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#1251 教育再考 根室の未来(4):第1部④高校統廃合(北海道新聞) Oct.22, 2010 [64. 教育問題]

 22日北海道新聞根室地域版は教育シリーズ・高校統廃合4回目である。ご覧いただきたい。

(昨日、コメント欄に病院問題に関する書き込みが数件あった。ebisuはこの問題の扱いを休止したわけではないからご安心いただきたい。教育と医療がこのブログの2大テーマである。道新根室支局の力のこもった教育シリーズにホットなエールを送りたいので、ここ数日、教育問題を採り上げている。同じ問題は全道各地で起きているのだろう、地域限定版での報道はもったいない。他の地域の人々にも、根室の戦い方、そしていずれは出ることになる結果も知ってもらいたい。北海道人は各地域ごとに自立し連帯しよう。)
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 教育再考 根室の未来
   低い関心 
  2校維持見えぬ方策

 根室市内2校の統廃合を意味する「新しいタイプの高校」について「知っていた」人は17%―。
 小中高の保護者で作る「高校教育を考える根室保護者の会」が昨年、市内の保護者全員を対象に実施したアンケートの結果だ。道教委の方針はよく伝わっていない
 公立高配置計画によると、道教委は本年度の小学6年生が高校へ入学する2014年度以降の統廃合を検討している。ただ、花咲小PTAの石垣幸造会長は「子供が高校に入るまで、3年以上あり、小学校では話題になることが少ない」と話す。

  
両論併記の報告
 道教委のいう新しいタイプの高校とは、普通教科と商業などの専門教科を併せた「総合学科」や、普通教科の選択を充実させる「単位制などのことで、根室高と根室西高は閉校する可能性がある。だが、市民の間には「結局は根室高が残るんでしょ」と根拠のないうわさも広がる。
 保護者の会はアンケート結果などを基に、どのような高校が望ましいか議論を続けている。
 9月下旬には清水口顕誠会長らが、市教委が設けた高校問題検討委員会に出席し、現時点での考えを説明した。ただ、その際示した報告書には、2校維持と統廃合の両論を併記するにとどめた。

  
将来考えると・・・
 保護者の会は当初、2校維持を求める方向で発足が呼びかけられたが、小中学校の保護者から「子供のために何がよいか考えたい」という意見があり、統廃合される場合の対応も含めて議論をはじめた経緯がある。
 小学生の子どもがいる男性(52)は少子化が進む現状を指摘し、「高校生が減ると教員も減る。部活も成り立たなくなる。2校維持を主張するだけでいいのか・・・」と悩む。
 保護者の会は、2校維持は「目標が明確で市民の理解も得られやすい」一方、少子化が進む中では「今回の統廃合を回避できたとしても、近い将来、道教委から再び再統合が提案される」と冷静に分析する。
 会の中で共通認識となりつつあるのは、2校維持する場合は「市外からも生徒を呼び込めるユニークな高校にしなければ」という考え方だ。どちらか1校を「北方領土問題や道東の自然などの教育に特化」「特別支援教育に特化」などの案が出ている。だが、明確な方策はまだない。
 今後は、問題への関心を高めるため、市内各校のPTAと連携し、より多くの保護者に議論への参加を促す考えだ。来年3月までに最終報告をまとめ、道教委に意見として提出する予定だが、山田俊彦事務局長は「そこでも結論が出せるかはわからない。本当に難しい」と苦悩する。

  
市民の意向調査
 一方、市教委も、鈴木健二教育長が6月の市議会で、検討委の議論を深めるため「アンケートを実施することも方法の一つ」と表明。保護者の会とは別に、一般市民を対象にした意向調査の実施を検討している。
 市民全体では、まだ始まったばかりだ。
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< コメント > 
(1) 「市内の保護者全員を対象に実施したアンケート
 よくわからない。市議会でどなたか市議が質問していた。市教委がバックアップしてアンケートをとるのはおかしい、本来市教委の仕事だろうという趣旨だった。どうして民間の「高校問題を考える保護者の会」が立ち上げられたのか経緯がわからない。分からないから、この組織に対する判断はしばらく保留しておきたいが、市教委がアンケートをバックアップした事実がこの会の性格を雄弁に物語っているのではないだろうか?(間違いなら開示できる範囲で理由をコメント欄に書きこまれよ)

 気をつけなければいけないのは、こういう団体が市民意見をとりいれたというカモフラージュに利用されることがあるからだ。病院建て替えの「市民整備委員会」がその典型だ。先ごろ立ち上げられたが音無しの「根室まちとくらしネットワークフォーラム」も同様の役割を演じる予定の組織だろう。33名の中には良識のある市民もいるからどうなるかは彼ら次第だ。根室はそろそろ変わり目に来ている。良識に期待したい。

(2)「道教委の方針はよく伝わっていない
 道教委の方針は市教委のホームページで開示すればいいだけのこと。市教委は全国学力テストデータでもそうだが、道教委以上に情報開示に消極的である。アンケートよりも道教委の統廃合に関する方針を開示すべきだろう。
 「根室高と根室西高は閉校する可能性がある」なら、芭蕉同窓会にそう通知すべきだ。市長が芭蕉同窓会に出席したのを見たことがなかったが、今年は選挙の年で同窓会に出席して挨拶していたが、統廃合の話は一切なしだった。同窓会存続にとって由々しき問題である。早々に文書で通知し、意見を求めるべきだ。同窓会の役職各位はそれぞれの意見を表明すべきだろう。
 紋別の先例に倣えば、統廃合後に根室高校芭蕉同窓会は消滅することになる。役職者のみで結論を出してよい問題ではないだろう。

(3)「高校生が減ると教員も減る。部活も成り立たなくなる
 それをいうなら、中学校のほうが深刻な問題を抱えているだろう。高校は2校だが中学校は市街化地域だけで3校である。少ない学年は50人台になっているところもある。体育祭を見てみるがいい、紅白2チームに分かれているだけだ。優勝チームと準優勝チームのみ。競争条件が消滅しつつあるのは学力だけではない。市街化地域の3校すらブカツもままならぬ小規模校化している。
 高校統廃合の10年前に中学校の統廃合が終わっていなければならない。市教委は仕事をサボタージュするな。

(4)「市外からも生徒を呼び込めるユニークな高校にしなければ
 なにか無理やりでもアイデアを出さなければという「悲壮感」が漂う。こういうのを下手な考え休むに似たりというのだろう。まるで絵空事である。
 この会に具体的な提案を造る能力がないのは明らかだろう。時間切れで道教委に押し切られるだけである。

《まとめ》
 役所という所はヘンなところだ。市教委は道教委に頭が上がらない。道教委は文科省に頭が上がらない。異を唱えれば、職務権限を行使していくらでもいうことを聞かせることができる。市教委も道庁から転籍した教育長も、道教委の政策の露払いをするのみだ。7月の道教委による説明会を教育長や市教委がセットアップしたのはそういう意味だ。地元の人間だから期待はしたいのだが、かれらに期待はできないだろう。反骨精神をみせたら、席を温めてはいられない世界である。

 門戸を広げ、市民なら誰でも参加できる、任意参加の「教育問題を考える市民会議」を市総合文化会館で毎週日曜日にやろうではないか。「~保護者の会」「~検討委員会」「芭蕉同窓会」「根室西高同窓会」など関係団体が集まって立ち上げればいい。

 このなかで一番大きい組織は芭蕉同窓会だろう。発言力も大きいに違いない。幹事を一人ずつ出して連絡会議を設定すればあとは自動的に動けるだろう。それくらいの仕事のできるメンバーが各組織にはいるだろう。
 「~市民会議」へは道教委の意向や学力データの開示がなされなければならない。具体的なデータに基かない議論は不毛だから。
 個別の議論も必要だが、関係団体と意見のある市民が集まり、議論することが大切だ。根室でこのようなことは一度もやられたことがない。根室は変わる、変る契機はあちこちに転がっている。どこから火がつくかだ。一つの問題に突破口が見つかれば、同じ方式で他の問題に取り組むことができるだろう。

 具体案を提示しなければ、財政問題でお尻に火がついている道教委に押し切られるebisuの具体案は#1124にある
 教育問題は実は市立病院の経営問題でもあることに気がついて欲しい。市はさまざまな助成を行っているが、その予算にも関係している。すべては一つの連環の中にある


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*◎は高校統廃合について論じた記事、無印は関連記事である。

  ◎#1250 「教育再考 根室の未来(3):第1部③高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21

 ◎#1249 「教育再考 根室の未来(2):第1部②高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20

 ◎#1248 「教育再考 根室の未来(1):第1部①高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19

 #1152 「教育における投資対効果を考える」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-08

 #1127 「限度を超えた部活動の実例(釧路)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23

 #1125 「公教育の充実へ予算を増強して」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-21

 ◎#1124 「高校2校体制を5年延長する現実的な提案」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-20

 ◎#1122 「高校統廃合問題:商業科と事務情報科は歴史的使命を終えたのでは?」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-19

 #1119 「地域経済と地域医療を支えるために:学力向上への提案(釧路商工会議所青年部で行われた講演会から)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-18

 ◎#1113 「道教委による公立高配置計画説明会(7/13)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-15

 ◎#1111 「根室の高校統廃合問題について「異見」あり(1)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-14 


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ZAPPER

このまま道教委主導でことが進めば、2校を統合して普通科と総合学科の併設校となるのではないかと思われます。釧路の場合、新設校の明輝高校(総合学科)は人気があります。しかし(私見ですが)、総合学科は成績中位層には向くのでしょうけれど、下位層には不向きと思われます。

教員の持ち時間数が増えてしまうので質の高い授業が受けられない。専門科目を履修するも中途半端に終わってしまう。といった指摘や、総合学科へ移行したこと自体によって学力低下を招いたとの報告もあります。まったく学習習慣がない子や基礎学力が低い子達は、安易に「試験のない科目」の履修へ流れてしまうとも。

誰も口に出して言いませんが、廃校の憂き目に遭っているその大半は成績下位校(と郡部の高校)であります。中学卒業生の減少が一番の大きな原因ではありますが、学力が高い地域であれば近隣より受験者が流入するので、統廃合はあまりなされないとも言えそうです。ちなみに、帯広市も旭川市も北見市も統廃合がなされていません。札幌市は1ケースのみです。

釧路市・根室市には、ここでも「子ども達の基礎学力向上策を長らく怠ってきた」という共通点が垣間見えるのではないかと思うのです。つまり、ツケが回ってきたと…
by ZAPPER (2010-10-22 16:51) 

ebisu

ZAPPERさんへ:

なるほどね。郡部や学力の低い地域の学校が統廃合の対象になっているのですか。

>釧路市・根室市には、ここでも「子ども達の基礎学力向上策を長らく怠ってきた」という共通点が垣間見えるのではないかと思うのです。つまり、ツケが回ってきたと…

失政のツケが高校統廃合ですか。北海道全体から見ると、根室は「郡部」です。大都市圏でも中都市圏でもない、郡部でしょう。歴史的には北海道で大きな地位を占めてきましたが、いまは低い。
1国の力の源泉は知的レベルだとブログの中で書いておられましたね。
国を地域に置き換えれば、釧路や根室の力の源泉もそこに住む住民の知的レベルに比例しているのでしょう。

学力を軽んじていたらツケが回る。子供たちの学力を上げ、住民の知的レベルを上げないと、釧路と根室の地域経済も市政も市議会も衰退するばかり。

嘆いていても始まらないので、それぞれがやれるところから戦いの火蓋を切る、いまはそれで十分です。先が見えないことに私は満足しています。


by ebisu (2010-10-22 23:26) 

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