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杞憂(8)公的会計基準について(訂正) #865 Jan.15, 2009 [32. 市立根室病院建て替え]

 公的会計基準についてコメント蘭で重要な指摘をいただいたので、ブログ本文に載せて、訂正したい。指摘内容は次のようになっていた。

ちょっと気になったのでお知らせ。
「公的会計基準では赤字特例債は資本の部に記載」と書かれていますが、これは間違いではないでしょうか?
地方公営企業会計では、赤字特例債は負債の部に計上すべきもので、たぶん根室市の病院事業もそういう決算となっているはずです。
また、現在の公営企業会計では、建設改良に充てた地方債は資本の部に「借入資本金」として計上することになっていますが、昨年の総務省の研究会報告で、一般の企業会計原則にならい、負債計上とするよう、制度改正する方針が示されています。
by ちょいぷん (2010-01-14 22:43) 

 午前中に財政課へ行って、平成20年度の病院事業「決算報告書」をいただいてきた。指摘のとおり負債の部に
「公立病院特例債 1,047,900,000」
が載っていた。
 資本金の部に「借入資本」その内訳の「企業債」と「長期借入金」があるが、修繕に係る記載や一般会計からの借入金が合計3.6億円ある。

 企業会計では「借入資本」はもちろん負債の部に記載すべき項目である。公的会計では修繕以外の長期借入については負債の部に記載するようになっているという説明があった。
 企業会計基準で負債の部に計上される長期借入金が公的会計では負債の部と資本の部の二つに分かれて記載されるという。

 平成18年度の決算報告書に長期借入金が資本の部に記載されていたので、赤字特例債も長期借入金だから当然同じ区分と判断したのだが、そうではなかった。公的会計は会計学の常識で判断してはいけないということである。
 「公立病院特例債」は負債の部の一番上に記載されている。資産もそうだが固定性配列である。民間企業で固定性配列の決算書を私は見たことがない。公的会計は民間の会計と配列慣行まで違っている。繰越欠損金38億円も意味が違う。いくら欠損金を出しても一般会計から繰り入れが続けられる限り資金がショートすることはない。民間企業なら債務超過になれば銀行は資金を引き上げるが、公営企業にそういう心配はない。

 これでは多少会計知識があっても公的会計基準で作られた決算書を「読む」ことはできない。同じ言葉を使って内容が異なるのだから、始末に終えない。このようなわかりにくい決算書を公開しても内容がまったくわからないから情報を公開したことにならない。会計専門知識のある市民が公的企業会計や一般会計を適正に判断できるように公的会計基準を廃して企業会計基準に統一すべきだ。公的会計基準改正のために総務省に研究会が設置されているらしいので、そちらの動向もモニターしてみたい。

 説明によれば、病院会計は一般会計から実質赤字が補填される限り、問題が生じることはない。だから経営改善がなされないともいえる。
 運転資金部分を起債でまかなうことは禁止されているという。夕張市の場合は、市長・市議会・監査委員・市役所ぐるみで違法な運転資金の借入をやっていたという。
 通常は運転資金が回らなくなればアウトだ。しかし、どれだけ赤字を出し続けてもその分を一般会計から繰り入れて運転資金が回る限りは問題なしと言うことになる。だから病院事務長の役割は経営改善ではなくて、実質赤字の分を予算化して赤字補填をするだけになってしまう。病院経営がよくならないはずだ。

 療養病床の問題は市側でも検討したようだ。医師数が足りないので許可にならないという。年収3000万円でも根室に医師を招聘することは難しいのが実情のようだ。最近のデータによれば、勤務医の平均給与は1500万円弱だが、2倍の給与を支払っても根室にはなかなか集められない。

 医師不足は根室だけの問題ではない。釧路医師会病院も旭川医大の医師引き上げでなくなったし、中標津も院長が交代してから医師確保にあえいでいる。
 道東(釧路)に医科大学を創り、その分院にすれば医師不足は解消できるだろうが、病院ができても医師が研修を終えるまでさらに十年かかる。それでも20年後の道東地域の医療を良くするために道東医科大学設置は欠かせない重要課題だ。そうした動きはあるという説明だった。
 道東各市の市長が連携すると同時に、住民の要請運動が組織される必要があるのではないだろうか。
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