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#4991 日本株価は高いのか?:データで検証 Jun. 7, 2023 [91.経済]

 昨日6/6の日経平均は32,506.78円、ダウ平均は33,573.28/$、その差は1066.50ポイントです。
 21世紀に入って、こんなに差が縮まったのは初めてでしょう。記憶にある限りでは8000ポイントの差が最大でした。バフェットが4/11に日本商社株を大量に購入して、日本株は買いだと叫んだ途端に5000円くらいも急伸しています。4/10が27,633.66円ですから、2か月弱で4873.12円アップしたのです。

 第2次安倍政権が成立したのが2012年12月でした。この年末の日経平均終値が10,395.18円、ダウ平均が13,104.14で、2708.96ポイントの開きがありました。
 為替を見ると、2012年末は79.79円/$、昨日の対ドルレートは139.55円/$ですので、ドル換算して現在の株価をダウ平均と比べてみます。

 10395.18円/79.79(円/$)=130.28$
 32506.78円/139.55(円/$)=232.94$...1.79倍
 これが日経平均をドルベースでの比較する場合の基礎データです。2012年に比べて、ドルベースでの日経平均成長率は79%です。「79%ch」と書いたりします。

 ダウはどれくらいの倍率になるのか?
 32908.24/13104.14=2.51倍

 「151%ch」ですね。
 データが示すところは、米国ダウ平均が日経平均の2倍の成長率だったということ
 米国ダウ平均株価の成長率を1とすると、日経平均株価のそれは0.71です。この11年間で、日経平均株価はダウ平均株価に比べて相対的に3割下落したということ。これが「アベノミクス三本の矢」の結果です。日本政府と上場企業の経営者たちは成長戦略ではなくて、「低成長戦略」をとったということ
 ようするに、この12年間で日経平均が3.1倍にアップしていますが、そのはほとんどが円安に起因するということです。ドルベースでは1.71倍ですからね。「3.1-1.7=1.4」、これが円安によって底上げされたということ。年金機構が50兆円ほど上場企業株を保有していますし、日銀の上場企業保有株も増えています。日銀保有株は昨年9月で時価総額で48.2兆円です。GPIFはそれよりも少し少ない。両方で90兆円を軽く超えていますが、いずれ売りに出さないといけませんが、量が大きすぎて株価の大暴落を招きかねないので、処分に窮しています。GPIFは年金支払いのために、保有株式を市場で売却しなければなりません。日本の上場株はこういう株価下落リスクが大きくなっています。

 データが示したのは、日本企業はこの11年間低成長にあえいでいるということ。その比率はダウを1とした時に、0.71にすぎないということです。名目賃金を抑えてマイナス成長にして、そういう状況下で12年間、毎年平均4.5%の成長を続けたということ。
 大数学者の岡潔先生風に言うと、自他弁別能が働いて、エゴ丸出し、自分だけがよければいいという経営だったということです。動物本能による経営が日本企業のほとんどを汚染しています。無差別性智が働けば、取締役の所得をアップするよりも先に、社員の給料をアップし、非正規雇用を正規雇用にできうる限り切り換えて、生活の安定を図ったはずです。守るべきは、伝統的なビジネス倫理である「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」。人も我も一緒、そして経営者に必要なのは「小欲知足」の心構え。

 日本の上場企業では、自社株買いが流行っているようです。昨年は30兆円、今年は昨年を上回っています。東証1部上場株の時価総額が800兆円だとすると年間4%の株式を買い入れて、消却して株価の底上げをしていることになります。5年間やれば、150~175兆円も消却することになるので、日経平均株価はその分(25%)値上がりするでしょう。
 一歩で株式分割もあるので、これは単位当たり株価が下がる方に作用します。両方が混じりあってどうなっているかなんて統計はありません。だから何が何だかわからないというのが本音です。
 自社株買いは、内部留保が溜まって、未来へ向けて投資も積極的にしないので現預金が余って余ってしようがないのでやるんです。つまり、リスクをテイクせず、成長の見込みがあまりない企業だということになります。自社株買いで株価を上げる企業が増えている日本で、20年後に上場企業はどうなているでしょうね?
 日本企業はもっと未来へ向けて、余剰資金を投資してほしいですね。どうして日本企業は未来へ向けて、リスクを覚悟で新規事業分野に投資できないのでしょう?

 その理由は簡単です。日本の上場企業の経営者たちが小利口だからですよ。何かすれば大損する可能性があります。大損すれば株価が大きく下がり、取締役は責任を問われます。何もせずに、自社株買いをし続けたら10年間くらいは株価を維持できます。株価が維持できなくなるころには自分は引退しています。情けない。
 上場企業の経営者には難関大学出身者が多いのです。受験勉強で培ったスキルは、企業経営にはほとんど役に立たない。受験勉強は答えのある問題をどれだけ高速で正解するかを競うのが目的です。企業がマネジメントで直面している諸問題の多くが、文系・理系の区別に関係がありません。それらの両方がクロスオーバーしている領域で現れています。
 システム技術と機械と数学はマネジメントに不可欠な分野です。何より大切なことは、好奇心に任せて、さまざまな分野の専門知識を吸収し、答えのない問題を考え続ける習慣をもつことです。高校生や大学生の時にそういうことをやらなかったら、企業のマネジメントは無理です。近道反応します。利益をアップするためには費用を削ればいいなんて、たとえば、社員の首を切って、半分以下しか支払わないですむ非正規雇用を増やします。イージーですが効果的なんです。当面の利益はそれで確保できますが、それは未来に希望のない利益です。いつ、非正規雇用に転落するか不安の中で生活して、幸せなわけがありません。経営者がエゴ丸出しになると、そういうことが平気で行われます。社員を減らして非正規雇用を増やして、利益を増大させることで、自分たちの報酬アップを提案して株主総会で決議します。1990年代初頭に比べると取締役の年収は平均して2-3倍にもなっています。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」というのは日本の伝統的なビジネス倫理ですが、それとは真逆の自分だけよければいいという、エゴ丸出しの経営がまかり通るようになりました。それでも、日本の伝統的なビジネス倫理を守り、従業員を大切にする企業も生き残っています。そういう企業が上場企業に増えてもらいたい。

 #4989の<余談>のところで、具体例に触れています。SRLは臨床検査業界最大手の企業ですが、巨大市場の米国へ進出しません。自動化ラボとしては1988年頃に圧倒的に世界一でした。大手臨床検査センターを傘下に持っている製薬メーカーからから設備をまること売ってくれないかと打診があったことがありました。あれから30年がたつのに、社長が何度か交代しても、米国進出の気配もありません。売上を3倍にできるのにやらない。意気地なしです。失敗するのが怖くて、誰もいい出さない、それを「小利口」だというのです。親会社の富士レビオ(HUホールディングス)からもそんな経営政策が出てきません。日本企業の多くが、世界に通用する技術を持っていながら、米国に進出しません。リスクテイクが怖くて、チャンスをつかめないのです。

 好奇心の赴くままに専門知識をインプットしたら、その専門知識をすぐに仕事で使ってスキルを磨くことも大切です。本を読むだけでは十分ではありません。実際にやってみることでわかることの方が圧倒的に多いのです。

 正解のある問題を小中高と12年間もやり続け、好奇心を押し殺して魂の成長を抑え続けてきたらアウトです。そんな人材が、上場企業の取締役に多ければ、成長が見込めないのはモノの道理です。

 米国と中国の覇権争いで、日本へ半導体工場を新設する追い風が吹いています。生産拠点がいくらかは日本へ戻って来るでしょうね。長期的には日本経済に追い風となるでしょう。

<銀行預金を株式投資で運用したら...> 
 先ほどはドル換算して眺めたので、今度は円ベースで眺めてみます。2012年に3000万円を日本株に投資していたら、6460万円になっています。米国株なら1億3400万円です!
 銀行預金で寝かせておくなんて、何とばかばかしいことでしょう。もちろん、投資していた企業が業績不振で経営破綻もありうるし、株価が半分になることもあります。今話したのはあくまでも「平均値」での話です。なるべく分散して投資するのが安全です。リスクをとるのかとらないのか、それはあなたの意思次第。銀行預金の半分くらいやってみたらいかが?
 3000万円の預金があったら、1000万円は日本株へ、1000万円は米国株へ、残りの1000万円だけは銀行預金で持つなんて組み合わせはいかが?

 20年後に、米国企業の成長率を1とした時に、日本企業が0.5以下にならぬことを祈ります。



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tsuguo-kodera

 流石ですね。その通りです。
 さて、三方良しの心がけに変われる人はいませんでした。子供の時の育ち方と余命幾ばくもないと認識し時以外ありません。若くして死んだ人です。
 私は日本人の品種改良を考えていました。悪い表現では合いの子。従弟、従妹はドイツヒトラーの女性版の人と留学した東大医学部の人が結婚し生まれました。
 顔が可愛いのが取り得でした。学業の成績はダメ。今の従弟はUCLAパーマネント教授。バフェットの奥様の主治医。
 妹はボン大学にフルート留学し挫折し、教会の楽団のボランティア。ボン教区の建築責任者が楽団員。無職の2人が結婚。今は、旦那がケルンの大聖堂、ライン川の堤防や橋の建築維持責任者、彼がいなければ世界遺産もどうにもなりません。
 2人とも留学した時は貧乏暇なし、大変でした。それぞれ柔道指導と日本製フルート修理のアルバイト。日本人は郷に入っては郷に従え、大成功でした。
 日本人は仕事ができます。円安で開成生は東大よりアメリカやシンガポールに行き大金持ち。優秀な若手官僚は現地に根付いて帰ってきません。何のための税金か。
 でも彼らがいます。次に続く環境は整ったと思います。でも頭の良い人、やる気のある人が海外に行けば、島国の日本人はもともと合いの子です。
 フィンランド、デンマーク、ポーランド、ウクライナなどの東欧から若い人を留学させるのが一番。愛の子、合いの子作戦です。私が長年考えていたことです。
 近隣諸国ではなく、苦境の東欧から招くべき。息子は同じ志向でも、抵抗勢力には無力です。官僚が最悪、政治家や地方役人が次に悪い。悪いピラミッド組織が日本の特徴です。歴史が産みました。我々は良い時に生きられましたが残念です。
by tsuguo-kodera (2023-06-08 14:14) 

ebisu

koderaさん

ユニークないとこたちがいますね。世の中は日本人の品種改良ですか、そういう方向へ進みそうですね。

わたしたちの頃は、転職しようと思うと、外資系企業のいいところは、管理職だと日本企業の1.5-2倍の給料が提示されました。
いまは管理職でなくても2倍が普通のようです。

欧米企業との給与格差が2:1の時代です。エリートは外資系企業で働く人が増えます。混血は進むでしょうね。

日本的な情緒や美徳をハーフの子どもたちに伝えてほしいと思います。
by ebisu (2023-06-08 21:36) 

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