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#1525 中学生の修学旅行 May 24, 2011 [64. 教育問題]

  用事があって日曜日釧路へ行ってきた。駅前のホテルに泊まって翌朝8時ころ、10階のラウンジの大きな窓から外を眺めながら食事を始めたら、根室のバスが2台釧路駅に着いた。光洋中学校の修学旅行で3クラス約90人の生徒が降りてきた。ここからJRの特急列車に乗り換えて札幌へ向かうのだろう。
 郡部校のK小中学校も今日のはずだがこちらは3年生が9人だ。現1年生が1人だけだから、来年は現2年生と一緒に修学旅行に行くらしい。

 さて、根室市内の小中学校はほとんどが25~30人学級である。48年前団塊世代の光洋中学校の修学旅行は550人、1クラス55人で10クラスだった。クラスごとの競争意識が自然に働いた。もちろん学力という点でも、担任教師相互のクラス平均点による競争意識が強かった。"切磋琢磨"があったのだ。そういう中で授業妨害なんてことは考えられなかったし、まったくなかった。

 ある程度のボリウムの数が集まると集団の何かが違ってくる。海賊は1クルー60人単位だそうだが、これぐらいが意志を統一して動くときには一番動きやすいようで、学校教育はこういう集団の効果を体験させるという意味もあったはずだ。
 1クラスを統べる者の中から優れた者を選べば、3クラスは一つの仕事に向かって容易ににコントロールできる。こうして、集団のリーダーを自然に育成できたように感じる。

 教育現場では一クラスの数が多すぎることが学力を向上できない主要な原因だとする意見があるが、謬見ではないだろうか?現在、根室市内の小中学校はほとんどが30人前後のクラス編成であるが、学力が著しく向上しているという話はひとつもない。それどころかこの数年間学力テストの平均点(300点満点)が各校軒並み20点ほど低下している。
 団塊世代の小学校の一クラスは60人、中学校は55人、道立高校は50人だったが、計算力のみを比べてみると昔のほうが著しく高かったことに気がつく。半数くらいの生徒が小学校時代に珠算塾へ通うっていたこともあり、小数の四則演算や分数計算ができない小学生はずっと少なかった。いまでは中1の40~50%がこれら小数・分数の四則演算が満足にできなくなっている。
 (60年代後半の全共闘運動もそうした1クラスのマスの大きさや学級数の大きさが梃子になってできた運動だったのではないだろうか)

 学力に関係のあるのはむしろ授業時間数だろう。授業内容を同じとしたら、土曜日を休みにして4時間減にしてしまったことが、決定的な影響を及ぼしたとは考えられないか?それと過度なブカツの相乗効果が効いて、中学生が勉強離れと学力低下を起こしたのではないだろうか?少なくとも、中学校はシフトを組むことで土曜日の4時間授業を再開できるはずだ。その4時間を国語と数学2時間と英語に充てれば学力低下はかなり食い止めれれるそうに思える。

 気になるのは郡部校のK中学校の3年生9名である。これでは集団生活、集団教育の効果があろう筈がない。ましてや、たった一人の授業など論外である。近くの市街化地域の中学校まで車でたった10分足らずだ。なぜ、K小中学校を廃校にしないのだろう?
 集団教育という点からは問題が大きい。コストは生徒一人年間200万円を超えているのではないだろうか。生徒数は小学生と中学生をあわせて60人前後だろう。校長一人、教頭二人、教員数(不明)?一度、生徒一人当たり年間いくらかかっているのか、郡部の小中学校別にデータを分析して公開したほうがいい。コストはかかりすぎ、集団教育の効果がほとんどないときては、その地域で独立に学校を存続させる意味がない。
 小中学校の教員の人件費はわたしはつい最近まで市町村が負担していると思っていたが、どうやら間違いで、道庁が負担しているようだ。
 道庁は赤字財政に困り果てている。北海道は昨年度決算で財政健全化団体指定が確実視されている。全道の小中学校の統廃合を進めれば数百億円の財政負担軽減が可能なのではないだろうか?集団教育という学校教育本来の目的を達成するためにも、小中学校の統廃合を急ぐべきだと思う。
 ホテルの10階の大きな窓から、修学旅行の中学生たちが釧路駅で特急列車に乗るのを眺めながら、48年という時間の大きさに驚き、少々乱暴な議論と承知しつつ思ったところを書いた。

 根室の子供たちの学力低下を防ぐためにも、関係諸機関は学校統廃合について具体的な議論をすべきときなのだろう。
 わたしは現職教員の方のご意見をお聞きしたい。匿名でコメント欄へ書いてくれたらありがたい。
 

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権兵衛

ちょっと変わったブログです
国語の授業にいかがでしょうか
http://blogs.yahoo.co.jp/tichan616

by 権兵衛 (2011-05-24 09:56) 

ebisu

さまざまな人がいろんなブログを書いていますね。
お示しのURLをクリックしてみました。
天声人語を題材に設問をひねりだしています。
こうした工夫が教育する側に大事ですね。

国語は教えていないのですが、数学の文章題の読解に読解力が必要なので、『読書力』(斉藤孝、岩波新書)『国家の品格』(藤原正彦)『風姿花伝』(世阿弥原著、林望現代語訳)を使って中学生に音読・読解トレーニングをしています。
英語を教える際にも、日本語の文法語彙すら理解不能の中学生がいるので、語彙力増強のためにも必要と考えて実施しています。
中学生は天声人語くらいは読んで欲しいですね。小5なら十分読めるレベルです。ただ、ルビが振っていないので小学生には使いにくいのが残念です。
ちなみに、わたしの住んでいる根室では三分の2の世帯が北海道新聞を読んでいます。天声人語にあたるのは「卓上四季」というコラムです(小学4年のときからこのコラムと社説を読んでいましたのでなじみが深い)。

高校生にはジャパンタイムズの記事を使った時事英語授業をしていますが、これは読解力を養うには絶好のテキストです。もちろん、日本語の読解力が劣る生徒は「呻吟」することになりますが・・・

いい教材のブログ紹介ありがとうございます。

無理をせずに続けてください。
いまアップしてある貴ブログの絵、鳥が一羽羽ばたいていくものは地震や原発事故で亡くなったり、ふるさとを離れざるを得ない魂を連想させました。
by ebisu (2011-05-24 11:06) 

もやしさんま

教職とは無関係ですが

少人数教育の方が落ちこぼれを出さずに手厚く見れるはず、人数が多ければ競争心で勉強する?そうだろうか?勉強はすること自体が面白くなれば勝手にやるのでは。
教える先生やカリキュラムの影響のもあるかもしれないけど、できる子ができない子を教える環境ができればいいなあ。
K小中には根室のロシア市民の子供も多い、街中の学校でいじめられた先例があって父兄に不安があるのかも
かなり昔の話だけれど日本人の子供で街中になじめずに花咲港小学校に通った子供を知っている。
財政的に可能な限りは少人数で手厚くやれる方が良いと思う


思うに根室の人は
苦労して1.5流大学入って中堅企業に就職してあくせく働いてもコンブ取りするより稼げないなら意味ない、と思っているような気がする。漁師は大漁なら面白いほど稼げただろう。勉強してよっぽど大企業や上級公務員になれれば別だけど、そうでなければ家業を継ぐ方がましと言えばまし。それにしても最新の機器の説明書を読めるくらいの読解力がないとこれからは漁師もきついぞ

by もやしさんま (2011-05-24 17:12) 

ZAPPER

先日はありがとうございました。正会員に確定しましたので、今後もよろしくお願い致します。(^^)

さて、根室の規模と事情を考慮して、こんなことを思いつきました。退職教員が集まって、子ども達への学習指導のみならず教員へのノウハウを伝授する。単なる思いつきですけれど。
by ZAPPER (2011-05-24 18:19) 

ebisu

もやしさんまさんへ

地域別にできるだけたくさん学校があったほうがいいという意見はあるでしょうね。

しかし、規模が小さい郡部校は一人当たりのコストがたいへん高い。
かりに、根室市でコストを全部負担することになったら、K小中学校は統廃合することになりませんでしょうか?毎年子供の教育費に200万円出せる家庭が根室にいくつあるのでしょう。
公教育といえどコストを無視した議論は現実的ではないと私は思います。

イジメは市街化地域の学校でも日常茶飯事です。でも、生徒たちは逃げられません。学校を2週間ほど休み、塾でしばらく「預る」(=毎日数・英の補習をする)事例もあります。

イジメは「弱い者いじめは卑怯者のすること」と教師たちが毎日口を酸っぱくして言えばいいことです。ダメなことをダメとはっきり言わないから子供たちがツケ上がる。

>それにしても最新の機器の説明書を読めるくらいの読解力がないとこれからは漁師もきついぞ

仰るとおりだと思います。漁師も頭を使わなければいけない時代です。
税金を支払って、そして船や乾燥機を買い換えるために毎年いくら貯金して、なんてことも計算しなければ経営も成り立ちません。

>少人数教育の方が落ちこぼれを出さずに手厚く見れるはず

これは幻想かもしれません。
小学校で分数や小数の計算を修得できなかった生徒を事例とした考えればわかります。
中学校の学習指導要領にはそれらのことは出てきませんから、正規の授業では教えられることがありません。1クラスの生徒の人数の多寡には関係のないことなのです。
こういう基礎計算に欠陥を抱える生徒は1クラス60人もいた団塊世代ではおおむね5~10%程度だったのではなかったかと思います。現在1クラス25~30人なのに中1の約半分の生徒がこうした基礎計算に問題を抱えています。それが現実です。

>苦労して1.5流大学入って中堅企業に就職してあくせく働いてもコンブ取りするより稼げないなら意味ない、と思っているような気がする。
>漁師は大漁なら面白いほど稼げただろう。勉強してよっぽど大企業や上級公務員になれれば別だけど、そうでなければ家業を継ぐ方がましと言えばまし。

たしかにありますね、そういう考え方。漁師町のいいところでもあり悪いところでもあります。
そういう考え方は結構多かったと思いますが、だんだん少なくなってきています。漁が少なくなっていますから。
濡れ手で粟をつかむような生活はどんどん遠のいているようです。
by ebisu (2011-05-24 22:57) 

ebisu

ZAPPERさんへ

日曜日はありがとうございました。
楽しく、そして心強く思いました。
損得抜きで釧路には地域の教育問題を考える人たちがいる。
それも産・官・学・私塾とすべて揃っています。
仕事の腕もなかなかの人がメンバーには何人もいるようです。
オブザーバーで押しかけ、正会員にまでしていただいてありがとうございます。

ところで、退職教員が現職、とくに新任教員をサポートするというのは面白そうです。これなら根室でも可能でしょう。
可能なことから初めて、いまは不可能と思えることも解決できるようになればうれしい。
釧路詣では面白いことになりそうです。
by ebisu (2011-05-24 23:06) 

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