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コミュニティ情報誌"NEXT10号"を読んで [87.根室の話題]

2,008年2月10日   ebisu-blog#81
総閲覧数: 3796/75 days (2月10日21時10分現在)

 簿記の補習をやった後で、海岸まで行ってきた。本町の浜は100㍍先の氷が切れていた。百㍍ぐらい氷のない青い海が顔を出し、その向こうはまた遥か遠くまで雪原が続いている。岸近くのスケートリンク状のテーブル氷、薄いところは20㌢くらい、厚いところは50㌢以上あるようにみえた。岸辺は一面凍りついて海の上を歩いていける。残念ながら本町の浜辺には「氷の山脈」はみつからない。

 NEXTの最新号が昨日出た。ついに二桁、10号である。おめでとうと言いたい。こういうものは立ち上げ当初に大きなエネルギーが要る。やりたいことをやるために労力を厭わずに仕事を担う人がいて初めてこういう企画が継続できる。NEXTは町の情報誌として存在感が大きくなりつつある。そろそろ本来やりたかったことをやってもいい時期ではないのか?なにかやりたいことがあってはじめたのではないかと勝手に思っている。情報誌を続けていくためにはスポンサーも必要だ。そしてそれが足かせになることもある。しかし、それでも何が飛び出すのか期待している。若い人たちが頑張っているのは微笑ましい。
 だいぶ分厚くなった。商工会議所会頭山下洋司氏と青年部会長河村重敏氏の対談が載っていた。おっさん二人の楽しい対談である。北方領土が返ってくれば、根室の人口は数倍になり、経済も活性化すると語っている。
 仰るとおり、そう素直に感じた。大人の話だから、それも根室の要職にある経済人の話しである。次に何が出てくると思いきや、ない。
 これでは子供である。北方領土返還の具体論や戦略のないところが戦後60年を超えても領土問題が一歩も前進しなかった原因のひとつであると私は考えている。
 商工会議所の会頭と青年部会長といえば根室を代表する経済人のお二人と思うが、伝統を守り、相変わらず具体論に言及がないのはまことに残念というほかはない。新聞に掲載された根室高校と標津中学生亀田さんの文章のほうが知的レベルが高いと感じてしまったのは私だけだろうか。自分の体験に基づいた具体的な話で、領土返還にかける熱意と悲しさ、悔しさがしっかり伝わって来る好い文章だった。片や書き言葉、片や話し言葉だとしても・・・

「60年余りも根室に関わっている問題ですから、これはどうにか解決に向けて動き続けるしかないんです。諸先輩方が行ってきた返還運動の火を消してはいけません!一体、中央はどうなっているのだって、疑問だらけですね。根室人としてイライラします。」

 先人のやってきたことを無批判に肯定するのみ。そしていままで通り「動き続けるしかない」とのたまう。戦後六十有余年にわたる恒例行事のような返還運動のあり方に強い疑問を呈し、怒りと悔しさをあらわにした高校生と中学生の二人の意見と比べるべくもない。根室経済界の要職にあるという自覚がまだ商工会議所の重鎮のお二人にはないようだ。二人の生徒とともに、わたしも寂寥感に覆い尽くされそうだ。返還運動の火は消えずとも、根室の希望の火が消えそうだ。
 国際法上、100年間実効支配が続いたら、領有権を主張できなくなるという説がある。本当かどうかは知らない。本当だとするとあと37年である。2045年、ロシアは国際法上、実効支配が百年続いたことを根拠に北方4島の領有を正当化できる?外務省に確認すればよいだけのこと。この説が間違いであることを願う。本当なら、これを阻止するための具体策が必要だ。そうした具体的な協議すらできないとしたら、領土返還運動関係諸機関の役職はなんのためにあるのだろう。関係者はやるべき仕事をやれ。できない者は、その任に非ずと表明して辞職せよ。中高校生二人が戦後六十有余年の返還運動へ疑問を投げかけている。彼女たちの意見を真摯に受け止めることができるなら、商工会議所会頭として山下氏の果たすべき役割も見えるはずだ。
 
 昨日は、12月23日に亡くなった叔母の49日だった。ブログに書いたから読んでいない人は読んで欲しい。択捉で育った叔母が故郷に母親の墓参りに行きたくてそう告げたときの、返還運動関係者の冷たい仕打ちを。心ない人々が先頭に立った北方領土返還運動などどれほどの意味があるというのか。北方領土に故郷がありながら、返還運動にそっぽを向いている人々の存在を忘れてはならない。運動を担う人々の人格も運動の広がりに影響している。

 領土返還についてはすくなくとも、大きなチャンスが一度あった。ソ連崩壊時の数年間である米国債を数十兆円日本はもっていた。外為特別会計の話である。そのうちの三分の一をロシア国債に変えていたら、あるいは北方領土返還は実現したかもしれない
 国後島へ行ってきた根室高校生が新聞に根室高校に短期留学していたロシアの高校生の発言を書いている。「北方領土は別にどうでも好いけど、これを返すと他のもめているところも返さなくてはならなくなるから返せない」
 この論理はロシア国債を買うことで突き崩すことができた。国境紛争国で20兆円もロシア国債を買うことのできる国は存在しないからである。北方領土を例外扱いできた。ロシア側が交渉のテーブルにつきやすい条件提示ができた時期があった。ルーブルは当時の2倍である。もし、20兆円ロシア国債を買ってあげていたら、利息がゼロでも40兆円になっていた。一石二鳥の方法があったのだ。
 根室市には具体的な戦略がなかった。ただ恒例行事のごとく毎年北方領土の日に恒例行事をこなしていただけである。北方領土返還運動関係者も市役所も、根室支庁も外務省も関係者は誰もこのような具体的提案をしなかった。もうこの提案は時期を失った。ロシアは天然ガスや石油で潤っている。別の糸口を探すしかない。関係者はただ、60年間北方領土返還運動を恒例行事をこなすごとく営々とやり続けてきたに過ぎない。本気で領土返還を願うなら、国際経済や通貨や政治に重大な関心を向けて、領土返還への具体的戦略を根室人が作るしかない。尖閣列島や竹島問題も視野に入れなければならないだろう。広い視野を確保することだ。

 なにがまずかったのか、その点への反省なしに、北方領土返還運動は一歩も前進できない。関係者は熱意に欠けた。ほとんどが単なる名誉職でたらいまわしにしてきた。智慧がなかった。長期の具体的な戦略を作るためには、熱意と幅広い教養が不可欠である

 もう一度書く。根室は有力者が「村」を作ってきた。その村の中で物事が決められた。しかし、村のメンバーには智慧が足りなかった。根室市民のほとんどはその村の外に置かれてきた。「オール根室」とは小さな村の論理である根室市民の98%はその中にはいっていない。今もその構造は変わらない。具体策に一切言及のない、対談中の次の発言がなんとむなしく響くことか。

「想いをひとつにして向かっていけば根室は絶対再生するよ!その先頭が市長ですよ。長谷川市長も熱いものを持っていますからね。北村前会頭の「オール根室」だ一致団結すれば必ず開けますよ!」

 事実はどうか。根室の財政は病院事業赤字で危機に瀕しているが、医師派遣要請活動以外まったく対策が打たれた形跡がない。無策である。これが彼らの言う「おらが村のオール根室」である。北方領土に限らず、一事が万事で、具体策は何一つない。
 物事にはいろいろな見方がある。事象を360度、さまざまに視点を変えてみるべきだ。村の論理に囚われたら針の穴から世界を眺めるようなもの。
 
 会頭と青年部長さんのスナップ写真が4枚載っていた。好い顔している。気の好いおっさん二人、肩書きが人を造るということもある。悪しき伝統を切捨て、ぜひ、具体策で根室の町をリードして欲しい。新しい伝統がはじまることを祈ろう。

 43度の焼酎「八重山」。濃いコウジの香りはストレートで味わうに限る。
 今夜の酒はちと苦い・・・グビッ・・・ゴクッ・・・


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