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#4647 Sapiens 47th : p.51の第三段落 Nov. 8, 2021 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

 Sapiensの51頁、第三段落です。高校生と大学生が英書に慣れるための材料として書いています。会話文と違って、学術書は構文が少し複雑です。ジャンルを問わず好奇心のままにたくさん読んで読みなれてください。国立大学の2次試験対策用や大学院受験用の英文読解トレーニングとしても役に立つでしょう。この程度の難易度の英文がすらすら読めたら、国内のどの大学院でも英語は合格点が取れます、Sapiensはそういうレベルの読み物です。そのあとに専攻する分野の専門書を数冊読破して、専門用語を3000-5000ほど増やしておいたらいいだけです。
 社会人のみなさんもスキルアップに利用してください。最先端分野の本は日本語の翻訳が出ていないことがしばしばあります。原書で読まざるを得ません。COVID-19情報もデータ元をたどっていくと英語で書かれた論文にしばしば行き当たります。興味のある箇所のつまみ食いでいいのです。次第に英文を読むのにアレルギーや抵抗がなくなっていきます。最先端情報は知的にもとっても面白いのです。
 ニムオロ塾の塾生で中3の生徒が一人だけ読んでいます。中学生でも英検準2級相当の力があれば、解説を読みながら理解することはできます。学年トップを維持したかったらチャレンジしていい。受験参考書なんかやっても団栗(ドンングリ)の背比べですよ。トップグループから頭一つ抜け出るためには、受験レベルを超えた学習が効果が大きい。(笑)

<51.3> Dogs were used for hunting and fighting, and as an alarm system against wild beasts and human intruders. With the passing of generations, the two species co-evolved to communicate well with each other. Dogs that were most attentive to the needs and feelings of their human companions got extra care and food, and were more likely to survive. Simultaneously, dogs learned to manipulate people for their own needs. A 15,000-year bond has yielded a much deeper understanding and affection between humans and dogs than between humans and any other animal. In some cases dead dogs were even buried ceremoniously, much like humans.

  WORDの英文校正機能はfoodの後のカンマ(赤)が不要だと警告しています。意味を精確につかむために基底文に分解してみます。
Dogs that were most attentive to the needs and feelings of their human companions got extra care and food, and were more likely to survive.

 Dogs got extra care and food.(犬は特別な世話と食べ物を得た)
 ② Dogs were most attentive to the needs and feelings of their human companions.
(犬は人間の伴侶としてそのニーズと感情に他のどの動物たちよりも注意深かった)
 ③ [Dogs] were more likely to survive.
((そういうわけで)犬は生き延びる可能性が高かった)


  最初のandは「必要と感情」を並列で並べるためのもので、後の方のandは論理的な帰結としてそうなるという意味で使われています。
A and B」⇒「Aが起きて、その結果ついでBが起きる」
 ①と③の文の重文です。主語が同じなので、後の方の文の主語が省略されます。作文するときに使ってみてください。あとの文で主語を入れるとくどくなります。
  ②は①のDogsの説明、関係代名詞節修飾です。
  ハラリは読みやすさを考慮して「カンマ」を入れたのでしょうが、カンマはない方が自然な英文に見えます。要するにくどいということ。スマートで美しい方がいいのです。この辺りは数学の解法を比較するときと一緒ですよ。

  ハラリのdogsという語彙選択について注記しておきます。
  犬を表すには「the dog」という語も使えますが、ハラリはここで人間に飼われているさまざまな種類の犬を想起しています。狩猟犬だったり、番犬だったり、人間になつきやすい犬=ペットだったり、シンド・マスティフ、パピヨン、セントバーナード、コリー、などさまざまな犬を思い浮かべているのでしょう。定冠詞をつけてしまうとそういうものが飛んでしまって「犬一般」か特定のイヌになってしまいます。具体例を一つ提供します。
 I go to school by bike.
 My mother went to the school yesterday.
 最初の文は定冠詞なしです。学校という概念あるいは機能を表しています。「自転車通学しています」という意味です。2番目の文は、お母さんが子どもが通っている学校に何か用事があっ行ったのでしょう。三者面談かもしれませんし、授業参観かもしれない、PTAの集まりだったかもしれない、とにかく自分の子供の通っている(つまり、文脈上唯一無二の特定の)学校へ用事があって行ったということです。だから定冠詞がついていなければならないのです。
 犬の生物分類について興味がある人は、「イヌ属イヌ科」をいう検索キーを使ってネットで検索してみてください。愛玩動物の家イヌたちが大陸狼の系統に分類されていることがわかります。 

 柴田裕之訳『サピエンス全史(上)』p.66
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イヌは狩猟や戦いに使われ、野獣や人類の侵入者に対する警報装置の役割も果たした。世代を経るうちに、人と犬という二つの種は、互いにうまく意思を疎通させるように共進化した。人類という伴侶の必要や感情に最も注意深い犬たちの方がよく面倒を見てもらい、多く餌を与えられたので、生き延びる可能性が高まった。同時に、イヌたちも人間を操って自分の必要を満たすすべを学んだ。15千年に及ぶきずなのお陰で、人類と犬の間には、人間と他のどんな動物の間によりもはるかに深い理解と愛情が生まれた。死んだイヌは、人間の場合とほとんど同じくらい丁重に埋葬されることがあったほどだ。
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