SSブログ

#3230 市立根室病院事業会計「基準外繰入金」について Feb. 5, 2016 [31.市立根室病院経営改革メモ]

 市長が病院事業基準外繰入金について答弁拒否をしたと#3227へ投稿がありました。「基準外繰入金」なんて、なんのことかわたしたち一般市民には理解不能と思えるので解説します。

==================
世の中が「負の連鎖」が続いている

しかし根室の「負の連鎖」は深刻レベルになっている
議会が基準外繰入金の公開を拒否という答弁があったらしいです。
参考URL:http://nimuoro.lekumo.biz/honda/

ふるさと納税で全道2位という新聞報道があった。
約10億円近くの泡銭で何をするのか?
気になる?気になる!?気になる!!
by 相川始 (2016-02-05 08:00)
==================

 「議会が基準外繰入金の公開を拒否という答弁があったらしいです」、これは「議会で」ということでしょう、校正ミスだと思います。
 URLは本田市議ブログでしたが、該当の箇所を見つけられませんでした。市長が基準外繰入金の公開拒否というのは驚きですが、これは秘密でもなんでもありません。

 わたしは平成18年度の市立病院決算書がほしくて当時の市役所財政課を訪ねたことがあります。係長が出てきて決算書のコピーを渡してくれました。内容の確認をしたいので10分間ほど時間が取れるかと訊いたら、快く承諾してくれて、いくつかの質問に丁寧に答えてくれました。
(苗字に覚えがあるので尋ねてみたら、私の家の裏庭と係長の生家の裏庭がつながっていました、狭いものです。その後財政課長となり公務中に亡くなりました。根室に脳外科があったら助かったかもしれません。)
 以下そのときの質問を紹介して、以下平成18年度の市立根室病院事業決算書から基準外繰入金の解説をしたいと思います。

 医業収入には3項目あります。
 (1)入院収益 12億3368万円
 (2)外来収益 11億4944万円
 (3)その他医業収益 1億4446万円

 この三番目の「その他医業収益」が国庫基準外繰入金に該当します(企業会計基準でこういう項目を売上収益に含めて計上したら、粉飾決算と認定されます)。
 国庫基準外繰入金は、道からのものと根室市の一般会計からのものと2種類あります。
 医業外収益項目中からピックアップしてご覧に入れましょう。
 (2)一般会計負担金    3739万円
 (3)道補助費         109万円
 (4)一般会計補助金  7億4639万円

 国庫基準内繰入金と国庫基準外繰入金の両方を合わせても8.9億円にすぎません。これが実質的な病院事業の赤字額です。
 現在これが17~18億円(国庫基準内繰入金は9-10億円規模)に膨らんでいます。

 国庫基準内に赤字を減らせばいいと本田市議がブログに書いていますが、これはちょっと問題があります。国庫基準内補助金が基準が変更になり現在は9-10億円に膨らんでいます。国庫基準は随時変更があるので、これを赤字許容額にすることはできません。
 当面の目標として、平成18年度の赤字額程度に赤字削減をするというなら是認できます。長谷川市政以前に赤字額を縮小するということなら当面の目標として納得できます。

 繰入金の推移を見れば一目瞭然ですが、病院事業赤字額は長谷川市政の8年間で経営改善どころか真逆の結果を出し続けて、うなぎのぼりに増大しています。年間赤字額は2倍になりました。

 市の広報でも繰入金を病院の経常収益に参入していますが、こんなことを企業会計でやったら粉飾決算となります。公的会計基準による決算書は粉飾決算そのもので、こんな報告で企業の経営実態を判断できる市民は一人もいないでしょう。だから夕張市は突然に財政破綻したのです。民間会計基準での決算を義務付けていたら、夕張市の財政破綻はなかったでしょう。

 市議会がやるべきことは、民間会計基準で市立病院事業決算報告と経営改善目標値の公知(広報根室へ掲載)の義務付けを市議会で決議することです。そうすれば、すべてが明るみに出ます

 経営改善をするのに社員に決算データを隠す民間企業はありません。決算データを公開するところから経営改善が始まります。予算もそれぞれの部門に割り当て、内容を検討させて積み上げます。こういう当たり前のことを何一つしていないのが市立根室病院です。基本に忠実に仕事をすれば、それがそのまま経営改善になります。難しいことではないのです、当たり前のことを当たり前にやるだけでいいのです。ずっと市役所勤務で、経営改善の基礎知識も経験もない長谷川市長もまだいるのかどうかわかりませんがS参事にも荷が重すぎる仕事です。結果が証明しています。すなおにどうすればよいのか知識と経験のある者に訊けばよいのです。訊く度量すらないから赤字を減らすどころか、拡大し続けています。

 根室の企業は社員や従業員へ決算情報を公開していない企業がほとんどでしょう。そういう企業に未来はありません。決算情報を公開し、積み上げで予算を決めて、予算を達成したときの利益配分についても社員に約束をする。企業経営としては常識です。
 優秀な人材を確保したければ、市立根室病院も根室の地元企業も経営スタイルをあらためる必要があります。ずっと根室にいると時代から取り残されてしまっていることに気がつきません。

 浜中農協の石橋さんのように、浜中にずっといても時代の先端を走り続けている人がいます。
 根室の経営者にも札幌に何店お店を出し、東京丸の内にまで出店した花まるの清水さんという人もいるんです。清水さんは稲盛和夫の経営塾に飛び込みました。
 石橋さんと清水さんに共通しているのは一生懸命に学ぶ人であるということ。人生のある時期に一生懸命に学ばない奴はダメということ。



*#3227 毒を食らわば皿までも 日銀マイナス金利導入 Jan.30, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30?comment_success=2016-02-05T09:14:10&time=1454631250


      70%       20%      
 
日本経済 人気ブログランキング IN順 - 経済ブログ村教育ブログランキング - 教育ブログ村


<追記>11時55分

====================
ebisuさんへ

H議員の記録の中に

【市長答弁】
・当面の目標は基準外繰入の圧縮。
・現状、15から16億円くらいの繰り出しであるが、このうち基準外繰り入れは6億円程度である。
・管理者はこの6億円を限りなく0にすることを一つの目標として、この圧縮に取り組んでいるが、中々圧縮できない状況にある。
・当面は、3億円程度の圧縮を目標にしたいと病院の目標も受けている。
・ただ、市民にこのような状況をすべて知らしめることには良し悪しもあると考える。
・医師のモチベーションの問題等もあり、情報公開に関しては、管理者等と充分に連携を図り対処するよう努める。

とある。
圧縮の目標と情報公開に関して記載されています。
視点を変えると、医師のモチベーションを守るため、情報公開しないと言っているのと同じです。
by 相川始 (2016-02-05 09:29) 

====================


nice!(0)  コメント(12)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 12

財団X

ebisuさん、お久しぶりです。

記事内容を読ませて頂きました。
別に「拒否」したのではなく、公開内容を「精査」するという答弁なので、相川さんが書いた「拒否」ではないと感じます。
※少し飛ばし書き込みの感があります

ただ相川さんの視点を変えたご意見は理解できます。
議会は医師を大切にしたい気持ちと市民を守りたい気持ちを天秤にかけているのでしょう。

情報公開した上で、医師や病院勤務者に協力をお願いすればよいだけでは?と個人として思いますが、実際は違うのかもしれませんね。

無制限にコストをかける時代は、すでに終了しており、必要な部分と将来必要になる部分にコストをかけるのが今の時代です。そして不要なランニングコストを極力削減していく必要があります。
ただ個人経営したことのない医者や職員たちにはコスト意識が少ないのかもしれませんね

防波堤に関しても、確かに必要ではあるが、50年後の将来でも必要か?という判断をすると、必要性の判断が鈍ります。
by 財団X (2016-02-05 16:09) 

ebisu

財団Xさん

お久しぶりです。
辟易して医療問題はしばらく避けていました。ほうっておけばなるようになりますから、あえて何かをいう必要もないと感じたからです。

仕事のほとんどは正直にやるのが最短距離を走ることになります。

>ただ相川さんの視点を変えたご意見は理解できます。
>議会は医師を大切にしたい気持ちと市民を守りたい気持ちを天秤にかけているのでしょう。

情報公開して率直に話し合えばよいだけです。


by ebisu (2016-02-05 16:25) 

tsuguo-kodera

 東京駅近くで、年寄りが根室の経済に貢献できそうなお店を紹介いただきありがとうございます。銀座の東急のお店がオープンも楽しみです。
 他の経営者もどんどん東京圏に進出すれば良いのでしょう。私の家の近くはラーメン屋ばかりオープンします。学校のある新小岩もです。
 おまけに中国人が買ったのか潰れた飲食店を中華料理店に見せ替えする事例がたくさんあります。どこも食べられない料理ばかり、和食が好きだからです。
 そう言えばシャープも台湾の会社が買収することになりそうな情勢、本当に情けない。今の社長の奥さまも部下だったこともあり、今でも他人事ではありません。こりゃ潰れますね。
 
 でも、「石橋さんと清水さんに共通しているのは一生懸命に学ぶ人であるということ。人生のある時期に一生懸命に学ばない奴はダメということ。」ここの一文だけは異論あり、コメントします。むしろ楽しむのがいいのでしょう。彼は今のお店やお役様が好きなのでしょう。
 町田片山は勉強家、寝るより仕事が好きな人、周囲のコントロールは顧みず突っ走るのが好きな人だったのかも。甘い言葉を言う部下が好きになるのは豊臣家の滅亡の歴史から学べます。
 私は、創業時のナンバーワンよりオンリーワンの考え方。受けた教育も、個性尊重、求むる所第一義、どこでも何時でも楽しめよ、と叩き込まれたのです。
 先生から良く遊びよく学べと言われ、私たちは、良く遊びよく遊びました。遊びなら天才だと自負していたのです。喧嘩は一番、勉強二番。三時のおやつは文明堂。
 管理の強い会社は御免、子育てもです。でもどこの学校も大学も管理が好きですね。大手塾など学校以上の強い管理。社会が管理し合っている、SNSで。こりゃだめな国になるのは必然です。南無阿弥陀仏。
 お呼びがかかるまでkoderaの創造的な管理でバドクラブを経営するだけになりそうです。管理人様も私も、本当にもったいない。本人ではありません。この国がです。笑うしかありません。
by tsuguo-kodera (2016-02-06 04:58) 

ebisu

おはようございます。

ははは、一本とられました。
------------------------------
でも、「石橋さんと清水さんに共通しているのは一生懸命に学ぶ人であるということ。人生のある時期に一生懸命に学ばない奴はダメということ。」ここの一文だけは異論あり、コメントします。むしろ楽しむのがいいのでしょう。彼は今のお店やお客様が好きなのでしょう。
------------------------------

悲壮感漂わせて勉強したってものになりません、学ぶことも仕事も楽しむ奴には適わない、論語にあるとおりです。

オンリーワンは育てるものではなく、勝手に育つもの、そして環境に応じた育ち方をするのもかもしれません。

関わった生徒たちが、未来にどんな花を咲かせるのか、どんな苦労をして成長するのか、まったくわかりません。困難な時期があっても時々笑いながら過ごし、へこたれずに生き抜いてほしいと思います。

これも同感。

>管理の強い会社は御免

どんな会社にもルールはありますが、「管理の強い会社」というのは息苦しい。
偏差値の高い人材を集めるよりも、色とりどりの人材が集まり、わっしょいわっしょいお祭りのような運営の企業が大きく成長していくのは事実ですね。失敗しても責任を問わない、そうかくとでたらめに聞こえますが、ある程度のでたらめを許容しないと成長の芽が伸びていかないものです。
管理を強くするとせっせと成長の芽を摘むことになりかねません。
by ebisu (2016-02-06 08:28) 

NO NAME

ebisuさん、おはようございます。

tsuguo-koderaさんの書込み読ませて頂きました。
回転ずしについては、東京の銀座にも近々東京2号店ができるらしいですよ

私もナンバーワンよりオンリーワンを目指す指導に共感致します。
ただオンリーワンは勝手に育つものですが、その方向へ導くことができるのが、指導者の存在です。
勉強できる期間に良い指導者に巡り合うことが重要なことなのかもしれません。オンリーワンは素材となる教育なしでは生まれません。

既に日本は管理時代の真っただ中にあります。
監視カメラ、マイナンバーといろいろ監視される環境になっています。
日本の教育は同じタイプを生産する仕組みと考えます。
「定説を破壊」できるタイプは教育時代に排除されるが、それでも自分の意志と理想を貫いた人がオンリーワンになるのかもしれません。

友人が語っていましたが、今の平和は「核兵器」という偽りの兵器が構築しているものであり、今その歪みが徐々に大きくなってきている。その結果がISや中国の台頭などを生み出している。また戦争を無くすことは、人類には困難であるが、生み出さなくすることができる存在である。しかし今教育では量産型の人類だけなので無理である。
世の中を変革をもたらすのは、天才的なオンリーワンもしくは奇人変人的な人間でしかない
by NO NAME (2016-02-06 08:59) 

ebisu

こんにちは、ハンドルネームを書き忘れたようですね。

小寺さんのバドを通じた創造性開発教育は真似ができません。色とりどりでいいのでしょう。

ところで、銀座に花まるの東京2号店ができるのですか、すごいですね。
そろそろ内部管理体制を整備する時期ですね。業務規程、経理規程、人事規程、給与規程、購買業務規程、在庫管理規程などの整備が必要です。
売上規模が大きくなり、社員が増えると、個人企業の管理体制では運営できなくなります。
店舗数を増やし、売上を増やすことで自滅する企業はあんがい多いのです。

教育については、量産型教育であってもはみ出す奴ははみ出します。個性的なオンリーワンは量産型教育からも生まれるのでしょう。
どこかで歯車の掛け違いが起こります。大学に残った連中は、受験勉強に熱心でなかったタイプが多い。
国学院大のEさん、母校の情報科学部のT教授、哲学科のI教授、青森大学経営学部長のT教授、千葉経済大学のS元経済学部長、流通経済大のF教授。
どの人もオンリーワンタイプです。

まあ、のびのびやることです。

世界平和は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教が消滅しない限り訪れないような気がします。千年間も戦争を繰り返しても、皆さん自分の造物主との契約が棄てられないのですから。神との契約だけが唯一絶対で、現実から何も学ばない、思考停止にみえます。
日本の八百万の神々は万物との調和や平和が好きです。
by ebisu (2016-02-06 13:21) 

憂国人

・管理者はこの6億円を限りなく0にすることを一つの目標として、この圧縮に取り組んでいるが、中々圧縮できない状況にある。
・当面は、3億円程度の圧縮を目標にしたいと病院の目標も受けている。
・ただ、市民にこのような状況をすべて知らしめることには良し悪しもあると考える。
・医師のモチベーションの問題等もあり、情報公開に関しては、管理者等と充分に連携を図り対処するよう努める。

医師のモチベーション??

 精一杯働かないのに市民の血税から高額の収入を得ている実態が暴露されれば「やる気が無くなる」とでも。
その最たるのが「管理者」なのだから情報公開する筈もないか(笑)

by 憂国人 (2016-02-08 15:06) 

ebisu

憂国人さん

お久しぶりでした。
思い出しましたが、院長殿、年間160日の出張なんて年度がありましたね。

費目ごとに長谷川市政以前と市立根室病院の損益計算書項目を並べてみたらすごいことになりそうです。
根室市議会文教厚生委員会はこの10年間の損益計算書を細目で並べてみたらいい。

ならべてある程度議論してから、事務長、参事、院長そして市役所財務課長を呼んで赤字拡大(2倍)がなぜ起きたのか具体的な質問をしてみたらいい。
いくつものでたらめな運営があって、現在の結果があります。

でたらめな経営によって増大している部分と、そうではない部分に仕分けしてみたらいい。年間4億円は改善できるかもしれません。

by ebisu (2016-02-08 22:29) 

相川始

私のコメントは飛ばしに思うでしょうがが、今の根室を表してます。

一部の利権者のみが潤い、市民に恩恵がない状態は昔から変わらない

根室病院の損益計算書を見たら、凄いのかもしれない?
新病院になってから経費削減しているように見えん!?
ばーちゃんが入院しているから週末に顔を出すが、毎週何かしら工事などをやっている気がするけど?

内訳で多いのは、医師招致や医師関連の費用と推測ができる
経営状態を把握した上で勤務して頂く医師はどれだけいるのだろうか?

疑問である
by 相川始 (2016-02-09 07:42) 

ebisu

相川さん

おはようございます。

>私のコメントは飛ばしに思うでしょうがが、今の根室を表してます。

本田さんのブログをすこし「読み飛ばし」たところはあったように思いますが、不確かな情報や憶測で書かれたものという意味での「飛ばし」とは考えていませんよ。

5%の「オール根室」はいつまでも広がりません。それはあなたが書いたことが事実だからです。いくつかの個別的な事実を並べることができますが、書いても楽しくないし、あきれてこのごろ書かなくなりました。いけませんね。

>一部の利権者のみが潤い、市民に恩恵がない状態は昔から変わらない

根室人としてじつに情けないと思っています。

あなたが次のように書き込んでくれた、身近に自分で見聞きした情報があんがい大事です。

>ばーちゃんが入院しているから週末に顔を出すが、毎週何かしら工事などをやっている気がするけど?

これも病院運営への市民の関与のあり方のひとつです。
市民一人ひとりが、自分の目で見たことや自分の耳で聞いたことを発信することが根室をよい方向へと変える力となるのでしょう。

>経営状態を把握した上で勤務して頂く医師はどれだけいるのだろうか?

すくなからずいることを期待したいです。
何人かそういう(経営姿勢や病院運営市政への)憂慮を表明して市立根室病院を予定よりも早くおやめになったドクターがいらっしゃいます。
by ebisu (2016-02-09 08:18) 

憂国人

内訳で多いのは、医師招致や医師関連の費用と推測ができる
経営状態を把握した上で勤務して頂く医師はどれだけいるのだろうか?

およそ医師に足元の経済性を見るような感覚を期待するのは無理! 特に医師不足で悩んでいる病院に「行ってあげよう~か、な」と涎を垂らしている医師は就職の条件に自分の希望する道具(超音波、手術器具、内視鏡etc)を強引に購入させる傾向が強い。医療器具には結構互換性の無い物が多いので言いたい放題に買っていては膨大な無駄が生じる。そこで通常は病院内に機器購入委員会などを作り適正な機材の購入を検討するのだが、どうしても医師招聘をしないと困る病院側(管理者側)は委員会をバイパスカットする裏技を駆使したりする(気が付くと既に購入されていたり)。

無駄は機材だけではない。医師そのものが無駄なケースもしばしばある。どこの病院でも短期間しか勤められず逃げ出しては新しい病院に潜り込む、いわゆる「札付き」の医師も結構いる。根室にもかってそのような医師が居た。更に最近辞めた医師も居るようだ。

医療は病院全体がチームと成って機能し収益が挙がる。そのピラミッドの上部に存在する医師は、平均一人一億円の収益が期待されている。勿論この数字は総収入を医師の数で割った期待値に過ぎないが、まあ病院としては一人の医師が稼ぐ目安には成る。だが実際に年間1億円も収益を挙げるのはその従事する科にもよるが結構きつい。例えば小児科などは皆で寄ってたかって手間暇が掛かる割に収益は上がらない。これは元々投薬中心で技術料を低く抑えて来た減価償却出来た過払いの日本の医療保険の弊害なのだが。外科系では昔風の開腹手術より腹腔鏡手術の方が高い。何故ならば昔は「メスとハサミ」が有れば後は医師の技術だけだったが、腹腔鏡手術は道具が高価だ。また多くはディスポなので無駄が多い。しかし最近では多くの手術で腹腔鏡が標準と成って来ている。さらに最近では「ダヴィンチ」なる手術ロボットを導入する病院が増加している。これは手術の本質が分からない(世相やマスコミに影響されやすい)患者の希望や、同じ手術でもより点数の高い術式と機材が宣伝にも成る病院側の思惑、更には自身のキャリアのために新しい手術(複雑なシステム程高度?)をしたがる医師独特の習性などが相まって生じている。同じような意味で内科では心カテを行う循環器の医師が何処でも求められている。勿論急性心筋梗塞などの一刻を争う病態に対処できる体制作りの一環ではあろうが、しかし確かに心カテは取り敢えず儲かる。

こう考えてみると、医療技術や機械の進歩は一体何なのか・・・そこには哲学は有るのか・・・答えは無いのかも知れない。
by 憂国人 (2016-02-09 09:29) 

ebisu

憂国人さん

医師が替わり、使う道具(超音波、手術器具、内視鏡etc)が変更になれば、それに付随して互換性のない消耗品も廃棄と買い替えが生ずる、もっともなお話です。
経営を管理すべき事務サイドがそういう医師に迎合して、経営管理を破壊する機能を果たしてしまう。

>医師そのものが無駄なケースもしばしばある

具体的なお名前が何名か頭に浮かんだのでしょう。投稿欄にも書けることと書けないことがあります。

投薬中心で技術料を低く抑えてきた医療政策が、さまざまな先進機器が導入されることで、コストアップになっているのですか。
市立根室にはありませんが高機能なマニュピュレータのような「ダビンチ」はテレビ番組で何度も見ました。
高額な機器が導入されれば、それに付随してディスポーザブルな消耗品も増え、コストアップになる、医療機器業界にとってはうまくできています。そういう機器を駆使して技術を磨きたいという外科医の職人魂も理解できます。

>こう考えてみると、医療技術や機械の進歩は一体何なのか・・・そこには哲学は有るのか・・・答えは無いのかも知れない。

利益を極大化することが善(全)であるという考えがあらゆる企業や仕事に至上の価値として浸透していけば、人の命を扱う医療だってそのための道具に成り下がるということ。
でも、そうした傾向に抗う一部の医療人がいることも事実です。

何のための仕事か、誰のための仕事か、なぜこの仕事なのか、どういう基本的なスタンスで仕事すべきか、そうした問いを日々自らに問わなければ、仕事は容易に儲けの手段と化し、危ないゾーンに進入してしまうことになるのでしょう。
究極の答えが存在しないから、日々問わなければなりません。

by ebisu (2016-02-09 13:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0