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増え続ける国債残高(4)消費税増税かハイパーインフレか #913 Feb.20, 2010 [95.増え続ける国債残高]

 あなたが総理大臣ならならどうする?政策選択はハイパーインフレか消費税増税か?

 2月19日朝、テレビの「スーパーモーニング」で慶応大学経済学部教授の土居丈朗が玉川インタビュアーの質問に答えていた。増え続ける国債残高に対する漠然とした不安を経済学者に解説してもらおうというわけだ。

 国債にかかわる利払いは年額10兆円、利率は1.3%である。ギリシャは財政赤字で国債の格付けが下がり利率が4%から7%へ跳ね上がって財政破綻し、危機が表面化した。公務員給与の削減を財政再建のためにEU議会に公約したからゼネストまで起きそうだ。
 5年後に日本の国債の調達金利が5%になればおおよそ年額58兆円の利払いとなる。税収は来年度36兆円だから、歳入全額を充てても国債の金利を支払うこともできない。財政破綻である。このまま放置すれば日本も似たような状況になる。
 土居教授は5年以内に金利が5%になる確率がかぎりなく100%に近いという。
(金利は変動するものだが、日銀は「非常時」のゼロ金利政策をもう15年も続けている。FRBは1年余で平時復帰を宣言し0.75%に利上げしたというのに。誰のためのゼロ金利かというと米国も日本も金融機関の救済のためである。)

 さて、このような財政破綻を防ぐ手立てはあるのか?土居教授によれば、選択肢は次の二つだけ。
①ハイパーインフレ
②消費税率25%を柱とする増税
 

 ハイパーインフレは、89年にアルゼンチンの5000%(50倍)、ロシア70倍、2008年ジンバブエ14桁のインフレの例がある。
 ハイパーインフレはいつ起こるか予測ができないし、起きてしまえばコントロール不可能なインフレである。わずか1年間で国民の財産を数十分の一にしてしまう。たとえば、戦時経済化で戦費調達のための大量の国債発行や敗戦による巨額の賠償金支払によって生じる。つまり、ハイパーインフレは紙幣を大量に印刷し、長期間無制限に市中に流通させることで起きるものとされている。
 日本では「平時」であるにも関わらず巨額の新規国債を発行し、赤字財政を続けてきた。国債をたくさん発行すれば金利が上がって調達コストが上昇し、自然にブレーキがかかる。
 ところが、日銀が直接買い入れれば、無制限に国債発行が可能になる。そして金利を限りなくゼロに近いところに抑えておけば金利の上昇による国債発行の歯止めがなくなる。かくして日本国内はもとより世界中に円が溢れでた。ハイパーインフレが起きる下地が整ってしまったのである。

 現実的な可能性が高いのは円不信任による「小さなハイパーインフレ」である。為替レートが10倍に上がれば、輸入価格は10倍となる。1ドル1000円という世界だ。ガソリン1リットル800円、灯油1リットル500円などという途方もない世の中が想像できるだろうか?
 土居教授は円暴落による「小さなハイパーインフレ」には言及していないが、物価上昇により小さなハイパーインフレは生じうると主張している。想像できなくても大丈夫だ、このまま放置すれば5年前後にそうした事態を目の当たりにすることになると土居教授が語っていた。

 消費税増税の上に、「こども手当て」のカットどころか生活保護手当てまで切り詰めざるを得なくなる。年金暮らしで冬に灯油が買えなくて低体温症で死亡するお年寄りが多数出るだろう。北海道から暖かい本州への人口流出が加速する。
 為替レートが10倍もの円安になれば、上場企業の株価はドル換算で見ればただ同然になる。ハゲタカファンドの比ではない、「オイシイ」基幹産業のほとんどが外資の手に落ち、「民族資本」の崩壊ともいうべき事態になる。

 もうひとつの選択肢は増税である。25%に上げれば年間10兆円ずつ借金を減らすことができるという試算を示していた。それでも返済に100年もかかる。消費は大幅に減退し、深刻な不況が何十年間も日本中を覆うことになる。失業率はどれくらいになるか想像もつかない。

 歳出を削減するという選択肢もあるが、「事業仕分け」で捻出できた金額は3兆円に満たなかったから、これで財政再建ができるわけもない。もちろん、年金支払の減額や、公務員給与の30%削減、退職金の半減あるいは全廃、公務員数の30%削減くらいのことはあるのだろう。

 もし、増税と徹底した歳出削減によって借金を減らさなければ、ハイパーインフレにならざるを得ないというのが土井教授の見方だ。民主主義国家だから政策のつけは国民が支払うことになるのだそうだ。自己責任というらしい。亀井金融担当大臣が景気浮揚のためにもっともっとたくさんの財政出動をすべきだと声高に叫んでいるが、いかに無責任な発言かわかるだろう。自民党政権、自公政権のツケを民主党政権が支払うことになるが、民主党政権もまたツケを増やすだけの期待はずれだったようだ。ツケは民主党政権を素通りして国民に回ってくる。今まで自民党に投票しようと民主党に投票しようと、そんなことには関係なく等しく国民にツケが回ってくるので、覚悟を決めなければいけない。

 早い話しが、年間10倍のハイパーインフレがたった1年あっただけで、老後の蓄え5000万円が実質500万円になってしまう。月額20万円の年金も実質2万円になる。国民全部が蓄えを十分の一に減らしてしまうことになる。つまりだ、蓄えの90%を税金として召し上げられるのと同じことになるのである。そして、消費者物価は10倍になっている。生活物資の大半が何らかの輸入品からなっている。ハイパーインフレは国民生活へ大打撃となるのだ。

 土居教授はこのような説明をした後で、インフレ率3~4%と増税の組み合わせが有力な選択肢だという。増税の柱は消費税率15~25%へ、数十年にわたる深刻な不況と20%を超えるような失業率も甘受しなけらばならないのだろうか。
 歳出削減のほうは事業仕分けをみても財政再建に寄与できるほど大きな金額は期待はできないらしい。 


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