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二人の先輩 [22. 人物シリーズ]

               二人の先輩

 昨夜から根室も雨である。たいした降りではない。昨日から全国的に雨模様が広がっているようだ。佐渡の一部で1時間110ミリもの降雨量を観測したというニュースがあった。局地的な豪雨は今日も予報されている。

 同じ学部の先輩によく勉強している人が二人いた。一人はN先輩の友人で公認会計士を目指していた人である。高校時代からよく面倒を観てくれたN先輩の友人であるその人に計修会(公認会計士受験者のための大学公認グループ)で何度かあったことがあった。そのときはまだ公認会計士になるつもりであった。公認会計士を目指して勉強する人のサークルである計修会でナンバーワンと当時から目されていた人である。商業高校出身だったと記憶する。Kさんと書いておく。
 春になると布団を自分の家へ送り返し一日10時間前後の勉強をしていた。布団があると眠ってしまうからという理由だった。寝るのは数時間の転寝だけである。それで身体がもつほど強健であったことも事実だろう。通常は睡眠不足で頭が回らなくなる。しっかり寝たほうが効率がいい。私の場合は彼の真似ができない。真似したら睡眠不足がたたってかえって効率を落とす。もって生まれた身体や頭脳の働きがそれぞれ違うということだろう。 
 
 もう一人よく勉強していた人がいる。大学院へ進学した同じゼミのT先輩の大学院での友人である。面倒をよく見てくれたT先輩に紹介されて2度ほどあったことがある。その当時、大学院の1年生だったが、マーケティングを専攻していて毎日10時間前後勉強するほどのめり込んでいた。よくのめりこめるなと感心したので記憶にあった。Taさんとしておこう。
 T先輩はある大学の教授であるが、最近用事があってTaさんと会ったというメールが来て、覚えているかという。もちろん覚えていた。
 彼はいま同じ大学の経営学部と情報ネットワーク学部の教授である。毎週2時間連続授業を2回東大でやっているという。非常勤講師で東大で教えているのだろう。東大の学生はよく勉強するとはそのTaさんの弁である。T先輩によれば最近は母校の大学院に研究者を目指す者がいなくなったという。われわれの時代が最後だったと。
 わたしは母校の大学院ではなく3年社会人を経験してから、他校の大学院へ進学したのでTaさんとはその後の付き合いはまったくない。たまたま、T先輩からの最近のメールで消息を知っただけである。

 最初に紹介したK先輩は3年次に公認会計士2次試験に合格したが、その後大手監査法人で京都の責任者をやっていると10年以上前に聞いた。もちろん代表社員の一人である。いまどうしているのかは知らない。Taさんは母校の教授となった。
 彼らに共通しているのは、ある時期10時間前後の勉強期間が1年以上続いたということだ。大学に残り研究者になった者は数年間そういうのめりこみ方をした者たちである。やるときにはやったつもりの私が、彼らのバイタリティーには脱帽するほどの徹底したのめり方であった。

 研究者にならんとする者は、数年間そういうのめりこみ方をする時期が来るだろう。のめりこみは危険が伴うことも事実である。少数だがしばらくの間、心療内科への通院が必要になる者もいる。リスクはあるが、のめりこみ続ければ道は拓けることを先輩たちが証明している。
(それほどの努力をしているようには見えなかった大学院の先輩一人と、後輩一人がやはり教授となっている。そうは見えなかっただけで、原書を読むスピードを考えると相当勉強していたことは間違いないだろう。かれらのようにそれほどののめり込みを見せずに、バランス感覚を保ちながら研究者になる者もまたいるのであり、その在り様は個性や能力に合わせてさまざまではある。)

 大学教授になりたい人や公認会計士なりたい人へ、何らかの参考になることを願って異色の先輩二人の消息をここに記す。


  2,008年8月20日   ebisu-blog#263 
  総閲覧数: 27,856/268days (8月20日7時55分)


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