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#2779 『ソードアートオンライン 9 』:量子コンピュータ・オンラインゲームと心  Aug. 17, 2014 [44. 本を読む]

 今日はちょっと涼しい、最高気温は2時で18.6度、最低気温は16度付近だ。例年の8月の最低気温は13度前後だが、今年は15-18度と'根室らしくないほど暑い'、オホーツク海と太平洋を分けるように突き出た根室半島の夏は日本一涼しい。
 海に突き出た根室の最低気温が高いというのは海水温が高いということだろう。18度~23度の海水温に棲むマンボウが函館沖で獲れ、サンマの替わりにイワシが豊漁だったり、サバが豊漁になる。秋の鮭鱒量も開始時期を6日遅らせるのだという。
 海水の表面温度が上がると魚の生態系や回遊路や回遊時期に変化が生じる。サンマは先週一匹300円から500円していた。東京では1500円の高値がついている。
 サンマは15度以下の海水域にいる。この海水域が根室に近づきつつある。サンマ好きの皆さん、もう少しの辛抱だ。

 さて、生徒がもっていた本を読み始めた。オンラインゲームと量子コンピュータの未来を描いたSFファンタジーである。
 人間の脳細胞はそれぞれひとつひとつが量子コンピュータであり、そのネットワークが心をつくっていると仮定してみよう。インターネットはインターネットプロトコルという共通プロトコルで世界中にある十数億のコンピュータを接続し、データの交換を可能にしているのだが、もし、量子コンピュータが実用化になり、全世界に普及して、IP(インターネットプロトコル)のような標準規格ができたとすると、量子コンピュータのネットワ-クである人間の脳とデータ交換が可能になる。経験してもいないことがリアルな経験と区別がつかない経験としてネットワークから脳にダウンロードすることができそうだ。そうなると、特定の仮想ゲーム空間で経験したこともまた現実の経験とまったく区別がつかなくなる。理屈の上ではそういうことになる。
 現在のノイマン型コンピュータの10^15(10の15乗)もの速度とメモリーを有する量子コンピュータが実現されたとすると、どのようなソフトが開発され、どのような仮想空間がゲームの中で展開するのか見てみたい気がする。
(いや見たくない未来かも知れぬ。量子コンピュータネットワークが命と心をもつということになり、インターフェイスを支配するのは巨大な量子コンピュータネットワークの方だ。)

 そうしたことが可能になったら、実際に経験してきたことと、量子コンピュータネットワークから他人の経験をダウンロードしたことがまざりあってしまうのではないだろうか。靖國神社にA級戦犯を合祀した結果、分祀ができないというような事態が惹起するのではないだろうか。
 人間Aの心にネットワークにつながれた他のさまざまな人間が眼耳鼻舌身意の六根で捕らえたものが自分の経験としてダウンロードされ織り込まれてしまう。二重人格になるのか統合されて別の人格が形成されてしまうのか、その間のあいまいなものになるのか人によって違うだろう。はっきりしていることは個人のアイデンティティがあやふやなものになるいうことだ。「外部の量子コンピュータネットワーク」とのインターフェイスチップが埋め込まれた人間とそのチップが実装されていない人間には、神と人間のような差が生まれる。実装された人間の精神が変容することになる。人類の進化が量子コンピュータインターフェイス・チップの実装によってもたらされるのである。

 この小説は、2026年の世界のことを描いている。まだ162ページまで読んだだけだが、コンピュタ技術の可能性と取り返しのつかぬ深刻なリスクをリアルに描いて見せてくれているのかもしれぬ。人間にはもうコンピュータを使わない生活ができない。コンピュータは計算速度とメモリーを加速的に増大させていく。行き着く果ての世界はこのシリーズを超えることになる。
 作者の突然の死で未完となった『砂の惑星』の最後の巻で宇宙を支配する者の対話がちらりと出てくるが、あの作者もそういう未来を想像していたのではないだろうか。量子コンピュータインターフェイス・チップを実装し、人類を支配する小数の「似非神」の君臨する世界。

 高校1年生がもっていた本を、いまどきの男子高校生がどういうものを読んでいるのかと興味がわいて貸してもらったのだが、現在のコンピュータ技術を踏まえて量子コンピュータが実用化された未来のゲームの世界を通して、人間の心とはなんなのか、経験とはなんなのかという問題に迫り、将来それが量子コンピュータの情報としてネットワーク空間を移動して他人の脳に組み込まれてしまう可能性を開いて見せてくれている。

 あたらしいゲームシステムのテスト・パイロットである作中人物和人は現実世界と御伽噺のような仮想空間の間を行き来している。和人は仮想空間の中ではキリトであり、過疎空間の中での人間関係が現実空間の人間関係と区別ができないほど次第にリアルなものになっていく。ゲームを進めれば進めるほど、量子コンピュータとしての脳細胞に現実の経験と区別のつかぬ情報が蓄積されていく。さて、物語はどのような展開を見せるのだろう。
 この本の著者は川原礫、ペンネームだろう。川原に落ちているつぶて(礫)という控え目でお洒落な名前だ。礫ではなくまぎれのない玉だろう。

 ロボットどころではない、とても危うい世界だが、鉄腕アトムに描かれた世界が60年後に数分の一が実現している現実を知っているだけに、未来への警告ともうけとれる問題作に感じた。
 すでに15巻出ているという。

 この本はルビが振ってあるので小学生でも読める。漫画の本が大好きで小説や随筆、論説文をほとんど読まない中学生はこの本辺りから読書を始めたらいい。漫画好きな少年が活字の本に親しみ、語彙を増やすには手ごろな本だ。
 エッチが出てこないので、精神的な成長を遂げるために恋愛の出てくる男女間の機微を扱うものも読んだ方がいい、人生の味わいが深みを帯びてくる。
 高校生になったら、紫式部原作・林望謹訳『源氏物語』十巻を読んで日本人が千年間受け継いできた伝統的恋愛観を知っておくのもいいだろう。源氏物語のような古典に親しむことも日本人としてのアイデンティティ=日本的情緒を見につける手段の一つだ。短歌や俳句もいい、もちろん現代小説にもたくさん恋愛物があるから、面白いと思うものを選んで読んだらいい。文楽や能や古典落語は日本的情緒の宝庫である。明治期の小説や時代小説もそうした日本的情緒が含まれている。日本の伝統文化に触れることで自己のアイデンティティが確立し世界が広がるだろう。

*ソードアートオンラインウィキペディアへ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3

*量子コンピュータ:ウィキペディアへ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF

*#2784 百年後のコンピュータの性能 Aug. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22

 #2779 『ソードアートオンライン 9 』:量子コンピュータ・オンラインゲームと心  Aug. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-17-1

 #2804 『ソードアート・オンライン14』  Sep. 12, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13

 #2882 ソードアートオンライン007 マザーズロザリオ Nov. 26, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-26

  #3105 『ソードアートオンライン16』 Aug.16, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15-1


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ソードアート・オンライン (9) アリシゼーション・ビギニング (電撃文庫)

ソードアート・オンライン (9) アリシゼーション・ビギニング (電撃文庫)

  • 作者: 川原 礫
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2012/02/10
  • メディア: 文庫

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