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#2236 根室市予算案をチェックする(5): 国の借金は1100兆円になる  Mar. 3, 2013  [26. 地域医療・経済・財政]

【ハコモノを民間の倍の予算をとって各自治体がつくれば国の財政はどうなる?】
 根室市はハコモノの予算を膨張させ続けている。30億円程度で済む市立病院建て替えに70億円、老健施設30床増床に9億円、特養のはまなす園30床増床に5億円、統廃合すれば必要がなくなる成央小学校耐震改修に4.1億円、そして明治記念公園に建物や遊びの施設をつくると言い出している。打ち出の小槌があるかのような大盤振る舞いだ。
 現市長がこんなにハコモノをつくりたがる理由が私には分からぬ。何か理由があっての政策だろうから、各自お考え戴きたい。私が検討したいのはこのようなことを全国の自治体がやったら国の財政がどうなるかということにある。

【市政チェック機能の喪失】
 老健施設は厚生労働省のホームページで調べてみたら国の助成は200万円/ベッドだった。根室市が予算案で見積もっていたのは9億円である。増床予定の30で割ると3000万円/ベッドであるから、一体何がどうなって金額が算出されているのかさっぱりわからない。
 市民へのアカウンタビリティ(説明責任)があるはずだが、市役所のホームページはあるが資料は見つからない。
 市議会は市民の疑問になかなか応えられないから、市民4団体から定数削減要求が出される。つまりチェックする機能がなくなっていると言うこと。

【地方自治体が補助金に卑しくなると国家財政は破綻する】
 これらはすべて国の補助金を当てにした事業である。こんなことを全国の地方自治体がやれば、国の財政がもたないことはあたりまえだ。国の補助金事業には地元負担が3割ほどあるのが普通だから、意地汚くホイドをすれば市財政が悪化するのはあたりまえだ。事実、急速に悪化している。
 コストカットをして最小限の費用でやるべきなのに、2倍以上のコストをかけている。これでは市役所のメインの仕事は補助金申請書類をつくることにあるかのようだ。国だって打ち出の小槌があるわけではないから、税収(40兆円)では足りないから国債を発行(国債42兆円+建設国債59兆円?)して借金を膨らませて、全国に1719ある市町村の要求に応えている。根室市もその中の一つだ。

【来年度末に国の借金は1100兆円を超える】
 では、国の借金残高はどうなっているのか?
 昨日のNHKニュースによれば、来年度末に国の借金の残高が1100兆円を超えるという。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130302/k10015900881000.html
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財務省によりますと、国債に短期の借り入れなどを合わせた国の債務残高、つまり借金は来年3月末、平成25年度末の時点で、今年度末と比べて101兆円余り増え、1107兆1368億円に達する見込みです。
国の借金が1100兆円を超えるのは初めてで、日本のGDP=国内総生産の2倍以上に当たります
また、国民1人当たりに換算すると、およそ870万円の借金を抱えることになります。
政府は、一般会計の総額で92兆6115億円と、過去最大の規模となる平成25年度予算案を国会に提出しましたが、歳入では財源不足を補うため42兆円余りの国債を発行する計画です。
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【国の財政状況】
 「GDPの2倍以上」と書いてあるが、税収と比べるのが至当だろう。税収を40兆円とすると27.5年間の収入を全額借金返済に充てなければならないということ。

 公務員の給与は600万円だから、それをベースに換算してみると、
  600万円/年×27.5年=1.65億円
 なんと、1.6億円の借金を抱えていることになる。そしてその額は急速に増大しているのである。年収600万円の人への住宅ローン融資枠はおおよそ5倍の3000万円が限度だろう、その辺りが返済できる限界だからだ。その限度額の5倍以上の借金を抱えているということは、ローン破産を5回繰り返すということだ。民間人や民間企業ならありえない話である。
 ギリシアよりもスペインよりもイタリアよりも危ないのは日本だ。日本の財政破綻はEU加盟国の大半が同時に財政破綻するようなもの。
 日本の国家財政の破綻が近づいている。

 せめて基礎的財政収支ゼロにしておかなければならないが、小泉政権では2011年にプライマリーバランスを回復すると約束したが、安倍政権になってそんなことはまるでなかったかのようにアベノミクス「三本の矢」を声高に叫んでいる。安倍は小泉政策の継承者である

【根室市の財政状況】
 国家財政が破綻したら、根室市の収入の過半を占める地方交付税交付金(66億円)や国庫支出金(15億円)、道支出金(11.8億円)は半減ではすまないだろう。ない袖は触れない。
 根室市の自主財源である市税収入は減少し続け、わずか28.2億円である。市債発行残高は200億円+25億円である。自主財源の年収で計測するとおおよそ8年分である。
 他方、市立病院事業赤字は16億円を超えた。来年度は20億円に達するだろう。藤原市長時代の2.5倍の赤字である。

 根室市は140億円台だった予算を20億円も膨らませてしまっており、来年度予算案は166億円である。病院事業の損失繰り延べや補助金事業のやりすぎで市債残高が増えているから、返済金額も増え続け、年額18億円にもなっている。国の補助金事業は地元負担があるのが普通だから、補助金事業をやればやるほど地元負担も増える仕組みになっている。だから、補助金事業を縮小しないと近い将来根室市の財政は破綻することになる。

【根室市の補助金事業と国の財政悪化の関係】
 根室市のような自治体が全国にたくさんあるから、国の財政も傾く。補助金が下りるからコストはいくらかけてもよいなどという亡国の行いは慎もう。
 市役所関係者と話してみると、補助金は使わないと損だという感覚だから驚く。どうせ補助金だからコストカットなどする必要がないという意識が強い。

【いらないものはつくらない、いるものはコストカットしよう:予算総枠を140億円に】
 ニホロに北方領土館があるのに明治公園内に似た用途の物を作る必要はないし、人口が10年後には2.5万人を切るのだから、明治公園の拡張も不要だろう。根室市にそんな余裕はとっくにない。60歳を過ぎた者たちがよってたかってハコモノをつくり、次の世代に莫大な借金を残すなんてこは人としてやってはいけないことだ。やるなら、むだなコストをカットして、将来にために必要な資金を捻出し、必要なお金を積み立ててからやろう。貯めるのが先で使うのは後だ。

 いけないものはいけない、ダメなことはダメだ。何か事業をやるときはそれが本当に必要かどうかをまず検討する。そして次に、どうすれば事業費をカットできるか検討すればいい。そして民間企業の同種事業の相場と比較してみることだ。そうすれば概ね事業費は半額になるだろう。予算の総枠を140億円と定めよう。第一段階が140億円、第二段階は100億円に総予算を縮小しよう。根室市が2.5万人の町になったときにふさわしい予算規模を想定して予算枠を縮小していこう。

 各人が自分の仕事を正直に誠実にやろう。そうすれば根室市の財政破綻も国の財政破綻もクラッシュのショックを幾分和らげることぐらいはできる。問題を先延ばしせずに困難な課題をすぐに引き受けよう。根室の市債残高を10年間でゼロにし、将来の必要な諸事業のために若干の積み立てを残そう。

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【予算関連記事】
*#2231 根室市予算案をチェックする(4): 成央小耐震改修4億円 Mar. 1, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-1

 #2229 根室市予算案をチェックする(3): 病院事業赤字はどこへ? Feb. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-27

 #2227 根室市予算案をチェックする(2): アカウンタビリティ  Feb. 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-26

 #2226 根室市予算案をチェックする(1):市債発行額24億円 Feb.26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-25

 #2203 明治公園再整備市民委員会:市民委員会は市政翼賛装置 Feb. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09

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