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#2849 'Promoting women at work' :2女性大臣辞任 Oct. 22, 2014 [75.時事英語公開講座]

―起―
女性登用目玉商品の小渕優子議員辞職>
 21日の北海道新聞朝刊一面トップに「小渕氏、松島氏 2閣僚辞任」という見出しが載った。参院外交防衛委員会の片山さつき委員長も問題を起こしている。国会と行政のケジメに関する重要な問題だから、小渕、松島両氏の辞任騒ぎがなければ、辞任せざるをえなかっただろう。
 このように分不相応な処遇は人材をつぶすことになる、これらはどれも仕事の重さを考えるとムリな人事だったのではないか?はっきり言うと能力不足。

―承―
 小渕優子(40)は経済産業大臣、明治座への観劇会は一人当たり会費12000円で2000名だが、収入2400万円が計上されていない。費用は交通費を入れると少なくとも1.5倍はかかっただろう。不足分はどうしたのか。他にもいくつか記載漏れや不正流用の疑いがあるようだ。
 小渕優子さんは2000年5月に父親の恵三氏が脳梗塞により急逝してそのあとを継いで政治家になった。後援会組織は父親がつくったものをそのまま引き継いだのだろう。父親が大物だったから、利権がらみのわけのわからぬお金もいろんな企業から入ってきただろう。取り巻きにいいように利用されたのかも知れぬ。
 父親の元を離れて20代30代を働いて過ごしていたら、目配りが違っただろう。2世議員は父親の子飼いの取り巻きを引き継がざるをえない。父親が存命中はいいが、それがなくなると好き勝手に動き出しコントロール不能になる場合がある。きちんとコントロールするのは仕事そのものだが、20歳代で人の2倍働き、30歳代で責任ある立場で仕事をした経験がない者が40歳前後になって急にきちんと仕事ができるわけがない。非凡な者なら話は別だが、凡人にはできない相談だ。大臣にならなければ民主党議員も政治資金の使い方をとりあげなかっただろう。
 父親が急逝した後、利権を温存したい秘書達や強固な後援会組織を引き継ぐ2世議員、「事件」は起こるべくして起きたのだ。

<2世議員特有の問題>
 大物政治家が亡くなると後援会組織や利権につながっていた人々は、お金が流れてくるパイプを失う。だから、その子どもを立てて後を継がせたい。自分達の利権を手放したくないからだ。そうしたお金の流れがシステムとして命をうる。有能な秘書がいて取り仕切ってくれるならいいが、彼女の場合はどうだったのだろう。結果から見るとペケだろう。簡単に突かれるような仕事をしたことになるからだ。明治座の観劇ツアーの一件だけを見ても会費では足りないお金が数百万単位であったようだが、そういうお金がどこから流れてきたのかさっぱり見えない。大物議員ほど資金集めのパイプも太いのだろうが、公開されている資料を見ればわかるだけの政治資金規制法違反よりももっと見えにくい資金の流れがあるように感じるが、捜査が困難なそちらの方にはマスコミの関心も検察の関心も向かない、マスコミや検察の仕事のレベルが落ちている。田中角栄元首相のロッキード事件がなつかしい。

―転-1―
<労働力市場の縮小に慌てふためく安倍政権>
 アベノミクスの三本の矢の最後の一つ、肝心要の成長戦略が労働力人口の急激な縮小で誰の目にも危うくなった。安倍首相は公務員や大企業の管理職の30%に女性を登用したいようだ。そういうことを無理強いする法案がいま準備されている。その目玉として喧伝されたのが小渕議員の閣僚入りだった。みずから女性閣僚を増やして範を示したのだが、結果は散々でやってはいけない範を示したようなものだ。女性管理職3割が無理があるのは今回の女性閣僚2名の辞任で明らかではないか。
 女性管理職がたったの7.5%にすぎないのは理由がある。働く者の40%が女性だが、そのうちの半分は非正規雇用である。半数いる正規雇用の大半が結婚後、出産で大半が退職する。民間中小企業では正社員が産休や育児休暇をとったら、仕事をとめるわけには行かないから代わりの社員を採用する、そうすると産休明けで戻ってきても居場所がないし、余剰人員を抱えておける余裕がない会社も多いのである。だから、出産をきっかけに大半が退職を考える。家事と育児に責任ある立場で仕事をするのはたいへんにきつい。
 こうして出産後の女性正社員という裾野が小さくなるから、女性管理職を30~40%にもっていくのはムリだ。法律で強制したら男よりもずっとぬるい基準で仕事の能力の劣る者を選らばざるを得なくなる。そういうムリをすると今回のようなことがあらゆる企業で起きることになる。日本企業の力を大きく削ぐことになる。成長戦略といいながら、長期的に日本企業を滅亡に導くのが安倍政権の役割なのだろうか?迷惑だ。どうやら安倍首相は日本を米国のようにしたいらしい。

―転-2―
<現実無視の女性管理職3割論>
 私がいた一部上場企業では部長職が20名強、女性部長職は検査部門に3人いたが、わたしが見る限り二人は昇進させたのが失敗だった。逆説的だがご本人が女性を意識しないようになったら部長職はムリだ。女性取締役はゼロ、決して男尊女卑の会社ではなかったが、力を客観的に判断してそういう結果になっていた。経験則から言って課長職ならOKだが、部長職はムリの場合が多いのは女も男も変わりがない。
 いまだって充分に男女公平に処遇がされている、その結果として女性管理職が7.5%なのである。結婚・出産で8割がた退職する、ムリして女性管理職を3倍に増やしたら、実力のないものが管理職に増えることになり、民間企業は経営悪化が避けられない。

 日本では男と競って20代30代を人の2倍あるいは3倍働いてやり抜こうという女子社員はほとんどいない。欧米では普通でも日本では稀だ。ある時期に人の2倍働き、仕事のスキルを磨かないと抜きん出ることはできない。
 日本では女性は結婚して子どもを産むと仕事をやめて子育てと家事に専念するという選択をする者が多い。子を産むことそして育てることも重要な仕事であるからだろう、おそらく多くの日本人が女性も含めて「女は会社で働くよりも家で家事と育児をきちんとやることの方が価値が大きい」と感じている。家事と育児をきちんとやることはとても大切なことだとわたしも思う。結婚生活も破綻が少ない。男は家事や育児を放棄するのではない、女が家事や育児に専念できるように外で働き家計を支えることに責任をもつのである。そのために一生懸命に勉強し働く。
 欧米の価値観に立てば男女平等ということなのだろうが、日本では女はいたわるべきもの。子どもを産み、育児をする者である。それに加えて仕事も男並みにやれというのはずいぶんと女性に過酷な要求に見える。
 男が家事と育児を手伝い、女も家事と育児を分担しながら外に出て働けというのは、日本人のライフスタイルに合わない理不尽な要求に聞こえる。それがいいと思う人はやればいい、政府や法律にに強制され、追い立てられて選択するものではないだろう。

―転-3―
<米国南北戦争との共通点>
 安倍首相のもくろみは、生産年齢人口が急速に減少し、労働力が不足し、成長戦略が描けなくなるからだ。家事と育児に専念している主婦を労働市場に追いたてようとしている。
 まるで南北戦争直前の米国のようだ。北部の工業地帯の急激な成長を支えるために格安な労働力が大量に必要だった。黒人を労働力として労働市場に投入するために南部の奴隷解放が必要だったのである。北部経済界の要求とそれに乗った政府と南部農場主の戦いの結果は、工業力に支えられた北部の勝利、そして北部の工業資本家は「奴隷解放」し安価な労働力を手に入れた。米国は急速な成長を成し遂げ、世界ナンバーワンの工業国への道をひた走った。
 狭隘になってしまった労働力市場を打開するために、労働力供給を増やしたいという点では米国奴隷解放戦争と女性登用の促進策はよく似ている。経済成長を確実にしたいための政策である。
 頭が固すぎるんじゃないのか?バカの一つ覚えじゃあるまいし安倍首相と日銀黒田総裁が声高に円安・成長戦略を叫ぶ一方で、現実はまるで反対のことが起きている。輸出は増えず、円安で輸入だけが増えて貿易収支赤字は半期で5兆円を越し最大値を記録したが、十年後に振り返ってみたら、今年が最小値かも知れぬ。経常収支尻も赤字に転落しそうだ。一時的な変化ではなく、これは少子高齢化による構造的な変化を反映している現象だと理解しなければならぬ。
 日本は少子化と高齢化によって生産年齢人口が急激に縮小し始めている、その穴埋めをするために女性を家事や育児から「解放」して、何が何でも経済成長する必要があるのか?無理をすれば歪が大きくなる、国民の所得格差が拡大するだけだ。たとえば、この20年間で大企業の取締役の年収は2倍になったと言われているが、新入社員の給与や30歳の平均給与、サラリーマン全体の平均年収は同じように2倍になったか?サラリーマンの平均年収は440万円から400万円に低下しているのが実態だ。非正規雇用が増えたからだ。これ以上所得格差を広げてどうする?
 2012年度の大学中退者は1163校で約8万人、休学者は7万人だという。大学入学者の1割強が毎年退学している計算になるが、その最大の原因は経済的理由だ。何が起きているのかよく見たらいい。貧困から抜け出す大きな武器は学力である、それを若者から奪うような経済政策を次々に採用したら日本の未来はない。時間がたってかならず大きなしっぺ返しが起きる。イージーな道をとるべきではない。

―結―
<日本がとるべき道>
 人口縮小、結構ではないか。狭い日本列島には5000万人の日本人が暮らせばいい。人口縮小に伴って経済縮小これも大いに結構、総量は減っても一人当たりの暮らしを豊かにすればいい。
 日本がとるべき道は職人主義経済だ。強い管理貿易に切り替え輸入品には高い関税をかけよう。国内でとれる材料を使って自分たちで生産できるものは国内生産すし、自分たちが消費する。地産地消を日本列島レベルでやり、安心安全なものをつくり消費すればいい。生産と消費を国内で確保できれば、必要な技術の世代間伝承が復活し、雇用は安定する。輸入が少なくなれば円安も貿易収支の赤字も止まる。そう難しいことではなく、考え方を転換し経済システムを変えてしまえば好いだけだ。わたしはそういう経済システムを職人主義経済と呼ぶ。アダム・スミス、ディビット・リカード、カール・マルクスの労働価値説は均一な抽象的人間労働を経済学の根底に置いたが、それが間違っていた。ユークリッド『原論』にたとえると、抽象的人間労働は学の端緒だから公理公準に相当する、それを入れ替えれば別の体系が出来上がることは自明だ。平行線公準を入れ替えるとヒルベルトの球面幾何学が生まれる。抽象的人間労働がいんちきなことは職人仕事を見ればすぐにわかることで、一人前の職人と半端職人では同じ時間の仕事でもまるで出来が違う、労働の質は同じではない。マルクスは工場労働者の労働を想定していた。技術をもたぬ単純労働を前提としていたのである。
 こうして身体を使う仕事をしたことのない者たちが経済学を妄想してきた。世界の経済システムも経済学も変えられるし、すべての国が雇用の安定供給を実現できるのである。強欲の資本主義とはおさらばしよう。新しい経済学とそれに基く経済システム建設は日本から始まる。

<異なる文明の価値観>
 日本には「南北戦争の再来」は必要がない。欧米の過酷な男女平等価値観に迎合する必要はない。堂々と日本的価値観、男女の性差に基く責任の分担を大きな声で主張すればいい。欧米の価値観を無条件に是とする態度はもうやめたほうがよい、日本のためにも世界のためにもならぬ。異なる文明の価値観があることを知らしめよ。
 女は早く結婚して早く子を生み、育て、こどもが中学生になったらまた正社員として働くことができるのがいいあるいは正社員と同じ賃率で時間を短縮して働けるのが理想だろう
 たとえば、18~25歳くらいで結婚して子どもを産み育て、30代半ばで正社員として働くことができるのが理想ではないのか?そういうふうに社会の仕組みを変えたらいい。欧米の物差しに合わせる必要はない、日本は別でいい

 愚かな法律案を国会にかける前に、もっと広い視野で考え、国民的な議論を盛り上げてもらいたい。
 議論の材料になるような社説を10月18日付のジャパンタイムズが掲載しているので紹介しよう。
 稿を改めて解説をするつもりだ。例によって、段落ごとに番号を振っておく。


<10月18日付ジャパンタイムズ記事>
*http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/10/17/editorials/promoting-women-at-work/

 Promoting women at work

(1)  Draft legislation prepared by the administration of Prime Minister Shinzo Abe requires large companies as well as the national and local governments to set and publicly disclose targets for promoting women in their organizations beginning in fiscal 2016.

(2)  The move follows a goal Abe set in his economic growth strategy of raising the ratio of women in leading positions in society to 30 percent by 2020.

(3)  Members of the business community are said to have resisted setting a uniform target for boosting the ratio of women in management on the grounds that their ability to do so would differ between individual companies and sectors.

(4)  But the Abe administration reportedly insisted that the bill, which it hopes to get enacted in the current Diet session, will impose legal obligations on the part of businesses and government organizations to make some commitments on promoting female workers.

(5)  Behind Abe’s 30 percent target and the proposed legislation is a sense of crisis that unless it taps more women to join the labor force, Japan could face a serious shortage in the workforce due to its rapidly aging and declining population, casting doubts over the nation’s future economic growth and sustainability of its social security system.

(6)  An estimate by the Health, Labor and Welfare Ministry warns that the number of people with jobs could fall by up to 8.2 million by 2030 if women’s labor participation does not increase as expected. If more women join the workforce as hoped for by the government, the margin of decline would be reduced to about 1.7 million, the ministry says.

(7)  There are mixed views as to whether the legislation would in fact result in visible changes to Japan’s male-dominated corporate culture. Skeptics say the bill lacks teeth because it leaves it up to each company to determine what kind of target to set and what level of goal to aim for, making it unlikely that they would self-impose ambitious goals that radically change the status quo. Still, disclosure of the action plans by the companies with numerical targets for promoting more women to senior positions will expose their behavior to public scrutiny, and businesses with unambitious plans may face difficulties recruiting talented workers, including women.

(8)  Companies with more than 300 employees will be required to make and disclose plans with targets for the promotion of women and specific ways to achieve them. The government will later set examples on what types of targets should be set by the firms, but they may not necessarily be numerical goals for the ratio of women in management ranks. They will likely include such criteria as the proportion of women in overall hiring and the ratio of workers taking child-care leave.

(9)  While the national and local governments will come under the same obligations, smaller businesses will only be urged to make such efforts voluntarily. The government will recognize “excellent companies” that have ambitious targets and plans to introduce preferential treatment of such firms in terms of opportunities to get public works contracts.

(10)  Nearly 30 years after the law mandating equal employment opportunities for men and women was introduced in 1986, women account for just 7.5 percent of management positions in Japanese firms, far lower than the 30 to 40 percent in many other advanced economies. Women accounted for a mere 3 percent of national government employees in management positions as of October 2013, compared with 40 percent in Sweden, 33 percent in the United States and 9 percent in South Korea, according to an annual report by the National Personnel Authority. Women accounted for 26.8 percent of newly hired government workers in fiscal 2013.

(11)  A top-down approach to promoting women to management positions may be necessary to change the situation. But equally important will be more steady bottom-up efforts to remove obstacles that discourage women from maintaining their career path. According to the labor and welfare ministry, women account for roughly 40 percent of Japan’s workforce, but more thanhalf of them are irregular employees, working part-time or as temporary dispatch staff.

(12)  About 60 percent of women leave their jobs when they have their first child. The ratio of women in regular full-time employment is the highest in the 25-to-29 age bracket. It then declines after that as many women become irregular workers. Many women quit their jobs because they think it’s too tough to work full-time while raising young children and running the household.

(13)  The government has spelled out measures to support working mothers, such as increasing the number of day-care centers for children. But also needed are steps to get men to play a greater role in child-rearing and household matters, rather than leaving it up to their wives. One major measure would be to eliminate the chronic problem of long working hours at many firms so employees can go home earlier. To this end, measures will be needed to change the mind-set of managers and employees alike — especially male workers. The government should take steps to support such efforts.



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