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#1594 根室の中学校の絶対評価"5"は幻想:期末テストと学テのデータ比較  July 23, 2011 [64. 教育問題]

  前回ブログで、中学校の期末テスト問題の難易度が学力テストに比べてずっと簡単になっていると書いたが、ではどれくらい簡単なのか数字をチェックしてみたい。

【事実1】
 市街化地域No.1の学校の3年生の期末テストデータと4月に行われた学力テストデータを使おう。棒グラフから数字を読むから一人二人の誤差はあるかもしれないが、その点はご容赦いただきたい。
 階級が10点刻みになっているから、80~89点の階級値の半分を85点以上とカウントすることにしたい。学力テストは60点満点だからその85%の51点以上を成績5と仮定してみる。
 こうすると5に相当する科目別の人数は次のようになる。

    期末テスト 学力テスト  
 数学 19.5人 ⇒ 4人  
 英語 23.0人 ⇒ 5人
 国語 12.5人 ⇒ 2人
 社会 11.5人 ⇒ 1人
 
理科 18.5人 ⇒ 4人
  計  85.0人 ⇒16人

 生徒総数は73人だから、
  85.0÷(73×5)=23.3%  期末テストで成績"5"の生徒の割合
  16÷(73×5) =  4.4%  学力テストで成績"5"の生徒の割合

【5倍も成績"5"を量産するカラクリと生徒の将来への深刻な影響】
 テストの平均点を同じ100点満点に換算して比較すると、期末テストが62.6点、学力テストは40.0である。平均点の差は22.6点もある。問題の難易度がまるで違うことがご理解いただけるだろう。全道対象の学力テストを基準として「絶対評価」をすると、成績5は5分の1に減るのである。根室の中学校の評価基準がどれほど甘いかこうして比べてみるとハッキリする。

 先生たちにそういうつもりがあるとは思わないが、学校の定期テストの難易度を下げる(問題をやさしくする)ことで学力テストの5倍以上も成績"5"を増やしているのは事実である。
 では北海道の中学校で行われている学力テストの難易度が高いのか?そうではない。その難易度のレベルは道立高校入試にリンクしているから、全国でもっとも簡単なレベルだといってよい。その難易度の低い北海道の学力テストに比べてすら、中学校の定期テスト問題はやさしすぎる。
 だから全国レベルでいうと成績"5"は4.4%の半分以下となるに違いない。それは、根室高校1年生普通科対象の進研ゼミ全国模試の結果が証明している。数学と英語の平均点が30点に満たないのである。おそらく三分の一は中学時代成績"5"の生徒だろう。中学3年間学力テストや定期テストでだまされ続けてきたことにようやく気がつく。

 こうして期末テストの点数分布と学力テストの点数分布を比べてみることで、学力テストの5倍もの成績"5"が量産されていることがわかる。でも、そういう「インチキ」は彼ら・彼女たちが高校へ入学して全国模試を受けたときにその正体があらわになる。そこからではすでに大学受験には遅いのだ。まれに、そうしたハンディを跳ね返す者がいるが、ほとんどは本来の能力に見合ったレベルの大学よりもランクを二つぐらい落としてしまう。その結果、大学卒業後の就職先がまるで違ってくる。規模の小さい企業の社員ならまだよい、非正規雇用の占める割合がずっと大きくなる。厳しい現実がまっている。先生たちはこうした現実がわかっているのだろうか?

【定期テスト問題の難易度を下げることは大きな罪】
 中学校の先生たちが簡単なテスト問題をつくり、生徒たちに慢心と油断を植え付けてしまう結果、進学率低下と進学先のレベルダウンという大きな影響を受けているのだ。わかっているのだろうか?
 小学校の先生にも問題がある。ろくに日本語の本が読めないまま、あるいは小数や分数の四則演算すらままならぬままにたくさんの子供たちを中学校へ送り出している。英語を教える暇があるなら良質のテキストを使って日本語の音読トレーニングをやってもらいたい。

【基礎学力とブカツの優先順位を間違えてはいけない】
 小学校も中学校も、基礎学力に問題のある生徒は三人に一人はいるから、そういう低学力の生徒はブカツを禁止して強制的に放課後補習への参加を義務付け、基礎学力に合格マークをつけて卒業させてほしい。
 学校の先生の役割のひとつは生徒にたしかな基礎学力をつけさせることで、そのような基本的なことに異論を唱える先生はおそらく一人もいないに違いない。ブカツはその後のことだ。どんなにブカツに狂う保護者がいたとしても、先生は優先順位を間違えてはいけない。基礎学力の充実が先である、ブカツを優先させてはいけない。それは本末転倒を通り越して仕事の放棄であり、教員が決してしてはいけないことなのである。

【事実2:別の中学校のデータ】
 根室で一番古い中学校であるわが母校のデータを書いておこう。期末テストの1科目平均点は54.6点、学力テストの1科目平均点は百点満点換算値で39.0点である。平均点の差は15.6点あった。

    期末テスト  学力テスト  
 数学  5.0人 ⇒ 2.0人  
 英語 15.0人 ⇒ 3.5人
 国語   4.5人 ⇒ 0.5人
 社会   5.0人 ⇒ 0.5人
 
理科   5.0人 ⇒ 1.0人
  計  34.5人 ⇒  7.5人

 受験生徒数は期末テスト76人、学力テスト74人だから、
  34.5÷(76×5)=9.1%  期末テストで成績"5"の生徒の割合
  7.5÷(74×5) =2.0%  学力テストで成績"5"の生徒の割合

 期末テストの85%を成績5のボーダーラインとすると、H中学に比べて成績5はほぼ半分である。学校の荒れ方がひどい。学校ごとの生徒の学力は学校の荒れ方の度合いに見事に反比例している。このデータは学校の荒廃と生徒の平均的な学力の低下の間に相関関係のあることを実証している。
 よく考えてみれば当たり前のことだ。騒がしくて授業が聞こえないから学力が下がるのは当然の結果だろう。授業をサボり体育館周辺で喫煙している生徒はとっくに学校の手に負えない。この学校を変えるのはたいへんだ。
(歴代の教育長は誰一人としてこの"不都合な真実"について市議会や記者会見で発言した人はいない。「臭い物にフタ」ではよくなるはずがないのだが、市立病院建て替え問題でもそうした側面をうんざりするほど見せられた。「オール根室」というごく一部の者たちがそうした旧弊を守り続けている。パトリオットのebisuとしてはあきれるばかりだ。根室に生まれ育っておきながら、どうしてふるさとをそんなにダメにしたいのだろう?ふるさとの未来の明るい芽を摘んでしまうのだろう?理解に苦しむ。)

 学力テストに比べて期末テスト問題の難易度がかなり低いこと(つまり問題が簡単なこと)はこの学校も同じである。ただ、この学校は一番荒れており生徒の学力が低いことが特徴である。
 もう一校、市街化地域の中学校があるが、この学校も北海道新聞が半年ほど前だったか取材しているが、火災報知機が発報するいたずらが日に何度もあることがあるほど荒れ始めており、学力は下がり始めている。500点満点の学力テストで400点以上がゼロの学年も出始めたくらい学力が低下してしまった。5科目合計点400点以上ゼロというデータはそれまで見たことがなかった。

【根室の将来を左右している教育に関心をもとう】
 学校はもはや地域社会ぐるみで何とかしないといけない時期に来ているが、そういう発言は市長からも教育長からも市教委からも学校からもPTAからも、まったく出てこない。どうして教育の現状にこれほど関心が薄いのだろう。教育への関心の薄さという点でも、全道14支庁管内で折り紙つきだろう。
 教育へ関心をもとう。町の将来は子供たちの教育にかかっている。学力の低い子供たちでは大人になっても実行可能な具体的ビジョンを描き、着実に実行することなどできるはずがない。いま町のいろんな分野で実権を握っておられる方々のうちで中学生や高校生時代に勉強熱心だった人が何人いるのだろう。9年前に35年ぶりにふるさとに戻ったが18の歳まで根室にいたからわたしはわたしよりも年長の町の重鎮たちのことなら知っていることがすこしあるのだが狭い町のこと、差し障りがあるから名は言わぬが、学力に関してはじつに寒い光景が広がっている。根室がこの50年間衰退し続けている理由はけっして北方領土が返ってこないからだけではないようにみえる。町を担うに足る志と能力をもった人材がいなかったというに尽きる。いや、一部に担うに足る能力をもった人がいるにはいた。
(市議を何期かやり、市長選で破れたいまは好々爺のK先生である。「根室の町は変わらないよ」と40代で早々とあきらめをつけ、政治には一切口を出さないようになってから20年ほどたって、会社経営の傍ら暇をもてあましたのか学術論文をお書きになって本にしてある大学の学位(博士)を取得された。根室ただ一人の文学博士で考古学者である。お名前を記す必要もないだろう。もう90歳を過ぎたが、舌鋒は変わらず鋭く、龍のごとく時折口から炎を噴出すことがあるが、穏やかに戦時中の東京での話しをされることもある。先生が仲のよかった同期の方お二人を子供のころ個人的に知っているので、その方たちの出てくる話しを伺うのも楽しい。一人は国後の大漁師の息子で北国賛歌の共同作詞者である。歯科医をやられていたがとっくに故人である、背の高いダンディな人だった。)

【根室の中学生の学力の実態とその改善方法】
 これらが全国最低の北海道で14支庁管内で最低レベルの学力である根室の実態だ。市教委は努力しているというだろうが、学力全体はこの数年さらに下がり始めている。
 市長が何人代わっても、教育長が何人代わっても、何年たっても現状を変えられない"努力"はebisuの耳にはただの言い訳にしか聞こえぬ。
 じつは簡単なことなのだ。放課後補習を学期ごとに2ヶ月間繰り返し実施すればいいだけだ。低学力層のブカツを一時(2ヶ月間)ストップさせ放課後補習に強制参加させれば基礎学力はつけられる。
 補習をすれば、自分たちの授業がいかに生徒を見ていないものか痛感せざるを得なくなるし、日常の授業が必ず変わる。学習指導要領ではなく目の前の生徒を見て教えるように変わるのである。
 できの悪い生徒には手間隙をかけてやればいいだけである。いい点数が取れたら生徒の瞳が輝く、自信を取り戻せたからだろう。手間を惜しまず基礎学力をつけさせる努力をする、つまり放課後補習を実施する、そのことは教師本来の仕事、核心部分だろう。そこを逃げてはいけない、"聖職者"の看板が泣く。

【釧路の学力改革の動き】
 根室の地域経済を何とかするためにも、こどもたちの将来を希望にみちたものにするためにも、根室の子供たちの学力向上に取り組もう。釧路は市議、地元経済界、市役所の幹部職員、私塾が連動して取り組み始めている。わたしが参加している「釧路の教育を考える会」もそうした組織のひとつだ。

*「#1593 夏休みと成績連絡票 :5が多い?」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-07-22-1

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