SSブログ

根室病院特例債許可へ 経営依然厳しく(北海道新聞) [32. 市立根室病院建て替え]

根室病院 特例債許可へ
 経営 依然厳しく
  本年度 4億円減収の予想
【根室】国が昨年末、市が要望していた公立病院特例債の発行を許可する方針を示したことで、市立病院の不良債務10.5億円が解消される見通しとなった。懸案の病院建て替えに向けて一歩前進したが、2008年度もあらたに約4億円の収支不足が予想され、課題は山積みしている。(仁科裕章)
 病院特例債は全国の公立病院赤字解消に向け、国が抜本的な経営改善を条件に、08年度に限って発行を認めている。医師不足などで発生した不良債務を、7年償還の長期債務に借り換える仕組み。元利償還は09年度から始まり、根室市は年間約1.6億円ずつ返済し、利息の一部は国が特別交付税で補う見込みだ。
 特例債発行の前提となる「公立病院改革プラン」の概要も了承されることになり、常勤医15人(現在は13人)、病床数150床(現在は休床を含め199床)などの計画が実行に移される。市が2月までの策定する建て替え計画の見直し素案はプランが基になるため、移転ではなく現在地での建て替えが有力になっている。
 一方同病院は08年度も整形外科医など、予定通りの医師を確保できなかったため、当初予算より約4億円の減収になる見通し。特例債の発行は単年度の収支均衡が条件で、一般会計からのされなる繰入が避けられない。
 プラン通りに15人に医師を確保できるかも不透明だ。市立病院事務局は「ハードルを一つ越えたが、経営の厳しさは変わらない」と話している。


《コメント》
 3月のブログ*で医師13人体制で約4.4億円の減収予測をしていた。当初予算での一般会計からの繰入金6.1億円と合わせて年間10.5億円の赤字と書いていた。予測通りだったわけだ。私は難しい計算をしたわけではない。H19年度の着地予測を基に常勤医13名で売上や費用を計算してみただけである。1時間もあれば誰にでも計算できるだろう。

 だから病院事務局が計算を間違えて予算の赤字予測幅を過小に見積ったわけではない。病院事務局の経理担当者は精確に着地予測をしているから計算を間違えるはずがない。
 病院建て替えを国に認めてもらうために、常勤医15名体制の経営改善計画をでっち上げて予算を組み、市議会に提出して承認を受け、決算で足りない分を補填して辻褄合わせをしてきた。
 こういう操作は病院事務局単独ではやれないから、財政課と病院事務長と市長の「苦心の作」だろう。ありのままを正直に予算組みしたら国が認める経営改善計画とはならない。つまり、要点はここにある。市と病院事務局は、4年間一度も具体的な経営改善策がつくれなかったのだ。

 具体性のかけらもない「経営改善計画」を4年間続けたお陰で何が起きたのか?4年間毎年10億円を超える赤字を垂れ流し続け、病院の経営改善はひつとも進まなかった。4年間で赤字補填のために一般会計から合計40億円を超える繰入を行った。
 そしてついに、今年度累積赤字を特例債で繰り延べることになってしまったのである。現実的で具体的な政策不在の人災である。返済は来年から始まる。

 来年度は常勤医が14名で計算しても特例債の償還分を含めて、一般会計から10.5-1.5+1.6=10.6 億円(20年度の赤字額-常勤医1名増員分の売上+特例債返済額=21年度赤字予測額)の繰入が必要になるだろう。市民一人当たり年間3.5万円の赤字が出る計算になる。4人家族なら毎年14万円の負担である。5年連続10億円超の実質赤字をだしても市の財政は大丈夫なのだろうか?

 市民に状況をきちんと説明し、病院経営改善の具体策を立案して実行する正直な病院事務局、正直な財政課、正直な市長が根室には必要だ。

 病院新築についても、どういう規模の病院でどのような診療科や病棟を予定しているのか、建設坪単価も含めて公表してもらいたい。少なくとも以前に札幌のコンサルタントが作成した案はご破算だろう。規模も大きすぎるし、建築単価も135万円と法外であった。199床は人口45000人時代の規模である。10年後、根室の人口は26000~27000人と予測されているから、病院はそうした人口や高齢化に見合ったものでなければならない。

 何度もブログで書いたので、しつこくなるから再説しない。詳しいことは以下に並べたアドレスをクリックして欲しい。

* 3月16日#139 『医師11人なら4億円の赤字』
 
このブログでは年間10.5億円の赤字を予測。医師が13人だと6.1億円の予算赤字額にさらに4.4億円の赤字が積み増しになり、決算ベースでは合計10.5億円になると書いた。結果はほぼこの予測どおり。売上見通しや費用などの数値は以下のアドレスをクリックして確認できる。。
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-15-1 

**3月23日#147 『10年後の根室の人口』
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23 

*** 9月12日blog#297 『わが町の病院化家事特例債発行は大丈夫か?』
 特例債は赤字の繰り延べに過ぎない危険な政策である。ツケを後に回す無責任な政策である。人口減と高齢化で、後になるほど根室市の財政は苦しくなるから、ツケを後に回してはいけない。
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-09-12 

**** 12月17日blog#447 『予算比4億円減収』
   
 2009年1月9日 ebisu-blog#480 
  総閲覧数:62,908/410 days(1月9日0:00分


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0