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#3799 進研模試の結果データ公開日 Aug. 4, 2018 [71.データに基づく教育論議]

  今日から9日間ニムオロ塾は休みである。いい天気、1時半ころマウンテンバイクで1番川までサイクリングしてきた、往復15㎞。午後2時の気温18.1度、北北東の冷たい風5.1m/s、湿度66%、根室で湿度が70%を切ったのはすくなくとも7/1から一度もなかった、久々にからっとした快適な一日である。

 高校1年生が7月に受けた進研模試の結果データが公開された。ベネッセのホームページを開き、所定の欄に個人別に発行されているパスワードを入力すれば、自分のデータを閲覧できるらしい、便利な時代だ。
 3科目の受験者総数は462,889人。15歳未満の総人口は1559万人*だから、15で割ると104万人である。おおよそ同世代の44.5%が受験していることになる。
*総理府統計局ホームページ
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/index.html

 平均点が個人票に載っているので標準偏差(SD)を計算してみた。

    平均点 標準偏差
 国語 42.9  14.46
 数学 31.8  18.09
 英語 33.7  17.17

 受験している46万人は日本人だから国語のSDが一番小さいのは当然である。国語で偏差値70を超えるためには、出題者がどのような回答を期待して設問をつくったかが読めなければならぬ。何にポイントをおいて点差をつけた採点をするのか、採点ポイントが読めるようになればいい。しかしだ、これは本文の読解力とは何の関係もないことで、そんなことに慣れるのはあまり感心しない、勉強の本質とはかかわりのないことでくだらないからだ。読みのスキルアップの妨げになるから要注意だ。採点ポイントに意識をおいて設問と本文を比べ読みする癖がつく。
 センターレベルの出題がなされる数学がのSDが一番大きいのはあったりまえだろう、先行して学習し難易度の高い問題に取り組んでいなければ70点以上の得点は困難である。学校の授業レベルの問題集では50点程度がせいぜいだろう。偏差値80を狙うなら、最低でもセンターレベル、あるいはそれより少し難易度が高い問題集を消化できれば効果がある。平均的な学力の生徒に1年次からセンターレベルの問題集は消化不良を起こしてかえってよくない。使う問題集の難易度は生徒の学力とどの程度アップさせるかを測りながら決めている。

 英語は数学に比べてSDが少し小さい。できる生徒にはいままで精読(英文を読み継いで書き写し、英語のまま意味をつかみ、日本語の文章で表現してみる。大事な個所は「大和言葉落とし」までやる読解)を強いてきたが、過去問をやったら時間が足りないというので、長文を速度を上げて読むコツを一週間前の教えておいた。すぐ呑み込めたようだ。週1で2時間速読トレーニングに充てれば3か月で偏差値80をクリアできるだろう。英語の偏差値80は得点でいうと85点付近。

 SDが大きいということはデータのばらつきが大きいということである。テストが終了してすぐ、自己採点させて、全国偏差値を試算していた。数学のSDを17、英語を16、国語を15と仮定しての試算値であった。おおよそが見当付けられたら十分である。
 学力が一番高い生徒は三科目偏差値が75くらいと試算していたが、超えていた。英数2科目だと80に近い、英語は中学生になるまで教えていない。それでも学年トップクラスの成績がとれる、勉強の仕方次第ということ。国語だけが偏差値70を切った、ここに課題がある。文学作品には興味がまったくないので読まない、心に響かないらしい。感覚や心のセンターにある情緒の問題だから、これを変えることはおそらく不可能。古典や漢文で点を落とさないようにすることぐらいしか手はなさそうだ。論説文の読解は日本語音読トレーニングで良質のテクストを選び十数冊読んでいるからできのよい方の大学生レベルの読解力がある。福沢諭吉『福翁自伝』を最初のほうだけ一緒に読んだが、いま独力で読み続けている。読んだ本のリストは音読トレーニング教材として弊ブログで何度か紹介しているので必要なら内部検索してもらいたい。国語については偏差値65くらいのところで様子見だ。
 文武両道を目指している生徒は、中学時代の学力維持にちょっとだけプラスアルファできればいいと考えていたが、予想通りだった。だが、本人は結果に不満があるだろう、道内の理系国立大学狙いだが、何とかなる位置にはいる。部活と勉強を両立させるには時間の使い方や集中力を高める工夫が必要だ。自分で考えろと言ってある。
 メールで報告してきた生徒は三人だが、三人目の生徒が期待値を大きく超えた。全国平均値に近いのだが校内偏差値は60、中学時代の学力テスト結果から考えると伸びに「おどろ木桃の木山椒の木」だ、すぐに電話をして褒めた。「特設コース」に入れなかった生徒だが、一生懸命に勉強していた。そういう生徒の中から急激に学力を伸ばす者が現れる。

 生まれて初めて受けた全国模試で、全国46万人の普通科の受験生の中で自分の学力がどれほどかよくわかっただろう。いまや半数が大学進学をする時代である、いつの日か根室の中学生の希望者全員に市の予算を使って全国模試を体験させてやりたいものだ。中学生の時に全国レベルの模試で自分の学力がどれほどのものなのかを知っておくのは必要なことだ。僻地に住んでいても中学生の時に全国レベル模試で自分の学力を測定できる、そういう環境をつくってあげたい。根室高校普通科で学内偏差値60(上位16%)が全国偏差値では50(真ん中)に過ぎない、根室の子どもたちは同学年の順位を競うことで中学生の時に自分の学力を過大評価している。「根室高校の特設コースに入れたら北大に合格できるんでしょう」なんてことをおっしゃる人も珍しくない。
 9月に根室市長選挙があるが次期市長さん、中学生に全国模試を受けさせる予算措置ができないか?

<余談:根室高校普通科の学力低下>
 ちょっと気になることがある。根室高校の生徒の数学の平均点が20点を切ったのではないかということ。切っていたら初めてだろう。進研模試全国偏差値50は根室高校校内偏差値60付近にあるが、これはどういうことかというと、普通科1年生115人の内、上位18人しか全国偏差値50を超える生徒がいないということ。今回の模試では16人だろう。全国偏差値65を比べリアしている生徒は特設コースの数人のみ、さて、学年2番目の生徒が全国偏差値65を超えられただろうか、先は長い、次の模試で頑張れ。
 12年前だったか定員オーバーでFランク150点で事務情報科へ回されて生徒が複数いたことがある。あのころの根室高校普通科の学力を基準にしたら、「特設コース」の35人だけが当時の普通科の生徒と同等の学力である。それ以外の80名の生徒は普通科に合格できなかった学力層なのである。つまり、「特設コース」とは名ばかりで、12年前の普通科の平均的な学力層だということ。
 根室高校普通科の半数が根室西高校の生徒レベルの学力層だということ、これが高校統廃合の現実である。教える方は普通科内部の生徒たちの学力格差が大きすぎてたいへんだろう。同じ教科書を使うのは無理というレベルの学力格差が存在している。先生たちの中からも現実を踏まえて、いずれ、学科及び「特設コース」の再編成要求が起きてくると予測している。

 現在の高校1年生が中3の時に150点超の生徒が何人いたかは2校の実データに基づいて、#3684で市内全部の推計をしている、おおよそ30-35人である。特設コースで今回の模試で全国偏差値50を超えたのは16人だけ。特設コースの約6割19人が偏差値50以下。推薦入試頼みの傾向がますます強くなる。

*#3684 根室高校入試倍率:定員240人に対して出願者数175人 Jan. 29, 2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-01-29

 



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麒麟

医学部受験であれば、センターで8割5分から9割以上、二次の英数理で標準的な問題を落とさないことが目標となりますので、現段階では英数を高2の夏、遅くとも冬までにセンター9割レベルへ完成させて現役生が手薄になりがちで二次で差がつく数学Ⅲ、理科の対策にシフト出来るようにしていくのがセオリーだと思います。先取りの学習を継続しつつ、進研模試では両科目で偏差値80以上をキープ出来ると良いでしょう。数学では入試の重要問題が掲載されている一対一対応の演習がおすすめです。国語に関してはセンターで大きなミスをしないことが最重要です。古文漢文で早めに文法句法単語の知識を固めることを優先し、センターの小説についてはどちらかというと極力主観を排して客観的に選択肢を選ぶというある意味論説文以上に論理的な解き方の求められている性質のものですので、講習等を受講する、現代文の解き方に関する参考書を読むこと以外はあまり深入りせずに進研模試に関しては偏差値70以上をキープ出来れば御の字です。
by 麒麟 (2018-08-05 10:00) 

ebisu

麒麟さん

ときどきためになる投稿いただいています、どうもありがとう。
半年ぐらい数学の先取り学習がもたつき始めています。難易度の高い問題集ですから時間がかかる。でも、センター9割レベルは問題なしです。調子がよければいまでも9割いけます。安定的に9割を超えることが目標です。
問題は物理にあるようです。山本義隆先生の本をいきなり読んでもちんぷんかんぷん、当たり前です、まずは教科書から。
英語は大学院入試レベルにすでに突入しています。
古典漢文は外国語だから、「早めに文法句法単語の知識を固めることを優先し」てやっています。ここが苦手になるといけませんから。危ないところは早めに手当て。
難関大学医学部受験生はやることが多いですが、楽しんでやれる奴が強い。
現代文はセンター過去問にじっくり取り組めば偏差値70には1年くらいで届くでしょう。すでに読解力はありますから、採点のポイントがわかるだけで70大丈夫です。
要は勉強の仕方、それから生活時間の使い方です。そういうことの上手な生徒です。

麒麟さんからのコメント、そのまま生徒に伝えます。
by ebisu (2018-08-05 12:07) 

麒麟

ちなみに、東大合格者が高1の1月にセンター試験の同日受験をした際の平均点(2014年)は国語121点、数学149点、英語144点となっています。限られた時間の中で国語と英語は知識問題である程度得点し、文章の要旨をある程度つかめること、数学はⅡBの前半部分をきっちり解き切ることまで仕上げることが中間目標です。物理化学は高1の段階では文系受験者がセンター試験で受験する基礎科目の範囲に集中して取り組めば十分です。本格的に取り組むのは高2からでも間に合いますし、基礎の部分をどれだけ固められるかが後の伸びに関わってくるためです。また、理科の教科書は体系的に知識を整理する目的には向いていますが、試験で戦える知識として習得する目的には向いていませんので、分かりやすい参考書や、予備校講師の力を適宜活用すると良いです。進研模試で偏差値75以上あるのであれば医学部受験で十分に戦える地力はありますし、目の前の模試に一喜一憂せずにやるべき問題集を黙々とこなせば間違いなく実力はついていきますので頑張ってください。
by 麒麟 (2018-08-05 13:35) 

ebisu

麒麟さん

高1で1月センター同日受験ですか。国語と英語は問題なしですが数学が厳しいですね。12月頃には数ⅡBを終了する予定だったのですが、現時点で6か月遅れてしまっています。スケジュールの苦見直しです。12月まで数Ⅱの前半部分をどこまでやり切れるか、生徒にとってはチャレンジです。
ところで、根室には予備校の出先はないのです。物理は学校の進学補習講座で補うしかありません。1学年上の講習を受講させてもらえるといいのですが。
学力トップクラスの生徒は、根室のような田舎では塾と学校とが連携して生徒を育てる必要があります。

生徒は初めて受験した全国模試で、予定の三科目総合偏差値75をクリアしてほっとしています。わたしは院生時代に3年間だけ東京の個人指導進学教室でトップクラスの生徒を教えた経験があるので偏差値75の手ごたえは感じていました。生徒のほうは根室市内でトップでも全国区で通用するかどうか不安だったのです。次回は80を超える手ごたえをつかんだはず。英数2科目合計偏差値はすでにその水準です。
全国区で自分の学力位置が確認できたのですから、あとは一喜一憂せずにじっくり取り組めばいいとわたしも思います。
by ebisu (2018-08-05 14:17) 

麒麟

数学に関しては急がば回れでⅡBに時間をかけても良いと思います。6月まで数ⅡBを固めるという目標で7月から数学Ⅲに取り掛かって高2までに一通り仕上げるというのでも十分間に合います。数学Ⅲは微分積分がメインとなりますが、その元となる三角関数や指数・対数関数、数Ⅱ範囲の微分積分の理解を深めることが数学Ⅲの早期定着に直結するためです。物理は、独学で学ぶのであれば秘伝の物理という参考書ををおすすめします。YouTubeで講師の解説の視聴も出来ますし、何より物理は解法暗記などの付け焼刃の理解が全く役に立たない科目です。生徒のつまずきやすいポイントについて生徒の目線に立って解説のなされた参考書でないとただの徒労に終わってしまいます。
by 麒麟 (2018-08-05 14:56) 

ebisu

麒麟さん

数ⅡBに来年6月までかけても間に合いますかね、数ⅡBは問題集の厚さが2倍くらいになるのですが、6月までなら相当じっくりやれます。
来年2月からは英語のほうの時間を半分程度数学に費やすことができるようになる見込みです。
物理は「秘伝の物理」とYouTubeで講師の解説を視聴する手がありますか、根室ではそれが最善手のようですね。参考になります、ありがとうございます。
by ebisu (2018-08-05 17:03) 

麒麟

たびたび失礼します。10月には高1駿台全国模試が実施されるのですがそれを受験されるととても良いと思います。進研模試では公立高校の生徒が大半ですが駿台全国模試では全国有数の有名進学校も多く受験し、問題の質も難関大学入試を意識したものとなっており思考力を問う練られた良問が多いです。学校で受験出来ないか尋ねてみても良いでしょう。
数学については、独習を進めていくうえで解説が不足しているため理解が難しくなる点が増えてくると思います。その際には黄色い表示のB5判のわかりやすい[新月][新月](単元名)という予備校講師の著した本を読むことをおすすめします。非常に分かりやすく、かつ盲点となりやすいポイントの解説が充実しています。
by 麒麟 (2018-08-05 18:24) 

ebisu

麒麟さん

駿台模試ね、あれレベル高いから、進研模試偏差値80で65くらいかな。ちょっとビックリするかもしれないので、受験可能ならちゃんと説明しておかないといけませんね。
学校に問い合わせるように伝えます、ありがとう。

駿台の数学の専任講師の荒〇重蔵先生は、ビリヤードの愛好家でプロ並みの腕前です。スリークッション世界チャンピオンの小林先生のお店の常連会のボス、5年間ほどお仲間に入れていただきました。同世代のはず。四つ玉の全日本チャンピオンのK柴さんも常連会にいました。この二人は別格でした。キュー切れが違います。駿台と聞いて懐かしくて脱線しました。
by ebisu (2018-08-05 18:43) 

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