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電子黒板は必要か? #744 Sep. 30, 2009 [57. 塾長の教育論]

 電子黒板を学校現場に導入するという、自民党政権末期のばらまき暫定予算が問題になっている。すでに導入を決めた地方自治体が補助金予算が打ち切られることで1億円程度の地元負担になってしまうというのだ。なぜやめられないのだろうと疑問がわく。それほど役所の予算は硬直化しているのかと驚く。民間では予算で決めてあっても売上が予定通り行かなければ経費予算のレビューは速やかに行われるのが常だ。

 そもそも1校に1台の導入ではどうやって使うのだろう?パソコンなどを置いてある教室に設置することになるだろう。電子黒板についているキャスターはやわだから、先生が自分の授業に使うために引っ張って歩いたら、壊れるのにそれほど時間がかからない。階段があったら一人で運ぶのは不可能だろう。
 だから、電子黒板は欧米式の学校のように、教科ごとに先生と教室が決まっている方式でないと使えない。クラスと教室が1対1である日本式では先生が移動するので、1校に1台電子黒板を配布すれば、先生が電子黒板を押して歩かざるをえない。そしてほとんどの学校には階段がある。黒板のスケジュール管理も必要になるだろう。一体どうやって使えというのだろう?
(市街化地域の小中6校には階段がある。しかし郡部の小中学校には階段がないし、学年1学級あるいは複学年制だから教室の数も少なく、意欲のある先生がいれば電子黒板を引っ張って歩くだろう)
 現場の事情を考えずに、暫定予算を組み、これ幸いと何でも予算をつけてしまった結果である。企画立案した者たちに「普通の想像力」が欠けているとしか思えない。具体的に物事を考えないとこういうことになる。

 全国で小6が44位、中3が42位、そして全道14支庁で最低となってしまっている根室の子供たちの学力を上げることにもまるで影響がないだろう。根室の子供たちの学力低下は、設備の問題でも1クラス辺りの生徒の人数の問題でもないからだ。児童人口が急減しているので、すでに1クラス30人以下の学級がほとんどだ。「塾長の教育論」で何度も繰り返してきたように原因は他にある。
 お金を使わずともできることはあるし、やるべきこともある。それは学校と家庭双方に言える。学力向上のためには、子供たちにかける大人の側の手間隙や躾けの問題が一番大きいと感じる。子育てや授業に手抜きが多すぎる。どうすれば良いかは何度も論じたので、興味のある人は「塾長の教育論」を閲覧されたい。
 
*電子黒板自体は便利なツールであろう。教科ごとに生徒が教室を移動する方式なら使える。そういう方式で運営できる学校は現場の先生の要求があればそろえればいい。
 既成のソフトに拘束されるという欠点はあるが、使う方が使い方を工夫すればいい。教師の側で自分が使いたい画像をパソコンを使って電子黒板に取り込めるようになっているとなおよい。インターネットで教科ごとに画像ライブラリーをオープンにしてあれば、先生たちが創意工夫できる。
 問題は、教科単位で生徒が移動するようなスタイルに学校運営を変更できるかどうかだ。そういう学校があっていいし、既存のスタイルの学校と学力テストデータを継時的に比べることで、効果のほどを検証して情報を公開すればいい


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