#3375 高2 英文多読演習にチャレンジ July 23, 2016 [49.3 高校英語教科書を読む]
英語が嫌いでやりたがらなかった高2の生徒が、1ヶ月ほど前から教科書「VIVID Ⅱ」の読破にチャレンジしている。
昨日は1時間半の授業で「lesson 9」part 1~ 4をやり終えた。前回も1時間半で4パートをやったので、1時間半の授業で1章を消化するペース(速度)が確保できたようだ。最後の章の後に、読み物の付録が数点載っているが、cover to cover で全部やっても8月初旬には終わりそうだ。前半の章よりも後半の章はすこしテクストの構文レベルが上がっているのだが速度が落ちないのはよい傾向だ。
(次(第2段階)で予定しているのは3年生の教科書である、目安は3ヶ月での読破。第3段階は読みやすい小説を数冊用意して選ばせようと思っている。100ページくらいやればあとは自分で読めるだろう。第4段階はJapan Timesである。全部やりきれば偏差値は70を超えるだろうが、やり切れる生徒は少ない。)
本人の弁によると、単語を引く回数が減ったという。引く場合でも言い付けた通りに意味に見当をつけてから引くようにしている。当たる回数が増えてきたと喜んでいる。学習にはこういう上達の手応えが感じられる仕掛けがあったほうが意欲がわく。
1章(lesson)が4パートに分かれているが、それぞれのパートに、1・2箇所キー・センテンスがあるので、そこは重点的に解説している。昨日は、その部分に質問が集中していたから、腕が上がってきた。
3~5回音読しながら和語に直してもらう。辞書そのままで日本語として成立しないような訳や漢語訳をそのまま使って硬すぎる場合は、「大和言葉落とし」をして、普段使うやさしい日本語に直させる。辞書に並んだ漢字訳語をそのまま並べて和訳ができたつもりの高校生や大学生が多いから、適宜「大和言葉落とし」で英文のイメージを語ってもらうのは語学のセンスを磨く効果がある。
レッスン11はアフガニスタンンの反政府武装勢力の「武装解除」がテーマである。タイトルは、
'The Challenge of Disarmament'
これを生徒は、「軍縮へのチャレンジ」と訳した。パート4まで目を通して、辞書を引いたあとでこの訳ではダメ。「軍縮」の話ではなく、手持ちの武器を自主的に差し出させることを目的とするプロジェクトのようなものだから、「武装解除、やったるぜ!」くらいがよい。日本史では「刀狩」だ。
「大和言葉落とし」とはこういう訳を謂う。関西人なら「武装解除、やったろうやないか」とやればよい。言葉が生き生きしてくるのが実感できるだろう。死んだ言葉では肝心なものが伝わらないことがある。しかし、全部を「大和言葉落とし」する必要はないから、大事なところを選び適宜試みたらよい。
ここで生徒はdisarmamentを軍縮と訳したが、dis+armament、armは武器、armamentは「軍備」「武装」、写真や図を見ると武装解除という日本語が適切であることは一目瞭然、言葉だけでなく、図や写真をちゃんと見て文章や文中の語彙と付き合わせる習慣も養いたい。センター試験ではグラフを読む問題が増えている。
パート1でピックアップした文章を示す。
"War is over," said the President. Then, the soldiers had the weapons checked and gave them up.
「大統領が戦争は終わったと言った」という文は倒置法で、新聞英語記事の冒頭部分でよく見られる書き方である。問題はその次の文である。ちょっと紛らわしい。こういうところをしっかり解説しておかないといけない。案の定、意味がつかめていない訳になっていた。デカルトの「科学の方法」「第二」にしたがって、必要なだけの小部分に分解してみる。
① the soldiers had the weapons checked
② (the soldiers) gave the weapons up
この二つの文が重文として統合された。①は「have+O+PP」で受験問題に頻出する文である。使役と受身の意味があるが、じつはどちらも受身である。
①-1 the soldiers had the weapons (which was) checked (by someone)
1-2 the soldiers had the weapons
(兵士は武器を持っており)
1-3 the weapons was checked by someone
(その武器は誰かによって点検される)
被害を受けるというコンテキストなら受身に訳し、そうでなければ使役「~してもらう、させる」である。
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この項に関しては、江川泰一郎著『英文法解説』「191. Have+O+過去分詞」の記述が詳しい。3冊の中で例文も一番多かった。綿貫・マーク=ピーターセン共著『表現のための実践ロイヤル英文法』も引きやすかった。
安井稔著『英文法総覧』は索引に「have+O+PP」の項があったが、「28.2.2」には一例が載っているだけである。「have+O+原型不定詞」の使役用法と比較しているので、前2書とは視点がちょっと違っており、これはこれで役に立つ。
I had my room painted, and got the cupboard repaired.
(私は自分部屋を塗ってもらった、そして食器棚を修理してもらった。)
I had Tom paint my room.
(私はトムに私の部屋を塗らせた。)
全般的なことを言うと、この本には生成変形文法による「参考」や「解説」コラムがときどき顔を出すが、それと断っている場合と、示唆せずに踏み込んでいる場合があるが、いずれもきわめて初歩的なものにとどめているので、興味のある人は専門書を読んだらいい。生成変形文法はチョムスキーの普遍文法=構造言語学がベースなので、文系と理系の両方にまたがる学問分野で、理解できる日本人の英文法研究者はすくない。こういう分野は翻訳者と読者の両方が文系と理系の分野を自在に歩き回れることが条件になるので、翻訳書もほとんどないから、原書を読むことになるだろう。翻訳もたいへんだし、本が出ても読む人が少ない。日本人の手になる研究書は少数出版されている。
構造言語学は自動翻訳の基礎理論でもあるから、日本人の研究者のニーズは小さくないだろう。興味を持って、構造言語学関係の本を読み漁る大学生が増えてほしい。
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②は主語を補うだけで文意が明確になるだろう。「the soldiers had gave them up」でないことだけはgaveが過去形だから間違えないだろう。
「兵士たちは(自ら進んで)武器の点検を受けた後で(それを)引き渡した」
さて、発展問題である。この文からandを抜くとどうなるか?
英字新聞なら次のように書くのが普通だろう。高校英語では「分詞構文」は頻繁に出てくるが、こういう修辞上の配慮がなされた普通の文がでてこないのはとっても不思議だ。英字新聞での出現頻度は百対1ぐらいだろう。もちろん分詞構文が1である。そして分詞構文の出てくる記事はほとんどが日本人スタッフライターの手になるものだ。andでつないだ文の主語を省略するぐらいなら、ingをつけて句に書き換えるのが当たり前。読み手は前の文から主語を補って動詞の時制を合わせてすんなり読む。
"War is over," said the President. Then, the soldiers had the weapons checked, giving them up.
和訳に際しては代名詞はすべて元の名詞に置き換えて訳させている、日本語では代名詞はあまり使わないし、前述の名詞をかならず代名詞で受けないといけないという文法規則がないからである。
代名詞をそのまま「それ」「それら」とイージーに訳していたら、わけのわからぬ日本語になる。
パート2では次の文の質問があった。どういうシーンかを想像するために前後関係が必要だから2文ピックアップする。
Seya used to work for the United Nations as a volunteer. Then, asked by Foreign Ministry of Japan, she joined a disarmament project in Afghanistan.
二つの文は関係があるので、つながりを意識して文脈を読まなければならない。こういう箇所に来ると、日本語の良質のテクストをたくさん読んでいるかいないかの差がはっきり出てくる。年齢相応に読書レベルを上げて多読していないと文脈が読めない。予期した通りの結果になった。
「文法知識+文脈理解力」が問われる文である。本をたくさん読んでいる生徒は問題なくここを通り過ぎるだろう。
① Seya used to work for the United Nations as a volunteer.
太字は受験英語のトピックのひとつだ。「かつては国連でボランティアとして働いていたことがある」ということは、現在はそうではないということだから、「いまなにしているの?」と文脈が読めた人は、次の展開が予測できる。後続の文は前の文の説明であることが多いのが英文の特徴のひとつだから、そういうつもりで読め!
② Then, asked by Foreign Ministry of Japan, she joined a disarmament project in Afghanistan.
②1 (being) asked by Foreign Ministry of Japan,
1-2 as she was asked by Foreign Ministry of Japan,
こういう変換は繰り返して読んでいるうちに慣れてきて、無意識にシンプルセンテンスに読み換えて瞬時に意味がつかめるようになる、「慣れ」が大事だ。
(だから、生徒と先生の「対面での技の伝授」が理想である。頭が人よりもすこしよければ、時間がかかるが理屈を聞いただけで自分でやれる。教えてもらわないとできないようでは、ものにはならぬ、職人仕事は親方の仕事を見て真似る。
教えてもらわなければわからないようでは、一人前の職人にはなかなかなれないし、まして自分で工夫して親方を超えることはできない。勉強も同じで、塾や予備校で手取り足取り教えでもらって一流大学へ入学したって、社会人になったときにはまるでひ弱で戦えない。どこかでだれのサポートも受けずに自力で学び始めなければならないのだよ。)
askを「たずねる」と訳してしまった、
「それでは言っていることの意味がさっぱりわからないだろう?この訳語では前後関係がおかしいなというアンテナが働かないとアウトだ」
違和感を大事にしないと上達しないから、小さな違和感が生じたら、まずは辞書をよく読むこと。「依頼する、頼む」という訳語がある。
「日本の外務省が彼女に依頼したので」という訳が適切だ。ついでに言うと、United Nationsを国際連盟と訳した。国際連盟は第一次世界大戦の終戦処理でできたもの。ベルサイユ条約に日本が人種平等条項の折込を主張して、人種差別の激しかった米国と、白豪主義でボリジアニを差別していたオーストラリアが強硬に反対し採択されなかった。このことが次の大戦への伏線になっている。国際会議の場で堂々と人種平等を主張し、白人の世界支配を根底から覆しかねない有色人種の国、日本が許せなかったのだろう。だから日本を叩き潰すオレンジ計画を策定して、20年をかけて日本を戦略的に追い詰めていった。
(そういう周辺知識もあったほうが文意を取り違えない。受験勉強の範囲を出て、さまざまな本を読み、意見の違う人と議論する必要がある。受験知識だけでは偏差値70はなかなか超えられない。)
UNは国際連合である。第2次世界大戦の連合国という意味だ。敗戦国であるドイツと日本は70年が過ぎても大きな差別を受けており、いまだに安全保障理事会常任理事国入りができない。
「(国連のボランティアを経験した後で)日本外務省の依頼で、瀬谷さんはアフガニスタンの武装解除プロジェクトに参加した」
このあとに地雷と地雷の除去作業の話が出てくるが、英文を読んで地雷がどういう状態で残っているのか、その除去作業がどのように行われて、周辺住民にその危険な作業がどのように受け取られているのか、英文からイメージできてはじめて適切な日本語になる。そういう作業を一緒にやって、稚拙な箇所を指摘し、お手本を示してやるのである。
When they dug mines out of the ground, the residents appriciated their work. This, in turn, made them happy. In this way, the former soldiers gradually became ordinary citizens.
この生徒はappreciateを電子辞書の筆頭に載っている「正しく理解する」のまんまで訳した。その時点で、この文の意味がまるでわかっていないことが判明する。「なんかおかしい?」という違和感、the sixth sense(第六感)が働いていない、トレーニングで感覚が呼び覚まされることを期待している。
地雷を地面から掘り出す作業はたいへん危険で、まず地雷を確認するために地雷のありそうなところに歩いて入らなければならない。地雷を見つけたら、周りの土を静かに除去して信管を取り外すか爆発させるのだが、そのときが一番危険である。地雷が周囲に仕掛けられたままになっているので、その地域に住む住民は子どもを外で遊ばせることもできない。地雷の除去ができれば子どもたちは外で遊べるし、住民は周辺を安全に歩き回ることができる。地雷をひとつまたひとつと除去するたびに、それを見ている住民は危険な作業をする兵士に感謝の言葉をかける、兵士はそれを聞いて、自分の仕事が役に立っていると実感する。そのことが兵士をハッピーにする。
こういう好循環を繰り返すことで、兵士は普通の市民へ戻っていき、二度と武器を手にすることがなくなる。
文章を通して、どれだけ具体的なシーンをイメージできるかが大事なのである。あとはそのイメージを自分の日本語語彙の範囲で表現すればよい。
この高2の生徒は8月初旬には高校3年生の教科書を読んでいるだろう。40s前半の英語の偏差値が60を超えるのがいつになるのか楽しみである、そしてそれがどこまで伸びるかは本人しだい。偏差値70をクリアできる科目があれば受験はずいぶん楽になる。
< 余談: 教員の英検準1級取得率 >
今朝5時ころのNHKラジオ放送で、高校英語教員の英検準1級取得率が57%、中学校の英語教員は3割を超えているという解説があったが、これはデータがおかしい。
おそらく「英検準1級相当」ということで、いろんなものが混ぜられて「英検準1級」にカウントされている。以前に弊ブログで論じたことがある。
根室高校では最近準1級を受験した先生がいるようだが、合格していればただ一人である。ましてや、市街化地域の3中学校の英語の先生で準1級取得者は一人も居ないだろう。文科省は「英検準1級○名○%、英検1級○名」「TOEIC800点以上○名○%」とちゃんとしたデータを公表すべきだ。
そうでないと根室の学校の英語教員は、異常に英検準1級取得者が少ないということになりかねない。こういう好い加減なデータ公表は誤解の元だ。
根室市教委さん、市内の中学校の英語担当教員に英検準1級所得者がいるなら、どの学校に何名いるのかデータを公表してあげたらいかが?スキルアップに努力を惜しまない教員は大いにほめてあげよう。
< 余談-2:データ >
中学校英語教員数 31,487人
高校英語教員数 29,255人
合計 60,742人
英検準一級年間合格者数は約4000人、合格率15%。
このうち、3%が英語の先生になったとして試算すると、
4000×3%×38年=4560人
4560人÷60,742人=7.5%
中学校と高校の英語担当教員で英検準一級「純正取得者」数の推計値はおおよそ7.5%である。これが20%なんてことはとても考えられない。「英検準一級相当」なんてインチキ・データではなく、本当のデータを検定の種類ごとに実際の数字を公表すべきだ。おそらく惨憺たる数字が出ている。文科省はデータを収集して知っているから、こんなあいまいで出鱈目な数字を公表しているのだろう。
*中学校と高校の英語教員数推計値(文科省:平成19年10月1日現在)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/082/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/02/18/1301726_03.pdf
データから見る英検準1級
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/082/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/02/18/1301726_03.pdf
70% 20%
The Challenge of Disarmament ですが、
「兵器の排除という難題」
とも読めます。
challenge は立ちはだかるようなイメージで、
Ebisu-san's homework challenges me.
(ebisu さんの宿題しんどいんだよなぁ。)
などと使えます。
up for と同じ感じです。
カタカナ英語のチャレンジは、立ちはだかるものに果敢に取り組むイメージですが、「果敢に取り組む」の部分は、場面によってですね。
本文の文章なら、たぶん「果敢に取り組む」チャレンジでいいのでしょう。(おそらく、日本人の英語でしょうし。)
英検2級後のほんものの英語のためには、上記イメージにも触れてあげてください。力のある子ならおもしろがって吸収すると思います。
by 後志のおじさん (2016-07-24 18:28)
後志のおじさん
立ちはだかるイメージですか、これは便利です。
気合を入れないと乗り越えられませんね。
元の英文はネィティブかもしれませんが、そうだとしたら高校生向けに日本人がリライトしたものでしょうね。
イメージは生徒に伝えます、ありがとうございます。
by ebisu (2016-07-24 18:58)
断続的な投稿になってすみません。
, giving them up とand gave them up ですが、
書き言葉と話し言葉みたいなものでand gave の表現は物語文ではよくあります。
逆にハリーポッターなどで、,giving them みたいな表現が出てくると、重々しさが私を叩きます。
「分詞構文」なるもの。
私にはなんだかさっぱり解りません。
文の中心(SVO 部分)の前か、後にあるものは全てVに繋がる副詞。繋がり方はどうでもいい。つまり、「言い換えの接続詞」は何でもいい。
だから、ebisu さんの挙げた、, giving も、私にはand で繋がる分詞構文」なるものに読めます。
「構文」ってなんなのでしょう?「日本の高校英語」(大学受験英語)の世界と、「漢文」でしか、「英語」しかできない私は、みたことがない言葉です。私には全く理解出来ないJergon なのです。
by 後志のおじさん (2016-07-26 23:02)
後志のおじさん
and gave というような表現が物語文にはありますか。
わたしの読むものにはほとんど出てきません。
わたしの読んでいる範囲が狭いのでしょう。読んでいるジャンルが後志のおじさんは広いということ。
givingは重々しく響くのですか、わたしは単なる修辞上の配慮だと理解しています。
だから、文頭に使われる「分詞構文」とは区別しています。後続するので、同じ主語が省略され、マーカとして~ingが付与される。こういう理解は統語論の影響かもしれません。
「構文」の定義ですか?
大学受験参考書では使っていませんか?
「分詞構文」という用語を使っていない大学受験参考書はないと思いますが。
超有名な受験参考書である江川泰一郎『英文法解説』の第18章は「特殊構文」というタイトルになっています。
安井稔著『改訂版英文法総覧』では「32.3. 「It is ~that ...」の強調構文」「36.2. There構文」となっています。
わたしが使う場合は、
①文の構成
②語彙配置の規則
というような意味合いで使っています。だから、五文型も、ホンビーの動詞パターン24も、統語論もひっくるめて「構文」という用語を使っています。
ちなみに、大辞林で引いてみると次のようになっています。
「構文:文章の構造。文章の組み立て。」
>「構文」ってなんなのでしょう?「日本の高校英語」(大学受験英語)の世界と、「漢文」でしか、「英語」しかできない私は、みたことがない言葉です。私には全く理解出来ないJergon なのです。
なにかもっと別のところに論旨があるのでしょう。
>「英語」しかできない私は
⇒「英語もドイツ語も堪能な私は」
というのが事実でしょう。毎日やられている同調音読の修行、英語表現の細かいニュアンスまでかぎ分ける研ぎ澄まされた感覚、外交史の専門家、後志のおじさんのそういう面を少しは知っているので、肯けない表現です。
by ebisu (2016-07-27 00:53)
<構文解説について>
高2の生徒と高3の生徒に、わたしがやっている構文解説は、圧縮された句構造を節やセンテンスに書き換えることです。
表層構造を深層構造(simple sentence)に書き換えること。
それも文章の理解に必要な範囲でです。
文法工程指数の高い文章を合理的に理解するために、生成変形文法が便利がよいからです。
全部をそうしているわけではありません。1ページにつき一つか二つです。生徒がつかえなければ素通りします。そういうときは必要がないからです。
学部時代は文法工程指数の高い文章の翻訳がまったくできませんでした。翻訳書の該当箇所をみても、うまいなと思うときと、なんだか怪しい、おそらく誤訳と感じるときがありました。
生成変形文法を知ってからは、そういう箇所の翻訳が楽になりました。
だから、必要な範囲で高校生に「構文解説」をしています。
by ebisu (2016-07-27 01:18)
「分詞構文」なるものに関してebisuさんに議論をふっかけようと思います。(笑)
分詞構文なるもの、
文頭の分詞句で、従属節に書き換えられる。と、定義されそうですが、
私の理解は、分詞句は単なるAdv で、文頭でも文末でもかまわない。文頭なら文全体の条件付けで文末ならば付加的にはたらく、です。so that 構文やtoo to 構文なるものと同じくらい分詞構文という文法用語がナンセンスに響きます。(仮定法は、反実仮想のことと、捉えれば単なる言い換えですからまだ受容できます。)
理屈をこねるしかできない輩が入ってくると不快ですので、本物の英語の例文だけ挙げます。今日はひとつだけ挙げますが、全てペーパーバックから拾うことにします。
次の文、文構造をどうとりますか?
The Lanc crabbed along, the wind pushing it askew.
Lanc 第二次大戦中の英空軍爆撃機の名前です。
by 後志のおじさん (2016-07-31 18:53)
後志のおじさん
夕方まで雨やら霧で冴えない一日を日銀貸借対照表との格闘に費やしていました。こちらはひとまず小休止。
夕食に今年初めてのうなぎを食べて、そろそろ数学の問題でも解こうかと思っていたところでした。
コープサッポロの宅配で取り寄せたうなぎが、意外においしかった。2462円、数日前に食べたマイワシの生姜醤油煮の材料費は油ののった新鮮ないわしが7尾たったの100円だったと女房殿。今日のうなぎに負けないくらいおいしかった。(笑)
胃がないから少量で十分満足なんです、ありがたや、ありがたや。
わたしがあまり好きでない「分詞構文」に話題が飛びましたか。(笑)
前に来る分詞句(副詞句)は主文を条件付けるあるいは修飾するものです。
後置されるほうの分詞句は主文のつけたし、あるいは補足説明です。時間軸で言うと、前のほうが先で、続いて後ろのほうの分詞句が続いて起きる。
ここまでは理解が同じです。
後に続く文は同じ主語を省略して、ingのマーカーをつけるというだけの操作です。前に来る分詞句のような副詞機能の条件句ではありません。
さて、俎板に上げていただいた文ですが。
The Lanc crabbed along, the wind pushing it askew.
The crabbed along something.
The wind pushing the Lanc askew.
という二つの文を重文構造につないだものと考えます。
前置詞alongの後ろの名詞は省略されていますが文脈でなにか明らかなのでしょう。
crabbedははじめてみる動詞ですが、名詞のcrabのほうで動きの見当がつきますね。まっすぐ前には移動できない。横か斜めへの動きを想像させます。
何かに沿って爆撃機が斜めに飛んでいたのでしょう。海岸線にでも沿っていたのか川に沿って遡上していたのか、操縦士がそのように飛行機を上手にコントロールしていた。そこへ風が吹いて飛行機をあらぬ方向へと押し流したシーン。操縦士のあせっている様子が伝わってきます。
時間的な順序に従って、二つの独立した文が配置されています。後のほうの文は主語が異なるので、修辞上主語の省略ができない。
やはり単なる修辞上の配慮の文だと考えます。主語が同じ場合は後のほうの主語が省略されます。違っている場合は残る。句構造にしないで書いたら、子どもが書いた幼稚な文章に見えます。
(前に例示してくれた'and gave'のような表現はこれの一歩手前の文構造です。文法工程指数がひとつ少ない。)
先頭の副詞句として現れる分詞句(いわゆる分詞構文)は理由や付帯状況を表す副詞句ですが、後置されるほうは独立のセンテンスと考えます。
単なる重文構造です。
>私の理解は、分詞句は単なるAdv で、文頭でも文末でもかまわない。文頭なら文全体の条件付けで文末ならば付加的にはたらく、です。
前に来ようが後ろへ回ろうが、同じに見えているのですね。(笑)
後志のおじさんは、わたしよりも、もう一段抽象的なレベルで記号化して見ているのでしょう。
ただ、前に来る場合と後ろに来る場合とでは機能が違う、わたしは機能の違いに焦点を当てて、二つの分詞句を区別しているだけ。
前に来れば複文構造で従属節でありその後ろに主節を従えます、後ろに来る分詞句は重文構造、わたしには別物に見えます。お示しの例文は重文構造です。
配置によって、機能が変わると見ているのですね、現象を見ると慥かにその通りです。
機能が違うから別物というのがわたしの理解です。重文ですからwhenやasを補って考える必要がありません。だから、副詞句という理解はできないと考えます。重文が単なる修辞上の配慮で、分詞句になっただけ。
「分詞構文」という命名がお嫌いなようですね。単なる分詞句、それも副詞句という定義。
時や理由や付帯状況を表す句ですから、副詞句というのはうなずけます。節に書き改めると接続詞が必要になります。
ところが、重文構造の分詞句のほうは接続詞はandのみですから、従属節にしようがありません。
わたしは性質の違いを感じるのです。それを文構造の相違に求めます。
十文例も俎板にあげると何かが出てくるかもしれません、楽しみです。
by ebisu (2016-07-31 20:54)
「分詞構文」という用語は、「現在分詞や過去分詞を含む特殊な構文」という風に読めます。
これは受験英語の用語です。文頭に来る分詞句を指しており、それは副詞節に書き換え可能です。
これに対して、andでつながれた重文の、後続の方の主語を省略して、動詞のingマーカをつけたものは、副詞節に書き換えられません。分詞句ではあっても副詞句Adv.Pではないからです。対等な2文なんです。修辞上の都合で分詞句になっただけ。
だから、Ⅲ文型の場合で言うと、いわゆる「分詞構文」は、
Subordinate Clause, S+V+O⇒Adv.P+S+V+O
重文の場合は、
S+V+O and S+V+O ⇒ S+V+O, Ving+O
由来が違うので、わたしにはどうしても違って見えるんです。(笑)
Adv.P+S+V+O+Adv.P
後志のおじさんのこの定式化は次の条件で納得いくのです。
基本が
S+V+O+Adv.Ps
その変形が
Adv.P+S+V+O+Adv.P
順序をつけて考えるのは、「単純なものからより複雑なものへ」という経済学や数学体系の概念構成やら公理や定理の展開順序について研究してきたからかもしれませんね。それと、チョムスキーの普遍文法が妙にあうんです。
デカルトも『方法序説』の「科学の方法」のところで、同じことを書いています。
なにがより単純なのかと比べたくなり、単純なものからより複雑なものへと順序をつけたくなるんです。そういう風に思考パターンに鋳型ができてしまっているのです。なんでもそういう風に眺めてしまう。
by ebisu (2016-07-31 23:59)
江川泰一郎『英文法解説』をみると、「分詞構文」には、文頭に来るもの、文末に来るもの、中間に来るもの、要するに分詞句がセンテンスの中にあればすべて「分詞構文」としてありました。
由来は無視、機能も無視、とにかく分詞句がセンテンスの中にあればすべて「分詞構文」でした。分詞構文とはどうやら「分詞句を含む文」という意味でした。
知りませんでした、不勉強を恥じます。大学受験で英語の勉強をしなかった後遺症でしょう。(笑)
文末に出てくる分詞構文の用例は重文でした。
The typhoon hit the city, causing (=and caused) great damage. 同書231ページ
分詞構文には二つのタイプがあるということのようです。
(1)Subordinate Clause, S+V+O⇒Adv.P+S+V+O
(2)S+V+O and S+V+O ⇒ S+V+O, Ving+O
専門書、科学・医学雑誌、英字新聞などでは、文頭に分詞句の来る「分詞構文」は非常に珍しい、出現頻度がとっても低い。日本人のスタッフライターの書いた記事に多く出現します。
重文の後続センテンスを分詞句にした形は頻繁に出てきます。わたしの読んだ範囲では、その割合は1対100かもしれません。
<構文という用語について>
どうやら、パターン化できる文を「…構文」と呼ぶようですね。
名前をつけると、教えやすいのでしょう。
「・・・さん」というと、ああ、あの人ねとイメージがわきますが、その類ですね。
「There is(are) 構文」
「It is for…to~構文」
「too...to構文」
これが「構文」の具体例。
前にも書きましたが、わたしが使う場合は、
①文の構成
②語彙配置の規則
というような意味合いで使っています。とくに、表層構造を深層構造に分解する作業と、深層構造から表層構造へ変形していく作業を「構文解説」と呼んでいます。
受験英語の「構文」とは使っている意味が違うようです。
あらためて調べてみて、違いがわかりました。感謝です。
名前をつけるとわかりやすいし覚えやすい。後志のおじさんは、そうした名前をつけずにひたすら「同調音読トレーニング」でたくさんの用例をまるごと覚えてしまった。だから、○○構文という受験英語の言い方が引っかかるのかもしれませんね。違和感はおそらく勉強スタイルに由来するのでしょう。
by ebisu (2016-08-01 01:06)
面白いですね、今朝は安井稔著『改訂版英文法総覧』1996年、開拓社を取り上げます。
分詞構文の定義が違うのです。わたしと同じ定義ですねこの先生。
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「分詞構文というのは、分詞を主要素とする語群が文全体を修飾して福祉的に用いられている場合にいう。この構文では、述語動詞の時制と同時のことを表すには現在分詞を用い、それより以前に起こったことを表すには完了分詞を用いる。分詞構文が、時、原因、理由、付帯状況などのどの意味関係を表すかということは文脈によって決まってくることで、そのいずれであるか常に明確に区別できるとは限らない。」「18.3. 分詞の福祉的用法」232ページ
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安井さんの見解は副詞的用法の分詞句のみを分詞構文と定義していますから、わたしと同じです。
理由は一段下位のclauseに書き直したときに、subodinate clause になるか co-ordinate clauseになるかだろうと推測されます。
文法工程指数を1段階落としたときの文の構造に違いがあるので、別物だという判断です。
安井さんは1970年に『文法理論の諸相』というチョムスキーの構造言語学の著作の翻訳をしていますから、構造言語学的なアプローチを意識するとしないに関わらずしてしまうのです。
だから、重文構造の文で主語が同じ場合の主語の脱落とingマーカーは単なる修辞上の考慮、操作であると考えたのでしょう。
副詞句である文頭に使われる「分詞構文」とは機能が異なりますから分けざるを得ない。かくして、安井さんは文頭の副詞句の機能をもつ分詞句のみを「分詞構文」と定義しました。
わたしは『文法理論の諸相』をもっていますが、買った当時はあまりよくわかりませんでした。
大学院入試の3週間前に仕事をやめて、受験勉強に没頭したのですが、そのときに勉強していた板橋区立常磐台図書館で大野照男著『変形文法と英文解釈』千城書房を見つけて、2・3日読みふけりました。それでようやく大体のところがわかったのです。
その後、3冊ほど英書の解説書やチョムスキー自身の著作を読みました。
おそらく、チョムスキーの普遍文法理論を学んだことのある者には、副詞句である分詞構文と、重文の変形に過ぎない分詞句は別のものに見えるのです。由来が異なりますから。
由来を無視して、表層構造に現れた分詞句だけみると、文頭に来るのか文末に来るだけのことで、同じではないかという議論が成り立ちます。江川泰一郎がそういうスタンスですべての分詞句をごった煮にして「分詞構文」の説明をしています。後志のおじさんと同じスタンスと考えられます。
さて、ここからが後志のおじさんとわたしの議論の要点です。
(2)の重文に由来をもつほうの分詞句が副詞句でないことは後志のおじさんも認めることができるのではないでしょうか。
「前に来るか後ろに来るか」という場所の違いだけでなく、機能の違いがある。
一致できるのはこの辺りまででしょう。
構造言語学をベースに考えるか、否かで判断の相違が生まれます。
他人様の問題意識、疑問に付き合うというのは、大事なことなのです。自分では当然と思い込んでいるので、絶対に出てこない視点からの問いかけがあります。自分の知識の整理整頓や強化、そして間違いの訂正に不可欠なもので、それはそれはありがたいことなんです。
後志のおじさんの投稿に感謝。 ... m(_ _)m
by ebisu (2016-08-01 10:37)
10:37のコメントで2箇所「福祉的」と書いたのは漢字変換ミスです。「副詞的」と読み替えてください。
安井稔さんは1970年にチョムスキーの著作の翻訳『文法理論の諸相』を出すのですが、文系と理系の両方にまたがる難解で退屈きわまるこのような本が版を重ねたことは驚きです。
(わたしはこの本を読み通せませんでした。読み通す必要もなかった)
しかし、なぜかそのあとに安井さんはチョムスキーの著作の翻訳をしていません、なぜでしょうね。わたしには理由がわかりません。
『文法理論の諸相』にも『英文法総覧』にも「術語リスト」が載せられています。これはチョムスキーの普遍文法理論の解説書を読むときに便利がいい。
400ページほどある分厚い解説書では、
Transformational Syntax A student's guide to Chomsky's Extended Standard Theory, by Andrew Radford, Cambridge, 1981
薄くてお手軽な2冊は、
'Chomsky' by John Lyons, Fontana Press, 1977
'Chomsky's Universal Grammar An Introduction' by V.J. Cook, Basil Blackwell, 1988
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チョムスキーが書いた'Knowldge of Language'は230ページまで読んだようです。SRLで働いていたときに、仕事の合間を見つけて会社で勤務時間中に読んでいました。八王子ラボで機器担当と年に一度試薬の値引き交渉担当をしていたときのことです。1.5人分の仕事をしていたので、空いた時間は自由に使えました。会社の図書室にある英米で出版されている医学関係雑誌二十数種類も面白そうな記事を見つけては読み漁っていました。楽しい時代でした。そんなことをしていたら、あるとき学術開発本部担当取締役のI神さんが本部スタッフとしてスカウトしてくれたのです。暇をもてあましていると思ったのでしょう、ラッキーでした。
'Knowledge of Language Its Nature, Origin, and Use' 1986
(この本は翻訳が出ています)
英語で書かれた文献を読み、英語に興味がある大学生の参考になれば幸いです。
by ebisu (2016-08-01 19:36)
議論をふっかけたはずなのに、熱中するebisuさんはあれこれ調べてしまうから、議論になりませんね。(笑)
本物の英語を「速く、正確に」読み、書き、聞き取れて、話せる。これが英語学習の本来の目的のはず。
いろいろなアプローチがあって当たり前。どんな手法でもいいでしょう。前段の目的をはずしていなければ。
「構文」なる大学受験英語Jergon が嫌いな理由、文全体をみてから訳して初めて意味がとれる頭を作ってしまうから。日本語を読む時に、いちいち遡って読むでしょうか?
頭から読む。翻訳しない。イメージを正確にとる。このためには「構文」などという「訳文固定化作業」は百害あって一利なし。教える側の便宜優先のJergon だと思います。(ebisu さんの「構文」concept なら納得できます。)
また、分詞構文なる語が、さらに輪をかけて嫌いな理由(この語を知ったのは、冬の生徒に関わるようになってからで、私が大学受験勉強をしていた時は、完全にthrough していましたね。)
文頭に、
①In my cace,
②To be with her
③Being with her
ときたら、
①なら間違いなくAdv としてV につながる。②③は、保留しておいてS Vが出てくるとAdv 。S なしで VならSとして読んでいます。この読み方で100%問題なく、どんな英文でも私は読めます。
なのに、 大学受験英語の世界では、
①は、何の説明もなし。
②は、「不定詞」の「名詞用法」やら「副詞用法」だそうで。
③は、「分詞構文」か、「動名詞の主語」。
馬鹿馬鹿しくて相手にする気すら失せる世界ですわ。
英検2級は、一つの目安、目標としては価値がありますけど、英検2級ごときでは、本物の英語の片鱗すら触ることはできない。(断言します。)
ハリーポッター1ページ、情けないことに、私1分半~2分かかります。でも、英検2級レベルでは、1時間かかってまだ理解できないでしょうね。最初からまっすぐに教えれば、語彙だけに問題は絞れるのですがね。
私には、生成文法という文の見方は新鮮です。過去何年も、英語に関して論を交わしてきたにもかかわらず、なるほどそういう捉え方もあるのかぁ。という感じですね。
自分のものとなった知識で成果があるものを、自分の言葉で伝える。だから教わる側にひしひしと伝わるのですよね。
(でも、さらに続けて議論をふっかけようと思います。お楽しみに。笑)
by 後志のおじさん (2016-08-01 23:43)
後志のおじさんに触発されて調べてみたら、わたしの理解とはかなり異なる江川泰一郎『英文法解説』あり、わたしと同じ安井稔『英文法総覧』ありですから、案外大きな問題があるのかもしれないと思いはじめました。
大野照男『変形文法と英文解釈』もついでですから調べましたが、分詞構文は従位接続構造の場合に限定しているので、安井さんと同じでした。
>本物の英語を「速く、正確に」読み、書き、聞き取れて、話せる。これが英語学習の本来の目的のはず。
学校英語の目標がそうであることは認めますが、わたしの英語学習の動機は知的な関心のわいた分野の英語文献を読むことです。
日本人が日本で暮らすのに、ネイティブ並みの「読み書き・リスニング」能力が必要でしょうか?
根室に戻って14年、外人と話したことはありませんから、そこまでのニーズがありません。CNNニュースを100%理解できたら、それは快感でしょうね。
時間は有限、他にやりたいことがたくさんありますから、英語は読めれば充分というのが私の基本スタンス。
後志のおじさんが目標とするような人は千人に一人いれば充分だと思います。おっしゃるような能力をもっている人は滅多にいません。偏差値67-70の大学・学部出身者でも、そう数は多くないでしょう。後志のおじさんの同期で、あなたと同じレベルの人がたくさんいたなんてことはないでしょう。あなたは英語のスキルに秀でておられる。それだけの修行も積んでいます。
それでこのように思うのです。普通の人には後志のおじさんの目標は過大すぎませんか?普通の人が英語のスペシャリストになる必要はありません。
数学の得意な人は英語はある程度読み書きができればいいではありませんか?
>①なら間違いなくAdv としてV につながる。②③は、保留しておいてS Vが出てくるとAdv 。S なしで VならSとして読んでいます。この読み方で100%問題なく、どんな英文でも私は読めます。
これは同感です。あなたのやり方で読めるでしょう、よくわかります。わたしの読み方も似たようなものですから。変形文法を利用するのは3%程度で、97%は同じ判断で読んでいます。
でも、普通の高校生や大学生を前提にすると、書かれた文章には頭から読んで意味のわからないものがあります。
文法工程指数の高い文です。
生成変形文法に慣れてくると、自動的に基底文に分解して読んでしまうので、頭から読めるようになります。
普通の生徒には変形過程を開示してやらないと、理解が困難です。
経済学の専門書を読んでいたときに、文法工程指数の高い文に出くわし、翻訳書の該当箇所をみても納得がいかないということが何度もありました。かなり良質な翻訳でも、文法工程指数の高い箇所は、前後関係のみで判断したと思われる迷訳がいくつもありました。変形文法を知るまで、訳に自信がもてませんでした。スミスの『道徳感情論』なんて、ほとんどの訳文が日本語になっていない、だけど重要な文献なので原書を読まざるを得ない。そういうときに役に立ちます。重要な箇所は厳密に読まなければいけない。
高校教科書を読むのに、標準的な読解能力の生徒なら、生成文法が必要な文は1ページに一つ出てくるかどうかの頻度です。新聞英語には頻度が高い。特に冒頭の2段落ぐらいは濃度の密な文章がちりばめられていることがあります。
基底文にまで分解してしまえば、中学英語レベルですから、だれにでも理解できます。「意味は基底文にあり」です。
実際には、なんとなく勘と経験で、あるいは文脈で判断して理解しているのではないでしょうか。
変形文法には読みだけでなく、作文へもすこし効果があります。基底文から表層構造への過程がそのまま単純な文から複雑な文への工程を示すことになります。よく読むことは書くことにつながります。
機械的な操作ですから、説明ツールとしては案外便利なんです。
基本は頭から読む、それも日本語に置き換えず、直接英語でイメージするというのは賛成です。慣れた人にはほとんどの文はそれでやれるでしょう。
読むものによって数種類の読み方を使い分けているようです。日本語のテクストの場合と同じです。
わかったことがあります。何を目標とするかで、英語の学習スタイルがかなり違ってくるということ。
たっぷり時間をかけて、感覚を磨いたあなたのスキルはうらやましい気がします。
NYで数年仕事をするチャンスが一度ありました。そちらを選択していれば、あなたと同じ目標を掲げたでしょうね。
by ebisu (2016-08-02 01:47)
あなたの思いの乗った大事な言葉に言及するのを忘れていました。ごめんなさい。
>自分のものとなった知識で成果があるものを、自分の言葉で伝える。だから教わる側にひしひしと伝わるのですよね。
あなたが数十年間修行を積んで成果が著しい学習法を集まってきた生徒たちに自分の言葉で教える、実践者自らが語るからこそ伝わるものがあるというのはまぎれのない真実です。
うれしい主張にめぐり合いました。
そこまでお聞きしたので、もう一歩踏み込みたいと思います。わたしの土俵ですがしばらく辛抱ください。(笑)
経済学の体系には公理・公準があります。公理・公準とは学の前提ですが、それを選ぶのは情緒です。
情緒が何を選ぶかで出来上がる体系がまったく別のものになります。
工場労働の淵源を西欧の奴隷労働に求めたから、マルクスはそれからの解放を願いました。共産主義が人類を奴隷労働の苦しみから救うと。共産主義では実現ができませんでした。人工知能とロボットがそれを実現します。究極的にはすべての人間が失業し滅亡します。簡単な結論ですが、人類はそこに向かってまっしぐらに走っています。
日本人はまったく異なる労働間をもっています。わたしは自分の経済学、日本人の経済学を語るのに「労働」という用語を使いません。「仕事」です。日本では神様も機を織ったり、魚を釣ったりします。仕事は神様もする神聖なことですから、それからの解放という考えはありません。仕事を奪われたと感じます。生きたいる限りは仕事をしていたいのです。肉体を使った手仕事が人間には必要なのです。
経済学の出発点を日本的仕事観に措定すると、『資本論』とはまったく別の経済学が成立する、そして人類の滅亡が防げる術がありそうなことが、なんとなくお分かりいただけましたでしょうか?
そこからが、あなたとわたしの議論に関わりがあります。
英語の学習目標の相違が方法論全体に違いを与えているということが言いたいのです。
あなたはご自分の英語学習目的を次のように明快に定義されました。
>本物の英語を「速く、正確に」読み、書き、聞き取れて、話せる。これが英語学習の本来の目的のはず。
立派です、立派過ぎてわたしにはまぶしすぎます。(笑)
そのような大それた目標を遠くに定めている人は少なくないかもしれませんが、各自に与えられている時間は有限です。どれだけ時間を割けるかという問題があります。
この偉大といえるほど立派な目標を達成できる人は稀です。
わたしは目標をもっとコンパクトに定めました。
「書かれた英語を速く正確に読みたい」というのがわたしの目標です。
そのためには3%の問題のある文章を統語論の助けを借りて読むということです。統語論に限りません、役に立つならなんでも使ってみようというのがわたしのスタンスです。
スタンスの相違が際立っているので、わたしはあなたの方法論が実に気になり、それを知り学ぶことが大きな収穫となりそうなのです。
わたしに欠けているものがそこにあるからでしょう。だからちょっとだけ試して、効果のほどを検証させてもらいました。慥かに験がありましたから、感謝していますし、人にススメもします。
議論がさらに発展しそうな気配なので、本欄へアップして、わたしのほうからも議論の種を提供したくなりました。
読者の皆さんに、とりわけ、英語に興味のある高校生や大学生に刺激的な内容になることを願っています。
2文を採り上げてなぜわたしが変形文法に興味を持つにいたったのか、そして統語論の知識が複雑な文の理解に役立つかを照明してみたいと思います。2番目に採り上げる文のほうは、単純に見えますが、頭から訳して英語でイメージできる学生はほとんどいないのではないかと思います。
さて、どうしましょうかね。例文を先に挙げるか、それとも投稿欄のコメントを先に全部アップしてから、例文を挙げるかちょっと迷っています。
by ebisu (2016-08-02 08:33)
今日はoff です。
問題意識の所在が二つにわかれいるので(混乱させているのは私ですが。)少し整理して、
ひとつめ、
「分詞構文」なる文法用語ですが、やはり曖昧なもののようですね。諸説とも共通するのは、従属節であることでしょうか。(実は私は「英文法書」なるものはもっていないのです。辞書を読めば用が足りるので。)
例示した文ですが、
後半をand ではなく、
for the wind was pushing it askew.
とfor でつないだら、従属節にかわります。
すると、江川論の「分詞構文」に該当することになります。
ふたつめ、英語の到達目標レベルに関わる部分です。
貴ブロク#2991に私のコメントを収録していただいていますが、いろいろな英語ユーザーがあって当たり前です。だから、私は自分の趣味的な世界を他人に押し付けるつもりは全くありません。(私のトレーニングには、実は「同調音読」の前段階があります。)
ただ、ebisu さんが教えてきた経験を振り返って、学校の授業だけで真面目に高校の英語をこなして頑張って英検2級をとった子がペーパーバックやらMonday Nikkei やら大学の専門書を自力で読めると思いますか?(中にはいい先生もいるだろうけど。)
自分を振り返ってみても英検2級程度では基礎ぐらぐらで訳語からたどって辛うじてでっち上げる、位が関の山でしょう。本人にしてみると、あんなに頑張ったのにまだ………?という、失望感に襲われるのではないでしょうか?
だから、私は自分の苦労したことをショートカットして冬の生徒に伝えてきました。
英文の作りは
Adv + SV + Adv が基本。
日本語にはない英語の感覚で、自分が教わりたかったこと、
i. e . 冠詞の中心概念、前置詞のイメージやいろいろな語のイメージを。
ついでに、自分の中学、高校時代の勉強のやり方など。
ebisu さんもおそらく自負されているでしょうが、自力で読めるようにしてあげらるには生成文法も成果がでる手法に思います。
私の教え方も、それなりの大学にすすんだ過去の生徒たちが一様に感謝してくれたやり方でした。もっとできるようになりたい!と相談してきた奴には、キビシイ趣味的な勉強を詳細に開示しますけどね(笑)。
by 後志のおじさん (2016-08-02 09:17)
辞書を読めば事足りるのですか、英文法書は必要なし、そして持ってもいない、それもすごいことです。自慢していい。(笑)
世の中わからないことだらけ、ひとつわかれば疑問が二つ生まれるぐらいに思っているわたしは、無駄にたくさんの文法書やら言語学の専門書が書棚に並んでいます。いままで考えたこともありませんでしたが、考えようによっては恥ずかしい光景ですね。(笑)
こういうところも、つまり違いも議論しているとわかってきます、だから面白いんです。
>例示した文ですが、後半をand ではなく、
for the wind was pushing it askew.
とfor でつないだら、従属節にかわります。
>すると、江川論の「分詞構文」に該当することになります。
これは少し無理があります。あの文では、後続の分詞句は'and ~ing'としか読めません。変形文法理論ではという限定がつきますが。文頭にあればそう読めます。
状況が異なります。
たとえば、具体的なシーンはこうです。
ドイツの内陸の都市を爆撃するために姿勢を斜めに制御しながら曲がりくねる川を遡上していた、そこへ横風が吹き、飛行機の姿勢が変化を受けてあらぬ方向へ流されたという風に読みましたが、forをつけてしまうと、予想しない方向からの横風を受けて本来水平な姿勢で飛ぶはずの飛行機が傾いた結果、斜めに傾いて飛んでいる姿をイメージします。
基底文が異なれば意味が違うという好例ですね。
forをつけた文例を操作して表層構造にするときには、変形文法学者は文頭の分詞構文だと主張するでしょう。その配置は文末とはなりません。
でも、面白い指摘でした。
ところで、弊ブログ#2991への後志のおじさんの投稿をもう一度読みました。#14,#16,#24に学習法への記述と到達目標とさまざまな英語ユーザの関係への言及があります。
>学校の授業だけで真面目に高校の英語をこなして頑張って英検2級をとった子がペーパーバックやらMonday Nikkei やら大学の専門書を自力で読めると思いますか?(中にはいい先生もいるだろうけど。)
仰るとおり無理です。それなりの修行なしにできるわけがありません。
そのための攻略法のひとつが後志のおじさんの方法です。
後志のおじさんご推奨の学習法と到達目標を採録します。#2991投稿欄からです。
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#14より抜粋
「必須項目」
1. wordと文の覚え方をきっちり指導して、テストでモチベーションを維持すること。
2 英文の構造を、せめて5文型程度でもいいから日本語との対応を理解させること。
「将来の英語力向上に望ましい項目」
1. リスニング能力
2. 通じる発音
3. 語の、イメージ的、概念的理解
特に、冠詞と前置詞(分速150語以上のスピードで読むor 聞く上で、決定的に重要です。)
こんな風に私は考えています。(みんなが英語ペラペラ←このペラペラが日本人の正体不明の憧れみたいに思えてなりません。になる必要はありませんから。)
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#16より抜粋
全国の底辺の北海道の底辺の後志では、中3の10%くらいしか取れませんから。根室釧路も同じようなものと思います。まずは底辺の拾い上げをやって、次に首から上を引っ張り上げるのが順当かと。
第一ステップ
アルファベットをきちんと書けるようにさせること。(北海道では、こうしたことすら学校では行われていません!)
aとu、hとn とr 、vとrの区別がつかない子が多いですよね。
第二ステップ
文として、語の区切りを正しく書けるようにさせること。中学生の半数以上は、語がどこで切れるのか不明な、ただアルファベットを並べただけのものしか書けません。
第三ステップ
語の覚え方。ebisu さんや合格先生が書いておられるやり方で、中2くらいまではよろしいかと思います。早ければ中1の半ばくらいから、ただ音読して書くだけでいい。一度に書く回数は、一回。多くとも3回。これを最低30回時間をずらして繰り返す。10語なら1度に1分くらいしかかからないから30回やってもせいぜい30分です。
文の練習方法
初め、見ながら音読、見ないで言えるまで。言えるようになったら2回文を見ないで書く。
上級者をめざすなら、一文をエンドレス再生をかけて、音にあわせてすらすら言えるまで練習する。
たいして時間はかかりません。中学生なら一日1時間くらいでしょうか。
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(24): S
毎日最低2時間は、英語の勉強をしています。10000mに上がったゼロ戦みたいなもので、ちょっと気を抜くとレベルが落ちてしまう。
ラジオの実践ビジネス英語や英語リスニングを、ラジオサーバーにおとしてリピート再生して一文ずつ文字を見ずにover lapping10回できるまで聞きこむ、それから何も見ずに2回書いてみる。
私の勉強法です。
文を書いてみると、言える言葉でも気がつかなかった文法(文法用語ではありませんよ)に気づかされます。未だに、単数複数が一致していなかったりします。書いてみて、気づくこと多々あり。
学習メソッドとして、手を動かして書くことをは極めて大切だと確信しています。
目標をどこに置くか次第ですけどね。
大学入試問題をゴールとするのは、ちょっと悲しいように思います。ホクダイに受かった程度で、ハリー・ポッターシリーズを読めますかね?
逆に、それを可能にするには?
by 後志 (2015-02-27 23:55)
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http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-04-1
by ebisu (2016-08-02 11:54)
日帰り温泉から帰ってきて、ビールを飲みながらです。
なんかズレがあると感じていたのですが、
, ~ing の時制の把握に原因がありそうですね。
The Lanc crabbed along , the wind pushing it askew.
再掲しますが、私はcrabとpushが「同時」と読んでいます。pushing が後ではありません。
夕方ハリーポッターを少しサーチしましたが、ありますね。
the Half - Blood Prince から
・the opponent had concluded , barely concealing his own broad grin.
・he said , trying to sound braver than he felt.
主文が前、~ing が後とすると場面がちぐはぐになりませんか?
人には薦められない、同調音読前、英検2級後の私の英語トレーニング。
辞書もひかず、意味もとれなくともただひたすら英文をよむ。語学の天才シュリーマンの手法にインスパイアされてですが、Monday Nikkei やら翻訳ものを読んだことのある小説の原本とか。内容は知識だけが頼りみたいな読み方でしたが、無意識下にいろんな英文がストックされたり頭から読むくせを定着させたり、それなりの効果はあっただろうと思います。中高生が、大人向けの本を、よく理解できなくても読むことで日本語の世界を拡げていくような効果とでも言えますか。
でもまあ、よくあんなことを何年もやったもんだと思います。
by 後志のおじさん (2016-08-02 22:17)
お休みのところ、さっそくの投稿ありがとうございます。
温泉から戻って、ビールを飲みながらキーボードを叩く姿が眼に浮かぶようです。
>The Lanc crabbed along , the wind pushing it askew.
「斜めに吹いてくる風に押し流されて、飛行機は傾いた」
そういう読み方が素直ですね。後段の分詞句は状況の補足説明と読めますね。「後段の文章は前段の補足説明」というのはよくあるパターンです。
従属節の分詞構文が後段に来ている例という主張はこの例文ではうなずけます。
ハリーポッターからの引用も二つとも従属節の分詞句=分詞構文が後ろに来たと理解して読むと、状況がよくわかります。
>・the opponent had concluded , barely concealing his own broad grin.
ハリーポッターのオポナントが誰かわかりませんが、「やっとのことで満面の笑みを隠して結論を下した」と読めます。そう読むと主節の補足説明になっています。
公平に比較して、「結論を下し、やっとのことで満面の笑みを隠した」という訳よりも場面にあっていそうです。
あげていただいた、三つ目の文例。
>・he said , trying to sound braver than he felt.
これも主節の[he said]の補足説明と理解したほうが素直です。
「彼は言った、(どのように言ったかというと)彼が感じているよりも勇敢に聞こえるように」
主節と分詞句が同時であるという後志のおじさんの主張に同意します。
なるほどね、従属接続である分詞構文が後段に来る場合があるんですね。三つの実例は重文ではないということになりました。
後のほうの二文は、had concluded と saidが主節の動詞ですから、同じ用法に見えます。この手の動詞の場合に従属接続の分詞句が後置される用例が多いのかもしれません。
>主文が前、~ing が後とすると場面がちぐはぐになりませんか?
なります。
ということは、形にこだわってはいけない、内容をよく見てから従属接続か等位接続(重文)かを判断しろというこということ。
どうやら分詞構文については、はっきり結論がでたようです。(笑)
江川泰一郎『英文法解説』、安井稔『英文法総覧』の分詞構文の解説よりも、後志のおじさんの解説のほうが優れものです。
ところで、シュリーマンにインスパイアされたのですか。大声で音読して下宿のおばさんに叱られながら、3ヶ月ごとに別な言語に挑戦して、完璧に操ったという語学の巨人。トロイの遺跡を発見した人ですね。
>辞書もひかず、意味もとれなくともただひたすら英文をよむ。語学の天才シュリーマンの手法
漢字の白川静先生がよく似ています。甲骨文や金文の文字を一つ一つただ書き写して3万枚も書き溜めて、その意味するところを了解していった。そして最古の漢字解説書といわれた許慎の説文をひっくり返してしまった。手間隙を惜しんではいけないということです。
>中高生が、大人向けの本を、よく理解できなくても読むことで日本語の世界を拡げていくような効果とでも言えますか。
日本語も英語もやり方は同じなんですね、背伸びして読んでいるうちに語彙が増え、洗練された文章が頭の中に自然にストックされてくる。
高校生の時代に背伸びした読書をしました。経済学の専門書や哲学の本を、よくわかりもしないのに、辞書を引きながら読むうちに専門用語の定義がわかり、語彙が増え、読んでいるうちにしみ込むように文意がわかってくる。
公認会計士2次試験問題の答案練習はアウトプットのトレーニングになっていました。読書によるインプットと答案練習のアウトプットとバランスの取れた学習をしていたようです。偶然の賜物でした。
英語も同じ、意味がわからずともお構いなしに、辞書を引きながら読み進む、そうしているうちに語彙が増えて文意が読み取れるようになります。誤読があってもいい、誤読を重ねるうちにわかってきます。読みたいものがあればいい。好奇心をもて。
後志のおじさんもそういうことを若い人たちに伝えたいのだと思います。
中高生の皆さんは、無理をしてレベルを上げたテクストをたくさん読んでください。
楽しい議論でした、大きな収穫がありました。既存の変形文法理論では掬い切れない部分があることが明瞭に理解できました。
by ebisu (2016-08-03 00:10)
楽しんで頂けたようで何よりです。
若干の補足をさせてください。
①and do と(カンマ) doing ですが、doing はたいがいは同時と読んでいるので、andに置き換えられる時に少し違和感が生じて書き言葉っぽく響くのです。まあ、doing でつないでいくのは新聞やニュースに多いといえばそれまでですけど。ただ、この効果を狙ったかな?と思われる文が、Anne of Green Gables にあった記憶があります。(本はどこかにいってしまった。)
あと、and do の文も小説には多いです。決して幼稚な文という訳ではありません。ヘミングウェイはand つなぎばかりの多用は極端ですけど例としても、多くの作家は普通に使っています。
②crab along のalong ですが、前置詞は副詞になるケースが多く、動詞にくっついたalongは時間的進行に沿うケースが殆どです。私は基本「ずっと」くらいで頭に留めています。
例示した文ならば、
読み「そのランカスターはずっと斜めに飛んでいた。風が横からそれを押したので」
訳「横風を受けて、そのランカスターは直進できずにいた。」
③barely concealing のbarely ですが、ほとんど…ない、ですからほとんど隠さずに、ですか。
そのうちまた、議論をふっかけることがあると思います。お楽しみに(笑)
by 後志のおじさん (2016-08-04 19:24)
たしかに、付帯状況のdoingを and do と書き換えると違和感があるのは当然ですね。
等位接続なら and do は違和感がありません。
crab along の along は副詞ですか。
GENIUS4版には前置詞として、次の用法が載っています。
walk along the river
sail along the river
walk along the street
動詞+along(副詞)の場合はalongの次に名詞は来ない。文脈から判断できる名詞が省略されているのかと思いました。
副詞としては「(道路などに沿って)止まらずに前へ」「(どんどん)先へ」となっていますから、「ずーっと」というイメージが簡単でいいのですね。
『英語基本 形容詞・副詞辞典』のalongの項を見ますと、alongのあとに名詞句があるかないかで前置詞か副詞の判断をしろと書いてあります。
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Ⅰ概説 副詞用法の along は、「端から端まで」という意味から、継続の意が派生し、「運動の進行」に用いて「どんどん」の意や「状態の進展」を表すようになった。前置詞用法としての意味は運動とその対象物との平行的な位置関係を表している。
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前置詞や副詞をネイティブ並に理解できるようになることも目標に設定されていましたね。
そういう問題意識で英文をたくさん読んでこられたのですから、並みの域をはるかに超えています。
>③barely concealing のbarely ですが、ほとんど…ない、ですからほとんど隠さずに、ですか。
barelyには肯定的な意味(かろうじて、なんとか、やっとのことで,...肯定的に〔かろうじてできる〕に焦点がある)と否定的な意味(ほとんど...ない)の両方が辞書には載っています。文脈で判断するしかないのでしょうね。
#3376には追記しておきましたが、『変形文法と英文解釈』のほうには、後置される分詞句で従位接続の例が載っていました。安井さんの『英文法総覧』は強引に整理しすぎのようです。
コーパスを利用できれば、簡単にチェックできたはずですが、改訂版のでたのが1996年ですから、利用できるコーパスがなかったのでしょう。
いい時代になりましたね、これから文法書を書く人は、コーパスで容易に文例を検索できます。
1972年に『変形文法と英文解釈』を出された大野照男さんの方が、さまざまなジャンルの本をたくさん読んでいたということかもしれません。
濫読の効用でしょう。
by ebisu (2016-08-04 22:43)