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#2580 英字新聞記事QRコードとスマホを利用する音読&リスニングトレーニング推奨 Feb. 1, 2014 [75.時事英語公開講座]

 『風とともに去りぬ』の英語バージョン"Gone with the Wind"をテクストにして1年間読んでみるかと、英語嫌いで小説好きの高校1年生に揺さぶりをかけたときに、高校2年生の男子がいた。こちらは英語をあまりやりたがらない理数系の生徒だ。読書量は前出の1年生の数分の一だろうが、数学や物理はよくできるから、これに英語ができれば国立大学へ進学が楽勝になる、したがって進学の決め手は英語の成績。

 ところで日曜日のジャパンタイムズはタブロイド版サイズで、わたしはこのサイズがきらいだから、ほとんど読んでいなかった。サイズが嫌いだというだけで読まない理由になってしまうのだから、嫌いだということが人間の行動を大きく規制することがよくわかるのである。生徒があまり好きではない、あるいは大きらいな英語を勉強する気になれないのもよく理解できてしまうから始末が悪い。無理強いし辛いのである。でも進学には必要な科目で配点も大きいから、やらせなくてはいけない。どうしてくれようかと日々悩んでいた。
 何の気なしに時事英語の材料探しに日曜版の記事をサーチしていたら、10頁に"Opinion"(社説)があり、上のほうの論説文二つが国内、下部が米国の記事になっており、国内記事については音声サービス機能がQRコードで提供されている。いわゆる二次元バーコードというやつだが、これをスマホで取り込めば自動的に記事の読み上げ音声ソフトがダウンロードできる。
 ダウンロードすると記事が出てきて、その下に音声再生機能ボタンが表示されるから、画面をスクロールすればいい。スマホ一つで音読やリスニングのトレーニングができるところが素晴らしい。画面に記事を表示しながら、音読できる。慣れたら見ないでシャドーイングやリテンションをやればいい。その前に意味理解だ。精読して意味を理解しておくと、音読にキモチが込めやすいし、英語が素直に頭の中に入ってくる。わたしは単純なリスニングが大きらいで、二十数年前だったか三十年になるのか忘れてしまったが一度某社の「ヒアリングマラソン」をやったことがある。ウォークマンで聞いてみたがすぐに嫌気がさした。一年分お金を先払いだったのでもったいなかった。上手な商売のやり方だろうと思う。一月単位での購読なら1月で購読をやめる読者が半数を超えるだろうな。それはあの会社の商売のやり方が上手なだけで仕方なしとして、ただ聴くということが苦痛この上ないし時間の無駄に感じてしまう種類の人間が少なくないことは事実だろう。女の脳はそういう行為に反発が起きないように作られているが、男の脳はそうではない、単純作業に飽きるのである。だから言語の習得パターンは男と女ではだいぶ異なるように思う。この論説では男女差別が話題になっているが性差を無視した学習方法論は暴論でもある。
 もちろん、個体差が大きいから、男であってもそんなことは無視してひたすらヒアリングマラソンを続けてモノにする人もいることは認めたい。脳の性差を超克した素晴らしい能力だと思う。
 話しを戻すが、試して見たい人は、D君が新聞のコピーをもっているから、そこに載っているQRコードをスマホで読み込めばいい。記事はスマホでみれるからQRコードを読みこむとき以外は必要ない。1年生は前出の女生徒が記事のコピーをもっているから、読み込ませてもらったらいい。もちろん、ニムオロ塾に来てくれてもいいよ。入塾しろなどと野暮なことは言わないから心配ないよ、少しぐらいなら解説してあげてもいい。自分で言うのもなんだが、案外親切なオジサンなのだ。オリジナルが机の上に置きっぱなしにしてある。ebisuの机の上はだいたいいろんなものがごちゃごちゃ積み重ねてある。あまり乱雑になると必要なものを探すのに手間取るようになるから潮時を判断して整理している。「乱雑だな~」という冷たい視線を投げないように。(笑)

 この理系男子の2年生は、科学甲子園で釧路湖陵高校理数科に勝利したチームのメンバーであるが、ただ聴くということ作業が我慢できないタイプと判断していた。中3から通塾をはじめてほぼ3年たった彼はわたしに似たタイプのようなのである。
 QRコードをスマホで読み込ませた。記事が表示され、音声ボタンを見つけ再生すると、女性の声できれいな読み上げだ。理由がわからないがパソコンで再生するよりもスマホのほうが音声がきれいに聞こえる。まさか分解能が違うわけではあるまい。だが、音声ソフトの画面は違っていた。
 高2のD君は芥川賞と直木賞の受賞者が3人とも女性であるという記事のほうに興味を示して、読み始めている。

 最初の段落が一番大事なのだが、単語にとらわれて前半部で正反対の訳をしてしまっていた。次の節を読めば簡単に気がつくはずだが、気がつかなかった。個別の単語に目を奪われるとわかっているはずの接続詞'but'にすら注意力が向かない、最初の内はそんなものだ。'before and after'、半年もしたそういう初歩的ミスなどしない別人に化けているだろう。期待してるよ。(笑)

 英文社説を転載した後ろに解説をつけておくが、読者諸君は解説を読まずに記事本文の第一段落を和訳して紙に書いてみられよ。そこが勉強の核心である。わからないという状態をどれだけ維持できるか、5分が限度なら高校生としては下の下だ。1時間ならまあまあよしだが中の下だ。試行錯誤が勉強なのである。学者は同じことを何ヶ月も時には何年もテーマによっては十数年も考え続ける。高校生や大学生はそこまでしつこい必要はない。受験が目的だからよい意味で好い加減でいい。20分くらいはああかなそれともこうかなと考えてくれたまえ、案外手こずるかもしれない。

 段落ごとのロジックをチェックしながら読むことができないのは無理もない、はじめは誰でもそんなものだ。
 問題の箇所を指摘してある程度考えたら、ロジック解析をして和訳してみせる。なんてことはない文型を確認して文脈を読むだけの話であるが、半年もトレーニングしたら、贅沢な授業の効果は大きく、ebisuのサポートなしで楽に読めるようになる。楽しそうに段落四つ分をやり終えて、満足顔だったので、感想を尋ねた。

「後の段落は最初のよりもずっと簡単だね、先生、これおもしろい、教科書よりもずっといい」
「そうだろう、ホットなニュースだから教科書よりはずっと面白いはずだ、毎週やればいい。楽しいなら半年続けてごらん、苦手の英語の偏差値が70になれば志望校への合否判定はAになるよ」
「面白いから続けられそうです、やってみます」

 精読して意味を頭に入れて、それで音読を繰り返す。シャドーイングやリテンションもやってみたらいい。そのあとでリスニングしたら意味内容までわかってよく聞こえるはずだ。
 30本もたまったらどういうことになるか、体験して見たらいい。2年生なら大学入試まで50~70くらいの記事を読むことになるだろう。
 毎週記事が二つ提供されるから、単純計算では1年間通してやればリスニング教材8冊分くらいの分量になる。やりとおせるかどうかだ。興味のある記事どちらか片方だけでも充分な量だろう。模試偏差値50の生徒がこのトレーニングを半年続けたらだらだらやっても偏差値60以上は確実だろう。ebisuはこの生徒に70超を期待している。高校生のうちにこれくらいのトレーニングを積めば、大学院入試も英語は問題がなくなる。何人受けてもトップか2番で通過できるだろう。英字新聞の英語は専門家が書いた記事が多いので専門書並みのレベルの高い記事もある。ただし、社説はそんなにレベルは高くないよ。

 URLをクリックすると記事へジャンプするが、スクロールすると音声ボタンがあるので、それをクリックすると読み上げがはじまる。


http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/01/25/editorials/literature-prizes-elevate-women/
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Literature prizes elevate women

Japan may rank extraordinarily low — 105th out of 136 countries — on the world gender gap index, but this year’s winners of two famous literary prizes were all women, an irony that will surely not be lost on the prizewinners and their readers.

The winner of the 150th Akutagawa Prize was Hiroko Oyamada for her novel “Ana” (“Hole”), a story with a woman as the central character.

The two authors who shared this year’s 150th Naoki Prize, Makate Asai and Kaoruko Himeno, also focused on women. They deserve congratulations.

All three authors winning this year’s Akutagawa Prize, for up-and-coming writers, and the Naoki Prize, for popular literature, focused in large part on the experience of women.

Oyamada’s work focuses on a young woman who resigns from work and moves to a rural area, where, after falling in a hole, mysterious events start happening.

Asai’s work describes the fate of women during the end of the Edo Period and Himeno’s explores the everyday life of her female protagonist in Shiga Prefecture.

Should the issue of gender even be raised? Perhaps the writers should be considered solely on the quality of their work. No doubt the quality of the writing was paramount for the award selection committees. Because Japan continues to suffer such horrendous gender inequality, the fact that talented women are producing work of high quality and social relevance deserves mention. Japan’s women are strong, creative and productive.

These three writers offer a view of Japan in which women’s struggles and feelings are more central than in the “official” story the government follows. Their award-winning fiction helps position women better in a country where women have little power. Japanese women ranked 118th out of 136 countries in political empowerment on the world gender gap index in 2013.

That is not to say these writers are writing just to promote women. Surely, as writers, they work for deep meanings with strong language and impressive stories first and foremost.

These writers, and their works, should be a reminder of how much women contribute to Japan. Himeno, for example, has written books for 25 years, and Asai began writing in 2008 while running an advertising company. The 149th awards for both prizes also went to women.

While these women deserve to be recognized for their literary achievements, they can also valuably serve as role models for all women struggling to express the hardship of their lives and pushing in creative, or just everyday ways, to change the injustice and unfairness that women in Japan have suffered for too long.

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【問題の箇所、第一段落の解説】
 引っ掛かったのはアンダーラインを引いた部分である。

Japan may rank extraordinarily low — 105th out of 136 countries — on the world gender gap index, but this year’s winners of two famous literary prizes were all women, an irony that will surely not be lost on the prizewinners and their readers.

「日本はランクがびっくりするほど低い /136か国中105番目/ 世界(標準)男女差別指標で」

 これを「男女差別が非常に低い」としてしまった。ちっとも論理的でない。but以下を見ると、「今年の二つの有名な文学賞受賞者はすべて女性であり、それは(男尊女卑が強い国だという評価に対する)ひとつの皮肉でもあった。どういう皮肉かというと芥川賞と直木賞の三人の受賞者とその読者を戸惑わせないという意味において」ということがわかる。butが逆説の接続詞だということを知らない高校生はいないが、文脈を頭におきながら読み進むという技(わざ)、ロジカルな読み、に慣れていないと頭の中はロジカル・チェックをしないで単語だけを追って、独りよがりな解釈をした文脈から辞書に載っている訳語のヘンテコリンなつなぎ方をして誤読してしまう。そういう読み方をする高校生や大学生は多い。適確なトレーニングをしていないからだ。大学ではなかなかそこまでやってはくれないし、大学院生なら「自分でやれ」と突き放される。あたりまえの話だから、その隙間を埋めてあげようというのが「時事英語公開講座」の目的の一つである。

 逐語訳では日本語にならない文があることは生の英文を少し読んだことのある人なら経験があるはず。そういう文や文法工程指数の高い文の意味構造を適確につかまえるのはそれなりの熟練の技を必要とする。感性だけにたより、不正確な文脈理解で訳すと、原文の意味するところを大きくはずしてしまうことがあるから、要注意だ。著名な経済学者でも時々やっているし、みるに耐えない「大家」の古典の翻訳書すらある。これほどひどくはなくても肝心な箇所で勝手な文脈判断で誤訳しているものはある。どうでもいいところならいいが・・・まったく翻訳は油断がならない。
 脱線したくなった。
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 お気の毒ではあるが一番ひどかったものを俎上に上げたい、水田洋訳『道徳感情論』がそれである。これは『諸国民の富』を著したA.Smithの書いたものだ。わたしは大学院時代にこの本をSさん(現千葉経済大学学部長・経済学科長)に薦められて読んだのだが、少し読んで嫌になって放り投げた。こんなお粗末な翻訳はない。誰かが翻訳してしまうと、著作権の関係から別の人が翻訳しなおすということが難しくなる。
 こんな本をSさんが薦めるわけがないから、気がついた。彼は翻訳書ではなく"The theory of the moral sentiments"のほうを読んだのだ。こんな本を彼が薦めるはずがない。マルクスの諸著作の研究のために、経済学諸概念が古典派経済学の中でどのように生まれ、精製されて来たのかという問題関心を知っていたから薦めてくれた。たしか一橋大学学長だった増田四郎先生に特別講義をお願いしてたった3人の院生でリストの『国民経済学体系』を読んだ折のことだった。

 たまたま開いたページの訳文を例示しておく。
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・・・かれらは怒りをもって、かれにたいして、みずから防衛しあるいは復讐するように、叫ぶのである。もし、ついにかれの義憤が高まると、かれは心から喝采し、それに同感する。それは、敵にたいする彼ら自身の義憤を活気づけるのであって、かれの敵にたいしてかれが、こんどはかれの側から攻撃を加えるのを見ると、かれらは歓び、かれの復讐が不穏当なものでない限り、まるでその侵害がかれら自身にたいしてなされたものであるかのように、ほんとうにその復讐に満足するのである。
 だが、かれを侮辱または侵害することをきけんなことにするという、それらの情念のその個人にとっての効用が、認められるにもかかわらず、そして、正義とその実施の公平さとの擁護者として、それらが公共にとって有する効用も、あとで示されるように、重要さが劣るわけでもないにもかかわらず、それでもなお、それらの情念自体の中に、なにか不快なものがあって、それが、他の人々のなかにあらわれたそれらの情念を、われわれの嫌悪にとって自然な対象たらしめるのである。
 ・・・(48頁)  (太字はebisu)
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 芥川龍之介にもちょっとお粗末と思える『クラリモンド』という翻訳物がある。一人称がやたらうるさいのだが、不思議と読めてしまう。文章のリズムや流れが心地いいのだ。日本語の遣い手としての資質の高さに驚かざるをえない。「わしが」という訳す必要のない一人称がやたらと出てきても文はそうした欠点をカバーしてなかなかすぐれものになっている。
 わたしがもっている『道徳感情論』は1973年初版の筑摩書房の分厚い単行本である。いい装丁をしている、製本技術がしっかりしたいい本であるが、ナカミはこういう訳文が続く、まるで判じ物のようだ。この日本語を読んで頭の中にA.Smithが伝えたいイメージをつくりえた人はすごい。わたしにはさっぱりわからない、ただの悪文にしか見えない。できの悪い大学生が一生懸命に訳したようにしか見えぬ。こんなものを読むくらいなら、『原書』を読んだほうがよほど楽だ。
 この本(じつは『原書』のほう)を薦めてくれたSさんは何年も前から某大学の経済学部長である。、当時は研究熱心な若き学徒だった。学位を取得後に何度かペーパを書くように勧めてくれたが、大学に残るつもりがなかったのでその気にはなれなかった。仕事に夢中だった。

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 閑話休題(よだんをもどして)、翻訳家になるわけではない高校生は、あまり細かいことに関わらずに、大きな文脈と個別の文のスラッシュ・リーディングを頭の中でつき合わせながら読めばいいだけ。細かいところに入り込む必要はなく、大雑把に論旨をとらえることに意を砕けばよろしい。

「世界男女差別指標でみると日本は136か国中105番目であり、男女差別の徹底した国ということになる。そういうわけで「世界基準」で測ると日本は典型的な男女差別の国というのだが、男尊女卑なら二つの文学賞を女性三人が独占するなんてことはありえないはずだから、これ(女性三人の「独占」受賞)はある種の皮肉だろう。受賞者三人もその読者も、今回の受賞がなにも特別なことではなく、作品がよければ男が書いたとか、女が書いたとか、そうした男女差別問題に二つの文学賞は何の関係もないと受け取っているのである。」

 わたしが訳すと概ねこういう論旨になる。文脈から知っている範囲の意味でなさそうなことがわかったときにはすなおに辞書に聞くべきだ。

  surely notは「まさか~ではない」

 ロジックあるいは文脈を追いながら、読む技はトレーニングで育成できるのだが、母語である日本語の読解力つまり論理分析能力のない者は英文も読めない。こういう段階になると日本語の読解能力の高さが求められるのである。ようするに日本語の語彙が爆発的に拡張する時期に当たる中学生や高校生の時期にどれだけレベルを上げた読書をしかたにかかっている。幼児英語などやる暇があったら、年齢に応じた日本語の良質のテクストを選び音読させるべきだ。そうした下地をつくっておけば、高校生になってから英語を学ばせたら飛躍的に英語の力が伸びる
 逆のことをやらせている愚かな親が多い。幼児英語に一生懸命になるが、日本語の良質のテクストを与えない。日本語語彙が貧弱では、高校生になってから英語が伸びない。英検準2級どまりが多い。まれに2級かな。そこから先は日本語の語彙力と日本語読解能力の大きな者たちの独壇場である。年齢に応じた良質の日本語テクストを与えないことで子どもたちの未来の可能性の芽を摘んでしまっている。

 高校生や大学生が読むだろうから、和訳という作業についてわたしの考え方を簡潔に述べておくべきだろう。
 文の書き手が頭の中に創りあげたイメージを言葉につむいで文章にしているから、和訳は逆の作業になる。英文を読み、自分の頭の中に書き手がイメージしたのと同じものをつくりあげて、それを自分が蓄積してきた語彙や用例を利用して日本語にするのである。日本語語彙やたくさん本を読んで用例が頭の中にないと使える材料が貧弱になるから、出来上がる訳文も貧弱な日本語にならざるをえないのである。
 辞書に書いてある訳語はすべての場合を網羅しているわけではないから、動詞は目的語や前置詞や副詞とセットで考えてはじめて具体的なイメージをつくることができる。英和辞書に載っている訳語のリストはたんなる目安だから、その目安からもともとの単語がもつイメージが何かを考える習慣をもってもらいたい。慣れてくると、文脈から訳語に見当をつけて、辞書で確認するというようになってくる。その段階になれば、センター試験で85%くらいの得点がとれるようになっているはずだ。もちろん長文だけでそんなに得点できるはずがないから、アクセント問題や文法語法問題についてもそれぞれいいと思うトレーニング用問題集や参考書をやるべきだ。

 頭から次々読みながら論旨を正確にとらえるには、日本語読解力とそれの応用である論理解析しながらの読解トレーニングが必要なことがわかる。毎週こういうことを徹底してトレーニングすれば、大学入試の長文など「お子様ランチ」同然で、設問に正解するにほどでいいなら、簡単に意味がとれる。
 毎週こういうトレーニングを繰り返したら偏差値が70以上に上がらないわけがない。
 ebisuが高校生ならこういう塾に通いたい。

 ヘッダー(見出し)と最初の段落が一番大切だ。これで本文の概要がわかる。第2段落以降は簡単だからすらすら読めるかな?
 
 武器は二つ。
  ①論理解析
  ②生成変形文法によるシンプル・センテンスへの書き換え

 context(前後関係、文脈)を頭の中で論理解析ながら読むのは、トレーニングを積まないと身につかない技である。それでも理解できないときに②でアプローチすることになる。
 表層構造を深層構造(=simple sentences)に書き換えることで、誰にでも意味がわかるようになる。SSは意味構造そのものだし、そこまで落とせば中学生でも理解できるし、そのやり方を見ていれば自分でもできるようになる。
 論理解析は英語が苦手でも、本の好きな人、日本語の本をたくさん読んでいる生徒には理解しやすくとっても楽しいトレーニングだ。

 < 蛇足 -1 >
「男女差別(の世界標準)指標」なんて書いてあるが、そんなものは欧米の宗教観や世界観でまったくことなる価値観で動いている日本を勝手に切るもので、いい加減なものだ。1300年前に書かれた『古事記』に見るように、日本は男女がその役割を分担してやることになっており、お互いの役割を尊重している。倭建命と弟橘比売命の故事からもわかるように、日本では女は男に守られるべきものとして扱われてきた。命を賭して自分の愛する女を守ることが男の役割であることをこの故事が示している。そういう世界観から見ると、男女共同参画社会法などという法律は言語同断、お互いに権利を主張しあいながら女性を辛いところへ追い込むことになる。男と同じように職場で働けなどと男女差を無視すれば、女性はきつくなる。子どもを産むことを考えると、男と女が同じ条件で働けるわけがないことは明らかだろう。日本は古代から性差を考慮した女性に優しい国なのである。
 日本最古の小説は紫式部『源氏物語』である。女流文学の流れは確固としてあり、不動の地位を千年前に築いていまに至っている。文学作品の評価において男女差別など微塵もないことは千年の歴史が証明するところだ。平安時代(1000年前後)に確立された女流文学の流れは、少なくとも17世紀以前には欧米にはまったく存在しない。もっと遡ると、額田王という歌人もいる。大和言葉、古代朝鮮語、中国語の三ヶ国語を自在に操る万葉歌人である。こういう知的教養をもつ女性が上流階層の男に断然人気があった。江戸時代の寺子屋も男女差別がない。教育においても江戸時代から日本は男女差のない国であった。江戸時代に一般の婦女子の教育システムを確立していた国は日本のほかは世界中どこにもない。
 欧米こそが男女差別社会だったから、そこからの解放が問題になるのである。欧米は日本に遅れること600~800年で女流文学らしきものが生まれた。
 欧米の価値観に毒されてはいけない。そうした意味でも、高校生になったら古典文学をたくさん読むことだ。古典文学には日本人が育んだ伝統的な価値観がたくさんちりばめられている。『源氏物語』を読めば男女に関する約束事や守るべきルールがよくわかる。『古事記』も林望・謹訳『源氏物語』もカテゴリー「本を読む」に寸評を書いてあるから、興味にある方は左側の欄にあるカテゴリー区分リスト中ほどにある「本を読む」をクリックされよ。

*倭建命と弟橘比売命の美しい物語は竹田恒泰著『古事記完全講義』363ページを読まれよ。

 古典ではないが山本周五郎の『日本婦道記』が女の役割の重大さを説いていてなかなか面白い。こういう女が男女を問わず尊敬されるのが日本だ。男にはできない重要な女の役割がある。それにくらべたら欧米の男女平等思想は実に薄っぺらだ。

  < 蛇足 -2 >
 北海道教育文化研究所が1月25日に設立された。この研究所の目的はいくつかあるが、重要な柱を二つ挙げておきたい。ひとつは特定のイデオロギーを学校教育に持ち込まないということ、もう一つは日本の伝統文化や価値観を大切にするということである。そうした視点から、英字新聞記事をチェックして、彼我の価値観の相違を鮮明にして高校生や大学生諸君を啓蒙することはこの研究所の目的にかなう。
 以下、#2573より抜粋引用
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私たちは、教育専門職として教育現場に特定のイデオロギーを持ち込むことに反対し、常に自らの資質・能力の向上を目指しています。また、日本の伝統・文化を尊重し、「美しい日本人の心の育成」を基本理念として活動しています。
(「全日本教職員連盟について」より抜粋)
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 日本の伝統・文化や価値観も特定のイデオロギーと主張する屁理屈屋がいるかもしれないので、「日本の伝統・文化や伝統的な価値観を除く特定のイデオロギー」を学校現場に持ち込まないと言い換えておく。伝統・文化や価値観は日本という風土に漂う空気のようなものだ。これを四六時中取り込みつつ生きていることを自覚すべきである。

*北海道教育文化研究所
http://946jp.com/dokyobunken/index.html

 #2573 北海道教育文化研究所設立  Jan. 26, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26-2


古事記完全講義

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  • 作者: 竹田 恒泰
  • 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
  • 発売日: 2013/09/17
  • メディア: 単行本


 
小説日本婦道記 (新潮文庫)

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  • 作者: 山本 周五郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1958/10/28
  • メディア: 文庫


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 QRコードつきの二つ目の記事を紹介する

http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/01/25/editorials/crime-rate-dips-again-in-japan/
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Crime rate dips again in Japan

Japan’s relatively low crime rate just got lower. Recently released figures from the Organization of Economic Cooperation and Development showed that only 1.4 percent of people in Japan had been victims of assault compared with the OECD average of 4.0 percent for annual assault and mugging rates.

Overall Japan was ranked the safest country in the world, with the second- lowest homicide rate after Iceland and the second-lowest assault rate after Canada.

The National Police Agency also recently released a report noting that murders across the country declined 8.8 percent to 939 in 2013. That figure is below 1,000 per year for the first time since World War II. While even one murder is one too many — much less more than 900 — those figures reveal an improvement in one important area.

While the relatively low crime rate is a source of pride for Japan, many problem areas remain. The ratio of arrests to reported crimes fell below 30 percent for the first time in eight years, down 1.9 percentage points to 29.8 percent. Those low figures may be because the Japanese tend to report even the smallest crimes, and certain crimes are hard to investigate and find suspects. Still, the NPA should find ways to ensure that more arrests are made for all reported crimes.

Another problem area is the increasing number of “ore ore sagi” scams, where telephone callers target elderly people claiming to be relatives in urgent need of money. The number of such scams and other fraud cases climbed 10.5 percent to 38,326 in 2013. The scams have continued to increase in number and complexity. The arrest ratio for fraud cases overall declined 8.5 percentage points mainly because the scams are becoming more sophisticated, even involving fake police officers and phony lawyers at times.

The police agency needs to work to increase arrests for all reported crimes, but particularly the increasing number of frauds and scams.

Arrests do not ensure that justice is done, of course, but they are a partial indication of the degree to which safety and justice are pursued. While Japan is doing relatively well compared with other countries in terms of statistics, for victims, statistics do not mean much. Fraud crimes can ruin the finances, and consequently the lives, of the victims.

Japan may be a bit of an anomaly. Even though the economy has been in the doldrums for two decades, the crime rate has not risen the way it often does in countries facing tough times. Still, the National Police Agency needs to take the rising problems with frauds and scams seriously, especially since they are increasing in number and sophistication.


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*#2578 英語嫌いな高校1年生: 'Gone with the Wind'読んでみる? Jan. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-30-1

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Hirosuke

ことわざのウソ①

【読書百遍、意自ずから通ず。】
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2006-12-28

by Hirosuke (2014-02-02 00:34) 

ebisu

読書百遍すればフレーズが頭の中に入ってしまいます。
それをああでもない、こうでもないと、暇を見つけては頭の中からだして考え続けることで、書いた人が言葉をつむいで文章に託したイメージがだんだん具体的な形をとってくるのでしょう。
漢文の素読がそういう役割を果たしたのだろうと思います。
そうした読み方の材料としては『論語』が最適ですね。

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読書百遍、義(ぎ)自ら見(あらわ)る:
百遍も繰り返して書物を熟読すれば、よくわからなかった意味も自然にわかる。乱読を戒め熟読の必要を説いた句。読書百遍意自ら通ず。
          『大辞林』より
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読書百遍、そして考えるという営為があってはじめて意味がわかる。一回読んだだけでわかる文章ばかりではつまりません。
『正法眼蔵』だけは何回読んでもわかる気がしません。読書百遍意自ら通ずであってほしいのですが...仏教関係の専門知識や教養がわたしにはなさすぎます、まるでわかりません。

by ebisu (2014-02-02 01:25) 

ebisu

Hirosukeさんへ

ヒアリングマラソンの話でしたね。提示されたURLをクリックして読みました。前に一度読んだものですが、すっかり忘れていました。(笑)

意味をつかんで繰り返し音読する、Hirosuke流の音読トレーニングを生徒に指示しました。
QRコード付の社説はありがたい。ずいぶんな量の音読トレーニングが可能になります。
団塊世代が高校生のころは、ソニーのオープンリールのテープレコーダが3万円もしました。高卒の給料の1.5か月分でした。
あのころに、スマホなんて誰にも想像できません。電話も写真も録音も、録画もできて掌に入る製品なんて魔法以上のものです。
そういう風に考えると、50年後の世の中がどのように変るかまったく予測がつかないことになります。現実の変化は人間の想像力を超えています。
by ebisu (2014-02-02 01:38) 

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