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#3972 ガンマクラスの家活プリント Apr. 24, 2019 [52. 数学]

 昨日、4時半ころから高2の生徒が一人きた。この時間にこの生徒が来るのはめずらしい。
 数学は学力別にクラス編成がなされているが、この生徒は特設コースの生徒で最上位のガンマクラス、2月の進研模試では数学の得点が学年5-10位のあたりに位置している。
 特設コースの数学はガンマⅠとガンマⅡにわかれている。特設コース以外のクラスは、ベータとアルファの二つが設定されているので全部で四段階の学力別編成ということのようだ。なお、数Bは選択制になっている。最上位のガンマⅠクラスの生徒には自主勉強用の「家活プリント」が提供されている。もっていってもいかなくてもよい。生徒の自主性を尊重するというのが学校の方針。
 やりかたが今週から変わり、解答と解説プリントが渡されなくなった。生徒たちは解説を見て問題を理解するような勉強の仕方をしていたようだから、「どうやっていいか全然わからない」とぶつぶつ言いながら、「塾で教えてもらわないとできない」、取り付く島がない、そういうことだった。プリントをもらってしばらく考えたようだ。グラフの概形を描いてみるように伝えたが、描けないのは問題文が読み切れていないのと、問題に示された条件と二次関数の基礎的知識とのリンクがとれないからだ。

 「家活プリント」の難易度はセンター試験レベルである。3年生が『センター攻略 数学Ⅰ+A、Ⅱ+B』という問題集を使用しているが、それの新年度改訂版か数年前のものから採録された問題だろう。昨年のものとは問題が違っていた。
 あとで問題を紹介するが、この問題を高2四月の時点でノーヒントで正解できるのは数学の偏差値70以上の生徒だけだろう。偏差値80をを超えている生徒が一人、残りのガンマⅠの生徒たちは全員70以下である。5番目くらいで偏差値50前後だ。教えている生徒たちの進研模試データを閲覧しているはずだから、学力分布は高校で教えている先生のほうがよくご存じ。

 なぜ、解答と解説を渡さなくなったのか生徒に訊いてみたら、丸写しをする生徒がいたので、先生が配布をやめたのだという。
 わたしが数学担当の先生なら、たとえ一部の生徒が丸写ししても解答と解説プリントは生徒に渡したい。自主的な家活プリントだからそんなことをする生徒はごく一部だし、そういうアホなことをすれば進研模試の偏差値も学校の定期テストの点数も上がらない。まったく無駄なことで、結果を見れば一目瞭然。高校生は大人なんだから、自分で気がつくまでほうっておけばいい、というのがわたしの判断。近道反応をする生徒はつねに数人いるもので、小中学生のころから困難に出会うと近道反応を繰り返してきたから性格の一部になってしまっており、高校生になってからではほとんど治らないからほうっておけばいい。付け焼刃では通用しないことを痛い思いをして学べばいいのである。その生徒にとってはそれが成長へのステップとなる。
 2番以下の生徒たちは解説を見ながら、手の届かない問題を理解しようと頑張っているのだから、そういう生徒たちを優先したい。ガンマクラスの生徒の大半が解答を見るか友人数人でどうやったら解けるのか議論をし始める。それでもわからないときに、塾へもって来る。ヒントを出してやらせてみる。同じ宿題がわからない生徒が複数同じ時間の塾にいたら、ヒントを出して議論させてやればいいのである。だれかが思いがけない解き方を見つけることもあるから、楽しい。

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<問題14>
m、nを自然数とする。C:y=x^2-2mx-nとするとき
(1)Cの頂点がy=-x^2+3x-5 上にあるとき
  m=ア、n=イである。
 このときグラフCはx軸からの長さ ウ√エ の線分を切り取る。
(2)グラフCがx軸から長さ4の線分を切り取るとき、m=オ、n=カ である。

<問題15>
放物線とx軸の共有点の位置
 aを定数とし、xの2次関数 y=x^2 -2(a-2)x+2a^2-7a のグラフをGとする。
 下のカ、キ、ケ、サ、ソ、タには、次の①から③のうちから、当てはまるものを1つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
 ◎> ①< ②>= ③<=
(1)Gの頂点の座標は(a-ア、a^2-イa-ウ)である。
 また、Gがx軸と共有点をもつのは(エオ)カ a キクのときである。
(2)Gがx軸と共有点をもち、さらにそのすべての共有点のx座標が0より大きくなるようなaの値の範囲を求めよう。Gとy軸の好転のy座標をYとすると、条件は(エオ)カ a キク かつ a-アケコ かつ Yサシ
 よって、求めるaの値の範囲はス/セ・ソ a タチである。

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 時間差で学年3番の生徒が来たので、問題文から条件抽出してみせてグラフの概形を描いて見せる必要があった。条件抽出のしかた、つまり問題文の読解とグラフを描くときの要点を学んでもらいたい。そんなにたくさんのパターンがあるわけではない、所詮は受験問題だから、正解があり、解法は極めて限定されており、何を使うかは問題文に示された条件から絞り込めるからだ。計算はそれぞれ自力でやってもらった。

 問題14は解の公式を用いて解いてもいいし、2年生の「解と係数の関係」の章を予習済みなら、
 (β-α)^2=(α+β)^2-4αβ=4^2
この式を利用してもいい。進研模試学年3位以下はまだこの章を予習していない。
 問題15は問題文のどの部分が解放のヒントかアンダーラインを引かせて、グラフの概形を描かせたら手掛かりが全部見えてしまう。二次関数の基本理解にかかわる良問である。手がかりが見えないという生徒は、二次関数の基本理解が不十分だということ。1年生の時の二次関数の授業で、そういうトレーニングはしていないから無理ない。センターレベルの問題は学校で採用している教科書準拠問題集には載っていない。根室高校では3年生でそういう難易度の問題集を使うことになっている。つまり、高2に高3の生徒たちが使う問題集を「家活プリント」として渡している。それでいいのだが、正解も解説もないのでは生徒はお手上げ。

 センター問題としては標準的な2次関数だろう。基礎をしっかり学習していれば正解できる。だが、四月の時点でその基礎をしっかりマスターできているのは、観察する限り2月の進研模試偏差値が70以上の生徒である

 根室に高校生対象の塾は二つだけ、塾へ通っている生徒は二つの塾を合わせて15人程度だから、ガンマクラスの残り20人ほどは手の付けようがなくて困っているのだろう。
 学校の授業でやっている問題よりもずっと難易度の高い「家活プリント」なのだから、塾へ通えない生徒たちのために、解答と解説プリントを配布してやってはくれないだろうか?

 「家活プリント」の解き方がわからなくて塾へ来る生徒へのヒントは最小限にしている、皆さん数学だけは学年10番以内だからそれでいい。
 好きな数学ばっかりやらないで、苦手の英語の勉強のほうもしてもらいたい。この一月ぐらいで集中的に英語の勉強をしてめどをつけておかないと、大学受験でランクを下げることになる。数学の偏差値が60を超えたって、英語の偏差値が40程度なら、偏差値50の大学すら合格困難です。わかっているはず。自分に負けるな。(笑)

 (問題は3つあった。三番目の問題は簡単だったようでだれからも質問がでなかった(笑))
(学年ナンバーワンの生徒は「家活プリント」は難易度が低すぎると判断してか利用していない。もっと難易度の高い大学入試問題をせっせと解いている。数日前に慶応大学の入試問題が解けたと喜んでいた。)


<余談:問題文から条件析出の実際のやりかた>
 問題15のほうをとりあげる。問題文のヒントになる個所にアンダーラインを引く習慣をつけよう。そのためには、問題文のどこがヒントか見分けるスキルが必要となる。必要なスキルはつねに磨く方法が存在する
1.y=x^2 -2(a-2)x+2a^2-7a ⇒ 放物線の軸はx=a-2
2.Gがx軸と共有点をもつのは(エオ)カ a キクのときである ⇒ 頂点のy座標がマイナス
3.Gがx軸と共有点をもち、さらにそのすべての共有点のx座標が0より大きくなるようなaの値の範囲 ⇒ a-2>=0
4.Gとy軸の好転のy座標をYとすると ⇒ Y>0

  問題文から二次関数にかかわる基本性質を4つ読み取るだけである。だからこの問題は基本問題で、二次関数の基本が理解できているか否かを問う良問と言えよう。
 センターレベルの二次関数の問題を20題ほどピックアップして、問題文の読解とグラフ概形を描くトレーニングをすれば、センターレベルの二次関数はほぼ正解できる。
 数学の偏差値が80を超えている学年トップの生徒は昨年夏休み前にそういうレベルを超えていた。2月の進研模試全国偏差値60以下の生徒諸君はやってみたらいい。適切なトレーニングをたんたんとこなせば、だれでも標準レベル問題に正解できるところまでよじ登って来れる。そこから先は多少のセンスがものをいう領域だろう。


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