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#3197 中学数学習熟度別授業見直しませんか? Dec. 7, 2015 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 中学校の習熟度別授業は是だと思っていたが、まったく別の意見のあることを知った。ものごとは別の角度からもみないといけない、対立する意見の両方をよく吟味する必要がある。

 ブログ「情熱空間」から
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8263305.html
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2015年12月06日

算数の学力は教師次第

ハンドルネーム、「北のTOSS」さんにお示しいただいた、TOSS代表・向山洋一氏の記事をご紹介したいと思います。実に実に深いです。

●産経ニュース【解答乱麻】
教師力は算数の教え方で分かる TOSS代表・向山洋一
http://www.sankei.com/life/news/151125/lif1511250013-n1.html

《引用開始》
(前略)
 クラスの人数が少なければ少ないほど教育効果があるのであれば、僻地(へきち)、離島などで担任一人、子供一人の学級の子は、学力テストなどで高得点をとるはずだが、そうはならない。学級は、集団があってこそ、教育効果が高い面もあるからである。

(中略)
 中学1年に入学した直後、「小学6年生の計算テスト」「漢字テスト」を実施して、6年生当時のクラス別に平均点を出して比較した。
 クラス別に、つまり担任別に学力ははっきりと違った。
 算数の学力が分かりやすい。
 
小学校の時、「教科書の問題をすべてノートに書いてやったクラス」は高い学力を示した。
 
一方、「先生が出す問題をあれこれ話し合って」「教科書の例題・類題をあまりやらなかったクラス」は学力は低かった。
 特に「ほとんど、できない子」が続出していた。

(中略)
 教科書をこのように活用して授業をすれば、ほとんどの子ができるようになる。小テストもクラス平均90点ぐらいになる。
 ところが、教科書をほとんど使わない教師がいて、かなりの子供が「算数がわからない」状態になる。
(後略)
《引用終了》

記事ではまた、習熟度別クラスの問題点を指摘しています。誰も彼もがいかにも、それがさも良いことと思い込んでいますが、私の意見は懐疑的です。例えば中学生。すでに学力差が大きくなっているのは事実ですが、習熟度別にクラス分けをするのは、「部分的でよい(単元によりけり)」と考えています。なぜなら人数の少なさゆえ、子ども同士の「教え合い」の機会が減り、教師に力がなければ、その教師の学習指導に左右され、「できる子をできなくする」という弊害が大きすぎますから。

そうそう、少人数編成が効果が高いのであるなら、ご指摘通り、僻地ほど学力が高くなるのが道理というものでしょう。がしかし、そうはなっていない。むしろ北海道では逆の結果になってしまっています(秋田では都市部よりも郡部の方が学力が高いそうですが)。とんだ論理矛盾です。

いわゆる問題解決学習。そんなもの、やればやるだけ子どもの学力の伸びを阻害するわけですが、実に分かりやすくかつ説得力のある説明です。教科書を用いない、ここのところ流行(?)の授業も同様。ノートに書かせない、プリントに頼りまくりの授業。そりゃ、できるようになるのが不思議というものです。

塾の場合の一斉授業も、「集団を使って作業効率を高める方法」というテクニックが、実はあるんです。意外に思われるかも知れませんが、例えばこうしたことです。試験前の対策授業。すべてを自力で解かせるのではなく、「周囲の子との相談可」(ただ答えを写すのは不可)とする部分を残しておくんです。すると、「できる子ができない子に教える場面」が出てきます。そこを活用すればいいんですね。

できる子は、できない子に教えることによって、自分の知識・技能が強化されるものなんですよね。なので、基本はできる子とできない子を混在させておいてよろしい。むしろ分離する方が逆効果。ここぞというところだけ分離するようにすればいい。でも、今の教育現場ではどうあっても、はなっから分離させたいらしいですね(苦笑)。

教科書を用いて授業をおこないなさい。
問題解決学習に頼ってはいけません。
プリントに頼ってはいけません。
習熟度別学習に頼ってはいけません。

教科書を用いて授業ができるようになることです。


算数の学力は教師次第。まさにご指摘の通りだと思いますね。
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《ebisuコメント》
 ニムオロ塾で生徒同士の教えあいを観察していると3つのケースがある。

①数学が得意な生徒に苦手な生徒が教えてもらう
②同じくらいの生徒同士が一緒に考える
③同じくらいの生徒で同じ問題をすでにやった生徒がこれからやる生徒に教える

 習熟度別にクラス編成してしまうと、①のケースがやれなくなる。「強い者が弱い者を助けるのは当然の義務」であるが、そういう徳目もこのケースでは教育できる。

 ②と③は習熟度別クラス編成であろうとなかろうと同じだが、学習を通じた生徒同士のコミュニケーションの場ができることをメリットにあげたい。

 ①のケースについては説明が必要である。
 先生の説明を聞いて、ある問題を理解したとしよう。理解しただけでテストのときにできる生徒は少ない。A「理解すること」とB「できること」は違うからだ。ここにC「教えること」を入れたらどうなるか?

 A<B<C

 こういう不等式が三つの項目の間に成立していることは自明だろう。
 「理解した」だけでは「できない」し、「できる」だけでは「教えること」はむずかしい、だれにでも了解できる。
 逆に、教えることができれば、問題を自力で解けるし、内容の理解をしっかりしていなければ教えられない。つまり、教えられたら、その問題については十分理解しているし、その問題を独力で解けるということ、これもまた自明なことだ。

 だから、成績上位の者にとっても、聞かれたら教えてあげることは自分自身のためにもなる。内容の確認すなわち復習ができるだけでなく、人に説明できるほど理解が進む、ここが大事なポイントである。

 おまけが二つもつく、生徒同士の教えあいは、強い者が弱い者を助けるという倫理観を育む。弱い者は強い者に助けを求めてよい。教えてもらったら、ちゃんと「○○君(さん)、ありがとう」と感謝の言葉を伝えたらよい

 習熟度別授業見直してみませんか?



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ZAPPER

教えることは即ち、二度学ぶことである。
これを使わない手はないと思います。
成績上位者、超上位者の勉強のコツもまた、自己講義でありますから。
そしてまた、みんな仲良くなるという効果も期待できますから!
ちなみに、そうしたクラスで塾生同士が結婚したというと事例も存じております。^^
by ZAPPER (2015-12-07 23:04) 

ebisu

ギブ&テイク、そして「ありがとう」の一言。

>みんな仲良くなるという効果も期待できますから!

成績上位者の生徒が下位の生徒に教えてあげる、教えてもらったら「ありがとう」と言う。こういう雰囲気のクラスなら、成績下位の生徒が激減するでしょうね。
学級崩壊も少なくなりそうです。

by ebisu (2015-12-08 00:33) 

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