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#1496 y=sin(2θ-π/6)のグラフ : GWの宿題とグラフ描画フリーソフト  May 30, 2011 [62. 授業風景]

 ゴールデンウィークに学校から出された高2の宿題プリントに載っていた最後の問題である。基本に属する問題なのに出来が悪かった。
 γクラスの生徒でもつまづいた者がいるほどだから、βクラスやαクラスの生徒は大半がつまずいているのではないだろうか?
 
 問題(改題): y=sin(2θ-π/6)のグラフを描け
   *π⇒pi(小文字のパイの文字が書体の関係でnに見えるが、nではない、piである)
  **実際の問題は"y=cos(2θ-π/3)"である。宿題だから「改題」の解説を真似て自分でトライすべし。

 問題をいくつかに分解すればわかりやすくなるので、そうしてみよう。
(複雑な問題は「必要なだけの小部分に分割すべし」とはデカルトが『方法序説』「科学の方法、四つの規則の第二」で言っていること。P.28と29にある。高校生には少し難しいが、ページ数が127ページと薄い本だから拾い読みくらいはしていい。値段は504円と安い!本屋で注文して本棚に飾っておけ、積んでおけば("積読"ツンドクと読む)いつかは読むものだ。)

 ■第1ステップ
 y=sinθのグラフをθ軸方向に2倍に圧縮したグラフがy=sin2θである。
 "2θ=2π"を解けば周期がわかる。
 θ=πとなるから、周期はπ。つまり、y=sinθのグラフの1周期の中にy=sin2θは2周期入るということだ。同じ区間では振動数が2倍となる。
(比較のために示すと、y=sin(θ/2)は振動数が半分となり、周期が2倍になるからy=sinθの2周期分が1周期となり、間延びしてのんびりしたグラフに見える。数学にはこういう感覚的知覚が大事なのだ。イメージがおおよそ頭の中にできてしまうとあとはそれを紙の上で確かめる作業が残されているのみ。)

 ■第2ステップ
 "θ-π/6"の処理をやろう。sin2θのグラフをθ軸の正の方向にπ/12だけずらせばいい。
   計算: 2θ-π/6=0より、θ=π/12

 ■第3ステップ
 グラフを描くためにy軸の交点を計算しよう。
 f(0)=sin(2×0-π/6)=sin(-π/6)=-1/2
 y軸との交点は-1/2だ。
 これでいい。

 あとは、y=0⇒+1⇒0⇒-1⇒0のときのⅹ(θ)軸の目盛りを計算しよう。
 1周期を4分割してπ/6を加算すれば、y=1、0、-1の点のθ軸上の数値が算出できる。こういうときは12を分母にしておくと便利だ。プリントのグラフはπ/6ごとにメモリが経線が入っていたように記憶する。
 y=0 のとき、 2θ-π/6=0より、θ=π/12。
 周期を4分割しておこう。1周期はπだから、π/4ごとに90度回転する。
     y=0⇒+1⇒0⇒-1⇒0・・・

 計算開始・・・
 y=+1 ⇒ π/4=3π/12だから、(π+3π)/12=4π/12=π/3
 y=0    ⇒ (π+3π×2)/12=7π/12
 y=-1   ⇒ (π+3π×3)/12=10π/12=5π/6
 y=0   ⇒ (π+3π×4)/12=13π/12
 y=+1 ⇒ (π+3π×5)/12=16π/12=4π/3
 ・・・・・
                           *"π"はpiを表す。

 う~ん、くどいかな。とりあえず計算やグラフの"カタチ"を覚えて、そしてその"イミ"を考えよう。繰り返し作業するうちに三角関数の"キモチ"がわかってくる。
 読んでくれてありがとう。 m(_ _)m


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―補遺― 
【学習へグラフ描画フリーソフトの利用の薦め】
 GRAPESという無料ソフトを利用してy=sin(θ/2)やy=sin(θ/3)などをやってグラフのイメージを脳に刻み込んでおくといい。慣れてくればソフトを使わずとも頭の中にグラフイメージを再現できるようになるだろう。そうなれば、頭の中のイメージを計算で確認するだけでいいから、この手の問題はシンプルなものに変わってしまう。
 使えるのは三角関数だけではない。ベクトルも二次関数も対数関数も微分も積分も高校数学の範囲なら簡単にグラフを描いてグラフイメージを確かめることができる。こんなソフトが高校時代にあったら・・・と団塊世代の私は慨嘆するのだ。もう一度高校生に戻りたい・・・

 フリーソフトのGRAPESとそのマニュアルは次のURLでダウンロードできる。
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~tomodak/grapes/
 
 ソフト製作者は本も出している(わたしは彼の仕事に敬意を表して2冊とももっている)。よくできたグラフ描画ソフトだ。
(わたしは1978年からHP社の科学技術計算用のプログラマブル計算機、HP67*とHP97*を使っていたが、1990年代にでた最上位の後継機種ですらグラフ描画は面倒だったが、このソフトは使い勝手がよい。現在は85年に購入したHP43cと数年前に購入したHP35sの2台を使っている。80年代の終わりごろに購入したグラフィック機能のついているHP48gは3年目くらいに故障してしまった。)
 θをⅹにしておくことと、ⅹ軸のスケールをπ/12にセットしておく。「オプション」の中にⅹ軸の「目盛り」の定義があるから、そこへπ/12をセットすればいい。2周期分を拡大して印刷するとπ/6刻みで経線が入ってグラフが見やすくなる。
 いろいろ試しているうちにあっというまに時間が過ぎている、楽しいぞ。
 勉強とは究極の遊びなのだよ、そこには楽しみがいっぱいある。

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  • 作者: 友田 勝久
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/12/20
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  • 発売日: 1997/07/16
  • メディア: 文庫
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―余談―
*HP67 programable calculator
http://hpcalc.web.infoseek.co.jp/collection/hp67.html
  幅1cm×長さ6cmの磁気カードにプログラムやデータを書き込みできる優れもの。400ページの英文のマニュアルが2冊附属していた。

*HP97 programable calculator
http://www.google.co.jp/imglanding?q=HP97&start=0&hl=ja&sa=N&rls=com.microsoft:ja:IE-SearchBox&rlz=1I7SUNA_ja&biw=1259&bih=531&tbm=isch&prmd=ivns&tbnid=6HN5PtcaOcF-lM:&imgrefurl=http://www.keesvandersanden.nl/calculators/hp97.php&imgurl=http://www.keesvandersanden.nl/calculators/images/HP97_1812S90163.jpg&w=600&h=412&ei=Z_i8TYTzGIfEvgOE6KyDBg&zoom=1&iact=rc&page=1&tbnh=122&tbnw=175&ndsp=21&ved=1t:429,r:20,s:0

 HP67に感熱式のプリンターが附属しているもので、キーボードが大きくて使い勝手がよかった。これだとブラインドタッチでデータ入力ができた。値段は78年当時でHP67の2倍だった。産業用・軍事用エレクトロニクス専門輸入商社のS社へ中途入社3ヶ月目くらいに出勤したら机の上にあった。
 向かいに座っている社長秘書のHさんに聞いたら、社長が米国で買ってきて「使っていいと言ってます」とのこと、うれしかった。いまでもあのときのワクワク感を思い出せる。
 30項目の経営分析指標の計算と基本統計量の計算に威力を発揮した。この計算機のお陰で標準偏差を使ったレーダーチャートを描くことができた。会社の利益構造の改善に驚くほどの効果を発揮した。
 四半期ごとに経営分析して具体的な改善案を提案、収益構造を変えるいくつかの連動するコンピュータシステムを開発・導入することで売上高粗利益率を28%から40%超に、為替変動リスクをゼロに、日米金利差分の為替差益を恒常的に手に入れることで飛躍的に利益率をあげることができたのである。そして3ヶ月ごとに為替変動を反映した円定価計算システム導入により営業部門の個別取引ごと・営業マンごとになされていた見積もり計算作業がなくなってしまった。納期管理システム、 ドル決済管理システム、為替管理システム、円定価システムがある仕組みの下に連動することで利益構造を変えることができたのである。
 営業部門に有能な課長がひとりいたお陰だ。Eさんとのコンビネーションなしにはできなかっただろう。取引先も含めて私が出遭った営業マンでは彼がナンバーワンである。気が合って何度も朝まで一緒に酒を飲んだ。
 営業と管理部門に仕事人がいれば会社の利益構造はまったく違ったものに変えられる。もちろん、二代目社長が中途入社したばかりの私に会社の運命を左右するような大きな仕事をいくつも任せてくれたからでもある。従業員約200人の面白い会社だった。安定した高収益会社へ生まれ変わったこの会社は、その後店頭公開を果たした。

*HP43c
 この計算機には日本語のマニュアルがついていた。ネットで画像がないか探してみたがなかった。84年に購入した古い機種である。

*HP48g
http://park2.wakwak.com/~scope/hp48g.html
 グラフィック機能のついた機種である。手になじみのよい計算機だった。この計算機でニュヨーク州から取り寄せた出生前診断データのグラフと数値から"curve fitting"機能を使って回帰計算式を算出してプログラム仕様書を書いた。90年ころのことだ。HPの計算機がなければ算式がわからなかっただろう。MoM値を使った検査は沖縄米軍の要望だった。国内法で女性兵士が妊娠したらMoM値による血液検査が義務付けられていたのだ。日本国内ではまだ導入されていない3項目の検査データによる多変量解析データを使った検査だった。
 沖縄米軍のあとで日本国内でMoM値の基準値づくりのための研究が緒についた。産学協同なのだがわれわれは黒子である。あのときはたまたま必要な人・道具・情報・お金のすべてが一箇所に集まってしまった。製薬メーカーへの協力取り付けも簡単だった。ある条件をつけることで二つ返事でOKをいただいた。3年くらいかかったのではないだろうか。3000人を超える妊婦の血液データを集めて統計ソフトのSASを使って社内の専門家が多変量解析を行いK大学医学部産婦人科が公表したMoM値がいまでは日本のデファクトスタンダードになっている。研究主体はK大学のドクターたちである。MoM値は白人よりも30%基準値が高い、人種差が大きいのである。当時、たったひとつの道具を使えたことがこの仕事への縁となった。

*HP35s
http://h10010.www1.hp.com/wwpc/us/en/sm/WF05a/215348-215348-64232-20037-215351-3442983.html
 現在の愛用機である。ずいぶん価格が安くなった。最初の機種と比べるとおおよそ10分の1で1万円前後で買える。ハードウェアーの性能は格段に上がったが、基本的な機能は33年前とほとんどかわらない。高校生や大学生に使ってもらいたい。米国では大学入学試験に持込が許可されている。高校数学の授業はこの手の計算機を使って行われている。だから、高校で使われている三角関数の問題をみても45度、30度、60度などの特殊角の問題はほとんどありえない。半端な角度でも計算機が計算するのだから手間は一緒である。

hp 35s 関数電卓 日本語マニュアル付属 HP35S-J

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  • 出版社/メーカー: ヒューレット・パッカード
  • メディア: エレクトロニクス




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