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#2257 頓珍漢な移住促進事業と根室の地域医療の現状 Apr. 7, 2013 [28. 医者と患者のコミュニケーション]

 移住希望者が気にしているのは、次の2点である。
①地域住民とのコミュニケーション
②病気・医療問題

 #2255でとりあげたら、ドクターから根室の地域医療について具体的な解説コメントをいただいたので、本欄であらためて紹介したい。
 地域医療上の問題は移住希望者に限らない、現在住んでいる市民にとっては現実の問題である。解説で心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や脳出血に地元で対応できない地域医療の現状が浮かび上がる。
 産科病棟が再開できないことや医療療養型病床がゼロであり、老人のターミナルケアでも大きな問題があることは、皆さん承知のことである。生まれるのも死ぬのもふるさとでというのが、お母さん達や老人の切実な願いだ。
 市立根室病院の赤字は昨年度は17億円を超えた。藤原前市長時代の2倍である。いったいどこまで赤字が膨らむのだろう。新病院建物や変えなくてもよいX線CTまで更新したから、償却負担やリース料が重くなり、今年度赤字はさらに膨らみ20億円前後になる。すでに市財政へ影響が出ている。長谷川市長になってから異常に単価の高いハコモノが多い。つい最近市議会でも老健施設への補助金が問題になった。厚生労働省基準の15倍もの補助金支出がなぜなされるのか市側の説明は充分ではない。足りない収入を補うために借金を増やし、その返済で予算規模が増えている。
 藤原前市長時代には概ね140~150億円だったが、今年度の根室市の予算規模は170億円だ。人口は年々減少している。財政規模も小さくして当然だろう。

 地域医療の維持には大きな財政負担がかかっているから、市立根室病院がどのような診療科に重点を置くのか市民の合意形成が必要である。

#2255 根室市の移住促進事業 Apr. 5, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-05
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移住促進はどの年齢層や立場をターゲットにするかによってそれぞれニーズが異なると思います。そろそろ次々に定年を迎えている団塊の世代ならば経済的なバックグラウンドよりセカンドライフをのびのびと過ごせる自然環境と並んで自分たちの健康を守ってくれる医療の存在でしょう。

根室には独特の自然環境があります。また新鮮な海産物も豊富でその点では移住先候補としてはまずまず合格点でしょう。しかし彼らの健康の番人たる医療環境は・・・残念ながら中途半端なレベルから一歩も進んでいません。それどころか少しずつ後退している感すらあります。

定年退職組の健康問題で喫緊の課題は、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患と、やはり脳梗塞や脳出血などのいわゆる脳卒中と呼ばれる脳疾患でしょう
残念ながら現在釧路以東には脳外科医は居りません。中標津では釧路孝仁会に医師が外来診療のみ、根室は先頃まで釧路からの出張医が外来をしていた根室脳外科が今度市立病院に入って来ました。しかし毎日ではありません。
一方虚血性心疾患に対する対策ですが、噂では今まで(問題があるにしても)心カテを行って来たK医師が辞めるそうですので、これからは心カテと言う緊急治療は根室では出来なくなりそうです。新しい病院の外来表を見ると週に何回か循環器の医師が出張で来るようですが、循環器系の内科の出身だからと言って全員が心カテが出来る訳ではありません。中には消化器系や内分泌系が主体の内科出身者にもK医師のように独力で心カテを学んだ者も居ます。そんな心カテ専門医の中でも以前根室に在籍していたA医師は、本物の心カテ専門医でその技術も優れたものでした。しかし彼は既に根室を去り、今は道南方面の病院で活躍しているそうです。

脳外科の手術が出来ず、心カテも出来ない根室の地域医療。まあその点では隣町の別海、中標津、標津、羅臼、弟子屈、標茶(、浜中、厚岸)といった広大な釧路以東は皆運命共同体でありますが。

では移住組に取って最大の脅威であるそれらの疾患への対策は・・・残念ながら地産地消とは参りません。釧路の病院(市立釧路や釧路孝仁会etc.)に搬送せざるを得ません。これは救急車で2時間弱、ドクターヘリで40分前後と言う試練の距離です。「なあーに、そのためのドクターヘリだろ!」と思われるかも知れませんが、実際にはドクターヘリの運用には様々な制約があります
先ず夕方以降は赤外線装置が無いドクヘリは飛べません。強風や濃霧も駄目。勿論搬送できる患者は1名だけ。
そしてこれは実際にあった話ですが、先日或る病院から釧路へ搬送するためにドクヘリを呼んだのですが、その患者の体重が何と170キロ! 小さなドクヘリは車で言えば軽自動車のような物。乗員は精々患者を含めて4~5人程度です。ですから2~3人分の体重の患者では重量オーバーとなってしまいます。また実際にご覧に成ればお分かりになりますが、患者を収容するベッドはあのトンボの尻尾のような細い胴体部分に有り丁度CTスキャンの中に入る様な感じで、これも極端に太い方は入れません。その170キロの方は、結局救急車で釧路へ。
ちなみに道東のドクターヘリの基地(ヘリポートや格納庫)は釧路孝仁会病院に有ります。そこにパイロットや搭乗ドクターが待機しています。この搭乗ドクターは釧路を含めた道東の各病院の医師たちのグループで構成され輪番制です。仕事の内容柄か麻酔科医や外科医が目立ちます。では彼らはそんな狭いヘリの機内でどの程度の事が出来るのか。皆さんはTVドラマなどで格好良いイケメンの医師が活躍・・・と思っているかも知れませんが、現実はちょっと違います。まあ、地味なオッサン(一応一目でわかる救命士風の制服はきている)がただ患者の枕元に座っているだけです(笑)。では彼らは何のために登場しているのか。その答えはいわゆる”ABC”要員だからです。つまりAirway Breeze Cardiac=救急蘇生ですね。搬送時に必要な気管挿管や静脈路確保などの措置は殆ど機内では行いません。搬送元の病院を出る前に済ませるか、或いは救急車からヘリに患者を移す際にストレッチャー上で行う事が多いですね。ですからヘリのドクターはいわば搬送先に着くまでの”患者の子守”のような立場です。
このドクターヘリや救急車での搬送で意外と皆さんご存知ない事に、ドクターヘリではヘリ基地から医師が乗って来ますので彼らは帰る訳ですから問題ないのですが、救急車で搬送する場合には搬送元から必ず1名の看護師が同乗します。また患者の状態に依っては医師も同乗します問題は患者を搬送先に下した後、彼らの帰途は? 
本来救急車での搬送業務はこちらから向こうまでの片道切符ですので、医師や看護師などの同乗者は勝手に戻ることに成ってしまいます。もっとも、実際には搬送先の病院に患者を下し先方に申し送りを済ませる間くらいの時間であれば帰りの救急車も待っていてくれますのでそれに乗って戻って来れます。ただ救急車は結構乗り心地は悪く、法律的にも(世間的にも)スピード違反は出来ません。(釧路への道路は規格上80キロ制限とのこと)。救急車の乗り込む患者の家族は大体1名でその他の家族はマイカーで釧路に走りますので、大体肝心の患者を乗せた救急車より家族のマイカーの方が早く釧路の病院に着いていたり(笑)。
もし搬送先で手間取ったり臨時手術に立ち会う必要が有ったりすれば、救急車も待っていてはくれません。自己責任で自分の病院に戻る羽目に成ります。搬送が夜間であればJRもバスも有りません。止む無くタクシーを使う事に成ります。まあタクシーならそのままの格好でも問題ないのですが、JRやバスで帰ると成ると(予想される場合は)帰りの服装も持って行かなくてはなりません。まさか白衣のままで公的な交通機関には乗れませんから。

救急搬送手段にはお馴染みのドクヘリや救急車の他に、ドクタージェットと呼ばれる超小型のプライベートジェットが有ります。ドクターヘリは航続時間が短く札幌までは直行出来ません。(帯広を中継すれば可能)。それでドクタージェットの出番と成ります。しかしその場合どこに搬送するかが問題に成ります。もし札幌に運ぶなら、相手先の空港は丘珠空港か千歳空港に限定されます。ドクタージェットに限らずドクヘリなども札幌側の受け入れ窓口は殆ど丘珠空港に成ります。丘珠ならばジェットや道の防災ヘリ、自衛隊のヘリで運んで来た患者を救急車で札医大などに短時間で搬送出来ます。また近距離から飛んで来たドクヘリならば、札医大や手稲渓仁会病院のヘリポートに直接降りる事が可能です。

先日或る産婦人科医が患者を札幌医大まで搬送することになりました。それで連絡したところ丘珠空港での着陸はOK。早速患者と救急車で中標津空港へ。中標津空港では格納庫内に直接乗り付け小型ジェットにそのまま搭乗。あっと言う間に丘珠空港へ。その後救急車で札医大に向かい患者を下し搬送終了。その後件の産婦人科医は私服に着替えて千歳空港に向かい、何とか最終便で中標津空港に戻って来ました。もし帰りの便が無い時間帯なら、札幌のホテルに一泊する羽目になる所でした

多くの一般の方は「医師なんだから患者に付き合うのが当たり前だ!」と考えていると思います。しかし実際にはその一人の患者を運ぶだけでもこれだけの準備と時間と経費が掛かります。特に搬送後のことなど誰も気にすらしてないと思います。因みにドクターヘリの運用は一回に付き200万の経費が掛かるそうです。

このように医師としての責任の範疇で患者を診る(搬送)だけでもクリアしなくてはならない問題が山積みです。それがまして飛行機や列車内でのドクターコールともなると・・・さっと手を挙げない医師を非難する気にはなれません。もし乗客が心肺停止状態ならば、救急車が空港に来るまで心臓マッサージと言う事に成ります。そして患者を救急車に移してそれでお役御免とは限りません。救急救命士はあくまでも間に合わせの役目です。彼らは医師ではありません。もし乗客の同伴者が居て搬送先までの同乗を懇願されたなら、「いや僕の責任はここまでですから」と冷たく言って飛行機に戻れる医師が果たして居るでしょうか。責任感の有る医師が救急車に乗り込んで外を見れば、自分が乗り込んでいた飛行機がさっさと飛びたって行く・・・。もうその日は地元に帰る便は無い。どこかのホテルに泊まらなくてはならない。職場に連絡を入れて明日の始発の予約の心配もしなくては・・・。

全てが上手く行って患者や患者の家族から感謝されても、その医師が儲かる訳ではありません。あくまでもボランティアとしての行為です。乗客の生命を守って貰った航空会社(本来ならば会社に責任がある)から後日ワインの1本でも届けば御の字でしょう。
しかしもし結果が裏目に出てしまった時には・・・場合によっては訴えられて大変な目に遭う可能性があります昔なら「ご迷惑をお掛け致しました。御親切にどうも!」「いや、力不足で至りませんでした・・・」と言う当たり前の風景は、この世知辛い現代では望むべくもありません

「出る杭は打たれる」
「藪蛇」
「過ぎたるは及ばざるが如し」
「知らぬが仏」

「あっしには関わりがございやせん。失礼いたしやす」

唐辛子紋次郎でした。(笑)
by 紋次郎 (2013-04-06 11:58)

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Premium malts

>中には消化器系や内分泌系が主体の内科出身者にもK医師のように独力で心カテを学んだ者も居ます。

内科は大まかに以下の種類があります。
循環器内科 内分泌代謝内科 腎臓内科 呼吸器内科 消化器内科 神経内科 腫瘍内科 血液内科 自己免疫疾患内科 感染症内科等です。

大学では内科講座で振り分けています。

札幌医科大学では4講座
第1内科 消化器内科 血液内科 自己免疫疾患内科
第2内科 循環器内科 内分泌代謝内科 腎臓内科
第3内科 呼吸器内科
第4内科 腫瘍内科 血液内科 消化器内科

旭川医科大学では3講座
第一内科 循環器内科 腎臓内科 呼吸器内科 神経内科
第二内科 糖尿病 膠原病内科 内分泌内科 消化器内科
第三内科 消化器内科 血液内科 腫瘍内科

北海道大学では6講座
内科I 呼吸器、循環器(とくに肺循環)、代謝
内科II リウマチ膠原病、糖尿病内分泌、腎臓
消化器内科 消化器疾患および、血液疾患の診療
腫瘍内科 がんの診断・治療
血液内科 血液内科、造血細胞移植、HIV感染症
神経内科 脳、脊髄、末梢神経、筋肉の病気
循環器内科 循環器疾患の診療


東京大学附属病院では12の診療科があり、講座は11講座あります。
総合内科
循環器内科
呼吸器内科
消化器内科
腎臓・内分泌内科
糖尿病・代謝内科
血液・腫瘍内科
アレルギー・リウマチ内科
感染症内科
神経内科
老年病科
心療内科

民間の亀田総合病院は講座はなく、内科診療科となり15の診療科があります。
総合診療科
神経内科
糖尿病内分泌内科
消化器内科
消化器診断科
呼吸器内科
循環器内科
血液・腫瘍内科
腫瘍内科
腎臓高血圧内科
リウマチ・膠原病・アレルギー内科
心療内科・精神科
東洋医学診療科
家庭医診療科
感染症・予防接種・旅行外来

by Premium malts (2013-04-07 18:39) 

Premium malts

>中には消化器系や内分泌系が主体の内科出身者にもK医師のように独力で心カテを学んだ者も居ます。

研修医制度とは
病院独自の研修プログラムを用意している病院で2年間の前期研修を行い、その後進む診療科を決めて後期研修を受ける制度です。
この前期研修で全般的な診療ができるようになります。その後後期研修で専門的な診療科または大学講座を選択します。

民間の研修病院では魅力ある研修プログラムを用意して、多くの前期研修医を集めます。
そこで研修を終え、希望の診療科があり、さらに病院に認められると後期研修医という形で病院に残れます。
今までは大学医局に研修医を要請していたのが、自分たちの基準で研修医を集めることができ、さらに優秀な研修医だけを残すことも出来るようになりました。

大学病院で前期研修した人はその大学の医局に入局(後期研修)することを目的としている人がほとんどです。

ここで研修制度について書いたのは前期研修を終えて、後期研修である診療科に入局するとその診療科の仕事をします。
循環器内科に入局する以外心カテは行いません。
それが民間病院であろうと大学病院であろうとです。
大学の後期研修ではその診療科の全ての班を研修するので、以前のように循環器内科で心カテができない医師はいないはずです。ただ得意、不得意があるのも事実です。

心カテが出来る消化器系や内分泌系の医師はいません。

心カテをしている人は循環器内科医師のみです。
やったことがあると出来るは違います。



研修医制度の問題
ここで研修をした医師は最初からその病院で働くことを希望しているのでほとんどの研修医はその病院に残ります。
ただ希望しても残れない研修医、または途中でドロップアウトする研修医もいます。

今では大学医局に所属しているとドロップアウトしてもその後の面倒を見てくれました。
派遣すると問題になるのでなるべく派遣病院には派遣せず、アルバイトをしてもらいながらです。
いずれある程度の年齢になると臨床講座から基礎講座に移る場合と勧告して辞めてもらうこともありました。

民間病院での研修ではこのドロップアウトしたものがどのように生活しているのか今後みなさんにもわかってくると思います。
研修制度を始めて、この脱落者が現在問題になっています。
把握されている研修医はいいのですが、把握されてない研修医もいます。
良心的な民間病院では研修脱落者を預かってくれる医局または関連病院におさまるようにしています。
ただこのような病院ばかりではないのが実情です。


循環器内科雑記
カテーテル班 
いわゆる心筋梗塞の治療班で以前は循環器内科の花形でしたが、現在は循環器内科の中では一番下の扱い。
不整脈班 
心カテを使用する治療を行っているが出来る人が限られており、一番優秀な人のみ所属出来る班。
なにもしない班 
製薬メーカーの多施設共同研究という役割が出来てからは一躍注目が集まる 一番仕事が楽な班。
京都府立大学の論文取り下げ問題が最近では有名


内科は総合内科と名称変更しましたが、国が要望している医師像は専門の無い内科医師ではなく、専門がありさらに幅広く診れる医師です。
最終的に専門の医師が必要となります。
by Premium malts (2013-04-07 18:42) 

ebisu

Premium maltsさんへ

大学や病院の診療科の例示と解説ありがとうございます。

大学病院や民間の大病院はそれぞれ歴史や担当する人の関係で、診療科の区分けのしかたが違うのですね。

次の文が引っ掛かっています。
>心カテをしている人は循環器内科医師のみです。
>やったことがあると出来るは違います。
現実問題として何をもって循環器内科医師と判定するかという問題がありそうです。

臨床研修医制度で「おちこぼれ」てしまった医師についても言及がありました。

>民間病院での研修ではこのドロップアウトしたものがどのように生活しているのか今後みなさんにもわかってくると思います。

優秀な臨床研修医は研修病院に残るということですが、ごく一部なのでしょう。

「循環器内科雑記」が面白かった。
昔花形、いまはなぜか落ち目の「カテーテル班」、現在花形の「不整脈班」、そして臨床治験で製薬メーカとの「多施設共同研究班」。
たしかに臨床治験は製薬メーカがお膳立てしてくれるので、「一番仕事が楽」な班でしょうね。

>内科は総合内科と名称変更しましたが、国が要望している医師像は専門の無い内科医師ではなく、専門がありさらに幅広く診れる医師です。
>最終的に専門の医師が必要となります。

医師が百人いたら、そういうレベルの人はどれくらいの割合なのでしょう?

地域医療の現状は、とにかく常勤医の先生がほしい、医師免許をもっていさえすればいいというのが行政側の本音かもしれません。
一方で医師の都会への集中、他方で地方の医師不足がますます深刻化しているのが日本の医療の現状ですね。

医学部の定員を増やすしかないのでしょう。だから、地方の病院の医師不足は当分解消されない。
by ebisu (2013-04-08 00:21) 

NO NAME

心カテが出来る消化器系や内分泌系の医師はいません。

心カテをしている人は循環器内科医師のみです。
やったことがあると出来るは違います。


件のK医師は循環器系内科教室の出身ではありません。しかし卒業後勤務した某市立病院で心カテを習得しそれ以後は循環器の内科医として活動しています。
その事実を書いたに過ぎません。

ところで、今回の話題と臨床研修医制度とは何の関係も無いと思いますが。(K医師は制度が始まるずっと以前に医師に成っています)

研修医制度の問題
ここで研修をした医師は最初からその病院で働くことを希望しているのでほとんどの研修医はその病院に残ります。
ただ希望しても残れない研修医、または途中でドロップアウトする研修医もいます。

余談ですが、かって北見赤十字が研修医を募集したところ東大や慶応の連中が押し寄せたことで有名です。それで北見側は「日本でもトップクラスの医師が集まった! その中の一人でも北見に残ってくれれば・・・」とぬか喜び。当時皆で「ありゃあ50万の月給に引き寄せらて集まっただけで、別に北見赤十字が良いと言う訳じゃない。研修期間が終わったらさっさと東京に戻るに決まっている。大体東京の連中が北海道なんか、それも地方の病院なんか相手にもしていないよな」と苦笑したものです。
果たして研修終了後彼らは北見に残ったのでしょうか。彼らが北見での就職を希望したとは思えません。まして彼らがドロップアウトしたとも思えません。
それともこの現象は「特異な1例報告」??




by NO NAME (2013-04-08 09:28) 

ebisu

最近の制度を前提にした一般論と根室の地域医療の個別具体論を並べて検討することができます。
これも地域医療の現実を知る上で格好の材料となりえます。

地域医療改革は市民が地域医療の現実を知ることから。そのためにコメント欄の貴重なご意見を本欄へまとめてアップしたいと思います。
こんな議論をうかがう機会はメッタにありませんから。

プレミアムモルツさんと(お名前がありませんがたぶん#2255へコメントいただいた)「紋次郎」さん、ありがとうございます。
by ebisu (2013-04-08 11:52) 

Premium malts

回答になっているかわかりませんが。

次の文が引っ掛かっています。

>心カテをしている人は循環器内科医師のみです。

>やったことがあると出来るは違います。

現実問題として何をもって循環器内科医師と判定するかという問題がありそうです。


医師免許を取得すると全て医師です。
循環器内科、呼吸器内科、消化器内科と判断することはできません。

学会に所属して専門医を取得していると専門が循環器、呼吸器、消化器と分かります。
ただ学会専門医も少し問題があるのですが。

学会に所属していないと専門は不明です。

大学や市中病院でその専門に診療科を続けているということがある程度の身分保障になります。
例えば国立循環器病センターでレジデントを5年間していたとか、国立がんセンターの胆膵グループでレジデントを4年間していた等です。
そしてさらにその後も違う病院でも同じ診療科を続けているということです。

どの病院のどの診療科のレジデントになるかが問題です。

後期研修は3年から5年と言われています。
京都大学医学部附属病院の移植外科を選択すると、周囲の医師はこの研修医は移植外科を選択したんだと判断します。
そこでレジデント、医員、医長と3年から5年でうまくいく医師とレジデントですごす医師もいます。

周囲の医師の評価は大学附属病院、市中病院のどの診療科を選択したかでその医師の専門と考えます。

問題はこの医師がその診療科を続けているかということです。

若い時の選択ミスで違う診療科にレジデントで入り、自分に合わないから途中で変更する医師もいます。
ただその後も同じ診療科で仕事をしている場合はその診療科医師としてかまわないと考えます。

しかしその後も診療科を移動している医師も中にはいます。
医師からみても専門の診療科が不明な医師もいます。

研修制度の話をしたのは前期研修は2年間で内科全般、救急等を行い、後期研修になります。
この制度が始まった時には研修医はほぼふざけていましたね。
おそらく研修制度の全体像が指導する側も指導される側も見えてなかったのも否定出来ません。
給料のいい病院や風光明媚な観光地等の病院を前期研修の地と捉えていました。
しかし給料は風光明媚だけだはその後も研修医を集めることは不可能です。
後期研修を同じ病院で行なったかは不明ですが、大体大学病院に戻ってくるか大手民間病院グループに後期研修を求めて戻ってきていました。現在はほとんどの医師は明確な目標を持って前期研修をとらえていると思いますが、中には研修プログラムの一環で1ヶ月地域医療を選択することで給料を求めている研修医もいます。

前期研修で優秀な医師を確保出来ればさらに後期研修で優秀な医師が確保出来ます。
さらにその病院、診療科が有名で研修しやすい環境であれば他の前期研修を修了したレジデントも集まります。
医師の中にも勘違いしている人もまだいますが、大学が研修医を派遣するのではなく病院とその診療科が魅力が無いと研修医は集まりません。このシステムも問題があると思いますが。

大学でレジデントを指導してきて初めの頃に比べると大分研修医の目標が明確になっていることがわかります

消化器内科のレジデントを途中で変更して循環器内科のレジデントになったという表現なら分かりますが、
消化器内科で心カテをするということはありません。

医師以外の人からみてその医師の専門を見分けるのは難しいでしょう。
医師から見ても循環器内科と言われても心カテ専門なのか、不整脈専門なのか、ただの高血圧だけなのかわかりません。
消化器内科と言われても消化管専門で上部なのか大腸なのか、胆膵専門なのか、肝臓専門なのかわかりません。
呼吸器内科も結核専門なのか、肺がん専門なのか、慢性閉塞性肺疾患専門なのかわかりません。

医師以外で医師の専門を見分ける方法は皆無でしょう。ただ診断をして、検査をして、治療にいく過程で全てその医師が行っている場合はその医師はその道の専門だと考えていいのかなと思います。

生活習慣病の高血圧、脂質異常症はどの医師でもみれますので。
糖尿病だけが少し専門領域になってきますが。

上記で大学の診療科を書きましたが、あれだけある診療科全てみれる医師は存在しません。
さらに循環器内科と言われても心カテ、不整脈両方出来る医師はそんなにいません。
消化器内科でも大腸専門で胆膵の治療が出来る医師はほとんど皆無です。さらに肝臓もできるとなると。
呼吸器内科でも結核は施設が限られてくるので結核病棟のある病院で研修していないとみれないことが多かったです。
血液内科は年齢により疾患が異なりますが急性白血病等の急性期または慢性期血液疾患の急性増悪は本当に大変です。
内分泌代謝内科は東大のように独立した講座であると甲状腺専門、副腎専門、下垂体専門等分かれていますが、講座で循環器、内分泌が重なっているところは何が専門かわかりません。

このように専門が細分化されている状況で自分の専門領域だけしかみないという風潮が出て来たから、専門以外の疾患も診断ぐらい出来るように研修制度がはじまったと理解しています。診断したらあとは専門の医師に紹介することです。

by Premium malts (2013-04-08 19:52) 

ebisu

Premium maltsさんへ

ずいぶん細分化されているのですね。
スキルス胃癌を処置してくれた外科医に食道癌の手術のことで質問をしたことがあるのですが、「専門外だが・・・」と仰っていました。消化器外科だから食道癌の手術もやっているのだと思い込んでいましたが、そうではありませんでした。

同じことは循環器内科でも言えるのですね。
私は日本では専門医がどのように理解されているのか知りたかったのです。

米国のように一定のトレーニングを課した認定医制度があればいいのでしょうが、この辺りが日本はなぜかあいまいです。

先月東京で歯科治療をしてきましたが、その折に耳に挟んだ話しを紹介します。
歯科でも補綴をやる医師と根っこの治療をやる歯科医は米国では別、根っこの治療のほうは認定専門医がやるんだそうです。
歯がダメになった場合は、補綴処置が悪かったのか、根っこの治療に問題があったのかが裁判で問題となるという状況があるようです。

司法試験が簡単になり弁護士の数が年々増えていますが、日本も米国のように医療訴訟が増えていけば、防衛上、将来認定専門医制度を導入せざるを得なくなるのかもしれませんね。

3月に終結した市立根室病院の医療訴訟裁判は「和解」で市側が9千万円を支払っています。実質的には市側の全面敗訴ということなのでしょう。

人口2.8万人の町にの市立病院が網羅すべき診療科はどこからどこまでなのか、そういう疑問がありましたが、不要な診療科などないのですね。
でも、人口が少ない町では市立病院にすべての診療科と専門医をそろえることはできません。

心筋梗塞や脳出血を起こした場合は観念するしかないのが現実です。専門医のいる釧路の病院へ搬送される途中で手遅れになるのもいたしかたなしです。田舎に住むというのはそういうリスクを受け入れることなのでしょう。

急性期でなければ、根室の病院に専門医がいなければ、一次的な診断をつけてもらい、専門医のいる釧路の病院で精密検査や治療を受けるのがベストなのでしょう。
市立根室病院は足りない機能を補完するためにも釧路の大病院と良好な関係を築く必要があります。そのあたりのマネジメントは主として院長の仕事ですが簡単ではないでしょう。

それにしても、出産とターミナルケアの二つは採算度外視てもふるさとで維持したい機能です。そういう機能を財政的に支えるためには市政の無駄遣いは避けなければならない。
年間28億円の市税収入で20億円の市立病院赤字では市財政がもちません。

市民が理解と納得のできる地域医療ビジョンが必要です。地域医療の現実を知らないと議論もできません。市民が医療のことを知るためにこのブログが役に立つことを祈っています。

コメントありがとうございます、勉強になります。
by ebisu (2013-04-08 23:32) 

ebisu

認定専門医制度が日本にもあるのですね。

社団法人 日本専門医制評価・認定機構
http://www.japan-senmon-i.jp/


by ebisu (2013-04-08 23:45) 

NO NAME

専門医と技術認定医のちがい

日本循環器学会 http://www.j-circ.or.jp/index.htm
循環器専門医は、心臓・血管系に関する豊富な知識と技能を有し、心筋梗塞、狭心症、高血圧、動脈硬化、弁膜症、心不全、不整脈、などの循環器疾患の適切な診断・治療及び予防ができる能力を有する。

日本心血管インターベンション学会 http://www.cvit.jp
日本心血管インターベンション治療学会では、日本心血管インターベンション学会及び日本心血管カテーテル治療学会が統合したことを機に、医療知識、医療技術の水準を高めそれを社会に還元していくために、専門医認定医制度を導入しました。

今後の専門医方針

現在、学会活動の柱である専門医制度の試験、特に実技評価のあり方について検討をしています。先日開催された学会内の倫理委員会において、専門医実技評価施行の倫理性について議論されました。結論は以下の通りです。
1. 専門医試験において実技評価は必須である。
2. 実技評価の方法として、実際の患者さんの治療を試験の場とすることは、以下の条件を担保することを前提に許容される。
Ⅰ. 患者さんの治療が実技評価として行われることにより不利益が生じる可能性があることも含めたインフォームドコンセントの取得
Ⅱ. 施設の倫理委員会の承認
Ⅲ. より安全な実技評価試験の模索
Ⅳ. 学会として実技評価を行うことの正当性の社会への告知
以上の倫理委員会答申を受け、今後の専門医実技評価をどのような形で行うかについては、引き続き専門医認定医制度審議会での議論を継続していきます。


日本消化器内視鏡学会 http://www.jges.net/index.php/
消化器内視鏡認定医

指導施設での研修(5年以上)について;
卒業年(医師免許取得年)が2007年以前の方で、2013年2月末日をもって5年以上指導施設で研修している必要があります。
消化器内視鏡実績表(診療実績基準:専門医制度規則 別表1)について;
指導施設での研修期間中の検査施行数を報告して頂きます。指導施設認定期間外に施行したものについては診療実績として認められません。



日本内視鏡外科学会 http://www.jses.or.jp/index.html
日本内視鏡外科学会技術認定取得者
以下に掲載するリストは、本学会会員で、その自由意志により、本制度規則の要件を満たし、認定申請を行い、審査手続きを経て認定された医師の一覧です。 内視鏡下手術を安全かつ適切に施行する技術を有し、かつ指導するに足る技量を有していることを認定しております。

ただし、手術をして良い、あるいはしてはならない等の規制をするものではありません。また、非会員や認定申請をされていない医師にも同等の技術を持った方がいることをご承知下さい。なお、本学会事務局では、個別の医師に対する連絡の斡旋や、連絡先の照会などは個人情報保護法に基づき一切行っておりませんのでご了承下さい。

学会専門医は技術認定をおこなっているわけではないのですが、腹腔鏡手術に関しては以前の事故で技術認定医を認定しています。

専門医と技術認定医のちがいがあります。

ほとんどの学会専門医は技術認定は行っていません。
日本心血管インターベンション学会は今後技術試験も入れると明記していますが、はたして今までのようにならなければいいのですが。

ちなみに麻酔科認定医は技術試験は昔から行っています。
by NO NAME (2013-04-09 07:22) 

Premium malts

上記コメント名前未記入でした。

日本の医療の問題でもありますが、なれ合いで専門医を取得、いやあげあっていた時代の遺物です。

by Premium malts (2013-04-09 07:31) 

Premium malts

最後に一言

研修医のとき教わった言葉です。

専門医とは
疾患の診断、検査、患者教育、治療を全てできること
です。
by Premium malts (2013-04-09 07:42) 

ebisu

解説ありがとうございます。

専門医と技術認定医の違いはこれだけ独立のテーマとして本欄へアップしたいと思います。
ご了承ください。
by ebisu (2013-04-09 22:23) 

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