#195 すこし過激な北方領土返還論:MIRV開発・組み立て・配備・解体ショー [21. 北方領土]
2,008年6月8日 ebisu-blog#195
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北方領土墓参団が先週戻ってきた。択捉島に大規模な空港が整備中で、インフラ整備がこのまま進むと返還が不可能となるのではと関係者の心配する声が北海道新聞に載っていた。
ロシアがだまって返すはずがないことは戦後の歴史ではっきりしている。そもそも東ヨーロッパの一国に過ぎないロシアがなぜユーラシア大陸の東の端まで肥大化したのか、あくなき領土拡大がその民族の遺伝子に組み込まれているのではないかと疑いたくなる。これほど領土紛争をたくさん抱えている国はロシアの他には中国のみだろう。
実効支配が100年継続すると国際法上の権利主張ができなくなるという説もある。あと37年で領土返還を主張する権利がなくなるかもしれない。
さて、8月14日連合国各国に日本はポツダム宣言受諾の旨を通告し、翌15日に玉音放送を流し、戦争は終わった。連合国各国に通告したのを知りつつ、その後に侵攻してきた"無法者のロシア"に正々堂々と領土返還を主張して、それを呑ませる方策はあるのだろうか。
「わが国固有の領土である」と主張したり外交交渉に任せていても、国際法上の時効を待つだけになる。ソ連崩壊時の数年間に領土返還のチャンスがあったが、見逃し三振に終わった。保有米国債の半分をロシア国債に置き換えるだけで返還が実現できたかもしれない時期はとうに過ぎた。今ロシアは豊富な天然資源を背景に経済的に急成長しつつある。
そんなことを考えながら転寝(うたたね)をしていたら夢を見た。以下はその夢の話である。
2015年某月某日、国会で「MIRV開発とその廃棄条件に関する議案」が超党派で決議され、詳細な計画案が公表された。戦後70年間ロシアとは交渉をしてきたが、一向に埒があかず、正当な領土返還の主張が通らない現実があったが、国際法上あと30年で領土返還要求の権利が失効するというので、超党派の国会議員が組織する北方領土問題協議会が国会へ議案を提出し、賛成多数で決議された。
ロシアとの埒のあかない領土返還交渉に業を煮やした日本は、MIRVを開発すると世界中に宣言した。ロシアや中国、米国からは非難ごうごうだが、東欧諸国やモンゴルなど日本の決断にエールを送った国も少なからずあった。
MIRVとは複数核弾頭を搭載したミサイルだ。米国・ロシア・中国・フランス・英国が保有している。小型核弾頭の開発には高度な技術レベルが要求される。ウラン濃縮やプルトニウム精製に使う遠心分離機や核弾頭を製造する際に使われる精密加工ロボットは日本製のものが世界で一番性能がよい。
協議会が事前に調査した結果では、必要な技術や機器はすべて国内で調達可能だった。世界は日本が実質的な核保有国であったことにようやく気がつく。日本はまもなく一時的に核保有国の仲間入りをすることになる。国連も安全保障会議に常任理事国として日本を迎え入れざるを得なくなるだろう。MIRV保有国を常任理事国から外してしまっては、安全保障会議はその機能をなくしてしまうからだ。
人工衛星を打ち上げるロケット技術はすでにあったので、大陸間弾道ミサイルはその技術を転用するだけでよかった。原料はあった。フランスで再処理して純度を高めたプルトニウムが3tもあった。さらに純度を高めるために遠心分離機で精製が必要かどうかは物理学者が判断するだろう。とにかく原料は六ヶ所村にプルトニウムだけで数千発分あった。使用済み燃料棒を再処理すれば1万を超える核弾頭が製造可能と新聞が書き立てていた。問題は多核弾頭を5年間で開発し組み立てることにあった。核実験は日本が地球シミュレーションに使用しているスーパーコンピュータ上でやることになっている。核爆発シミュレーションシステムを開発するのに2年かかる見込みだという。
日本のコンピュータ技術とソフトウェア開発技術をもってすれば核爆発シミュレーションシステムの開発もそれほど困難ではなかった。いくつかの国の機関と電機メーカ等を中心とする民間会社から、核技術者とコンピュータ技術者が集められ、産・学・官の共同プロジェクトが立ち上げられた。スケジュールはきつかったが、それが結果として技術者たちを奮い立たせることになった。
MIRVは5基開発し、いったん組み立てた後に、北方領土返還交渉が成就した後に完全廃棄する予定になっている。ロシアが折れなければ百基製造してロシア全土の都市に照準を合わせて配備することに決まった。ロシア国民は104年前の日露戦争の悪夢を思い出すがいい。白人国家がはじめて有色人種のサムライ国家と戦って負けた世界史的な大事件である。日本人はやらねばならぬときにはやる民族だ。
MIRVの開発・組み立て・配備はロシアへのデモンストレーションであるが、実際にやって見せないことには国際政治上の圧力にならない。武力の裏付けのない領土返還交渉は無力だ。いざというときには刺し違えることが可能な武力を有してはじめてこちらの言い分を聞く気になるだろう。北方領土問題協議会の超党派の国会議員たちはそういう結論を下した。
根室市民の間ではこの議案への賛否が分かれ、広島と長崎の県議会では反対決議がなされた。
10年後の2017年に北方領土返還交渉はどのようになっているだろうか。転寝(うたたね)から目覚め、目の前に大きく広がる国後(島)の山並みを見つめながら大きな欠伸がでた。入れ替わりに6月初旬の冷たい空気が肺を満たす。
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*#195「すこし過激な北方領土返還論」:MIRV(多核弾道ミサイル)開発・組み立て・解体ショー
⇒ロシアをぎゃふんといわせ北方領土を返還させるための具体論
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