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#237 療養病床22万床存続(北海道新聞より) July 28, 2008 [26. 地域医療・経済・財政]

          療養病床22万床存続


 16年間勤務したことのある会社の同僚から葉書がきた。9月7日で定年だそうで、東京立川から兵庫県西宮へ引っ越すようだ。滋賀県の出身だと思っていたが、記憶違いだったようだ。入社後2年ほど机を並べて仕事をしていたことがある。早いものだ、もう定年か。
 団塊の世代の多くが仕事のノウハウをもちながら、余力を残して大量にリタイアしてゆく。せめてこの半数がそれぞれのアイディアでボランティアに勤しむとしたら日本は世界一住みよい国となるだろう。現実は、大量の戦力が経済社会から急激にドロップアウトしてゆく。日本資本主義は環境の激変に直面してどのような副作用をみせるのだろう。

  リタイアしてゆく大量の団塊世代を社会の中でどのように扱うかで日本の将来が大きく左右される。量が多いということだけでこの世代は質的問題を引き起こし続けてきた。60人学級、大学受験、大学紛争、大量の若く安い労働力の供給、企業戦士、そして定年。まもなく老人人口の激増に「寄与」することになる。

 7月26日の北海道新聞によれば、厚生労働省は激増する老人人口に対して療養型病床群の病院を今後5年間で35万ベッドから22万ベッドに減らすという。15万床にまで減らす当初計画だったが、「厚労省方針転換、受け皿整備遅れ」を理由に22万ベッド弱に修正したという。実態は自民党の選挙対策のようだ。選挙民の意向にもっと耳を傾けて高級官僚の既得権益を棄てさせる覚悟をすれば、国民の支持は集まる。
 老人人口が激増期を迎えるのに療養型病床群のベッド数は60%に減らすという。このような血も涙もない政策を「医療適正化計画」「医療制度改革の一環」と名づけて恥じない政治家や官僚群は八つ裂きにしてやりたいものである。公僕たる高級官僚が公僕にあるまじき振る舞いをした場合には、残虐刑である八つ裂きの刑が新設されても良いと思うのは私だけだろうか。ノブリスオブリージュ、高級官僚には年間5000万支払ってもいい、だが責任も重くて当然だ。そのような覚悟のない者は国の政策を立案するような立場の官僚になるべきではない。

 国債と地方債の累積残高はすでに1000兆円を超えている。財政赤字を放置し続けてきたツケがこのような形で回ってくる。そのツケの大部分を団塊世代が支払わされる。
 長生きの人ほど多くの仲間たちが老いさらばえ医療に見放されて野垂れ死にしていく姿をみることになるのだろうか。世も末である。団塊世代のかくも無惨な老後を数十年にわたって目撃することになる若者たちが自分たちの将来を重ね合わせてみてしまい、希望をなくさないことを願うばかりだ。
 さて、どうすればそうならないように世の中を変えられるのかは経済学のテーマでもある。

 「医療制度改革」は2011会計年度にプライマリー・バランスを回復するための小泉改革の骨太の方針のひとつでもあった。郵政民営化の陰に隠れてあまり議論の対象とはならなかった。竹中氏が登場する前にすでに旧厚生省の既定の方針だったから、彼にその責任のすべてを負わせることは無理があるだろう。しかし、推進したのは事実である。
 その張本人の竹中平蔵が久々にその盟友の木村剛とともにテレビに出演して厚顔無恥な姿をさらしていた。田原総一郎司会のサンデープロジェクトである。
 そのなかで気になる発言をした。失言をしたと言い換えるべきだろうか。サブプライムローンを評して「リスク管理がゆるんでいた」と。本当だろうか。サブプライムローンは返せるはずもない低所得層を騙す詐欺的金融だ。そしてその債権を証券化して投資信託に組み込んで世界中に売り飛ばし、後は野となれ山となれだ。サブプライムローンは自分の利益のために強毒性のウィルスを世界中にばら撒く所業に喩えられよう。日本ではこのようなやり口はアンダーグラウンドの世界だ。「リスク管理がゆるんでいた」との評は好い加減な経済学者の世迷言。実態は悪質な詐欺商法である。
 私も昔は経済学者の卵だったことがある。悪いものは悪い、詐欺は詐欺と言うのが良心的な経済学者の態度だろう。ピントの外れた経済学者の妄言にはご用心。
 竹中と木村は最近の米国経済の舵取りをバブル崩壊後の日本の失われた10年と比較して絶賛していた。曰く「日本が10年かかってやったことを米国は1年間で達成した」と。
 弱肉強食の米国経済は一皮剥けばサブプライム・ローンのような詐欺商法の実態が現れる。だまされる奴が悪い、なんでもありの経済社会だ。褒められたものではないし、お手本にもならない。倫理水準の低い人間が手前勝手な競争を繰り広げる米国経済社会は30年後にどのようになっているのだろうか。大きな付けが回って世界経済のリーダーの座から転がり落ちていなければ世界経済は極端な格差社会へ移行しているだろう。中国と米国がその双璧である。
 日本も米国と共に衰退してゆくのか、それとも明治時代のような倫理性の高い国民へと変わりうるのだろうか。インドが倫理性の高さで30年後の世界経済に君臨していることを期待しよう。

 平蔵とコンビの木村某は最後のところでは良いことを言っていた。法の下の平等と裁判の官民格差である。警察が裏金を作っても「私的流用は認めれない」で誰も罪に問われない、民間なら業務上横領罪で刑務所入りだ。社会保険庁が好い加減な仕事で国民に多大の損害を与えても看板を架け替えるだけで誰も罪に問われない。政府系の金融機関である長銀は6兆円もの損失を出しすべて税金で尻拭いしながら、最近の判決で当時の経営陣は全員無罪。グッドウイルは派遣業法違反を問われて廃業に追い込まれた。ライブドアの堀衛門も2審で有罪だった。何たる官民格差。この国に法の下の平等はないのか?この点だけは木村剛の言うとおりだ。

  2,008年7月28日   ebisu-blog#237 
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