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杞憂(9)公的会計および補助金システム批判 #866 Jan.15, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

  今日、財政課で資料をもらい、説明を聴いてきた。親切な説明だった。そのなかで気になることもあった。

 補助金をもらって購入した分は減価償却されないから、病院経営の負担にならないような説明があった。
 なるほどその通りだろうが、これではコスト意識がなくなるのも肯ける。
 たとえば、年間売上の20%もの金額を院内情報システムに投資することになっているようだが、企業経営でこのような巨額のシステム投資は考えられない。補助金を当てにしているからだろう。これでは、コストを低く抑えようという意識が生まれるはずがない。783の市と803の町が同じようなことをやっているのだから国の財政が傾くのも肯ける。
 5年前の建築単価130万円もそういう流れの単価だろう。補助金をもらって建てるのだからコストはいくらかかってもいい。民間が坪単価65万円で建てているなら2倍の130万円をかけても構わない、根室市で誰が損をするわけでもない。補助金システムというのが地方自治体のコスト意識を失わせる麻薬みたいなものだ。モラルハザードはこうして全国に蔓延してしまっている。

 補助金がなければ徹底的にコストを削り、いいものを創ることに智慧を絞らざるを得ないのだが、もらえるならコストを低く抑える必要なんてなくなるのだ。だから、補助金(ただ)システムはやり方を間違えたり、公益をないがしろにする心根の者たちに利用されるとたちまち亡国の仕組みへと変貌してしまう。つまり、補助金は国民(市民)の健全な倫理観を前提とした仕組みということだ。利用する側のモラルが崩壊したら、国の財政が破綻するリスクの大きい仕組みである。

 結論を言えば、病院建て替えに関係する者たちが正直に誠実に仕事をすれば、このような法外なコストをかける必要はまったくない。おおよそ半分の25億円から30億円で十分にやれるということだ。日本最東端の市、日の出(いずる)町根室市民がしっかりした倫理意識をもたないでどうする、全国の市町村の模範の町となろう。

 なんだか当初のニホロ移転案が概算80億円とも90億円とも言われていた理由がわかったような気がした。

*もうひとつ余計なことを付け加えたい。はじめから大きくずれるとわかっている医業収益予算を防止するためにも、公的事業の予算実績対比表の作成と報告を市議会は決議してもらいたい。
 こうすれば、医業収益予算29億円?、実績22.9億円(平成20年度決算書より)というようなことがなくなるだろう。「予算の粉飾」と断じていい事態をなくすことができる。
 医業外収益の「(4)一般会計補助金」が9.1億円あるが、予算ではこんなになかったはずだ。医業収益と医業外収益とをあわせて「収益」として広報「ねむろ」に決算情報を載せるのは市民を欺く行為だろう。
 市議会は予算をしっかりチェックして、予算実績対比表で大きく差異が出ている項目は予算修正を求めるべきだ。病院事業は5年間連続してこのような愚かしい予算編成に明け暮れている。正直に予算編成作業を行うべきだ。経営の実態が予算や決算にすなおに表示されれば市民も病院職員も現実を正しく認識し、経営改善に目が向くし、建て替えに関するさまざまな判断が適確にできるようになる。実質事業損失11.7億円を隠蔽し、「当年度損失2268万円」という損益計算書を作っていたら経営改善の必要性がなくなる。実質11.7億円の純損失を出しているのだから、それを正直に報告すべきだ。経営改善のためにも市民にわかりやすい正直な予算や決算が必要である。
 財務課の職員だってこれだけ現実離れした予算を作ることに矛盾を感じながら仕事しているはずだ。時は今、予算編成の真っ最中である。
 かれらが正直な仕事ができる環境は、市議会が市政チェックという己の役割を果たすことで提供できる。
 新年度予算案に前年度の予算実績対比表を添付するように市議会で決議すれば実現できる。
 それぞれが自分の成すべき仕事を正直にそして誠実に果たすべきだ。そうすれば根室は必ずよくなっていく。
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