#4128 釧路と根室管内の子どもたちの学力はなぜ低いのか? Nov. 20, 2019 [71.データに基づく教育論議]
全国学力テストのデータを見ると、根室管内は小学6年生は国語11番、算数最下位の14番。中学3年生は14支庁管内で飛び離れて最下位に位置している。
釧路管内は小学校国語で3番目、算数では5番目なのに、中3国語で13番、数学で12番と著しく「落下」している。十勝管内と比べると、小学校では釧路のほうがダントツに好いのだが、中学3年生は十勝を仰ぎ見ることになる。この表は、道教委作成のものに釧路の友人のM木さんが赤丸をつけてくれたものだ。十勝管内と釧路管内の子どもたちが、小学6年では釧路のほうがいいのに、中3になると逆転してしまう、その有様がグラフだとこんなにはっきりわかる。数字だけ見ているのとは印象がまるで違う。
フィンランドは人口550万人、義務教育と後期中等教育に携わる教員の数は66000人である。人口は北海道と同じだ。北海道の小中学校の教員数を検索してみたが、データがなかった。数を比較してみたかった。それにしても北海道と福井県だけが教員数のデータがないのはなぜ?僻地校が多いから全国平均よりはずっと教員数が多いに違いない。根室市内で30人学級のところはいくつあるだろう、ほとんどが30人以下である。
道教委のデータは次のようになっている。表にまとめてみた。
*http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/chosa/gakkou-i/2018gakkou-i.htm
都道府県別小学校の教員一人当たり生徒数は北海道が39位。
*https://ecitizen.jp/Ssds/Indicators/_E0510301
北海道の教員一人当たり生徒数は47都道府県中41番目である。
*https://retu27.com/prefecture_ranking.html?fid=152#i-2
根室市の小学生は8校生徒数1051人、校長と教諭合計で105人ですから、教諭一人当たり小学生徒数は10.0人。中学校は7校615人、校長と教諭で合計86人ですから、教諭一人当たり中学生徒数は7.2人。どちらも全国平均よりも25%程度少ない。学級数は小学校72、中学校41ですから、小学校のクラス当たり平均生徒数は14.6人、中学生は15.0人です。世の中30人学級にしろだなんて騒いでいますが、根室はその半分です。小中学校を統廃合したら、教員人数は7割で十分です。つまり、余剰分を学力強化に回せるということ。北海道教育庁と話し合う材料にできると思います。
*北海道教育庁根室教育局のホームページより
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/nky/R1_nemuro-kyoikuz.pdf
私立を含めて40,000人だとすると、おおよそフィンランドの6割の体制である。フィンランドは学卒ではなくて、大学院修士課程卒をこれだけ養成しているのだから、国が教育に力を入れているのがどれほどか理解できる。日本は学校の授業へのコンピュータの導入もとっくに後進国になってしまった。たとえばタブレット端末を授業で毎日使っている学校は道内にはほとんどないのではないか。機器や通信設備のメンテナンスができて、プログラミングのできる専任教員の配置が必要だが、そういう体制を作ると今から取り組んでも人材の育成に20年以上かかるだろう。
フィンランドの後期中等教育とは高等学校と職業学校を指すもののようだ。高校から大学へは直接いけない。高校⇒職業学校⇒大学あるいはポリテクニク(高等職業専門学校)というコースになっている。
教員の資格は教育関係の修士号取得者となっているから、教員の質は高いようだ。フィンランドはPISAでは数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーで最上位を占めていたことがあるが、近年は三つとも最上位から脱落している。フィンランドで低学力層が増えているのはなぜだろう。教員の質が高いだけではダメかな、なにか他にも要素がありそうだ。
*フィンランド教員数・資格要件
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/023/siryo/attach/1378640.htm
**https://ja.wikipedia.org/wiki/OECD生徒の学習到達度調査
***https://www.huffingtonpost.jp/satoshi-endo/japan-pisa_b_14095374.html
地域の未来を担う子どもたちが高い学力を身に着けるには、高い学力の教員が必要だという命題が真だとしよう。
教員の学力が高い(P)⇒ 生徒の学力が高い(Q)
(教員の学力が高ければ、生徒の学力は高い)
高校1年の数学「命題と論証」で、Pは仮定、Qは結論、PならばQは命題だと習う。この命題が真だとしよう。この命題の対偶は「nonQ⇒ nonP」である。命題「P⇒Q」が真なら、その対偶も真ということになる。
生徒の学力が低い(nonQ) ⇒ 教員の学力が低い(nonP)
(生徒の学力が低ければ、教員の学力は低い)
全国学力テストで、北海道は全国平均以下の地域である。その北海道14支庁管内で根室の中3は国語も数学も最下位、英語は13位だが最下位の宗谷管内とほとんど一緒、正答率46.8(宗谷管内)と46.9(根室管内)だ。
ふだんの学力テストの結果から、根室管内で根室市内が中標津町や別海町よりも低いことがわかる。
*#4099 学力テスト総合A18校科目別データ Oct. 11, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
根室の中学校の先生たちは北海道教育大釧路分校出身者の比率が高い。地元だから当然だろう。札幌出身者で釧路管内や根室管内の僻地校で勤務したいなんて学生がいたらめずらしい。だから、政令指定都市の学校採用試験に受からない人たちが、集まることになる。中にはそうではない人もいるがごく少数だろう。郡部校に勤務してトイレが水洗でないことに驚いたという話を、二人の人から聞いたことがある。根室高校だって水洗になってどれほどたつのか。FM根室で対談した根高の進路指導室の先生が赴任した当時水洗でなくて困ったと言っていた。奥さんが都会生まれで水洗トイレしか使ったことがなければ、ぽっちゃんトイレと聞いただけで亭主の赴任に反対するだろう。教員を確保するためにはこういうことにも気を使わないといけない時代なのである。ただ来てほしいでは人材を確保できない。都会よりも快適な住宅を用意して当たり前なのだ。都会よりも快適な生活がおくれることがはっきりしていたら、採用試験への応募は増え、採用された教員のレベルも上がる。
過去には縁故採用も多かったと聞く。なにもしなければ僻地には他では合格できない学力レベルの人たちが多く集まる。受け入れる側にも努力が必要なのである。
教員の出身校別のデータは釧路管内と根室管内の自治体の教育委員会がもっていると思う、わたしには具体的な数字がどうなっているのかわからぬ。
北海道教育大は全国の都道府県の教育大で最下位グループ。その北海道教育大には札幌分校、旭川分校、函館分校、岩見沢分校、釧路分校がある。函館と岩見沢はすでに教員養成をしていないらしい。教員は「計画養成」するような仕組みになっているから、函館と岩見沢はもうその必要がないということだろうか。
入試偏差値の序列は、
釧路分校<旭川分校<札幌分校
中学校の数学と英語の管内別正答率を見たら、この通りの序列になっている、怖いね。
釧路管内<上川管内<石狩管内
旭川は旭川医大があることが大きい。31年度の進路実績を見ると、現役生で16人、過年度卒で5人合格している。看護学部は現役9人だ。地元にあるからこそ、これだけの人数が進学できる。中学生の学力の底上げに貢献しているだろう。
釧路分校出身者でも優秀な先生はいる。中学理科の先生でお一人優秀な先生を知っている。どの大学も上位3%は優秀な学生がいる。だが、平均的な学力レベルは入試偏差値に現れているのではないだろうか。
全国学力テストの結果は根室管内の中3の正答率が北海道14支庁管内で最下位であることを示している。グラフで見たように、極端に離れている。
どうやら、対偶は真であるようだ。つまり、全国学力テストで根室管内の子どもたちの平均正答率が低いということは、先生たちの学力が低いということだ。授業力と年間授業計画を計画通りに運ぶマネジメント能力を一度点検すべきだろう。
下位グループを見ると根室、宗谷、オホーツク、日高管内で構成されている。これら管内に共通するのは教育への関心が低いこと、オホーツク管内を除いて大学がないこと。中3をみると根室管内がかけ離れて最下位にいることがわかる。
処方箋ははっきりしている。教育への関心を高めること、そして優秀な教員を採用することが問題解決の道だろう。市議会で学力に関する議論が盛んになされるようでなくてはいけない。経済諸団体内部でも地域の子どもたちの学力が話題にならなくてはいけない。地域の未来は、それを担う子どもたちの教育にかかっている。
学力差がはっきりしているのだから、長期的には釧路分校出身者の割合を下げることも考えたほうがいい。小中学校の統廃合をすれば、長期的に調整が可能だろう。だが、道教育大釧路出身者の割合を減らしても、その隙間を埋めるのは、他では合格の難しい学力の教員志望者ということになるだろう。花咲線も釧網線もそのうちになくなるだろうから、ますます僻地化が進む。なんとしても子どもたちの学力低下を食い止めなくてはならない。
あきらめる必要はない、北海道の平均正答率を超えるぐらいのことはそうむずかしいことではない、現有教員で十分にやれる。問題はやり方である。釧路の友人のM木さんがFB上で次のような具体的な提案をしてくれている。
①基本問題しかやらない授業をあらため、難易度の高い問題も授業で採り上げる
②定期テストの問題の難易度が低すぎるから、標準的なレベルに改める
③過度なプリント授業を廃止する
④授業の進捗管理を徹底する
⑤「すっ飛ばし」をやらない
これら五項目を徹底するだけで北海道平均正答率は超えられる。放課後の個別補習をしなければ救えないから、根室管内の先生たちが、学力向上に取り組もうとしたら、大変な労力が必要になる。自分たちが教えている生徒の学力をなにがなんでも上げてやるという「覚悟」のほどが試される。部活制限についても保護者と向き合わなければ、低学力の生徒たちを集めて放課後補習なんてできはしない。上にはみ出した生徒と下にはみ出してしまった生徒たちには学校外での教育(私塾)も関係してくる。子どもたちの学力アップには地域の協力が必要だということ。
「中小企業はオヤジ(社長)次第」というが、学校は規模が小さく小企業だ。だから、校長のマネジメント次第でなんとでもなる。学力アップ・マネジメントができる人を校長にしたらいい。マネジメントのできない人が校長になったら子どもたちが犠牲になる。
7~8割の生徒が根室から離れて都会で暮らすことになる。低学力だと都会に出てもつける職業が制限され、非正規雇用が多くなる。都会で非正規雇用、年収150-200万前後では暮らせない。現状を放置すると、都会へ出て行った根室っ子のうち、3人に2人がそういうことになりかねない。ほうっておいていいわけないでしょ。
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釧路管内は小学校国語で3番目、算数では5番目なのに、中3国語で13番、数学で12番と著しく「落下」している。十勝管内と比べると、小学校では釧路のほうがダントツに好いのだが、中学3年生は十勝を仰ぎ見ることになる。この表は、道教委作成のものに釧路の友人のM木さんが赤丸をつけてくれたものだ。十勝管内と釧路管内の子どもたちが、小学6年では釧路のほうがいいのに、中3になると逆転してしまう、その有様がグラフだとこんなにはっきりわかる。数字だけ見ているのとは印象がまるで違う。
フィンランドは人口550万人、義務教育と後期中等教育に携わる教員の数は66000人である。人口は北海道と同じだ。北海道の小中学校の教員数を検索してみたが、データがなかった。数を比較してみたかった。それにしても北海道と福井県だけが教員数のデータがないのはなぜ?僻地校が多いから全国平均よりはずっと教員数が多いに違いない。根室市内で30人学級のところはいくつあるだろう、ほとんどが30人以下である。
道教委のデータは次のようになっている。表にまとめてみた。
*http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/chosa/gakkou-i/2018gakkou-i.htm
教員数 | 生徒数 | 生/教 | |
小学校 | 19,014 | 241,748 | 12.7 |
中学校 | 11,304 | 122,758 | 10.9 |
高校全日制 | 6,983 | 83,930 | 12.0 |
高校定時制 | 433 | 2,377 | 5.5 |
合計 | 37,734 | 450,813 | 11.9 |
都道府県別小学校の教員一人当たり生徒数は北海道が39位。
*https://ecitizen.jp/Ssds/Indicators/_E0510301
北海道の教員一人当たり生徒数は47都道府県中41番目である。
*https://retu27.com/prefecture_ranking.html?fid=152#i-2
根室市の小学生は8校生徒数1051人、校長と教諭合計で105人ですから、教諭一人当たり小学生徒数は10.0人。中学校は7校615人、校長と教諭で合計86人ですから、教諭一人当たり中学生徒数は7.2人。どちらも全国平均よりも25%程度少ない。学級数は小学校72、中学校41ですから、小学校のクラス当たり平均生徒数は14.6人、中学生は15.0人です。世の中30人学級にしろだなんて騒いでいますが、根室はその半分です。小中学校を統廃合したら、教員人数は7割で十分です。つまり、余剰分を学力強化に回せるということ。北海道教育庁と話し合う材料にできると思います。
*北海道教育庁根室教育局のホームページより
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/nky/R1_nemuro-kyoikuz.pdf
私立を含めて40,000人だとすると、おおよそフィンランドの6割の体制である。フィンランドは学卒ではなくて、大学院修士課程卒をこれだけ養成しているのだから、国が教育に力を入れているのがどれほどか理解できる。日本は学校の授業へのコンピュータの導入もとっくに後進国になってしまった。たとえばタブレット端末を授業で毎日使っている学校は道内にはほとんどないのではないか。機器や通信設備のメンテナンスができて、プログラミングのできる専任教員の配置が必要だが、そういう体制を作ると今から取り組んでも人材の育成に20年以上かかるだろう。
フィンランドの後期中等教育とは高等学校と職業学校を指すもののようだ。高校から大学へは直接いけない。高校⇒職業学校⇒大学あるいはポリテクニク(高等職業専門学校)というコースになっている。
教員の資格は教育関係の修士号取得者となっているから、教員の質は高いようだ。フィンランドはPISAでは数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーで最上位を占めていたことがあるが、近年は三つとも最上位から脱落している。フィンランドで低学力層が増えているのはなぜだろう。教員の質が高いだけではダメかな、なにか他にも要素がありそうだ。
*フィンランド教員数・資格要件
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/023/siryo/attach/1378640.htm
**https://ja.wikipedia.org/wiki/OECD生徒の学習到達度調査
***https://www.huffingtonpost.jp/satoshi-endo/japan-pisa_b_14095374.html
地域の未来を担う子どもたちが高い学力を身に着けるには、高い学力の教員が必要だという命題が真だとしよう。
教員の学力が高い(P)⇒ 生徒の学力が高い(Q)
(教員の学力が高ければ、生徒の学力は高い)
高校1年の数学「命題と論証」で、Pは仮定、Qは結論、PならばQは命題だと習う。この命題が真だとしよう。この命題の対偶は「nonQ⇒ nonP」である。命題「P⇒Q」が真なら、その対偶も真ということになる。
生徒の学力が低い(nonQ) ⇒ 教員の学力が低い(nonP)
(生徒の学力が低ければ、教員の学力は低い)
全国学力テストで、北海道は全国平均以下の地域である。その北海道14支庁管内で根室の中3は国語も数学も最下位、英語は13位だが最下位の宗谷管内とほとんど一緒、正答率46.8(宗谷管内)と46.9(根室管内)だ。
ふだんの学力テストの結果から、根室管内で根室市内が中標津町や別海町よりも低いことがわかる。
*#4099 学力テスト総合A18校科目別データ Oct. 11, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
根室の中学校の先生たちは北海道教育大釧路分校出身者の比率が高い。地元だから当然だろう。札幌出身者で釧路管内や根室管内の僻地校で勤務したいなんて学生がいたらめずらしい。だから、政令指定都市の学校採用試験に受からない人たちが、集まることになる。中にはそうではない人もいるがごく少数だろう。郡部校に勤務してトイレが水洗でないことに驚いたという話を、二人の人から聞いたことがある。根室高校だって水洗になってどれほどたつのか。FM根室で対談した根高の進路指導室の先生が赴任した当時水洗でなくて困ったと言っていた。奥さんが都会生まれで水洗トイレしか使ったことがなければ、ぽっちゃんトイレと聞いただけで亭主の赴任に反対するだろう。教員を確保するためにはこういうことにも気を使わないといけない時代なのである。ただ来てほしいでは人材を確保できない。都会よりも快適な住宅を用意して当たり前なのだ。都会よりも快適な生活がおくれることがはっきりしていたら、採用試験への応募は増え、採用された教員のレベルも上がる。
過去には縁故採用も多かったと聞く。なにもしなければ僻地には他では合格できない学力レベルの人たちが多く集まる。受け入れる側にも努力が必要なのである。
教員の出身校別のデータは釧路管内と根室管内の自治体の教育委員会がもっていると思う、わたしには具体的な数字がどうなっているのかわからぬ。
北海道教育大は全国の都道府県の教育大で最下位グループ。その北海道教育大には札幌分校、旭川分校、函館分校、岩見沢分校、釧路分校がある。函館と岩見沢はすでに教員養成をしていないらしい。教員は「計画養成」するような仕組みになっているから、函館と岩見沢はもうその必要がないということだろうか。
入試偏差値の序列は、
釧路分校<旭川分校<札幌分校
中学校の数学と英語の管内別正答率を見たら、この通りの序列になっている、怖いね。
釧路管内<上川管内<石狩管内
旭川は旭川医大があることが大きい。31年度の進路実績を見ると、現役生で16人、過年度卒で5人合格している。看護学部は現役9人だ。地元にあるからこそ、これだけの人数が進学できる。中学生の学力の底上げに貢献しているだろう。
釧路分校出身者でも優秀な先生はいる。中学理科の先生でお一人優秀な先生を知っている。どの大学も上位3%は優秀な学生がいる。だが、平均的な学力レベルは入試偏差値に現れているのではないだろうか。
全国学力テストの結果は根室管内の中3の正答率が北海道14支庁管内で最下位であることを示している。グラフで見たように、極端に離れている。
どうやら、対偶は真であるようだ。つまり、全国学力テストで根室管内の子どもたちの平均正答率が低いということは、先生たちの学力が低いということだ。授業力と年間授業計画を計画通りに運ぶマネジメント能力を一度点検すべきだろう。
下位グループを見ると根室、宗谷、オホーツク、日高管内で構成されている。これら管内に共通するのは教育への関心が低いこと、オホーツク管内を除いて大学がないこと。中3をみると根室管内がかけ離れて最下位にいることがわかる。
処方箋ははっきりしている。教育への関心を高めること、そして優秀な教員を採用することが問題解決の道だろう。市議会で学力に関する議論が盛んになされるようでなくてはいけない。経済諸団体内部でも地域の子どもたちの学力が話題にならなくてはいけない。地域の未来は、それを担う子どもたちの教育にかかっている。
学力差がはっきりしているのだから、長期的には釧路分校出身者の割合を下げることも考えたほうがいい。小中学校の統廃合をすれば、長期的に調整が可能だろう。だが、道教育大釧路出身者の割合を減らしても、その隙間を埋めるのは、他では合格の難しい学力の教員志望者ということになるだろう。花咲線も釧網線もそのうちになくなるだろうから、ますます僻地化が進む。なんとしても子どもたちの学力低下を食い止めなくてはならない。
あきらめる必要はない、北海道の平均正答率を超えるぐらいのことはそうむずかしいことではない、現有教員で十分にやれる。問題はやり方である。釧路の友人のM木さんがFB上で次のような具体的な提案をしてくれている。
①基本問題しかやらない授業をあらため、難易度の高い問題も授業で採り上げる
②定期テストの問題の難易度が低すぎるから、標準的なレベルに改める
③過度なプリント授業を廃止する
④授業の進捗管理を徹底する
⑤「すっ飛ばし」をやらない
これら五項目を徹底するだけで北海道平均正答率は超えられる。放課後の個別補習をしなければ救えないから、根室管内の先生たちが、学力向上に取り組もうとしたら、大変な労力が必要になる。自分たちが教えている生徒の学力をなにがなんでも上げてやるという「覚悟」のほどが試される。部活制限についても保護者と向き合わなければ、低学力の生徒たちを集めて放課後補習なんてできはしない。上にはみ出した生徒と下にはみ出してしまった生徒たちには学校外での教育(私塾)も関係してくる。子どもたちの学力アップには地域の協力が必要だということ。
「中小企業はオヤジ(社長)次第」というが、学校は規模が小さく小企業だ。だから、校長のマネジメント次第でなんとでもなる。学力アップ・マネジメントができる人を校長にしたらいい。マネジメントのできない人が校長になったら子どもたちが犠牲になる。
7~8割の生徒が根室から離れて都会で暮らすことになる。低学力だと都会に出てもつける職業が制限され、非正規雇用が多くなる。都会で非正規雇用、年収150-200万前後では暮らせない。現状を放置すると、都会へ出て行った根室っ子のうち、3人に2人がそういうことになりかねない。ほうっておいていいわけないでしょ。
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2019-11-20 11:12
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コメント(7)
北海道の教職員数は
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/chosa/gakkou-i/2018gakkou-i.htm
に載っていますよ。
by amanda (2019-11-20 17:19)
amandaさん
ありがとう、同じ表見てました。見方が悪かったのですね、右側にありました。
小学校19014
中学校11344
高校全日制6983
高校定時制433
合計37774
これに私学が加わりますが、公立だけでとりあえずOK。
by ebisu (2019-11-20 17:30)
ebisuさん、初コメントさせていただきます。
私は道内の転勤族ですので地方の情報も知りたく思い、ebisuさんのブログを以前より拝見させていただいていました。そしてebisuさんの意見に概ね賛成ながら、既に根室は笛ふけど踊らずの状況になってしまっているのではないでしょうか。
現在、私が生活している札幌を含む石狩管内は根室と比べて学力テストの成績は高くなっていると思います。しかし、そんな石狩管内、特に札幌市内でも大きな学力格差があります。
転勤族ですので地域の教育格差には敏感になる事もあり、以前子供が受けた小学生の道コン約2年分、5回のテストの上位者の分布を調べてみました。すると上位者(概ね偏差値60以上)の延べ人数は約1500人、そのうちの20%が中央区の小学生であり、ほとんどが2f3k(附属は除く)やYKKと言った中学校、そして宮の森中学の学区の小学生でした。また、こうような事を言うと角が立つかもしれませんが、保護者の間であまり人気のない区などは2%しかいない状況でした。石狩とか札幌という大きな枠で囲っているから見えないだけで、小学生のうちから大きな格差は出来上がっている様です。
確かに、データの母集団が札幌に偏っているであろう事は否めませんし、教育に関心のある層が中心に受験しているという事もあるかもしれません。しかし、以前から言われているように高学歴の子は高学歴に、低学歴の子は低学歴にというスパイラルは変わっていないのだと思います。
根室には高学歴な親世代は少ないのではないでしょうか?もう小学生の時点で保護者に対して学力の格差を正直に話をするべきだと思います。そうして、親世代が意識を変えなければ子供達は頑張れないと思います。ebisuさんのブログを読み、根室はその様な状況まで来ているのではないかと思いました。
by リゲル (2019-11-22 10:48)
リゲルさん
860光年のはるか彼方から、初投稿ありがとうございます。
札幌市内の学力差は聞いて少しは知ってましたが、地域でそんなに格差が大きいのですか。
根室の学力の高い子たちの大部分は札幌を超えて東京へ進学します。札幌にはレベルの高い大学は札医大と北大くらいしかありませんし、そういう学校に集まる生徒も2/3は道外勢です。
根室から大学進学した子どもたちはほとんどが戻ってきません。根室市役所ですら大卒が1割いますかどうか、極端ですね。高卒の幹部は大卒の職員を指導できるのでしょうか?市役所の仕事のレベルが心配になります。釧路市役所と比べると大卒比率大きな差があるでしょう。「釧路の教育を考える会」で知り合った市役所幹部たちはみな大卒でした。
根室市民で大卒は5%もいるかな。だから、親の教育への関心が低いとは言えそうです。
成績が真ん中以下の中学生でも、「学校の先生になりたい」「〇〇大学へ進学する」なんてことを平気で言います。知らないからです。進研模試で偏差値50の大学へ進学するには、中学時代に5科目300点満点のテストで200点とっていなければ無理ですが、市街化地域の3中学校では各学校数人しかいません。どういう成績を採っていれば大学進学につながるのか、生徒も保護者も知らないのです。もちろん、中学校の進路指導でそういう相談をする生徒もほとんどいないでしょう。なんとなく行けると思っています。
結局、高校3年生になって専門学校かFランク大学しか選択肢がないことに気がつきます。
親も大学へ入るためにはどれくらいの点数を取っていなければいけないというようなことを知らない。無理ありません。90%以上の保護者が大学受験をしたことがないのですから。
根室から大学進学で都会へ出て行ってそのまま就職した者たちは教育への関心が高い。子どもたちの大半も首都圏の大学へ進学ということになっているでしょう。高校卒業して35年間東京暮らしだった私のところもそうでした。子どもがよほど勉強嫌いでない限り、大学進学させないなんて選択肢はありません。根室には大学進学させたい保護者は少なくないが、中学校でどの程度の学力なら、どういうレベルの大学へ入学できるのかわからないのです。
リゲルさんが言う、保護者と生徒に正直に告げなければならない学力格差は道教委の全国学力調査データでもびっくりするほどはっきり出ています。教育に関心がないから、スマホをもっていても検索して見ない。
大学進学した者はほとんど戻ってこない、難易度の高い大学ほどそうなっています。例外は1%もないでしょう。
保護者の95%が非大卒、リゲルさんのおっしゃる通り負のスパイラルがずっと続いているのです。
道教委の全国学力テストの地域別分析の載っているサイトがあります。
http://www.curricen2.hokkaido-c.ed.jp/dokyoi/houkoku/r1/R1_478_488nemuro.pdf?fbclid=IwAR11_faRky5Pk44EmRF6Wi_MUNPALcLesiAsXV0OdW5JYMzBd6v8xlc0Qag
頁をくくれば、別海町、中標津町、標津町などの近隣地域のデータが出てきます。是非ご覧になってください。
根室の小学6年は算数「量と測定」が全国平均正答率の半分以下です。これは中3数学「関数」へ影響しています。それも全国平均の半分以下の正答率です。
データは小学校の先生に算数指導が苦手の人が多いことを表しています。それと就学前教育、家庭での教育やしつけ、学習習慣に問題があることも示しています。教育に関心のない親たちが3人に2人いると仮定すると、就学前教育がなされずに半数以上の生徒が入学していることになります。そこへ算数指導が苦手な先生が多ければ、低学年で落ちこぼれる生徒が増産されます。当たり前のことがあたりまえに起きています。
釧路管内と根室管内には、北海道教育大釧路分校出身の先生たちが多い。とうぜん釧路と根室の教育界で派閥を作り採用や人事にも隠然たる力をもっています。
残念ながら、教育大釧路分校は札幌分校、旭川分校よりも入学偏差値レベルが低い。平均的には他の分校よりも学力が低いということ。それが子どもたちの学力へも影響していると思わざるをえません。
このままでは転勤族は釧路や根室へは単身赴任するしかない。教育を長年にわたってないがしろにしてきたことが、人口減少を加速し、優秀な人材の枯渇化現象によって、地元経済の著しい衰退を招いているのです。
リゲルさんの提案賛成ですね。わたしはブログで根室の子どもたちの低学力化をデータをあげて正直に書いてます。
先生や教育関係者や市議会議員、地元経済界のみなさんも、声を大にして学力格差を放置してはいけないと発信してください。
転勤族のみなさん、市立病院の医師のみなさんが、安心して子どもを連れて来れる町にしましょう。なせばなります。
by ebisu (2019-11-22 11:58)
高校入試は十勝地区がそこそこ厳しいという話を聞いたことがあります。釧路は十勝地区ほど厳しくなく、根室は一校体制になって全入。こういうところも何らかの影響を与えているのではないかと…
by 通りすがり (2019-11-23 17:30)
通りすがりの方へ
同じことを「釧路の教育を考える会」の副会長M木さんが言ってます。道立高校の間口が多すぎる、減らすべきだと。
十勝は道立高校への応募が定員オーバーするようになっています。間口(定員)が少ないのです。道立高校へ入学するためにはそれなりの勉強をしなければならない。私立高校が多いからでしょうね。釧路は湖陵ですら近年は定員割れすることがあるようです、高専も倍率が下がって定員ギリギリ。釧路は道立高校の定員枠が多すぎです。
根室はいつも定員割れ。五科目300点満点の入試は90点で足切りしたらいいのだと思います。
十勝の私立高校は帯広大谷、帯広北、白樺、江陵の4校あります。釧路は武修館だけです。帯広は私学が学力下位層の受け皿になっているので、道立高校のレベルが高いと言えそうです。全国学力テストデータでも中学生の平均正答率は十勝管内のほうが釧路管内よりも高い。
白樺と帯広江陵は偏差値39、帯広北が偏差値41、帯広大谷が偏差値45ですから、これら4校が十勝管内の学力下位層の受け皿でしょう。
釧路の武修館は偏差値43ですが、私立高校は1校のみ。
道立高校の間口が多い釧路は競争がなくなり、長期的に学力ダウンしていくのでしょう。根室や中標津はずいぶん前から定員割れですから、何をかいわんや。
定員割れの地域の道立高校は、合格最低点を90点にしないと、高校教育が崩壊します。現に根室はそうなりつつあります。北海道教育庁は道立高校合格最低点を決めてほしいと思います。90点に達しなければ高校進学できないとなれば、部活三昧でまったく勉強しない中学生はほとんど姿を消します。文武両道をいうことになる。
根室管内のすべての高校が定員割れ状態ですから、全国学力調査で、全道14支庁管内最低正答率という不名誉な状態に陥っています。北海道教育庁や北海道教育委員会はいつまでこういう状態を続けるつもりなのでしょう。根室管内が全道一正答率が低いのは、道の教育政策が変わらないことによる「人災」の面があります。
by ebisu (2019-11-23 20:12)
リゲルさん
札幌圏は全道各地から高校を卒業して大学や短大、専門学校へ進学する生徒たちが集まります。北大は別として、優秀な生徒たちの多くが首都圏の大学へ進学するので、札幌圏は低学力層の「吹き溜まり」にもなっています。だから、札幌市内でどういう階層が住んでいる地域かで学校ごとの学力差が大きくなるのでしょう。
成績上位1/3である進研模試偏差値55を超えている大学は北大と札医大のみ、じつに少ない。そしてこれらの学校の学生の2/3は道外勢です。
一部の地域の高学力層が札幌の子どもたちの平均正答率をアップさせているのは事実でしょう。高学歴の大人が住んでいる地域の子どもたちは、就学前から教育や家庭学習のしつけをしっかりされてます。そういう親のもとで育った子供たちとそうではない子どもたちとでは、就学前から大きな学力差がついてしまいます。そして小学生から進学塾へ通わせる親も多い。私立の中学校は根室にはありません。釧路にもレベルの高い私立の進学校はない。
札幌にも地域によっては、根室と変わらない平均正答率の公立小中学校もあるのではないかと思います。例外はいくらでもありますが、高学歴の親は概して教育に熱心です。大卒の親は子どもが大学進学することを当然のことだと考えます。専門学校への進学なんて考えません。子どもが勉強嫌いならそうなるかもしれませんが、そうならぬように、就学前から家庭学習習慣を躾ます。
進学塾が多いことと、通塾率が高いことも、札幌圏の子どもたちの平均正答率を下支えしています。
そのうえ、札幌には道内屈指の進学校があります。東西南北の4校はいつも道内の最上位グループにあります。
そういう高校があることも学力アップに影響しています。小学生の時からこれらの高校へ進学しようと頑張る子どもたちがいるからです。
札幌市内の地域別の学力格差が大きくても、平均正答率が道内14支庁管内で一番高く出るのは、学力格差が大きいからかもしれませんね。上に出ている集団が飛びぬけている。
by ebisu (2019-11-24 00:39)