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還暦を迎えた団塊世代(1) [22. 人物シリーズ]

還暦を迎えた団塊世代(1)

  昨夜は新年会だった。産科がなくて結婚した娘が出産に困ったとか、釧路の整形外科病院がいいとか、医療へも話題がとんだ。3人が退職したばかりなので、男どもは年金の話しや失業手当の話しで持ちきりだった。
 11時頃家に戻ってから1時過ぎに寝たが、雨音がしていた。朝少し冷え込んだのか水溜りが凍り付いている。アスファルトは白っぽい灰色で乾いているように見える。うっすらところどころ雪がかかっていた。

 団塊世代の元同僚を一人紹介しよう。Hさんである。同じ会社だったが、同じセクションで一緒に仕事をする機会はなかった。連携しながら仕事をする機会は2度あった。彼は経理の専門家で、東証Ⅱ部上場準備で検査ラボの原価計算システム開発を担当したことがある。その後、子会社に役員出向したり、本社に戻り十数社ある子会社管理を担当していた。
 会社を早期退職した後にどうしているのかと思ったら、IPO(Inicial Public Offering 新規株式公開)関係の仕事をしていた。ある会社の株式公開社仕事が終わり、今年は別の会社で経営建て直しにチャレンジするという。サムライである。

 上場準備は会社として当たり前の諸規定・諸手続きを整備をするものである。各種規程(経理規程、就業規則、人事関係諸規程、稟議規程など)、東証による上場審査のためにすべての業務のフローチャート、経理及び業務システム整備などが含まれる。経理規程は予算規程、原価管理規程などを含む。ようするに、利益管理を合理的にしていることが要求されている。決算精度の向上と高速化も重要部分を占める。各種システム整備はそのために行われる。
 あらゆる業務を根本から見直す機会がIPOにはある。だから、彼は次の仕事として会社の建て直しを選んだのかもしれない。
 同じ理由で、わたしは地元企業の中からIPOを目指す企業が出てほしいと願っている。企業としてしっかりしたものになり、永続的発展が展望できる。経営者は自分の会社が大きくなることで、数十億から数百億円を手にできるし、社員は会社の知名度が上がり、社員持株会で値上がりする自社の株式を有利な条件で手にできる。私のいた会社では一番多い人で2億円も会社の株を手にした人がいた。多くは数千万円である。株式公開は社員がすこしまとまった財産を手にする絶好の機会である。

 ところで彼はこのブログを読んでくれているらしい。「“迷ったら厳しい道を選択せよ!”のメッセージにびっくり、実は、棘の道と平坦な道があったら、迷わず棘の道を選択するのが僕のモットーだから」と年賀状に書いてきた。
 あの会社で3年目くらいのきついときに、彼はあまり呑めないのに私をお酒に誘ってくれた。そしてこう言った。「折れるべきだ、妥協すれば出世ができる。なぜ?」と。わたしは「折れないからこそ、損得を考慮に入れないからこそ、支持してくれる人たちがいるので妥協できない」と応えた。あの頃は10年冷や飯を食ってやるつもりでいた。腹が固まっていたから、彼の言うことはもっともだけど、「そういうわけだ、心配してくれてありがとう」といって別れた。どんな障害も数年で跳ね除ける自信があったから、ずいぶん青臭い言葉が恥ずかしげもなくでた。普段はこんな青臭い言葉が口からでることはない、クールである。しかし彼と話したときにそういう言葉が自然に出てしまったのは、人情味のあるいい男だからだろう。だから私は元同僚というより友人であると思っている。淡い付き合いだが、密度の濃い交わりの瞬間があるものだ。

 Hさんは仕事ができるだけでなく人間として信頼のおける職人型のいい男である。生き方は多少不器用なところがあるが、手先は器用な人で、家具造りを趣味にしていた。家の中は彼の作品で一杯だろう。孫ができたと書いてあった。おめでとう。

 2009年1月3日 ebisu-blog#471
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