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コストデザイン社(釧路)倒産、負債110億円:他企業の失敗に学べ [91.経済]

《コストデザイン社倒産》
 他社の失敗に学べ

 釧路の水産加工会社、コストデザイン社が倒産したという記事が北海道新聞に載っていた。負債110億円と書いてある。2002年創業の若い会社、新興企業といっていいだろう。ユニークな経営で急速に伸びたとあるが、何がユニークかはわからない。鮭の切り身を木の葉に載せて高級感をだす演出のできる会社であったようだ。いままで、そのような演出をする水産加工会社はなかったから新たな消費ニーズを開拓したのだろう。たった6年間で大きくなった会社である、クラーク博士のBoys be ambitious!に通ずる心意気のある会社だったのかもしれない。

 コストデザイン社がなぜ倒産したのかわたしはその原因を知らない。しかし、他の会社にも共通する企業経営上の要点をここに記すことはできる。あるいは、一般論がそのまま当てはまるケースかもしれない。ジリ貧でも潰れるが、成長期に潰れるケースが多いことは事実であり、見落とされがちだ。

 企業は変わり目が危ない。もう三十数年前になるが、アパレル業界では売上が30億円を超えるあたりで、個人商店から会社経営へ切り替えないとほとんどの会社が拡張と共に潰れた。成長するがゆえに倒産するのである。身長が伸びているのに、それを支える骨格が細いままで、体重が増えそれに耐え切れずに骨折を起こしてしまうようなものだ。これはアパレル業界に限らない。すべての業界に通ずる基本原則だ。

 商店経営が規模が大きくなるにしたがい、管理の目が行き届かなくなったり、経営者の独善性が強くなったりする。人間は弱いものである。周りがちやほやすると自分に甘くなる。そしていつしか自分の利益だけを考え、取引先との共存共栄や、従業員の繁栄をないがしろにしてしまう。企業は関係する人や会社、お客様に支えられている。それを大切に思うこころを忘れてはいけない。
 根室の企業では個人商店ではあるが、造り酒屋の老舗企業、碓氷勝三郎商店がこうしたこころを大切にするお手本のような経営をしている。戦後の択捉の水産加工工場の喪失、戦後の合同水産(株)の倒産をへて、風雪に耐え抜いた老舗の経営は筋金入りだ。経営者の心がけが重要な要素である。そうした経営のソフト面で根室が他に誇れる企業の一つである。

 成長企業は売上を増大できても資金が追いつかなくなる時期がある。だから、ある時期は成長を押さえ、内部留保を厚くしなければならない。
 成長よりも自己資金の蓄積を優先しなければならない時があるということだその時期に判断を誤り、惰性で拡張をすると、経営破綻のわなに嵌ってしまう。
 とくに最近は銀行が貸し渋りを始めている。北洋銀行もリーマン・ブラザーズがらみで大きな欠損を出したから貸付先を絞り込んでいるはずだ。成長期の企業が銀行から資金を止められたらひとたまりもない


 たとえ株式上場しなくても、上場準備レベルの内部管理制度整備はどの会社にとっても会社の骨格を強化することに役に立つ。
 いくつかの会社の上場にタッチしたから資料は多少残してある。上場準備の内容は変わっていない。何をどうすればいいのか知りたかったらメールをくれればいい。地元企業なら情報を提供しよう。

 大きくなろうとする会社は会社規定を整備するとか、経理のやり方に個人商店的な感覚をけっして入れないとか、自らを厳しく律する覚悟が必要なのである。そしてある時期は成長よりも自己資金の蓄積を優先する覚悟がいる。その辺りの判断を誤れば、即倒産である。民間企業の現実は厳しい。

*この話題は隣の釧路の会社だが「根室のニュース」に含めていい。しかしビジネスの一般原則でもあるので、「経済」カテゴリーに分類しておく。

 2008年10月18日 ebisu-blog#364
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