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道内人口急減 知恵絞り地域守らねば(道新・社説) [A8. つれづれなるままに…]

  2,008年4月18日   ebisu-blog#171 
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 4月17日北海道新聞社説より

 道内人口急減
 知恵絞り地域守らねば
  道内の人口が560万人の大台を割り込んだと、総務省が発表した。27年前の水準だ。
 人口の増減は地域の活力を映し出す。十年前から人口減は始まっていたが、1年で3万人を超すのは初めてだ。
 減り方が加速している。全道で危機意識を共有したい。
 国の人口問題研究所の推計によると、道内は2030年に468万人にまで減る。20年後に90万人も減少する計算だ。
 厳しい未来が近づく。国と道は当面急いでやるべき対策と、息長く続ける総合的な対策に、同時に取り組まなければならない。
 すでに東京、大阪、名古屋の三大都市圏に人口の50%を超す集中が進んだ。道内でも札幌に三分の一の人々が住んでいる。
 この状態を放置し続ければ、仕事があり経済力がある大都市が勝ち残り、過疎地との格差は広がる一方だ。地域の活力を削ぐ事態は食い止めねばなるまい。
 まず雇用の確保が急務だ。
 人口減の大きな要因は、道内に仕事がなく東京などへ流出する、いわゆる社会減だからだ。
 中高、大学の新卒者はもとより、倒産で転職・離職する社会人の再就職先が少ない。道内の完全失業率は全国平均よりかなり悪い。
 高齢者を支える若い世代と働き盛りの流出は重い。道は4年間で十万人の雇用を生み出す計画に着手したばかりだ。可能な限り、前倒しする積極さが必要だろう。
 人口流出は、ただでさえ進んでいた出生率の低下、ひいては人口の自然減を加速させる。
 都市部を軸に働き手となる女性の社会進出を促し、同時に出産や子育てを支える環境づくりも欠かせない。国と道、さらに市町村が担う役割はますます大きい。
 道内で深刻なのは過疎の問題だ。8割の市町村が過疎地で、人口、消費、地方交付税などが少しずつ縮む悪循環の連鎖に苦しむ。
 過疎法が来年度で期限切れだ。過疎地は食料をうみ、森林で環境を守る。新たな視点による支援策を中長期的な地域対策とすべきだ。
 発想を切り替え大胆に挑戦することもあっていい。
 働く環境や子育て支援を進めて地域対策とし、経済成長を維持する政策が欧州で実現している。道内でも積極的な移住の受け入れなどが順調な伊達市のような例がある。
 人こそが活力を生む最大の資源だ。国と道は地域の隅々まで意識して対策を練り上げるべきだ。
 知恵を凝らした新たな動きが地域から起こることも期待したい。

《コメント》
 北海道は全国統計よりも10年早く人口減少が始まっている。人口問題研究所の人口減少率を逆算すると-0.81%であり、20年間で人口が16%(90万人)減少すると予測している。札幌が横ばいと假定すると、他の地域が25%近い人口減少をきたすということだろう。根室の人口は2.3~2.4万人程度にまで減少することになる。
 根室だけでなく、道内全体に社会資本の整備は、この人口減少を前提に行わなければならない。過大な社会資本投資は後世に借金の山を残すだけである。老人施設などは廃校になる小中学校あるいは高校をリサイクルしてできるだけ利用すべきだ。
 雇用創出については地方自治体ができることは限られているので、過大な期待はできない。原料供給基地としての地位に140年間甘んじてきたが、加工を盛んにして販路を押さえることが、北海道の雇用を増やすことにつながる。
 高品質を誇る北海道ブランドの加工製品群を育てるためにはどうすればよいのだろうか。
 たとえば、歯舞漁業協同組合が開発した商品群にその萌芽をみることはできないだろうか?漁業協同組合が製品開発の拠点になりえないだろうか?農業高校は酪農加工製品開発の重要な拠点にはなりえないだろうか?
 手造りの魚の燻製、原料を厳選した高級チーズ、モンサンミッシェルのようにミネラル分の多い牧草で育てた羊など、テーマを絞って検討すれば10年くらいで具体的な成果が得られそうなものもある。わたしにはアイデアがないが、根室人の叡智を結集して10年間手間隙をかければ、高品質の地域ブランド商品がいくつか開発できる可能性があるだろう。問題は人材である。とりあえず情熱の塊のような人が欲しい。そして確かな技術をもった人も。
 漁業と農業が広域で手を組む。たとえば、漁業の根室、漁業と酪農の別海、酪農の中標津、これら三つの地域が手を組めば、全国に通用する地域ブランドが確立できるのではないだろうか。
 北海道の人口減をとめるためには、センター(札幌)が繁栄するのではなく、ペリフェリ(札幌から遠く離れた地域)が自立して繁栄することが必要条件である。
                                                 備えあれば憂いなし


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