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#4104 令和元年の大水害:台風19号 Oct. 17, 2019 [8. 時事評論]

 すごい水害だ。堤防の決壊は59河川、90か所に上っている、死者は77人。被害の全容はまだ知れない、水の力はすさまじい。


 玄関前を塞いでいる泥と泥だらけの庭を前にして、インタビューを受けていたお年寄りが、声を詰まらせ、涙ぐんでいた。泥は数日で乾いて固まってしまえば除去作業はつるはしで土の塊を崩しながらやらなければならない。土はずっしりと重い。年寄りだけの家は泥や固まってしまった土の除去作業は体力的に無理だ。無理にやれば腰を痛める。すでに腰の具合の悪い人もいるだろう。
  家が水没した人は、家財道具は全部だめ、9月末に消費税値上げの前に駆け込みで買った車と4Kテレビも水没と応えていた。家の壁も床も畳も全部取り換えなければならない。ダメになった家財道具を捨てるのもたいへんだ。棄てられて山のように積み上げられたゴミは、それぞれの所有者が一生懸命に働いて贖(あがな)ったものだ。
 被害が大きくて長年住み慣れた家を廃棄せざるを得ないが、老後の資金を残すことを考えたら家を建て直せない人が少なくないだろうし、来年また水害が起きるかもしれないと不安で、同じ場所に家を建てることを躊躇う人も多いにちがいない。仮設住宅はまだ立っていないが、できたらそこへ数年住み続けるしかない。当座の住む家を探すのもたいへんだ、何しろ周辺地域一帯が水没したからだ。
 収穫間際のリンゴや収穫後のお米が泥水をかぶってしまい、茫然と眺める人たちがいる。
 とくに長野県の千曲川流域と福島県と宮城県を走る阿武隈川流域、そして茨城県の那珂川流域の被害が大きい。

 1993年から14年にかけて、福島県郡山市のある会社の経営分析と出資交渉を担当した後、15か月間役員出向していたことがある。福島県は温泉が豊富、蕎麦と果物がおいしいいいところだった。郡山市から福島市へ行く途中には「フルーツライン(街道)」が十数キロ続いていた。そのあたりは桃の名産地である。住んでいたところから車で10分も走れば阿武隈川を渡る。本宮は郡山の北隣であるが、安達太良川と阿武隈川の合流地点の流域の被害が大きい。あそこはアサヒビール園があり、何度か出向先の人たちとジンギスカンをつつきながらビールを飲んだ。愉しいひと時だった。そのうちの一人は東北大震災で被災し、放射能吸収能の高い植物の研究を続けていたが、数年前に亡くなった。震災後、南相馬に家を建て直した。震災被害に遭って、なお、世のため人のためふるさとのために、植物で放射能を除去する研究に没頭するというこころをもち続けた。仁科さん、実直な方だった。
 有名な滝桜のある場所は、ちょうどダムが建設中で地上百メートルくらいのところに橋が架かっており、まだ水が溜まっていなかった。あんな高いところに橋を架けてどうするのかと思っていたら、数か月後に水が満杯になると、橋はそんなに高くなかった。滝桜の足元まで貯水ダムの水辺になっていた。あの辺りは梅桃桜の三つの花が同時に咲くので「三春町」というのだと、教えてもらった。

 根室は昨年9月の胆振東部地震で2日と15時間ほど停電した。幸い水道は無事だった。それでもあの三日間はたいへんだった。電気が止まる、水道が止まる、家が水害に遭う、復旧の見通しが立たぬ地域も少なくないに違いない。場所によっては復旧に1年以上かかるところもあるだろう。

 日本列島は台風の通り道だ。温暖化で気象の様相が一変してしまったのではないか。富士山噴火、首都圏直下型地震、東南海地震、四百年に一度の根室半島沖巨大地震及び津波、他にもいくらでも地震・火山噴火・台風による風水害などが日本列島を見舞うことだろう。
 急速な人口減少下で、それを前提に、国の在り方やビジョンを問い直す時期が来ているように思える。

 公的な援助の手が隅々にまで早く届いてほしい。

(未曽有の大水害のなか、株式市場は2日連続で(265.71+408.36=674.07)上げており、日経平均は22,472.92円になっている。)

*「甚大な被害 台風19号 77人死亡 59河川で決壊 全容は不明
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191015/k10012131581000.html

**#3817 根室もようやく電気がつきました:満天の星、きれいだった Sep. 7, 2018
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2018-09-07



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