SSブログ

#3153 財政健全化基準クリア、しかし、・・・:警告アリ Oct. 8, 2015 [26. 地域医療・経済・財政]

 超大型台風23号が温帯低気圧となり根室沖を通過している。サケマス定置網は引き上げ、緑町や梅ヶ枝町1丁目商店街は土嚢を積みシートをかぶせて防護したものの、高潮で行き場を失った雨水があふれて一部冠水した。昨年12月に比べると被害は小さいようだ。
 昨年12月17日爆弾低気圧による水害、そして金刀比羅神社例大祭の8月10日の集中豪雨でも水害があり、今日10月8日が三度目。地球温暖化で海水面でも上がったのかと思えるほど頻繁に水害が起きた。こんなに度々起きるようだと、梅ヶ枝町1丁目と緑町1丁目は閉店する店が出るだろう。

 さて、本題に移ろう。
 10月7日付けの北海道新聞が財政健全化指標を報じた。4つあるうち2つを選んで載せている。実質公債費比率は8.6%で中標津町と並んでいる。この指標が25%を超えると財政健全化団体に指定される。
 もう一つ、将来負担比率というのが載っている。なんだかよくわからないが、住民の将来の負担を表す指標のようで、これが350%を超えると、財政健全化団体に指定されるという。現在96.7%と中標津町の31.8%3倍ほど高いが大きな問題ではないようだ。説明を読んでもよくわからない。行政用語である「標準財政規模」がいくらかすら知っている市民はほとんどいない。市の一般会計予算は170億円だが、標準財政規模がその半分程度だと知っている市議すら少ないのではないか。さらにそこから「償還費に要する経費として基準財政需要額に算入される額を控除した額」と書いてあるのだから、分母がいくらかなんて市の財政課の人間以外の誰にもわからない。分子はもっとわからない、読むのもうんざりだ。まるで本当のことがわからないように計算式やそれに使う用語を作っているように思える。説明を転載するので、読んでみてほしい。わたしの言うことが納得できるだろう。
 財政破綻が公表されるまで、一般市民は真相を知らされないことがわかる。「よらしむべし、しらしむべからず」を絵に描いたような「見事な(=わけのわからぬ)」迷解説である。

http://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/ts/tss/gyouzaisei_gaiyou/zaisei/h25.pdf
------------------------------------------------
  地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき、各市町村において算出することとなっている指標で、地方債残高ほか一般会計が将来負担すべき実質的な負債の財政規模に対する比率である。
  この比率が350%を越えた市町村は財政健全化計画を策定しなければならない。
  なお、将来負担比率は、分母を各市町の標準財政規模から償還費に要する経費として基準財政需要額に算入される額を控除した額とし、また分子は、起債残高全職員の退職手当金といった将来負担額から、地方債の償還等に充当可能な基金や特定財源更には償還等に要する経費として基準財政需要額に算入される額を充当可能財源として控除した額を将来負担見込額として、算出することになっている。
  根室振興局管内市町においては、将来負担比率が350%を超える団体はない。
------------------------------------------------

 太字にした部分は、専用辞書や解説が必要である。そういうものなしに、一般市民が理解できるわけがない。

 では本当の姿はどうなっているのだろう?
 財政健全化指標でいま問題になるものはないものの、わずか135ベッドの病院建て替えにコストカットをせずに総工費70億円もかけたために、起債の辛い償還負担がまっている。「意見書」は将来負担額を大きくしてしまったことにより、将来財政健全化に黄色信号がともっていることを次のように警告している

*「根室市健全化判断比率等の審査意見」http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/072655f020242b59492574fa0026f4b0/$FILE/26kenzenka.pdf
------------------------------------------------

Ⅲ.健全化判断比率等についての意見
健全化判断比率等について審査したところ、本市においては早期健全化の対象となる基準値を超える比率は皆無であった。また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」適用前の平成19年度は、市立根室病院事業会計に資金不足の額があり、当該会計の資金不足比率が「経営健全化団体」の基準を超過していたところであるが、平成20年度限りの措置であった国の公立病院特例債を活用したことにより、資金不足の額は無くなり、前年度も全ての会計で比率が基準内となっていたところである。しかし、これは市立根室病院事業会計の経営状況が好転しているものではなく、公立病
院特例債の活用により一時的に本制度の適用が回避されたに過ぎず、公立病院特例債の償還年数は7年と短期であり、今後の償還が市立根室病院事業会計及び一般会計に大きな負担となるものである。さらには、
平成22年度から4ヶ年計画で進められていた新市立根室病院の建設が平成25年度に完了したところであるが、多額の起債の償還が将来の大きな負担となることは明白である。
従って、健全化判断比率等は平成25年度においては全て基準内に収まっているものの、中・長期的にみると財政状況が更に厳しさを増し、歯止めのかからない人口減少や市中及び国内外の景気動向等の変動により、場合によっては危機的な財政状況に陥ることも予想されることから、全会計を通じて常に的確な財政の将来見通しをたて、健全財政が維持されるよう切に望むものである

------------------------------------------------

 「財政健全化比率等審査意見書」は将来起きる可能性のある財政危機とその原因までちゃんと警告している。
 根室市が建て替えに当たって二度も招聘したコンサルタント長隆(公認会計士)が年間売上25億円以内での建て替えを提案していたのに、それを無視して2倍以上の総工費をかけて建て替えてしまった。こういういい加減な仕事をすれば、そのツケは将来必ず回ってくる、「意見書」は正しくそのことを警告している。
 「オール根室村」の住人たちは、そういう市政のデタラメな運営に決して異論を唱えない。根室の経済諸団体で病院建て替えに際して、費用を削減すべきだと表明したところは一つもない。ダメなことをダメと言わないことで、根室で生まれ育ったはずの「オール根室」の面々がふるさと発展の可能性の芽を摘んでいる。私利私欲を棄てれば、町の発展に寄与できる、そろそろ変わったら?

 北海道新聞は、わけのわからぬ行政用語と数字を掲載するだけでなく、本当の姿がどうなっているのかについても取材して、バランスのよい記事を掲載してもらいたいと思う。

 
*#3146 市立根室病院のH26年度赤字額は17.8億円 Sep. 30, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-09-30 


      70%       20%       10%
 日本経済 人気ブログランキング IN順 - 経済ブログ村教育ブログランキング - 教育ブログ村根室情報 - 地域生活(街) 北海道ブログ村

 


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 2

財団X

財政健全化指標はあくまでも目安であり、真実ではない

約10年前の記事
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-co11200.htm

根室は国から北方領土予算などをない状態で計算すると、たぶん財政健全化指標は危険領域だと考えます
今の全根室人口に対して、住民税や軽自動車税などの地方税等の収入だけでは健全化などは夢でしょう
それは北海道のどの地域も一緒ですがね
by 財団X (2015-10-09 07:30) 

ebisu

財団Xさん

おはようございます。
10年前の資料だと、都道府県別では北海道の実質公債比率は19.8%で長野県についで2位ですね。経常収支比率は99%で全国最悪。

ところで「将来負担比率」計算式の分子には赤字特例債の償還額が参入されるようですが、通常の建設記載の償還額は入らないということなのでしょうか。「・・・充当可能財源として控除した額」と但し書きがありますが、これが曲者。
つまり、将来負担比率は標準財政規模に対する将来負担が全部は参入されていない。

やはり民間会計基準でないと、解説を読んでも民間人にはさっぱり内容がつかめません。
わけのわからぬまま、ある日突然に財政健全化団体指定なんてことになりかねません。
もっとわかりやすい用語や計算式を考案してもらいたい。
by ebisu (2015-10-09 11:22) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0