問題に慣らされてしまっているのかを全国模試で知ることになる。先週だったか高校1年生たちが模試を受けた。彼ら・彼女たちはまもなく現実を知ることになる。中学校の学力テストは罪が深い。ましてや定期テストの簡単さはなんだ?プロなら先生たちは学力の"全国レベル"も意識すべきだ。
 同じ能力の生徒なら、根室にいるだけで都会の生徒よりもランクが二つは下がってしまう。これが現実だ。

 ブカツに励んで学力を鍛えそこなうのが根室の標準的な中学生だ。中学の先生たちは生徒たちが根室を出た後のことまで考えて授業をしているのだろうか?テスト問題を作っているのだろうか?ブカツの指導をしているのだろうか?

【何度でも言う、放課後強制補習をすべきだ】
 地元に残る生徒のほうがずっと少ないことは誰もが知っていることだ。都会へ出ても戦えるたしかな基礎学力をつけさせ、さらに学力を鍛えるのが先生たちの役割で、それが仕事だ。高校へ入ってしまえば関係ないなんて思わないでほしい。分数や小数の四則演算ができないままに20%もの生徒を卒業させるな。成績の悪い生徒はブカツを停止させて放課後補習に強制参加させるべきだ。基礎学力をつけて卒業させてこそ学校と言える。

【本来の仕事は何?】
 文武両道を忘れ、ブカツにうつつを抜かし、基礎学力不足の生徒をほったらかしにしたまま卒業させているのが根室の中学校の現実の姿だ。根室西高校の先生たちが新入生にどのような指導をしているか何度も話し合って知るべきだ。現実を知れば何をすべきかわかるだろう。同じように小学校の先生たちは中学校の先生たちと定期的に学力問題について話し合うべきだ。

【基礎学力不足の子供の将来】
 勤め口がなくて地元に残れば親に寄生するしかない。職がないから大半が根室を離れざるを得ないが、都会だってそう簡単に職があるわけではない。
 勘違いしてはいけない、根室と違って都会には熾烈な就職競争がある。基礎学力のない子供たちが高校を卒業して都会に出て行ったらどういう職業がある?女の子なら風俗産業が有力な選択肢になる。男はどうか?パチンコ産業ですら大手は大卒を採用している。そうしなければ生き残れないからだ。首都圏の駅前のパチンコ店は年間50億円前後の売上がある。根室のトップ企業並みの売上がたかだか1店舗であるのだ。そうした店を任せる店長にはとくに有能な人材がほしいし、実績を挙げる有能な社員の給料も高い。いまや慶応大や早大卒すらいることを知っているだろうか、あらゆる産業が生き残りをかけて優秀な人材をほしがっている。その一方で十年前、二十年前に比べて基礎学力が劣る者たちの就職は格段に難しくなっている。ほとんどが派遣などの非正規雇用となり、生活の安定が得られず、結婚すらままならなくなる。
 学校の先生たちは生徒の先の先まで考えて、日々の授業やテスト問題作成に全力を尽くしてほしい。日本の国力も根室の生徒たちの将来も生徒自身とあなたたちの仕事にかかっている。それぞれがなしうる最高の仕事をして見せてほしい。

 生徒から成績連絡票を見せてもらって"5"の多さにいろんなことを考えさせられた。
 一生懸命にやればそれなりに報われる社会になってほしい、それが健全な社会というものだろう。
 きつい仕事でもしっかり辛抱しながら必要な知識や技術を身につけるという生活習慣の基礎を中学・高校時代に築いておくべきだ。ニムオロ塾はそういう視点で日々授業しているから、将来、女房・子供を養う義務のある男子生徒にはとくに厳しい。

*「#1594 根室の中学校の絶対評価"5"は幻想:期末テストと学テのデータ比較」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-07-23

 
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コメント 2

ZAPPER

> 基礎学力のない子供たちが高校を卒業して都会に出て行ったらどういう職業がある?女の子なら風俗産業が有力な選択肢になる。

よくぞおっしゃって下さいました。図々しい私をもってしても書くに書けないのがその現実なのです。義務教育においてきちんと鍛えるべきを怠ったならば、また父母が信念を持って子育てをしなければ、彼女達の中にその方向へ安易に進むものが増えてしまう。否、増えているのが現実です。
by ZAPPER (2011-07-25 14:29) 

ebisu

ZAPPERさんへ

今日の北海道新聞夕刊に写真入でデカデカと主張が載っていますね。普段言っていることがよくまとまっています。

ところで、風俗産業の件はわたしも書くのにためらいがありました。高校を卒業してから35年間東京にいましたから、低学力層の女の子たちが風俗産業へ向かう心配はありました。都会ほど就職戦線は厳しいのです。大卒でなければ門が開かない会社が多い。

この数年、塾生から友だちの札幌に(あるいは東京に)行っているお姉ちゃんが・・・風俗産業にという話しを耳にするようになってきました。
垣根も低くなって入りやすくなっているようです。
金銭感覚、勤労観、生活習慣が三つとも崩れていきます。これらを元に戻すのはたいへんです。落ちてしまうのは簡単になっていますが、元に戻るのはなかなかできません。
最近『売春という病』(河出文庫)を読みました。
いくつかの実例が当事者によって語られています。

這い上がるのが困難だから、できるだけ転落する者たちを減らしたい。
今日も補習をしていますが、かならず生徒たちの力になると信じて明日も補習をします。低学力層の子供たちに何が何でもしっかりした基礎学力をつけさせたい。
三木さんが今日の新聞に書いているように「補習」を徹底すればなんとかなる。
学校も夏季補習や放課後補習を徹底してほしい。
by ebisu (2011-07-25 22:27) 

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