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北方領土とオホーツク人:地元考古学者(文学博士)の研究 [21. 北方領土]

北方領土とオホーツク人:地元考古学者(文学博士)の研究

 今月初旬に、イタリアでの麻生・メドベージェフ会談を採り上げたあと、独自の調査で北方領土問題を採り上げているcccpcameraさんのホームページを紹介した。
 北方領土関係の自分の足で行う現地調査を含めて、実に丹念に集積しているが、それらを踏まえたうえで、アイヌ問題を抜きに北方領土問題は語れないというのが彼の結論だ。その結論の先に見えるものが、彼のブログに載っている。

  わたしは領土問題をアイヌやオホーツク人まで遡る必要はないと思う。その点でcccpcameraさんとは意見が異なっている。アイヌ民族問題は少数民族への差別と収奪を史実として押さえておく必要はあるが、領土問題は国民国家の成立と併せ論じなければならない問題だろうと思っている。それは19世紀である。西ヨーロッパとアジアでは国民国家の成立時期にずれがあるし、ロシアは東ヨーロッパ、日本はアジアである。いろいろ問題も出てきそうなので、そのうち、ブログで思うところを書き連ねてみよう。リストの『経済学の国民的体系』が道案内になるだろう。

 今日採り上げたい問題は、日本人のエトロフ漁場経営はどんなに遡っても18世紀中葉を遡ることはないという史実である。そしてそれ以前は約700年間アイヌの土地であった。さらに遡ると独自の文化(土器)をもつオホーツク人に行き当たる。

 縄文期から11世紀までオホーツク海沿岸文化に関して、地元考古学者の研究がある。北海道新聞に北大教授との三回の対談が昨年6月に特集された。
 北構博士によれば根室湾に浮かぶ小島である弁天島には6世紀から11世紀までオホーツク人が住んでいた。そして弁天島から発掘された土器には縄文がないという。
 縄目文様のない土器をつくったのはアイヌ民族であるのか、それとも原日本人であるのか議論の分かれるところだ。
 地元の弁天島や千島列島の発掘調査結果と照らし合わせて、北方領土問題とは一体何なのか、根源に遡って論じてみるべきだろう。根室に北方領土問題について、考古学的な成果を踏まえた学術研究があっていいし、だれかやって欲しいものだ。

 昨日のことだがブログ#646に北海道新聞に特集された記事を転載したブログのURLを貼り付けたが、再度ここにリストしておく。

 新聞の記事によれば、先生は会社経営の傍ら発掘作業と資料の整理を続けられて、それを1書にまとめ、69歳で国学院文学博士の学位を取得している。わたしはその著書を読んでいないが、ぜひ読みたいと思っている。先生は今年90歳になられた。だれか地元で研究を引き継ぐ者が現れて欲しい。余計なお世話だろうが、貴重な資料の散逸や滅失が心配である。蔵書の数も3万冊を超えている。

*7月11日blog#646『北方領土は日本「固有の」領土か』
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-11

 7月10日blog#644『G8 落胆の麻生-メドベージェフ会談』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-10

*2008年6月18日、blog#205『対談 弁天島発掘130年〈上〉』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-17-1

 2008年6月19日、blog#207『対談 弁天島発掘130年〈中〉』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-18
 
 2008年6月20日、blog#208『対談 弁天島発掘130年〈下〉』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-19

  cccpcameraさんのブログ
 
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2006/07/09/438235
 
  cccpcameraさんの北方領土関係URL
 
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/index.htm

 2009年7月20日 ebisu-blog#660
  総閲覧数:131,451/603 days(7月20日9時30分)
 


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