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#3008 大学時代に何をしておくべきか(6) :簿記学習開始11日目 Mar. 22, 2015   [60. 進路(進学・就職)]

  道内大学経済学部へ進学が決まった生徒の簿記短期特訓講座は11日目である。試算表や決算取引に関わる仕訳、そして精算表が出てくるので、急に作業量が増えるから、ここからはテキストの消化速度ががくんと落ちる。例題も含めて見て自分でやってみる、丁寧に全部やれば結局は早く終わる。

 決算取引だから売買目的有価証券の評価損益がでてきた。取得原価と時価との差額が、有価証券評価損勘定か有価証券評価益勘定で処理される、ここで質問が一つあった。
 仕訳例を見て、それが精算表上では「修正欄」で貸借記入されていることをよく見てほしい。決算取引が修正欄に貸借複式記入(以下「複記」と略記)されるが、有価証券の期末評価に関わるものけではなくさまざまな取引が記入されるのである。処理に間違いがなければ、貸借合計は一致する、そこが実務の上で便利この上ないだけでなく、システムとしてみたらじつに美しい。
 「~損」とあったら損益勘定の「費用区分」、「~益」としてあったら「収益区分」という辺りは簡単だが、「支払~」「受取~」は費用か収益か、あるいは資産か負債か初学の者はしばらく迷うことになる。支払家賃と受取家賃、支払手形と受取手形、その区分が何なのか最初の内は時々混乱してしまう。じきに慣れるから心配要らない。

 売買目的有価証券は取得原価で帳簿に載り、期末に時価評価される。会計ビッグバンの2000年以前は「低価法」という評価基準が適用されていたから、売ってもいない株式の評価益を計上することはなかった。だから、銀行や保険会社や証券会社をはじめとして、大企業もグループ内でお互いに株式の持合をして、時価との差額を含み益として留保できたのである。日本企業がつぶれない理由は、この含み益にあった。
 それが株式評価基準が変更されることで含み益に課税がされることになった。持合をする理由が失われ、売買目的有価証券はリスク資産と変わった。いっせいに投売りが起こり、その投げ売られて株式を外人投資機関が購入した。いまでは東証1部上場株式の三分の一が外国投資期間の所有するところとなっている。会計基準の変更はかように経営者たちの行動を変えさせる力がある。会計ビッグバンで日本企業は丸裸にされつつある。会計学者は国益の点から、会計ビッグバンが400年以上続いている世界に誇るべき倫理水準の高い日本的経営を根こそぎ破壊するものであることを警告すべきだ。
 日産自動車やソニーの外人持ち株比率がどうなっているかはシリーズ「資本論と経済学」の最後のところに注記してある。

 日本は会計基準をグローバル・スタンダードにあわせてはいけない。日本企業の強さや、会社が従業員のものでもあるという伝統的な価値観が根こそぎにされてしまう。日本は欧米とは異なる価値観で企業運営をしてきた。
■ 売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし
■ 浮利を追わず

 このような伝統的な価値観は日本の会社が共有する普遍的な価値観であり、だから創業200年を超える世界の会社の半数以上が日本にある。こうしたすばらしい価値観は維持すべきものであって、資本が利潤の手段に過ぎないという欧米の価値観の対極に位置する。
 有価証券評価損益という決算処理は日本経済にとって重大なかかわりを持つ事項であり、経済学部に進学する生徒にはじつに大事なところなのである。

 現金過不足勘定に関わる決算処理すなわち、借方残高の場合は雑損勘定へ、貸方残高の場合は雑益勘定へ振り替え、相殺処理して残高をゼロにするのだが、わかりにくい箇所なので質問が出た。一連の取引を現金勘定、現金過不足勘定に記入してその動きを確かめて行けば借方残高が雑損であることが理解できる。
 精算表から決算書類へと⇒のついていることも質問が出たが、精算表のフォーマットを見ただけで理由がわかる。「先に行けばわかるのだよ、だからわからないものはその旨メモしておいてどんどん先に進めばいい、な~んだそおういうことかとわかるよ、見てごらん精算表がもっと後ろで出てくるから」、そう言ったら、ページを括って確認して納得していた。


 経済学部+日商簿記2級あるいは1級 ⇒ 上場企業本社経理部

 2級と1級ではずいぶんと差があるから、ぜひ1級目指してがんばりぬいてもらいたい。目標工程表を再掲する。

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  第1段階 6月1日の検定試験で日商簿記3級合格
  第2段階 11月9日の検定試験で日商簿記2級合格
  第3段階 来年6月の検定試験で日商簿記1級合格
  第4段階 公認会計士2次試験に挑むもよし・・・、大学生活をエンジョイするもよし、海外留学するもよし・・・

 高校入試の日から勉強をした事務情報科の生徒が1年生の2月で日商2級に合格している。それより一月早く始めた普通科の生徒は1年生の11月の日商簿記検定試験2級(全商検定1級相当)に合格した。これが根室高校歴代最速の日商2級合格である。それまで1年生で日商2級あるいは全商1級に合格した生徒はいなかった。両名は北海商科大学と北海道教育大札幌分校を今月卒業した。

 だから、日商簿記2級合格まではそれほど無理なスケジュールではない。そこから先がちょっと厳しい。
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 #2993 本年度大学受験対策授業終了 Mar. 7, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07

 #2994 大学時代に何をしておくべきか?(1) Mar. 8,2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-08

 #2995 大学時代に何をしておくべきか(2) Mar. 10, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-09

 #3003 大学時代に何をしておくべきか(3) :簿記学習開始8日目 Mar. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18-1

 #3004 大学時代に何をしておくべきか(4) :簿記学習開始9日目 Mar. 20, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-20

 #3005 大学時代に何をしておくべきか(5) :簿記学習開始10日目 Mar. 20, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-20-1

 #3008 大学時代に何をしておくべきか(6) :簿記学習開始11日目 Mar. 22, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22

 #3011 大学時代に何をしておくべきか(7) :簿記学習開始12日目 Mar. 23, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-23



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