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#2157 インプラント治療終了 Dec.16, 2012 [39. インプラント治療]

 一週間休暇をとって、インプラント治療の続きをやってきた。仮歯をジルコニウムの「本歯」に入れ替えた。場所は京王線聖跡桜ヶ丘駅前、H歯科である。

 なにぶん遠い根室から東京へ休みをとっての治療だから、ドクターにはずいぶん無理を聞いていただいている。
 インプラントには直接ボルトを入れる場合とメスネジを骨に埋め込み土台をつくる方法の二種類ある。わたしの場合は後者の方がいいという判断でメスネジを埋め込んでから、5ヶ月経過してから仮歯を入れ、その後2ヶ月してから「本歯」に交換した。
 ジルコニウム製の歯にはオスネジを入れる穴が開いているが、人口歯をセットしてからオスネジを入れて「ネジ止め」するのである。
「30ニュートンで締めるから(専用工具を用意して)」

 えっ、手の力加減で30ニュートンが分かるの?そう思って作業が終わった後で、「30ニュートン、感覚でわかるんですか」と聞いたら、笑って器具を見せてくれた。小さなラチェット式のネジ締め専用工具は30ニュートン以上力を入れると空回りしてネジに負荷がかからないようになっている。

「メーカ選びがたいへんですね、製品の善し悪しだけでは選べませんね、経営がしっかりしている会社でないと、10年後には部品供給できないという事態もありうる」と問うと、

「世界第3位のメーカを選びました、Zimmer社のボルトを使っています、しっかりした会社です」
10年後に部品交換の必要があっても対応できるメーカをしっかり選んでいる。説明を聞き流さず、メーカ名ぐらいは記憶しておこう。
*Zimmer社(インプラント用ボルトの写真が載っている)
http://www.itx.co.jp/details1.html

 欲を言えば、同じZimmer社のインブラント製品を使っている歯科医のネットワークへ患者(あるいは一般市民)がアクセス可能になっているとうれしい。10年20年先には先生が健康で治療を続けているかどうかはわからないから、そういう事態に遭遇してもなお対応が可能なら患者は将来にも安心できる。オヤジの兄弟がみな癌で死んでいるからおそらくその「癌家系」の系列の遺伝子を受け継ぐであるわたしはオヤジや叔父達と同じように70前後で癌になることは覚悟していた。オヤジも叔父達もみな癌の部位が違っていたから、わたしがなるのはだれもなったことのない胃癌であることまでは予測の範囲だったが、50代で胃癌になるとは考えていなかった。術後2年を生きたオヤジが最高記録で、大方は入院したままこの世からおさらばしている。
 わたしは胃の幽門手前に胃を塞ぐような「巨大癌」(病理診断書の記述)と粘膜を走るスキルスを併発していた。絶体絶命だったのである。拾った命を自分のためだけに無駄には使いたくない。
 というわけで、あなたの治療をしている先生がそういう運命に見舞われないという保障はどこにも存在しないのである。

 インプラントの「本歯」は調整が不要なほど精度のいい義歯でルックス(見た目)は陶器で自然な葉の色をしているが、舌で触った感触は金属だった。強度は金属、しかしゲンコツ飴のような硬いものを噛んではいけない、義歯は問題がなくても土台は下顎の骨に埋まった直系3~4mmのボルトである。ボルトもチタン製でたいへん硬く丈夫だが、それを受けている骨組織がもたぬ。インプラントの構造がどのようなものであるかを忘れてはいけない。リスクは患者の側の行動にも潜んでいる。
 精巧な義歯なのでそのまま装着してネジで締めて、ネジ穴のところを樹脂でふさいで治療はオワリ。これが初日の月曜日。

 翌日火曜日に装着後の状態チェックと歯茎の炎症改善のため歯垢の除去と歯間ブラッシング。ついでに数日前にアサリを食べたときに、クラウンをかぶせてある歯が折れたような感触があったので事情を伝えた。
 歯科衛生士のSさんが
「この歯は歯間ブラシで触ったときにぐらついていました」
結局、折れていてこの歯の治療もしてもらうことになった。
 急遽レントゲン撮影、鉛の大きなベストをかけて顔を台に固定し口の中には透明なプラスチックでできた器具を差込み照射装置の位置決め、そしてしてブザーのなるのを待つ。診療室へ戻ると32インチのモニターにすぐにレントゲン画像が転送されてくる。歯が小さいうえに、折れたから、残っている部分が隣の歯に比べて三分の二くらいしかない、素人目にも厄介そうだ。
 ドクターが確認のために歯に触ってみたら簡単にとれてしまった。やはり折れていた。
「先生、隣の歯に比べて根っこが小さい、やっかいそうですね」
「うーん、根が小さいから単独では無理かな、ちょっと考えさせて」
 2分くらい検討して、奥の歯のクラウンを外して二本連結することに決定。
 5番と6番の歯。奥のほうが6番だと思うが、開けてみたらこちらもずいぶん痛んでいた。いいタイミングだったわけだ。二本連結で治療して、それがダメになったら3本でブリッジにし、それがダメになったらインプラント。流れはそういうことだ。10年は先だろうから生きていればの話しだが・・・(笑)
 実際に、術後の2年ほどは癌の転移と再発の恐れがあるから、歯科治療をやっても無駄という気がしていた。地元の3代目の先生が優しい目で治療を続けてくれているうちに、QOLを改善するためには歯できちんと噛めないといけないことに気づかされて、気持ちが変わった。マスクをかけているから目だけが見えるが、日によっては「トシボー」ときやすく呼びかけてくれた先代かと見まがうほどそっくりなことがときどきあり、なんだか先代が「トシボー、きちんと治しておけ」と語りかけてくれているような気がして積極的に歯科治療を受けようという気になったのである。それでインプラント治療の相談をしてみたら、ここではやっていないので患者さんから希望があると札幌の大学病院を紹介していると告げられた。月に一度北大の口腔外科の先生が来て、厄介な抜歯をやってくれているから、大学病院とお付き合いがあるのだろう。食事のことがあるから、ホテルに宿泊して治療を受けるのは辛い。東京で歯科治療をしていた歯科医院の先生に電話で相談して、そちらでやることにした。

 話しは治療に戻る。樹脂で土台をつくってからレーザを当てて硬化させるから、速い。便利になった。
「あ~、今日は右側で食べないといけないな」と思っていたら、治療はこれでオワリではなかった。
 ドクターが10分ほどで仮歯をつくってくれた。ポリカーボネイト製の仮歯だが、これがけっこう具合がいいし、丈夫なのだ。
「先生、これで充分!」
「そう言う患者さんがよくいますよ、半年から1年間は大丈夫です」(笑)
「だから、なにかあったら、来て治療して仮歯を入れて根室へ帰ればいいんです、半年後にまた来れば、それで間に合います」

 今回も麻酔は針をいつ刺したかわからない。コンピュータ制御の麻酔専用注射器で針の挿入速度と薬液の注入圧力を軽減するからほとんど刺した感覚も薬液が注入されるのもわからない。手動でこんな技は無理だそうだ。唇がちょっとしびれただけ。いつもの半分の量の麻酔液を注入しただけ。
 火曜日の夜の食事は梅錦の純米吟醸酒をいただきながら、両側の歯でしっかり噛んで食事を楽しんだ。

 金曜日に歯茎の炎症がどの程度治まったかチェックした。火曜日に歯垢を落としてから、歯の隙間に歯間ブラシを通したときには出血したが、歯間ブラシを3日使い続けただけで歯茎の炎症がおさまり、出血がほとんどなくなった。
「赤かった歯茎がピンク色になっています」、とうれしい言葉。
「言われたとおりに10回ブラッシングしました」
「今度はごしごし20回やってください、もっとよくなります、隙間が大きくなったのは腫れが退けたからです、SSとSだけでなくMサイズのブラシも併用してください」
 これにはまいった、最初から20回ゴシゴシやるんだよと言われたら、「ムリムリ」と言っただろう。塾生にそういう生徒がいる、顔を思い出してニヤけてしまった。そういう生徒にはわたしも家へ帰ってからすぐに10分だけ英語の教科書と音読テキストの音読をやれと指示している。10分やれば30分すぐにできるようになるからだ。
 10回でこれだけよくなったのだから、ebisuは俄然やる気になっている。Sさん、塾先生やらせてもそうとうなものかもしれない。

 さて、インプラント治療はこれでオワリだが、治療システムはこれでエンドではない。ドクターの説明によれば最初の1年間は3ヶ月ごとにチェックをしているという。遠いこともあるし、半年に一度ということで了解いただいた。
(年に2度、1週間ずつ休みをとって本屋回りをするのもいい。今回は12月に出たばかりの面白そうな新刊書を何冊か見つけた。それは別途ブログに書こうと思っている。)

 奈良から来ている患者さんが一人いるらしい、「ebisuさんが一番遠い」と先生。

【インプラント治療についての参考】
 インプラント治療は設備が整い、症例数の多いドクターにやってもらうのが一番だろう。H・T先生はインプラントを500症例以上やっており、患者の歯茎や上顎骨や下顎骨の状態に応じてベターなやりかたを選択してくれる。
 インプラント部品供給メーカ選びも患者にとっては重要だ。メーカが違うとネジはピッチが違うからあわない。10年後でもきちんと部品や専用工具の供給のできるメーカを選んでおかないと、被害は患者に及ぶ。

 わたしのケースが参考になれば幸いである。聖蹟桜ヶ丘駅前にあるH歯科はドクターが二人に歯科衛生士が4人いる。診察ブースは5つあり、そのうちの一つはインプラント専用の手術室だ。
 歯科衛生士さんたちは海外のインプラントメーカの講習や国内の学会の講習に参加している。診療室にはそれぞれ参加した複数の種類の講習会の「修了証」が張られている。
 技術の上がるのが自分でもわかるだろうから仕事が楽しいのだろう、仕事をしているときの目が真剣だ。一番経験の長いのがHさんで7年目だ、この9ヶ月間だけでも技術を上げているのが感じられる。士気の高い歯科衛生士さんがそろっている。

 良質な経験を積んだ歯科衛生士に1年くらいの公的な研修でもっと仕事の範囲を広げた「シニア・テクニシャン」のような制度が将来できたらいい。小児の歯科治療には、小さな手で細い指をもった人が向いているとドクターが言っていた。上手でも指が太いと小児の歯科治療はむずかしいのだそうだ。これは他のドクターの話で、H先生の指は太くない。(笑)

【胃癌の患者さんへのメッセージ】
 わたしは6年前に胃の全摘手術を受けているが、カルシウムの吸収能が落ちたことや一日に6度食事をするので口内環境が健常人よりも悪化するせいもあるのか、術後は3ヶ月に一度くらいの頻度で歯にトラブルが生じた。右側の下の奥歯2本が欠損していたから、左側の歯にトラブルがあると食事が辛かった。よくかめないから歯にトラブルが生じると消化不良から下痢が起きるし、口内炎もひどくなる。当然体重も落ちるし、体力も奪われる。
 こうしたことを避けたいために、インプラント治療を選択した。両方で咀嚼できれば消化不良が起きなくなる。唾液と混ぜるためにだいたい70回ぐらい噛むようにしているから、食事はゆっくり、一回の量は健常人の半分以下。そして間食を増やす。

 貧血で鉄剤を飲むと、錠剤が大きいので喉の接合部のポケットに錠剤がひっかかり、徐々に解けるのだが、鉄剤だから味が気持ち悪い。3年ほど前に処方してもらったが、気持ちは悪いし、一週間で飲めなくなった。体調が悪くなって続けられなかったのである。
 ところが、今回は30日きちんと飲み続けられた。普段は玄米ご飯を食べているが、最後の一口を食べるときに、70回咀嚼して唾液と混ざってドロドロになったときに鉄剤とビタミンB12を一緒に飲み込めば「ポケット」に引っ掛からずに落ちていく。
 胃癌は食道と胃を切除して空腸を喉のところで器具を使って接合するからそこのところに「ポケット」ができて食べ物が引っ掛かることがよくある。食道癌は空腸を引っ張り上げるのではなく胃を引き上げるのだが、接合部の事情は同じだろうから、ご飯を70回噛んでから薬を一緒に飲んでみたらいい。

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**「#2367 インプラントは定期点検が大切 Aug. 9, 2013 」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-09

 #2157 インプラント治療終了 Dec.16, 2012 
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-16

 #2099 インプラント治療の実際(3) Oct. 14, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-10-14 

 #1918 インプラントの実際(2) : 片方固着せず、やり直し  May 2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-02

 #1896 インプラント治療とQOLの改善 Apr. 8, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-08



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