#3139 釧路市の教育改革の現状(1):資料紹介と目指すべき方向 Sep. 21, 2015 [67. H27年度釧路の学テ・データ分析]
すっきり秋晴れ、今日はいいお天気で空気が澄んでいます、紫外線が強いので帽子をかぶって外を散歩しましょう。
庭の落ち葉をはき集めていたら、乾いた落ち葉がかさかさ音を立てながら漂っていました、のんびりした気分の朝です。
根室さんま祭りの初日、9月19日(土曜日)、あいにくの大雨の中を釧路まで行ってきました。時折路上で上がる水しぶきがきれいでした。一瞬前が見えなくなるのには閉口しましたが。(笑)
「釧路の教育を考える会」が平成27年度の全国学力テスト結果と釧路市独自でやっている「標準学力検査」の分析をするというので、掲示板で議論するだけでは飽き足らず、仲間の顔をみて意見交換がしたくて出かけたのです。
2時間ほど資料を見ながら議論して、今年度の提言書をつくる方向性と仕事の担当が決まりました。あとはネットで議論しながらいつもどおりに仕事が進められます。これから書くことは、「提言書」の露払い程度のもので、話があちこちに飛んだり、あちこちで言いたいことが重複ししますが、ご勘弁ください。言いたいことは何度か繰り返し書かないと伝わらないということもあります。
検討すべき資料は四つ用意されており、その資料を基にした問題提起がありました。
①平成26年度「全道平均との比較達成状況一覧表」
この表では小学校28校と中学校15校のうち何校が全道平均を超えたかがわかります。学校別・科目別のデータは公表されていません。学力の高い帯広では、市内の全部の小中学校の学校別・科目別正答率データが公開されています。学力の低い地域の市教委はデータ公開に消極的になる傾向があります。学力テストデータを公開すれば、学力を上げるツールとして使えるのではないでしょうか。民間会社で年度計画を立てるのに、売上などの数値目標のない会社はないでしょう、学校ではそれがありません。じつに奇異なことです。「教育村の常識は世間の非常識」の典型の一つに挙げていいでしょう。
②平成27年度「全道平均との比較達成状況一覧表」
③「平成27年度 全国学力・学習状況調査の結果について(速報)」
④平成27年度 釧路市標準学力検査の結果について」(4年目)39ページ
これは、釧路市教委のホームページで公開されている資料だからURLを書いておきます。
*http://www.city.kushiro.lg.jp/kyouiku/kyouiku/kyouikuiinkai/k_shisaku/0001.html
②の資料では平成27年度の全国学力テストデータ全道平均「達成と未達」は次のようになっていました。
(未達成,達成) 昨年度
小学6年国語A (13, 15) (6, 22)
小学6年国語B (13, 15) (19, 9)
小学6年算数A (13, 15) (10, 18)
小学6年算数B (15, 13) (15, 13)
小学校合計 (54, 58) (50, 62)
中学3年国語A (8, 7) (6, 9)
中学3年国語B (8, 7) (8, 7)
中学3年数学A (8, 7) (7, 8)
中学3年数学B (8, 7) (11, 4)
中学校合計 (32, 28) (32, 28)
小学校では46.4%の学校、中学校では53.3%が目標未達となっています。昨年度と比べると小学校が学力低下しているように見えます。
釧路市内のすべての小中学校の平均正答率が全国平均値と全道平均値を超えるという目標は、このままでは何年たっても達成できそうにもありません。
<基礎学力保障条例違反の疑いあり>
問題はこの②表の一番左側も「p<-5」区分です。小学校国語Aでは6校、国語Bでは8校、算数Aでは6校、算数Bでは8校リストされています。全部で28校ですから、おおよそ1/4が全道平均よりも5ポイントよりも低いということになります。実際にどれだけ低かったかは、学校別の平均正答率が公表されていないので、わかりません。もし、保護者の皆さんが知ったら、PTAを通じて、学校に働きかけ、学力改善にいっしょに努力するでしょう。
中学校では全道平均よりもマイナス5ポイント以上低かった学校の数は、15校中、国語Aは3校、国語Bは5校、数学Aが2校、数学Bが1校となっています。
全道平均よりもマイナス5ポイント以上低かった学校は、基礎学力保障という点から見ると、「釧路市基礎学力保障条例」違反の疑いがあるという意見が数人から出されました。これらの学校名を公表し、重点的に学力向上への具体的な取り組みをし、次年度の学力検査でどのような結果となったか、取り組みの効果を検証すべきです。
<民間企業の常識、PDCAサイクルによる管理推奨>
PDCAサイクルを回すには、数値目標を設定する必要があります。民間会社で年度計画で売上や費用を項目別に目標設定しない会社はありませんが、学校ではなぜか数値目標の設定をしないのが当たり前になっています。民間企業と同じような体制で学力向上に関する年度計画を立案し、結果で検証すべきだと素直に考えましょう。そのために、学校別・科目別に学力テストデータの公開が必要です。
<余談>
学力の高い地域である帯広市は市内のすべての小中学校はホームページ上で、平均正答率を公表しています。
根室市は根室市全体の平均正答率は公表しているが、学校別の平均正答率を公表していません。帯広市教委と帯広市内の学校のようにホームページ上でデータを公開すべきです。論より証拠、学校別の学力テスト・データを公開したことで、帯広で何か問題が起きているという話はありません、なんでもないのです。児童生徒たちは学力レベルが高いことに誇りがもてます。教える先生たちもね。日ごろの指導の成果を、数値データで確認できます。年度計画で数値目標の設定と検証作業もできます。とってもいいことです。
次回は「釧路市標準学力検査」をまな板に載せます。問題の批評を通して、学年ごとに保障すべき基礎学力とは何かをみなさんと一緒に考えます。
*ブログ「情熱空間」が資料をアップして論評していますので、こちらもお読みください。
「条例違反である!(上)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8151282.html
「条例違反である!(下)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8151310.html
*#2119 釧路市議会学テ公表を求める:基礎学力保障条例 Nov. 7, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-07
#3131 基礎学力保障:釧路市議会の質疑 Sep. 11, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-09-11-2
#3137 基礎学力問題:釧路市議会議長のブログから Sep. 17, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
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