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#3229 マイナス金利の行方 Feb. 5, 2016 [91.経済]

 マイナス金利の行方に何がまっているのかさっぱりわからないというのがほとんどの人の感想ではないだろうか。

 経済評論家の田中直毅氏(国際公共政策センター理事長)がNHKラジオ今朝の「社会の見方・私の視点」でマイナス金利を採り上げていたので、論点をかいつまんで紹介する。

 日銀はマイナス金利へ踏み切ることで、マイナス金利の幅を皿さらに拡大する余地を確保したが、銀行に対して使わないお金がなぜ必要なのかという日銀の問いかけでもある。
 いまのところは日銀と銀行との取引に限定されているが、これが銀行間短期取引に拡大されるのか、そしてさらに銀行と企業間取引にまで拡大していくのかは、だれにもわからない。
 日銀がマイナス金利の幅を拡大していけば、いずれ銀行間短期取引がマイナス金利となり、銀行と企業間取引にもマイナス金利が及ぶ可能性がある。10年国債は金利がプラスだが、8年物はすでにマイナス金利になっている。
 現在の銀行システムがどの範囲のマイナス金利に対応できるのかという問題も発生しそうだ。マイナス金利を想定した仕組みにはなっていない。

 ここまでが田中氏の解説である。マイナス金利を歓迎するのは政府、とくに財務省で、日本国債をマイナス金利で発行できれば、財政破綻を避けていくらでも増発可能になる。現在の超低金利でも年間10兆円ある財政負担も理屈の上ではいずれゼロになる。
 だが、借金はいずれ返済されることになる。モラルハザードを起こしてさらに国債を積み上げたら、負担は次の世代へ先送りされる。

 日銀黒田総裁はまたしても出口戦略をもたぬまま新しい政策に踏み切ったように見える。財務省と結託して日本経済をぶっ壊してしまうことになりそうだ。市場の評価はわずか1週間で株価を戻していることに現れている。株価アップ策としてはマイナス金利は効果がない、しかし、今後株式市場や金融市場にどのような影響を及ぼすのかまるで見当がつかない。
 重症の患者の治療をせずに次々に強い麻薬を射っているようなものだ。


<余談>
 円への信頼が失われれば、預金量の多い大金持ちや企業はリスク回避のために円を売り払って外貨預金に換えることになる。実際にギリシアやロシアでおきている現象だ。いったんこうした流れができたらとめられない。
 国債償還ができなくなれば、保有している個人・企業・銀行そして300兆円を超えて買い入れを続けている日銀に損害が及ぶ。
 じつに危うい金融政策そして経済運営なのである。
 縄文時代以来1.2万年の日本列島の歴史で初めて人口減少時代を迎えた日本が金融政策で経済成長ができるなら、「異次元の金融緩和」でとっくに経済成長が成し遂げられているはずだが、そうはなっていない。少子高齢化が同時に進行する日本で、金融政策によって経済成長が成し遂げられると考えることに無理がある。
 人口減少と経済規模縮小を受け入れればいい。強い管理貿易の下で、海外へ移転した工場を国内に再建して、正規雇用の職を確保し、安定した経済運営をすれば経済格差も縮小できるのである。


*#3227 毒を食らわば皿までも 日銀マイナス金利導入 Jan.30, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30


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