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#3007 高校受験が終わった生徒たちは本を読め  Mar. 21, 2015 [47. 語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 道立高校の合否発表が17日にあって、数学と英語の「宿題」を渡されたから、まずそれをきちんと片付けること。小学生ではないのだが、数学の「宿題」は31ページもある。高校生になったら、宿題なんぞ出されなくても勉強はするものだ。

 根室高校普通科へ進学した生徒には7月の進研模試がまっている。数学と英語の平均点は毎年20~30点の範囲内におさまっている。全国レベルの難易度のテストでは百点満点でこのありさまだ、釧路湖陵は60点を超えていると聞いた。

 高校の勉強で一番大事なのは国語だ。英語をのぞいた教科の授業は日本語で行われるから、本を速く読み、意味がつかめないと全教科の成績に重大な影響がある。中学校のように「復習方式」で勉強していたら、学力は見る見る下がっていく、高校の各教科は中学校のときとは比較にならぬほど急激に難易度が上がる。
 教科書と副読本、教科書準拠問題集を受け取って、その分量の多いこと、重いことに驚くだろう。通学用の鞄(リックサック)が3年間壊れずにすむ生徒はほとんどいない。重さに耐えかねて頑丈なものでも壊れてしまう。

 1月と2月に行われた2年生の進研模試国語問題の分量を具体的に紹介したい。

 【1月模試】問題文全文27ページ
  現代文問題1(論説文): 4ページ
  現代文問題2(小説)  : 5ページ
  漢文           : 1ページ
 【2月模試】問題文全文45ページ
  現代文問題1(論説文): 8ページ
  現代文問題2(小説)  : 7.5ページ
  古文           : 1ページ
  漢文           : 1ページ


 本文だけで1月模試が10ページ、2月模試は17.5ページの分量である。このほかに設問文があって、それぞれ合計ページ数が27ページと45ページである。
 試験時間は80分だがこの時間で全部の問題を読みきり、記述式問題に適確に答えるには、相応の読書スピードを要求される。2月の記述式問題で要求される水準のスピードと読解力をもつ生徒は学年120人中わすか2~3人だろう。

 中学校時代に受けていた全国最低レベル難易度の文協学力テストとはまるで別世界で学習することになる。たくさん本を読み、予習方式で3年間勉強しなければとても大学受験などできない。
 ちなみに、文協学力テスト五科目500点満点で、400点は市街化地域の3校中学校で学年トップか4番までの順位が確保できたが、全国模試では偏差値45~48である。
 どういうことかというと、全国の普通科の生徒の平均が偏差値50であるから、真ん中にも届かないレベルだということ。

 難易度の低い問題に慣れきっているから、全国模試の複合問題が手がつけられずに全滅になる。全国模試の数学問題はセンター試験レベルの難易度の複合問題が半分含まれているから、学校の授業だけで50点以上をとることは不可能である。もちろん、根室高校の先生たちは、進学講習と称してしょっちゅう補習をしてくれるが、自分で問題を解かないと実力アップできないのは中学時代と同じだ。

 偏差値50以上の大学(真ん中より上の大学)へ進学したければ、学校の授業を予習方式で勉強して、難易度の高い問題集を使ってトレーニングするしかない。偏差値40の大学は低学力の証明になってしまう。学力レベルでみたら「大卒」の値打ちはない。偏差値40は下位16%である。百校大学があると仮定したら、下から16番目ということだ。

 ついでだから英語長文問題も紹介しておく。ページ数は長文本文のみだから設問文は別。設問にもけっこうな分量の英文が含まれている。
 【1月模試】      2題: 3.5ページ
 【2月模試(筆記)】 4題: 7.5ページ

 さあ、高校新入生、3年間は中学時代の2倍の速度で過ぎていくぞ、先輩たちに訊いてみたらいい、あっというまに高校生活は終わる。時間を無駄にするな、一生の大半は高校時代の勉強にかかっている。

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<余談1:授業速度が年々低下している>
 根室高校普通科2年生の数学授業の進捗について書いておく。
 8年前は数Bは群数列を1月にやっていたのだが、毎年すこしずつ遅れて、今年は学年末テスト範囲の漸化式も群数列も入らなかった。3月になってからようやく今週(?)群数列を終了したようだ。数Ⅱも学年末テストで積分の面積問題が範囲外だった。
 入学してくる生徒の学力が年々低下しているから、授業速度を上げられないという事情があるのだろう。
 再来年から西高校がなくなって、根室高校普通科は「総合学科」となるようだが、数学の授業はどうなるのだろう?一間口(40人)増設されるから、全国模試で百点満点で数学が10点未満の生徒が40人増えることになる。落第はさせないだろうから、著しい学力低下が招来される。いまのところ、対応策は聞こえてこない。このままでは2年後にいきなりクラッシュが起きる。
 根室の経済諸団体、市議会、根室市教委のみなさん、根室高校に何か注文をつけることはないのかね。手が打てなければ、10年後には根室の地域経済の衰退がなおいっそう加速してしまう。
 問題山積みでも、その山を崩せる人材がいまですらいない。今後20年さらに人材枯渇が続いたら根室の町はどうなるのだろう?根室に住む大人たちがいましっかりしないと、根室で暮らす子どもや孫の未来はたいへんだ。

<余談2:読書>
 高2の生徒が福田恒存(フクダツネアリの恒の字は旧字である)訳の『ハムレット』を読んでいた。「最近、模試の国語の点数が低下気味なの」とつぶやいていた。本を読む速度は大きいのだが、深く読んでいないからだろう。哲学書に興味が出ると深読みに慣れてくるのだが、興味が出なければ無理だ。1行や1ページの文の理解に数日費やすくらいのことを繰り返したら、格段に深読みできるようになるものだ。
 彼女は難易度の高そうな、現代文の問題集を本屋で選んできた。1冊やればそれなりの収穫はある。
 『ハムレット』を読み終わったら、貸してくれた。日曜日に読んで返そう。昨年は生徒たちに付き合って、かれらが読む本を20冊ほど読んでみた。感想は「本を読む」というカテゴリーにまとめてある。

<余談3:所得低下に伴う大人の学力低下メカニズム>
 日本総研理事長寺島実郎が昨日のNHKラジオで気になることを言っていた。この十年間で世帯当たりの所得が47.3万円/月から42.4万円/月に減少した。月額4.9万円の減少である。なにが削られたかというと、書籍購入費や新聞代である。その一方で携帯電話がスマホになり支出が増えている。次世代をになう者たちの学力低下が社会人となってからも続くところが以前とは異なっている。国力維持という点からは子どもと大人(=国民)の学力低下は由々しき問題である、そういう主張だった。

<余談4:政府財政破綻が現実になりそうな気配が漂ってきた>
 厚労省発表の最新のデータ「国民生活基礎調査」では、世帯当たりの所得の中央値は432万円だそうだ。夫婦で年額432万円稼いでいることになる。月額36万円が中央値(全世帯を所得順に並べたら、ちょうど真ん中に相当する世帯の所得)である。年金暮らしの老人割合が年々増加しているから、今後もずっと下がり続ける。世帯当たりの所得が低下すれば、消費の減少は避けられない。日本では世帯数の減少(人口減少=少子高齢化)と世帯当たりの平均所得の両方が同時に低下し続けている。この傾向は30年間は変わらないから国民所得全体が長期にわたって減り続けることになる。
 こうしたデータから、アベノミクスの「成長路線」はまやかしであると言える。ピーヒャラ、ピーヒャラ、笛に浮かれて国民というネズミの群れが岸壁に近づいている。もうすぐ次々に岸壁から海へ飛び込んでおぼれ死ぬことになりそうだ。先に何が待っているのか、自分たちの頭で考え、笛に浮かれるのをやめられるだけの学力や判断力が残っていればいいのだが・・・

 日銀黒田総裁がBIS規制の変更で、銀行保有の国債の扱いが変わることに懸念を表明している。銀行保有の国債がリスク資産として扱われるように規制が変更になれば、大手邦銀から大量の国際が市場で売却されることになりかねない。日銀が買い支えたら、世界の金融機関から日銀と日本政府財政は信用を失ってしまう。問題を先送りしているから、切羽詰ってきた。

 日銀の信用失墜と日本政府財政破綻がいつ起きて無不思議ではないような状況が目の前に現れつつある。夕張市で起きたことが日本の国全体で再現される。公務員の皆さんも、国や地方自治体に寄りかかって甘い経営をしている企業も覚悟はしておいたほうがいい。おそらくもうだれにもとめられない。
 ピーヒャラ♪ ピーヒャラ♪ ~


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