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#1550 この国の基本はダブルスタンダード Jun. 12, 2011 [B7. 政治に求めるもの]

 原子力安全保安院の独立性が問題になっている。
*「「保安院の独立性必要」 米英仏機関責任者が言及」
http://www.asahi.com/international/update/0608/TKY201106080631.html


 監視機関が執行機関から独立していることは民間では当たり前のことだが、原子力安全保安院は経済産業省に属していた。これは民主党の時代に限ったことではなく自公政権時代からそうだった。

 たとえば、東証Ⅱ部へ株式上場申請をするとしよう。品質管理部門が工場長の下に位置づけられていたら、組織改変を要求される。品管部門が工場長の下に位置していては品質管理ができないからである。実際には、審査の前に担当証券会社の指導が入り、品管部門を本社直属の組織へ変更するのが通常の手続きである。これが「民間の常識」である。

 こういう当たり前のことが官庁では行われない。原子力行政の品質管理部門あるいは監視機関たる原子力安全保安院が経済産業省の一部局になり、経済産業大臣の下に入ることになる。これで監視機関の役割が果たせるわけがないし、その通りの事態が発生している。

 民間基準と国の基準が異なることは何も原子力行政に限ったことではない。そもそも会計基準が異なる。
 損益計算がなされずに、収支計算のみで借金(国債を発行)をして帳尻をあわせば収支尻はゼロとなり赤字は予算上解消されるが、実質赤字がなくなるわけではない。民間で言うところの粉飾が行われているのだが、公的会計上は合法である。本来はとんでもない話なのだ。
 企業会計原則準拠の損益計算書と貸借対照表を作れば債務超過900兆円などというバカげたことは起こりようがない。赤字決算は赤字として国民に公表され、その上で国会のチェックを受けるから、赤字の拡大にはブレーキがかかる。
 病院事業では地方公営企業法で定める会計基準に同じことがいえる。巨額な赤字があっても一般会計で補填すれば黒字に化ける。地域住民は赤字の事実を知らないから、赤字は歯止めがなくなり膨らみ続ける。そうしていつか地方自治体の財政そのものが破綻する。うまくやれば破綻のその日まで、黒字決算である。根室市の広報でも昨年下期の病院事業はどういうわけか4億円もの黒字になっている。もちろん民間基準では赤字であり、実質的な赤字なのだが、公的会計基準だと黒字ということになる。問題なのは実質的な経営改善の手が打たれずに"治療"がなされず手遅れになることである。
 こういうバカげたダブルスタンダードをやめて、民間基準に統一しないかぎり、あらゆる種類の災厄がある日突然に国民や地域住民を襲うことになる。

 公務員と民間の年金も計算基準が異なり、支給金額に2倍近い差がでる。退職金もだ。これらもダブルスタンダードの一例である。
 日本という国はダブルスタンダード(二重のインチキ基準)が基礎にあって運営されているようにみえる。
 福島原発事故は災厄の根本がダブルスタンダードを放置したことにあることを教えてくれている。

 民間基準一本でいい。
 このままでは第2・第3の原発事故が起きる。
 敦賀の高速増殖炉"もんじゅ"が危ない。地図を見ればわかるが、ここで事故があったら近くの京都や大阪ばかりでなく、敦賀の西側の地域に偏西風で放射能のチリが降り注ぐことになる。中部圏を通り越し首都東京まで汚染が広がる懸念ありだ。
 六ヶ所村の3000トンの使用済み核燃料貯蔵プールを直下型地震が襲えば日本列島の大半に人が住めなくなるだけでなく、太平洋は深刻な放射能汚染にさらされるだろう。六ヶ所村にはフランスで再生処理された高濃度のプルトニウムも大量に保管されている。ここには途方もない災害の危険性がある。直下型地震は予測がつかないから、いつ現実になるか分からぬ。現に福島第一原発は地震による被害の可能性はゼロだった。確率ゼロと計算されているところで起きた事故なのである。

 会計基準のダブルスタンダードを続ければ、夕張市に象徴的に現れたように、国の財政も道の財政もそしてわが町根室市財政も破綻せざるを得なくなる。

 それらを防ぐ手立てが一つある。ダブルスタンダードをやめて民間基準一本でやることだ。
 ひたすら正直に・誠実にやればいいだけだが、私利私欲を棄てなければできぬ。人間の限りない欲望が災厄の基なのだから、そこをコントロールしよう。"小欲知足"の生活を心がければいい、なんとシンプルなことよ。

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