#1276 建て替え工事入札にはリスク条項の説明が必要では? Nov. 12, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
10月6日の北海道建設新聞に「根室市立病院改築の入札が12月上旬にも公告へ」という記事が載っているとブログの読者の一人が教えてくれた。旬のいい素材をいただいたら料理人は仕事をしたくなる。
市議会で29.9億円の工事着工が承認されたのは10月29日だったが、気の早いことに3週間以上前に新聞記事になっていた。金額が補正予算どおりだから、市議会よりも業界新聞へのアナウンスが先行したのだろうか?
9月からすでに医師2人が退職し、年末に2人、3月末に2人退職が「噂」されている。今年度の実質損失は14億円前後に膨らみ、医師補充ができなければ来年度は実質赤字は15億円を超えるだろう。一般会計では補填できない金額に膨らむ。
つまり、来年度工事分は道の起債許可が下りないというリスクがあり、そうなれば支払不履行が起きる。進捗42%で工事がストップしたらどういうことになるのだろう?
起債許可が下りない場合に業者との支払にかかわる紛争を解決するための条項を契約書に明記すべきだ。そしてその内容を事前に市議会にかけて承認を取るべきだろう。
H市長は医師確保策も含めて、建て替え途中で工事がストップした場合の対策や建て替え後の損益計算書がどうなるのか財源の明示も含めて市民へ説明すべきだと思う。
H市長は嘘偽りなく正直に誠実に仕事をすべきで、ありうべき事態に備えて具体的な対策を立てて市民への説明責任を果たせ。
ebisuの心配はブログの投稿に見るように他の市民も抱いているものだ。「市民との協働」の基礎には重要事項について自ら説明責任を誠実に果たすということがなければならぬ。
工事が2011年度進捗率42%でストップすれば建物は工事半ばで雨風雪にさらされることになる。財源のめどがつかなければ数年放置され、ついには取り壊しになる可能性すらある。
建設着工を半年延期し、計画をゼロベースで見直して体制を立て直し、62億円の総事業費を30~35億円にカットするのが最善の選択だろう。
小樽市では市立病院の用地買収にかかわる起債が不許可となり、基本設計業務委託にかかわる違約金が発生し住民訴訟がなされ判決が出たと今日(12日)の北海道新聞25面に出ている。
解約金2600万円を巡り、山田市長へ1市民から損害返還請求の住民訴訟がなされた。請求棄却の判決理由で裁判長は次のように語っている。
「裁判長は「業者との契約の時点で、起債許可の可能性がなかったとまでは認められない」と述べた」
市立根室病院の場合はすでに医師が二人辞め、12月末にはさらに2名の退職が「噂」されている。そして3月末にはさらに2名の退職で、補充のめどは立っていない。このままでは4月には常勤医の数が10名になってしまい病院事業の赤字拡大は明らかだから、H市長と議案に賛成した市議たちは市が被る損害について賠償の住民訴訟が起こされたら責任を負うことになるやもしれない。権限には責任が伴うことを忘れるな。
市民に一度も説明しないまま工事を強行して起債許可が下りず工事が途中でストップしたらH市長と満場一致で29.9億円の工事着工の補正予算に賛成した市議たちはどのように責任をとるのだろう。
取り返しがつかないとebisuは思う。
愚かな市長とそれを支える地元経済界「オール根室」、一人として29.9億円の補正予算に反対する者のいなかった市議会、破綻前の夕張市と薄気味悪いほど似ている。
それぞれの役割を演じている者たちは夕張市との相似性に気がつかないのだろう。愚かである。
(夕張市では地元金融機関○○信金が破綻に分不相応な役割を演じた。地元経済界と市議会はハコモノ行政にもろ手を挙げて賛成し夕張市を食い物にしたと言ってよい。もちろんハコモノの建設に当たってはコストカット意識など微塵もなかっただろう。
職員の半数はリストラ、残った者も給与3割カット、そして市民にさまざまな災厄が降りかかったことは何本かのテレビ番組が伝えるところとなった。病院は診療所になり、いままた医師数が減少して維持すらたいへんな困難を伴っている。小中学校は1校へ統廃合となる。)
*10月6日北海道建設新聞「根室市立病院改築の入札が12月上旬にも公告へ」
http://e-kensin.net/news/article/6355.html
**#1271 「医師6名の退職と37.3億円の起債不許可のシナリオ」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-07
#1267 「病院建て替え(挽歌):破たん前の夕張市に酷似」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-1-2
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