SSブログ

#5034 放出されるのはトリチウムだけ?:論拠なし Aug. 17, 2023 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

 福島第一原発事故で溜まっているALPS処理水を100倍に希釈して、1km沖合までトンネルを掘って、そこから放出するという。

 自然な状態で存在する核種は300種類が知られているが、その中で放射性核種は30種類あり、核実験や原子炉で生成される核種は2000種類あることが知られている。このうち何種類の核種が放射性核種になるのだろうか、そんな基本的なこともわたしは知らない。だからこれから述べるのは、この方面の専門知識のない者の素朴な疑問と思っていただきたい。

 さて、ALPSで除去できる核種は62種類だが、ALPS処理水にはトリチウムしか残っていないのだろうか?
 ネットで検索しても、そういうデータが出てこない。東京電力も政府も原子力規制庁もIAEAもそのことにはまったく言及しないし、データの公表もない。
 福島第一原発事故で原子炉がメルトダウンしてデブリに接触した放射性汚染水には62種類の核種しかないというのはとってもヘンだ。核実験や原子炉で生成される核種が2000種類も知られているというのに、ALPSで62種類の核種を活性炭のフイルターで除去しただけで、残りはトリチウム汚染水だというのは、合点がいかない。溶けて固まったデブリが発生させている放射性核種が仮に100だとすると38種類の核種はALPSで除去できていないということになる。デブリが発生する放射性核種は63種類以外にはないのだろうか?

 東京電力、政府、原子力規制庁、IAEAは福島第一原発の汚染水にどれだけの種類の核種が含まれているのか、調査してデータを公表すべきだろう。国民には事実を知る権利がある
 こうしたデータを出さない限り、ALPS処理水は62種類の核種を取り除いただけの「正真正銘の放射能汚染水」だということ。残っている核種が32なのか100なのか、国民にはさっぱりわからない。原子炉のメルトダウンによって使用済み核燃料のデブリが63種類以外の放射性核種を生成していないというなら安心だが、ALPS処理水が安全だという論拠が明確ではないようにわたしには思える。末代まで甚大な影響のあることなのだから、安心させてもらいたい。
 トリチウム以外の放射性核種がALPS処理水に含まれているとしたら、それを希釈して、海底トンネルを1㎞掘って、沖合に放出するというのは、危険性を承知しているからだろう。排水溝が岸壁に設置してあったら、だれでも簡単にサンプルを直接採取できるので、1㎞先の海底トンネルから押し出せば、直ちに海水と混じってしまうためにサンプルをとるのは不可能だ。
 福島第一原発事故は放射能汚染拡大というまったく新しい局面を迎えようとしているのではないか。当代のわたしたちが、見逃していい問題ではない。実際には溶け落ちたデブリの物理的・化学的な性質すらはっきりしていないのではないか。それでも生成された放射性核種が何種類かは、デブリが接触した汚染水を調べたらわかることだ。

 福島県沖は秋刀魚の回遊するコースに当たる。沿岸の魚や貝類だけでなく、沖合を回遊する魚も汚染されかねない。子どもたちや孫たちに、日本の近海でとれる魚が安全に食べられるようにするのが、わたしたちの義務だろう。

<余談:高濃度汚染フィルターの保管>
 フィルターの交換頻度がどれくらいの期間で行われているのか知らないが、仮に半年に一度交換しなければならないとしたら、危険度の大きな高レベル放射性廃棄物になる。なにしろ核燃料がメルトダウンしたデブリに直接触れた汚染水の放射能をフィルタが吸着しているのである。HIC容器に入れて、原子力発電所敷地内に「一時保管」しているようだが、どんどんたまる。放射能は煮ても焼いてもなくならないから、始末に負えない。このHIC容器の中に入っている高レベル放射性廃棄物自体が化学反応を起こし発熱するもののようだ。
 東京電力は利益を大きくするために合理的に動く。フィルタがとっても高価なようで、その交換頻度を下げた結果、ALPS処理水の中にストロンチウム90などが高濃度で残留していたことがあった。コスト低減のためである、こういうことを平気でやるから東京電力は経営陣も現場で仕事している社員も信用できない。

 経営陣がでたらめなことは、さまざまに報道されているから承知の事実だが、社員の倫理観は一体どうなっているの?交換時期に来ているのにフィルター交換作業をしないなんて言うのは、現場で仕事している人たちが一番よく知っている事実だ。東電の社員が指示して、下請け作業員にやらせているのかも知れない。下請け作業員が内部告発したら、仕事を切られる。だとしたら、そういう下請け構造自体が原子力発電所を動かす仕組みとしては不適切ということだ。
 東京電力の社員もビッグモーターの社員も、倫理的なレベルは変わらない。原子力発電所を稼働させる資格がないほどに、倫理意識が低いということだ。違いは給料だけか、おそろしい。
 経営者ばかりでなく仕事をする人の倫理意識が問われる時代に突入している。
  「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
  「浮利を追わぬ」
  「小欲知足」
 日本語にはこういう好い言葉がある。東京電力経営者と社員のみなさんは、日本の伝統的な商道徳から学び直されたらよい。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。