SSブログ

#2632 好きな本もっていっていいよ :蔵書の処分 Apr. 2, 2014 [A9. ゆらゆらゆ~らり]

 ニムオロ塾で生徒たちに数学と英語を教えているのだが、根室の中学生の日本語語彙力低下は年々ひどいことになっている。
 たとえば、「形容詞は名詞をシュウショクする」と授業で説明したとしよう、「就職」を頭に思い浮かべる生徒がいる。正解は「修飾」だが、違う漢字を想像してしまったら、話しを理解できない。「就職」を思い浮かべても何も感じなければ文脈を追っていないということだ。話しを聞き流しているだけで頭が働いていない、ほとんど思考停止の状態にあるといってもいいだろう。こういう生徒は本を読ませた「先読み」ができない。クラスの4人に一人くらいの割合でいるから中学校の先生たちはたいへんだ。
  一日は24時間しかないからブカツ、ゲーム、ライン、インターネット等々で時間を食われて読書習慣のない生徒が増えている。

 もう一つ問題なのは年齢にふさわしいレベルの本を読んでいない者が多いことだ。雑談をして試してみても、幼い内容の話しかできない。読書量が少ないうえに、レベルの高い本を読まなければ精神が幼児化するのは避けられない。精神の発達は年齢にふさわしい本や少し背伸びした本を読むことでも促される。嘆いていても仕方がないので、できる範囲のことをしようと思う。

 気力と体力の限界と判断したらめでたく廃業することになるが、それがいつかはいまはまだわからない。仕事を辞めたらもっている本をもう一度ゆっくりと読むつもりでいた。
 書斎にある本が全部で何冊になるか数えたことがないが、おそらく3000~4000の間だろう。半分以上が経済学や会計学、経営管理、システム開発、言語学、哲学、などの専門書群だが、それらを除いても30%ぐらいは中高生にも読める本がある。このままもっていたらいずれはゴミとなるだろうから、いまのうちに塾生や元塾生たちにあげようと思う。
 小説を中心に文芸書などの単行本や新書版の本、文庫版の本を今年は300冊ほど「処分」するつもりだ。たいした数はないが毎年処分していく。
 読書好きな塾生は大歓迎だろうが、日本語語彙が貧弱な塾生は要らないだろうな。ほんとうは語彙力が貧弱な生徒こそたくさん本を読んで、理解したり使ったりできる語彙を増やしてほしいのだが・・・
 まあ、いいか、読書好きな塾生諸君の喜ぶ顔がみたい。

(リストを作成するので、それができたら順次教室にならべるつもりだ、4月中旬からになるだろう)


にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(1)  コメント(5)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 5

学生

本を譲ってくださるなんて
塾生さん達が羨ましいです

私も読書が好きでよく読むのですが、
お恥ずかしい話ですが、最近どのような本を読めば教養や語彙力が身につくのかわからなくなってしまいました。

もしよければお勧めの本を教えて頂けないでしょうか。
by 学生 (2014-04-11 22:40) 

ebisu

学生さんへ

本は自分が面白いとか楽しいと思えるものを片っ端から読めばいいのです。気の向くままでいい。
語彙力の強化に関しては、10ページほど読んでみて、話し言葉として使わない言葉(文章語)がふんだんにあり、格調の高い物を選べばいい。自分の語彙の範囲から少しはみ出るくらいのものが語彙力拡張に役に立つでしょう。
語彙力のレベルは人それぞれですから、どれが好いということはありません。

教養も定義が難しいですね。日本の古典は教養の一貫ですから、自分の力の及ぶ範囲で読めるものを読んでおいたほうがいい。
『徒然草』が読みやすい。『源氏物語』は敬語がむずかしいので、林望訳の『謹訳源氏物語』を読んでから原典を読むのがいいでしょう。文学部に在籍なら古典講読の授業かゼミを取ったらいいのではないでしょうか。
古事記は読んでおくべきです。原典が無理なら竹田恒泰『現代語古事記』『古事記完全講義』が楽しい。日本人ですから、国の成立ちを知っておくのは大事です。とくに将来海外で仕事をされる方は必読ですね。
『万葉集』も『平家物語』も音読してみたらいい。古事記以前の最古の本と言われる『ほつまつたゑ』も音読テキストとしていいですが、絶版になっているので手に入れにくいでしょう。いい本です。

古典を読むのが苦手の人は講談社から出ている『すらすら読める~』がいいでしょう。中3の音読テキストに『すらすら読める風姿花伝』を使っています。今日、新中3の授業で音読トレーニングをしました。このシリーズは13冊出ていて総ルビつきの原文と現代語訳と解説が載っています。林望の現代語訳は格調が高く品のよい訳になっています。
明治以降では斉藤孝が『音読破シリーズ』を出しています。これは総ルビですから読みやすい。夏目漱石『坊ちゃん』、芥川龍之介『羅生門』、幸田露伴『五重塔』、中島敦『山月記』太宰治『走れメロス』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

大学生なら、好きな作家の個人全集を片っ端から読んでしまうというのもいいですね。
とりあえず自分の皮膚感覚にあう作家でいいのです。自然にレベルの高い本がよくなってきますから、どんどんレベルを上げて行くのがいいでしょう。

専門書への案内書としては岩波新書や中公新書などの新書版がよい。100から300冊も読めばほとんどの分野をカバーできるでしょう。

大学生は自分の専門分野の古典は読むべきですね。翻訳で読んだら原典も買って読めばいい。最初はたいへんでも読んでいるうちに読めるようになるものです。

西尾幹二・中西輝政『日本文明の主張』、西尾幹二『国民の歴史』、西部ススム『国民の道徳』、子安宣邦『江戸思想史講義』も眼を通しておきたい本です。

福澤諭吉『福翁自伝』、これを読んだら友人の遠藤さんの書いた『漫言翁福澤諭吉 時事コラムに見る明治』や子規を論じた『明治廿五年九月のほととぎす』も教養書としても読める。
『論語』もいいですね。さまざまな人が解説書を書いています。中野孝次のものや渡辺昇一のものを読みました。
『孟子』『荘子』
西欧のものも挙げなければなりませんが、限がありませんので、やめておきます。
辞書はいい物をそろえ、頻繁に引きましょう。語彙力強化に必要です。
わたしがもっている国語辞典と漢和辞典を参考までに挙げます。
『広辞苑』『大辞林』『角川漢和中辞典』
白川静『字統』、『字訓』
外国語辞書は種類と数が多いので割愛します。

本は自分で選んで買って読むのがいい。
でも高い。
60歳を過ぎた学者のところへ行けば、蔵書をくれる人が案外いるかもしれません。死んだら全部ゴミですから、若い人たちに読んでいただいたほうがいい。

120冊ばかり教室に置いてみましたが40冊ほどもっていってくれました。専門書はおきませんが、生徒たちは分厚くなると歴史小説すら読むのがしんどいようです。岩波新書はインターネット関係だけ何冊かもっていった生徒がいるようです。
3ヶ月位したら、別な100冊と入れ替えてみます。
by ebisu (2014-04-12 00:14) 

ebisu

井沢元彦の逆説の日本史シリーズも楽しい本です。20巻出ています。17巻まで読みました。独自の視点で通史を書いている著者の力量はなかなかのものです。岩波講座『日本歴史』よりもはるかに読みやすくたのしい。後者は学術論文集ですから狭い分野をそれぞれの専門家が書いている。井沢氏の書いたものと比較するのも楽しい。
うれしいことに文庫版も出ています。
by ebisu (2014-04-12 00:30) 

無知の知の無知


学生さんへ

本を読むこととはすなわち何だと思いますか?

世の蔵書全て、世界中の知識と対決だ、
と勇んでその一生を図書館通いで費やす
サルトル?カミュ?の話がありましたね。

単に知ったかぶりの知識を仕入れて
誰かさんような上から目線の人格形成されませぬように
お気をつけ下さいまし。


by 無知の知の無知 (2014-04-12 01:49) 

ebisu

無理の知の無知さんへ

ハンドルネームで大事な本を落としていたことに気がつきました。
『ソクラテスの弁明・クリトン』岩波文庫

現代にソクラテスがいたらとおもうとぞっとします。遠藤利國の解説書も併行してお読みいただけたら楽しいと思います。
『百%の真善美―ソクラテス裁判をめぐって』

「無知の知の無知」さんに誤解があるようです。万巻の書を読めとは書いていません。冒頭にこう書きました。

>本は自分が面白いとか楽しいと思えるものを片っ端から読めばいいのです。気の向くままでいい。

願わくば年齢にふさわしい本、ちょっと背伸びした本を選んでお読みください。
これは極論でしょうね、お分かりになって書いているのでしょう。

>世の蔵書全て、世界中の知識と対決だ、
と勇んでその一生を図書館通いで費やす
サルトル?カミュ?の話がありましたね。

「世の蔵書全て」を読む必要のないことは万人が認めるところでしょう。いいたかったのはその後の部分ですね。真意はよく通じていますよ。(笑)
サルトルの実存主義哲学用語には辟易しますが教養の範囲ではないでしょうし、語彙力強化にもならないと思います。
サルトルは選集から2冊ほど、カミュは読んだことがありません。限がありませんから、ほどほどに。
お好きなものを選択してお読みください。自分に合うものはいろいろ読むうちにみつかります。
ついでに書きますが、ネットで見たら「文庫百冊」なんていうのが何種類もみつかります。それほど人によって選ぶ本が違うということ。

by ebisu (2014-04-12 10:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0