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#4604 日本原電が地質データ改竄 Aug. 18, 2021 [8. 時事評論]

 朝は5時半ころに目が覚め、NHKラジオをベッドの中で聞きながらまどろんでいる。7時半ころからNHKの論説委員の水野倫之氏が標記の件を解説していた。改竄箇所は八十を超えるという。
 ネットで検索してみたら、NHKの「論説アーカイブス」に水野氏の2020年2月18日の論説記事が見つかった。もうひとつ、原子力規制が立ち入り調査したという2020年12月14日の時事通信の記事もヒットした。NHKが報じてから、立ち入り調査まで10か月もある。

 水野氏の昨年の解説記事だと改竄箇所は十数か所だが、今日のラジオでの解説では「八十数か所」となっていた。原子力規制委員会が立ち入り調査をして精査した結果、改竄箇所が当初発表の数倍に膨らんだということなのか。改竄の内容については今朝の解説と昨年2月の解説に違いはなかった。
例えばおととしの審査資料で「未固結粘土」と書かれていた部分が、今月の資料で「固結粘土」と、何の説明もないまま、正反対に書き換えられていた

 敦賀発電所2号機の直下に活断層があるという地質調査報告が、活断層はないというように真逆に書き換えられていた。これを幹部が知らなかった強弁して、責任回避している。そんなことがあろうはずがない。これだけの規模の株式会社には決裁権限規程がある。部門ごと・職位ごとに決裁権限が定められており、担当者の一存でこんな重大な書き換えが行えるはずがない。当然、上位権限者の報承認印が報告書には押してある。外部への公表資料の元データでもあるから担当取締役の承認印もあるだろう。
 日本原子力発電所の原発は敦賀と東海村の2か所である。どちらも稼働停止中だから、収入はゼロである。このままだと日本原電は倒産してしまう。そういう背景の中で起きた重大な改竄行為なのだ。
 日本原電が倒産すれば、そこにいる役員や職員(従業員数1167人)は職を失う。自分たちの生活を守るために何が何でも組織を維持したくなるのは当然のことだろう。それがたまたま政府の政策である脱炭素社会実現という政策意図と合致してしまう。
 誠実に仕事をするとか正直に仕事をすると、こういう場合には生活の糧を失うことを意味しているから、誠実と正直ということを仕事で貫くのはときに苦しいことだ。大きな困難に立ち向かう勇気がいる。

 脱炭素の国際公約は原子力発電を稼働させることを前提で計画を作成している。原発再稼働ができずに日本原電がつぶれたらそちらへも大きな影響がある。改竄は起きるべくして起きたように見える。

 活断層に関わる地質データまで改竄するようでは、この日本原子力発電所株式会社という社名の企業は日本の原子力発電を担う資格はない。原発維持のためには何でもありの企業になってしまっている。
   「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
 企業はこうありたい。

 オリンピック招致のために「東京の7月は気候が温暖」「福島の放射能はアンダーコントロール(メルトダウンした瓦礫はいまも取り出せていない、その成分すら不明だ)」「7000億円のコンパクトオリンピック(実は3兆円を超えた)」など、嘘を並べた招致活動と同じものを感じたのはわたしだけではないだろう。そういうことがあたりまえになっている社会は危うい。
 仕事に対する誠実さとか正直さという、日本人が大切にしてきた美質が、なにやら根こそぎになっているようなありさま。正気を取り戻そう。


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