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#2158 自民党圧勝294議席、されど第2の危機:民主党惨敗  Dec.17, 2012 [B2. トピックス]


 自民294、民主57、維新54、公明31、
 みんな18、未来9、共産8、社民2、
 大地・国民新は各1名


  民主党は改選前は230議席だったから、173議席(75%減)も失ったことになる。何が悪かったのか、やるといった仕事ができなかっただけならまだ許せたのだろうが、やらないと言ったこと(消費税造成や道路・ダム建設)をやってしまう大嘘つきだった。日本人は嘘つきが嫌いだ。

 できないことを認めず言い訳に終始したが、すぐに非を認めて正面から問題に対処していたら結果は違うものになっていたのだろう。
 民主党は幹部たちが声を揃えて「いいわけ」に全精力を傾け、本来やるべき仕事から逃げ続けた。仙石、枝野と弁護士出身の官房長官がその弁舌の技を言い訳に使ってしまった。細野も若いのに小ずるく立ち回り表裏を使い分けすぎた。鳩も菅もドジョウもいままでの生き方が災いして仕事ができないから、その精力のほとんどを言い訳に費やした。その場はそれでしのげても、三年間も田舎舞台劇を見せられ続けた観客の方は気がついてしまった。大根役者たちは何とかごまかせたと勘違いしていたのだろうがそうではない、あきれてしまったのである。いまだに大根役者たち=民主党幹部全員が大きな勘違いをしている。ダイコンの一人である前原氏も少しは自覚して引っ込んでいたらいい。

 民主党幹部には人材がいないことが何かことが起きるたびごとに明らかになったから、国民はただあきれた。その数の多さと学歴の高さと仕事のできなさ加減と言い訳のみったくなさにうんざりしたのである。前回衆院選で66.37%あった投票率が62.20%に低下したのは、入れるべき政党がなく投票所へ行かなかった浮動層が多かったことをあらわしているのではないのか。
 鳩・菅・ドジョウの三人の総理大臣はすなおに自分達の欠陥を認めて、正面から「仕事ができない」状態から抜け出すことに全力で取り組むべきだったのだが、そうしなかった。チャンスは何度も訪れたのに、かたくなに口先の言い訳や小手先のゴマカシ、情報隠蔽に終始した。こんなやからに国民が愛想を尽かすことすら理解できないから、いまも反省なしに前原がいいだの細野がいいだのと御託を並べるテイタラクである。根っこが腐っているとしか言いようがないではないか。

 自分達の損得勘定を先にしたらアウト。
 自分たちに不利であっても重要な情報はすべて公開する。迂遠なように見えても、仕事は正直に誠実にやるのが一番の近道、「急がば回れ」は真実だ。

 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」


 自民党は圧勝したが、冷静に見ると得票率は48%から43%に下落しているし、比例区の獲得議席を見ると惨敗だった2009年の衆院選の55議席を2議席上回っただけである。小党乱立で小選挙区制という選挙制度に救われたにすぎぬ。
 民主党を排除するかのような台風並みの逆風が吹いたにもかかわらず、このテイタラクでは国民は自民党にもノーを突きつけ続けていると見るほかないだろう。

 安倍総裁は冷静に選挙結果を判断しているようだ。トーンが選挙のときとは違ってきている。この人は基本的に経済音痴で、ブレーンがだれかは知らぬが、そのまま突っ走ったら、財政破綻の時期を早くすることが期待できる。それがこの人に課せられた歴史的使命なのだろう。
 石破茂幹事長を留任させるつもりのようだが、「揺り戻し」の起きる7月の参議院選挙後に切るのが適切と判断したのか。

 さて、どうみたらいいのだろう。日本列島は縄文時代から数えて1万2千年の歴史があるが、高齢化の進行による人口減少は初めての経験である。そういう時代の大きな転換点を私たちの世代は通過しつつあるということを頭の隅に常において考え、物事を判断すべきである。
(日本列島の人口が3000万人に縮小したらどういう暮らしが創造できるのだろう?思考実験してみるのは楽しい。)

 つまり、成長路線などない、それはおろかな幻想にすぎぬ。日本経済はすでに縮小へと向かい、活力を失いつつあるから、貿易黒字はどんどん縮小し数年のうちに赤字基調にかわる。変化の速度は遅いようにみえるが、世間の人々が気がつくころには速度はいまよりはるかに大きくなっているだろう。"下り坂"を転がるきには加速度がつくものだ。
 高齢化の進行とともに預貯金や株を持っている高齢者はそれらを取り崩していくから、1300兆円の金融資産は漸減していく。統計データにその傾向がはっきり読み取れるようになったら、円の国際的な信任が根底から崩れていく、わたしたちはそういう過渡期に暮らしている。

 その一方で、制度を変えて非正規雇用を増やしてしまい、日本の経営者はこぞって正規雇用を減らして非正規雇用を増やすことで人件費を圧縮して利益を増やしてきた。じつにイージな経営だった。だが、こうしたことはタイムラグをおいて日本経済に二つの点で致命的なダメージを与えてしまった。
 ひとつは、一人当たり個人所得がこの十年足らずで10%も減少した。非正規雇用が三分の一を占めるようになったことが一人当たり個人所得の減少となって現れている。それに人口減少と労働人口の減少が加わるのだから、消費は減らざるをえない。
 二つ目は20代30代で正規雇用でキャリアを積める層が薄くなり続けていることにある。あと10年20年後には経済的事情から結婚すらできなかった極貧層が何倍にもなるだろう。かれら・彼女たちの親が定年退職を迎えればだれが生活の面倒を見るのか?生活保護世帯の激増はこれから来ることになるが、そのときには国家財政が破綻している。

 手立てはある、鎖国することだ。輸入を減らし、雇用を保証し、自分たちでつくり消費する。仕事を分かち合い、それによって生活レベルが下がり物の値段が上がっても受け入れよう。

 教育の失敗も痛手になっている。現在の高卒の30%は団塊世代の頃の中卒の平均的学力よりも劣るだろう。大学生の学力の低下も著しい。団塊世代の頃は大学進学率は15%程度だが、現在は50%を超えている。大学は過剰で6万人も定員(66万人)未達の状態が続いている。
 釧路では基礎学力保証条例案が12月14日に市議会で可決されたが、効果が期待できるのはこれから学校教育を受ける世代である。その世代が社会の中堅を担うのは30年後だから、全国で釧路のような基礎学力問題への取り組みをただちに開始してもその効果は30年後だ。教育とはまことに気の長い投資である。

 いまや、学校を卒業して社会に巣立つ者たちの半分は非正規雇用あるいは職に就けない。だから、個人消費が増えるはずがない。個人消費が増えなければ、いくら金融緩和をしてもお金の借り 手がいない。縮小経済では金融を緩和しても生産増強のための設備投資は新規分野に限られるから意味がない。ほとんどの産業分野では設備投資をして生産力を増やしても消費が縮小していくから売上増大は見込めないと経営者は判断する。だから、雇用を減らし最低限の更新投資だけしていれば充分だ。
 金融緩和でお金は溢れるが主たる借り手は国際的な投機筋のみ、原油や天然ガスそして穀物などの投機資金として使われてしまうだけだ。値段の上がったものを輸入せざるをえなくなるから、国民の目から見ると金融緩和はばかげている。お金の流れの実態をよく見てみたらいい、大歓迎しているのは欧米のヘッジファンドである。

 自民党にとって第2の危機の幕開けだが、同時に大きな転換期を通過しつつある日本列島に住む私たちにとって国家財政の破綻というリスクが現実化する時期が近づいていると判断しなければならない。

 安倍自民党総裁が勘のい人だったら二の足を踏むはずだが、さてどうだろうか。
 金融緩和、200兆円の公共投資、・・・、どんどんやってみたらいい。結果が出るのにそんなに時間はかからない。そのとき自民党に変わる新たな保守党が台頭する。日本の村落共同体構造はそれほどしぶとい。
 ダメなものはみんなつぶれていけばいい。その果てでなければいままでとは価値観の違ういい時代はこない。安倍さんの歴史的役割は引き金をひくこと、二度も出てきたことにあなたは天の意志を感じないか?


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*#2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機:民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

 #484「国民の95%が幸せ…屈託のない笑顔」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-01-11-1

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学生Y

>高齢化の進行とともに預貯金や株を持っている高齢者はそれらを取り崩していくから、1300兆円の金融資産は漸減していく。

国内から国外に資産が出ていくならわかりますが、高齢化の進行でなぜ国内の金融資産が漸減するのでしょうか?

①預貯金・株を取り崩して購入する物品が国内企業からの購入である限り(その多くは生活必需品などの一般消費財)、資産は国内で還流するので、国内資産の総額は変わらないのではないでしょうか?

②相続人が死亡し、被相続人へ資産が相続されれば、資産の所有者移転は発生しますが、国内資産の総額は変わらないのでは?(日本国民の所有権が移転するだけなので)

③株の場合、海外投資家の保有比率の高い国内企業株式は配当金等の支払で国内企業の資産が国外へ流出する恐れはありますが、株を取り崩す(現金化)するということは、逆に国外への配当金流出も減るため、国内資産が逆に漸増するのではないでしょうか?


by 学生Y (2012-12-18 21:16) 

ebisu

学生Yさんへ

冗長な文章を読んでコメントを書いてくれてありがとう。

「金融資産が漸減していく」というのはそんなにむずかしいことではありません。
預金を下ろして生活費にまわすと、預金額は減ります。下世話に言うとそれだけのことです。
持っている株も売り払って物を買ったり、生活費に使ったり、病気になって医療費に回ったりと、ようするに使ってしまえばなくなります。

地獄や天国にお金はもっていけませんから、当てにはなりませんが、それぞれ余命を考えながら生きているうちにある程度地預金を取り崩して生活をエンジョイしたいと言うのが、本音でしょう。


by ebisu (2012-12-18 23:09) 

学生Y

ご回答ありがとうございます。

>預金を下ろして生活費にまわすと、預金額は減ります。下世話に言うとそれだけのことです。

確かに物品購入などで個人が消費すると、個人資産(預金額)は減りますが、その消費したお金は国内で還流する限り、また、国家という単位で考えた場合、「1,300兆円の国内金融資産」に変化はなしということではないでしょうか?

>持っている株も売り払って物を買ったり、生活費に使ったり、病気になって医療費に回ったりと、ようするに使ってしまえばなくなります。

個人が使ってしまえば、その個人の所有から預金は離れますが、使った先(支払先)の売上は増加します。つまり、支払先が海外企業であったり、国外に現金が持ち出されない限り、国内の金融資産に変化はないと思いますがいかがでしょうか?

by 学生Y (2012-12-18 23:35) 

ebisu

もうすこし敷衍したほうがよさそうですね。

たとえば、Aさんが預金を400万円下ろしてB社の車を買ったとしましょうか。
下ろした時点で預金はなくなります、つまり金融資産400万円の減少がおきます。
B社では売上処理され、次のような仕訳けがなされます。
 現金 400万円 / 売上 400万円

B社が売上全部を銀行預金すれば国内(企業や個人の)金融資産の総和は減少しませんが、企業は売上から原材料費や人件費やその他の経費などを支払うので、銀行に預金されたとしても1割以下でしょう。

つまり、個人が金融資産を取り崩して生活費や物品購入に充てると金融資産(現金・預金)は減少するのです。

株はその限りではありません。誰か他の人の手に渡るだけですから。
ついでに言うと株価が下がることになるでしょうね。

人口減少にともなって国内消費が500兆円から300兆円になれば企業は生産規模を縮小するか倒産するかでしょう。国外へ打って出る企業ももちろんあるでしょうね。いずれにせよ、日本の企業の時価総額は縮小へと向かうのではないでしょうか。株価が下落するとそれも金融資産の目減りとなります。

しかし、人口減少は悪いことばかりではありません。食糧自給率を飛躍的に上げる余地も生まれます。首都圏の通勤地獄もなくなりますね。
by ebisu (2012-12-19 01:02) 

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