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中間テスト範囲にみる学力不振の原因 [57. 塾長の教育論]

中間テスト範囲にみる学力不振の原因

 北海道の中学校の学力は全国47都道府県中44位である。中学校は今週中間テストのところが多い。新学期が始まって半年だから、テスト範囲は教科書の半分を終わっていなければならないが、数学と英語に関する限り、半分終えている学校は一つもない。知りうる限りでは、数学はほとんどが3分の1である

【数学の現状】
 中1数学をみると、「正負の数の計算」「文字式での表し方」「方程式」が範囲である。方程式の文章問題は中間テストの範囲だ。こちらの方がずっと難しいが、計算問題の半分も時間が割かれない。
 これから関数の基礎である「比例と反比例」「図形の基礎」「平面図形」がある。前半でやる式と計算よりこちらの方が難しいから、授業時間数はより多く必要となるが、実際には半分程度しか時間が取れない。
 授業時間の配分がどの学校も悪い。校長は年間授業計画を管理しているのだろうか。何年たっても改善されないところを見ると、校長も市教育委員会もその職能を果たしているとは思えない。年間授業計画とその実施状況についてきちんと管理していればこのような問題が毎年繰り返されることはありえないはずだ

 中2は連立方程式の応用と1次関数までである。「多角形」「平行線」「三角形の合同」「順列・組合せ・確率」が残っている。「三角形の合同」のところから証明問題が始まる。方程式の文章問題よりも難しい分野である。たっぷり時間をかける必要がある。
 前半3分の一に時間をとられすぎて、最後の「順列・組合せ・確率」のところを1週間で終わったことにしてしまう学校もある。これでは確率がからむ複合問題が解けるはずがない。だから3年になってから図形や確率分野を含む複合問題の正答率が極端に悪くなる。当たり前の結果だろう

 中3数学をみよう。「平方根」と「因数分解」「2次方程式」までが中間テスト範囲である。教科書の3の1に過ぎない。生徒にとっては「2次関数」、「相似」、「空間図形」の方がずっと難しいが、前半3分の1に時間をとられすぎて必要時間数の半分程度しか時間が取れなくなる。
 道立高校入試問題の5問目は毎年空間図形の問題が出題されている。この正答率が低いのは、問題自体が難しいことに加えて、授業で充分やっていないためだろう。どの塾でも冬休みの特訓と1月2月に入試問題を集中的にやるから、塾へ通う生徒とそうでない生徒に差がついてしまっている。
 2年前に教科書が変わったが、それまで2次関数が最後の章に充てられていた。間に合わなくなり、受験直前の2月になって生徒に2次関数は自分でやっておけと指示した学校すらある。自力で2次関数を理解できる生徒は3分の1もいなかっただろう。
 
 数学をまとめると、前半の計算問題に時間をかけすぎて半年で教科書の3分の1しか消化できていない。後半の平面図形(1年)や確率(2年)、空間図形(3年)の授業に充分な時間が確保できていないことが学力テストの点数を下げている原因の一つに挙げられる。

【英語の現状】
 英語については具体的に採り上げなかったが、教科書の38%~47%である。学校によって速度にばらつきが大きい。極端に遅いところ(歯舞中学)と速いところ(柏陵中学)がある。歯舞中学は速度が遅いが何か考えがあってのことだろう。教科書中心の授業をするつもりがないのかもしれない。夏休みの1年生の宿題は70㌻もあった。3年生には30㌻の宿題を課していた。効果のほどは今後の学力テストの結果をみればわかるだろう。
 本来なら、1月には教科書をやり終えて、2月は1年間に学んだことの復習期間に当てるくらいの余裕がほしい。そうすれば学力は上がる。

【対策】
 まず、市教委や校長は年間授業計画を管理すべきだ。基本計算問題の分野は、ついてこれない生徒は補習で対応し、授業スピードを上げるべきである。それには週2回部活を禁止し、補習日に充てるべきだ。これは市教委の役割だろう。
 何もしなければ来年の全国学力テストも北海道の順位は変えられない。諸般の情報から判断し、根室は札幌や釧路ばかりでなく中標津に比べても学力が低い可能性がある。市教委は結果を公表すべきだ。根室の子供たちの学力を上げるためにそれぞれの立場でやりうることをやろう。

*市教委にも先生たちにも言い分はあるだろうな。学校だけではだめだ、家庭教育の重要性もあると。家庭で学習する習慣のない生徒が多い(中1では半数程度いる)ことも学力を低くしていることは事実だ。
**24日22時10分: ページ数を確認した結果、英語の進捗は38%~47%であることが分かったので修正した。
***わたしの知っている範囲は市街化地域の3校と歯舞中学のみである。海星、落石、厚床中学の3校はは情報がないことをお断りしておく。したがって、全部を知って物を言っているわけではない。

 2008年9月24日 ebisu-blog#313
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